No.62937

【一刀の】望みたくない外史

つよしさん

つい、カッとなってやった。後悔はしていない。
…反省はしている。

続きを書かずにこんなの書いてみた。

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2009-03-12 18:52:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:15998   閲覧ユーザー数:11916

────それは偶然だった。

 

 

 

 

桂花「もう!風ったらどこに行ったのよ!またどこかで寝てるのかしら!」

 

魏の軍師、『王佐の才』と評される、荀彧──桂花は廊下をキョロキョロと見渡しながら、早足で進む。

 

なんでも、軍師のみで行う軍議に、程昱──風が来ないので探しているらしい。

 

 

 

 

────だれが予想したであろうか。

 

 

 

 

流琉「季衣ったら、もう料理作ってあげないんだからぁ!」

 

曹操──華琳の親衛隊、典韋──流琉は怒っている。少し涙目になりながら下を俯きながら廊下を走る。

 

泣いている訳というのも、許緒──季衣が、今朝なかなか手に入らない食材が手に入り、好意を抱いている男性──北郷一刀の為に作った料理を、流琉が目を離したときにすべて平らげてしまったらしい。

 

それに怒った流琉は季衣に文句を言うわけでもなく、悲しみの為、嗚咽を漏らしながら厨房から出て、今に至る。

 

 

 

 

────この波乱の一日を。

 

 

 

 

片方は早足、もう片方は走っている。

 

目の前は曲がり角。

 

二人はまともに前を向いていない。

 

 

ドンッ!!

 

 

『キャッ!』

 

 

二人がぶつかるのは必然だった。

 

 

 

 

桂花「いったー。ちゃんとどこ見て歩いてんのよ!」

 

それは桂花が責められることではない。

 

流琉「ごめんなさい!ごめんなさい!それじゃ!」

 

流琉は泣き顔見られたくないため、勢いよく頭を下げ、その場から逃げたした。

 

桂花「あ、待ちなさい!まったく、誰なのかしら…。聞いたことのある声だったけど…。」

 

桂花は気付かない。その声の主に。

 

流琉「痛かったー。誰だったんだろう…。」

 

そして、流琉も。

 

流琉「あ、そうだ。兄様に謝らないと…。せっかく楽しみにしてくださったのに…。…グスッ。」

 

流琉はそのまま一刀の部屋に走る。涙を拭いながら…。

 

だが、流琉は気付いていなかった。

 

自分の体の異変に。

 

 

 

一刀「ふぅ、やっと終わった…。」

 

一刀は明日に行われる軍議の定期報告の報告書を作成していた。

 

一刀「この案は自分でもびっくりだな…。」

 

報告書に目を通しながら呟く。今朝、彼は警邏の見直し案を思いつき筆を走らせた。

 

一刀「これなら、事件は激減するかも…。…甘いかな?」

 

机に頬杖をつきながら思案する。

 

その時来客があった。

 

コンコン

 

一刀「はい。どうぞー。」

 

???「失礼します」

 

一刀「(えっと、この声は…)」

 

???「えっと、兄様?ちょっと話したいことが…」

 

あるんですけどと、小さな声で呟く。

 

一刀「……え?」

 

一刀は驚く。目の前の光景が予想外過ぎたから。

 

???「…?あの、料理のことですけど…。ちょっと失敗しちゃって…、食べてもらうことができなくなってしまいました…」

 

季衣のことを言わないのは彼女の優しさが故か。

 

だが、彼はそれどころではない。

 

一刀「え…、あ、あ、その、えっと…」

 

なにが、起こっているのか理解できていない。

 

???「兄様?」

 

彼女は下からの見上げる形で一刀の顔を覗く。心底、心配そうに。

 

一刀「うっ!こ、これは……」

 

一刀は顔を真っ赤にさせる。

 

 

 

それは、目の前の彼女の、なにもかもが可愛過ぎるから。

 

 

 

そう、これはありえなかった。

 

 

 

そう、兄様の呼ばれることが…。

 

そう、下から見上げられることが…。

 

そう、自分を慕っているように見えることが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその彼女が────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂花であることが─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続かないかもね。


 
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