No.65800

【一刀の】望みたくない外史04

つよしさん

なにかが間違っている。そう、何かが…。

『声の脳内補完は絶対ですよ』

1ページが『すごく』縦に長いですが、暖かい目で見てもらえると助かります。

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2009-03-29 08:05:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:8971   閲覧ユーザー数:7492

────これはなんだ?これは誰だ?

 

 

一刀の頭に『また』思い浮かぶのはこの言葉。

 

先程と意味は同じだ。

 

目の前の彼女のいつもとの違いに、困惑しているのだから。

 

──だが感じていることは違う。彼の感情の問題が。

 

まず、桂花に対しては、歓喜。

 

それは、今までとは違い彼女がデレているから。

 

それに反し、流琉は違う。

 

流琉が部屋に入ってきて、話した台詞は3つ。

 

そう、たった3つだ。

 

この3つの台詞だけで彼は今、

 

 

 

────恐怖という感情が彼の心に生まれてしまっている。

 

 

 

なぜ、恐怖が生まれるのか?

 

『例えば』だが、この態度は桂花と瓜二つ。

 

彼は普段の桂花の態度に恐怖はしない。

 

今の流琉と同じであるのになぜか?

 

 

──それは初見から今まで、いつも同じ態度だから。

 

 

そう、桂花に対しては慣れ───耐性ができている。

 

初めからあの態度ならば、慣れれば流すこともできるようになる。

 

それに、理由もある。

 

桂花は男が嫌い。華琳が好き。北郷一刀が嫌い。

 

理由は2つに見えるが、理由は3つ。

 

男であり、北郷一刀であり、華琳に気に入られている。

 

だから、一刀を嫌う。

 

だから、あの態度。

 

 

 

 

だが、流琉は違う。

 

少なくとも、彼女は一刀が好きであるはずだ。

 

兄として慕い、男としても慕い、季衣と共に体を許した。

 

それなのに、この罵倒、視線、態度。

 

ありえないだろう。

 

 

 

彼女を知る者ならば、十人に十人が『偽物だ』というであろう。

 

だが、それはあくまで第三者が見た場合の話だ。

 

当事者。───特に関係の深い北郷一刀に『偽物』と言い切れなかった。

 

なぜか?

 

それは、たった一言の理由。

 

 

 

 

『ありえないから』

 

 

 

 

 

 

これに対して『矛盾している』ととる人が多いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

────ここで、例を挙げてみよう。

 

『例えば』の話だが、未知の生物──宇宙人でもいい。

 

それらを目撃した、会った、等としよう。

 

写真や噂ならば『偽物』、『悪戯』、『幻』等の意見が出て、信じないだろう。

 

だが、その未知の生物は自分の目の前で『ありえない』行動をしているとする。

 

その時、人はどう思うか。

 

それは、文献等でしか見たことのない生物が『存在する』と、納得するのだ。

 

────いや、納得せざるを得ないのだ。

 

 

 

────それが、目の前で起こってしまっているから。

 

だから信じてしまう。

 

 

 

 

例ではなく、有名な諺で表してみよう。

 

『百聞は一見に如かず』という言葉がある。

 

その言葉通り、自分の目で見たものは信じてしまうのが、人である。

 

全ては知らないだけ。知れば納得する。それが人だ。

 

 

 

では、これらのことを流琉に置き換えてみよう。

 

目の前の流琉の姿は本物だ。間違いなく。

 

体を重ねたからこそ分かる。この彼女は本物だと。

 

態度が違うだけ。

 

 

 

 

 

そして、今の一刀はこう考えている。

 

────流琉は内心では、言葉通りに考えているのでは?

 

今までその内心を知らなかっただけなのかもしれない。

 

考えたくはない。だが、その考えが頭から離れない。

 

だが、こうして彼女は目の前でこの態度。

 

信じられない。

 

 

 

普段の一刀ならば、『病気』や『事故』など要因を考えたかもしれない。

 

────だが、無理なのだ。

 

 

 

 

なぜ?

 

 

 

 

 

────それは、先刻の桂花のことがあったから。

 

桂花も同様、いつもの桂花からは『ありえない』彼女だった。

 

だが、目の前にその彼女はいた。

 

このときも一刀はこう考えた。

 

────桂花は内心では、言葉通りに考えているのでは?

 

そう考えてしまっている。

 

いつもの言葉とは裏腹の態度。それが先程まであった。

 

それが原因となっている。

 

今の一刀は『内心がわからない』。という現象に陥っている。

 

 

ここで、始めの原因の話に戻ろう。

 

 

『ありえないから』。これ原因だった。

 

だが『ありえない』ことは二度目だ。しかも、一度目を信じてしまっている。

 

だからこそ、二度目を信じようとしてしまっている。

 

 

 

────これは、混乱だ。

 

 

 

一刀の心の中は、混乱が混乱を呼び、まともな思考回路をしていないのだ。

 

 

 

 

それでも、一刀は訊かなければならない。

 

 

 

 

 

─────────今の流琉の態度の理由を…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「……な、なぁ」

 

流琉「だ……なによ?」

 

流琉はまだ言葉を続けようとしていたのに、邪魔されたのが気に食わないのか、一刀を睨む。

 

これだけで一刀は挫折しそうになった。

 

─────それでも一刀は続ける。

 

一刀「な、なんでいきなりそんな態度なのかなぁって…」

 

一刀は弱腰だ。

 

内心、びくびくしながら訊いている。

 

流琉「…はぁ?なに言ってるの?」

 

流琉は呆れ顔だ。

 

流琉の呆れ顔を見たことがないわけではないが、これは馬鹿にしたような呆れ顔だ。

 

彼女は言葉を続ける。

 

流琉「こんなの、いつものことよ」

 

一刀「(いつも!?ま、待てよ。じゃ、じゃあ、こんなことを誰かに愚痴ってることか!?)」

 

そうは言っていない。が、そう考えるのが妥当かもしれない。

 

一刀「……………………」

 

一刀は少しの間、無言になってしまった。───少し、身体を震わせながら……。

 

 

 

そして、流琉はその一刀に気付いた。いや、気付いてしまった。と言ったほうが正しいだろう。

 

そして、流琉は口端を上げほくそ笑む。

 

更に、目にも笑みを浮かべている。

 

 

─────そう、獲物を見つけた狩人の様に……。

 

 

流琉「この際だから、言わせて貰いますけどね、あんた節操無さ過ぎよ!」

 

一刀「う!」

 

事実だ。事実だからこそ、彼にこの言葉は突き刺さる。

 

流琉「華琳様は王よ!分かってるのかしら!?」

 

一刀「わ、分かってるよ!けど、あれは同意の上であってだな…」

 

流琉「同意!?はっ、あなたいつもそれじゃない。向こうからだ、とかいって逃げて!節操無しなのは変わらないじゃないですか?」

 

馬鹿にしたかのような態度なため、敬語で罵倒する流琉。

 

一刀「いや、それは……だ…な…」

 

一刀は語尾が小さくなっていく。

 

流琉はこれを好機と見たのか、さらに責め立てる。

 

流琉「……侍女にまで手を出そうとしたわよね、『北郷』」

 

一刀「ぐぅ!それを持ち出すか。……いや、まぁそうだけどさ…」

 

 

 

これも事実だ。

 

ある朝、一刀の部屋に侍女が書簡を持ってきたことがあった。その時一刀は暇だったため、侍女を部屋に留まらせ、話相手になってもらっていたのだ。

 

だが、それで終わらないのが『魏の種馬』。

 

 

話続けて、気付けば夕刻。その侍女も他の侍女に言伝を頼んだとはいえ、そろそろ仕事に戻らねばならない。

 

そう言って、侍女は立ちあがったのだが、急ぐあまり勢いよく立ちあがったためか、立ちくらみを起こしてしまった。

 

それを慌てて抱きとめる『魏の種馬』。………一刀ではない。『魏の種馬』だ。

 

話の最中に何度もいい雰囲気になっていた2人。しかし侍女は、いい雰囲気になろうと彼は、魏の重鎮だと、一歩線を引いていた。

 

片や、『魏の種馬』は侍女を可愛い女のコと見ていた。

 

そして、このアクシデント。

 

抱きとめたため、顔も近い。

 

彼女は彼の整った顔を直視。顔を赤らめる。その反応を見た『魏の種馬』は彼女を抱きあげ、寝台へ運んだ。

 

彼女は抵抗しない。───いや、むしろ嬉しそうに見える。

 

こうなれば『魏の種馬』は止まらない。いや、止まれない。

 

そして、ゆっくりと近づく、唇と唇─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────そこへ、覇王が珍しくノックもせずに入ってくる。

 

 

 

時が止まった。

 

 

そして、しばらく間があった後、侍女は脱兎の如く逃げ出す。

 

まだ動けぬ『魏の種馬』……いや、北郷一刀。

 

そして、覇王────いや、魔王、此処に降臨す。

 

あとは言わずもがなだろう。

 

そして、その出来事は魏の上層部にはすぐに知れ渡った。

 

その後の事も言わずもがな。

 

 

閑話休題。

 

 

流琉「当たり前でしょう。『北郷』のやることはすぐに耳に入るわよ」

 

一刀「ぐ…そう、だな……っていうか何で『北郷』?」

 

そう、流琉といえば『兄様』だったはず。先刻の桂花の様に。

 

流琉「…はぁ?………まさか、あたしが一刀とか、隊長とか呼ぶとか思ってんの!?絶対嫌よ!ましてや兄様、なんて『死んでも』嫌だわ!吐き気がする!」

 

一刀「死んでも!?は、吐き気がする!?」

 

本当はそう思われていたのかと、衝撃を受ける。

 

流琉「そうよ、当たり前じゃない。血なんか繋がってないでしょう?そして、義理という訳でもないでしょう?大体、なんであんた季衣とかに兄ちゃんと兄様って呼ばせてるわけ?妹って言葉に感じる変態!?」

 

これは兄様と呼ぶことに対しての不満か。

 

一刀「……へ!そ、そういう性癖はない!だいたい、呼び始めたのは、る…」

 

流琉の方じゃないか、と言おうとしたのだが、流琉に阻まれる。

 

流琉「それに、季衣とかにまで手を出して!あなた、道徳って知ってる?幼女趣味まで持ってるの!?」

 

ロリコンは犯罪です。

 

一刀「ぐぅ…!!なんだか2人から責められているような…いや、もっとか!?……け、けどなぁ、俺だって道徳ってものを知らない訳じゃない!最初はダメかと思ったけど、君たち意思を尊重してだな!そうだろ!」

 

流琉「知らないわよ、そんなの」

 

一刀「マジ…か…」

 

 

 

 

ガク!

 

 

 

 

本日二度目の膝をついた。

 

それも当然。

 

今一刀は、流琉に関係の全てを否定されたのだ。

 

ロリコンは最低だと。趣味が最低だと。一刀が嫌いだと。

 

信じてきたものが、全て否定されている。

 

流琉「はぁ、ヤダヤダ。こんな万年発情男の傍にいたら、犯されてしまうでしょうね。速くこの場から立ち去りたいわ」

 

流琉の罵倒は更に続く。

 

だが、今の一刀に反論する気力はない。

 

流琉「あ、そうよ。あなた、風、知らない?」

 

一刀「い、いや知らないけど…」

 

なぜ、流琉が風を探しているのか少し気になった一刀であったが、それを問わなかった。否、問う体力が無かった。

 

流琉「ホントに知らないでしょうね。部屋に連れ込んでんじゃないの?この全身精液孕ませ男」

 

一刀「は、孕ませてねぇよ!」

 

膣外に出さない男のいうセリフではない。

 

流琉「は、どうだか。…もしあなたの子を孕んだりしたら………殺すから」

 

魏ロリ!

 

一刀「ひぃぃいいい!!」

 

流石は武将。流石は親衛隊。纏う殺気の桁が違う。

 

睨まれた一刀は、本気で怯えている。

 

流琉「…まぁ、あなたなんかと金輪際、身体を重ねるつもりは一切ないから構わないけどね」

 

一刀「…マ、マジで?」

 

それは『魏の種馬』にとって拷問なのであろう。一刀は顔を青くする。

 

確かに数こそ困っていないが、それでも愛する女性と愛し合えないというのはつらい。

 

だが……

 

流琉「マジです」

 

キッパリと言い放つ。

 

一刀「は、はは…(これは、夢?夢なら覚めてほしい…)」

 

そんなことを思う一刀だが、これは紛れなく現実だ。────この世界が現実と呼んでいいのかが疑問であるが……。

 

流琉「風を知らないんだったら、用はないわ。それじゃ」

 

そういって、流琉は踵を返す。

 

一刀「ま、待ってくれ!」

 

精神的に大打撃を受けた一刀は必至に声を張り上げる。

 

流琉「………なによ?」

 

またも邪魔をされた流琉は機嫌が悪いらしく、一刀を睨む。

 

一刀「ぐ…」

 

その眼に怯みそうになるが、一刀は諦めない。

 

一刀「な、なぁ。俺のこと本当はどう思っているんだ?正直に答えて欲しいんだけど…」

 

聞きたいのであろう、本心を。

 

────それに対し流琉は。

 

流琉「…………最悪。迷惑。不愉快。うっとうしい。見たくもない。不快。嫌い。最低。ムカつく。吐き気がする。気持ち悪い。イライラする。目障り。消えてもらいたい。腹立たしい。死んでもらいたい……こんな感じでいい?それともまだ続ける?」

 

思いつく限りの嫌悪の感情だった。

 

一刀「…いや、いい、です。もう、やめて、ください……すいませんでした………」

 

そして彼は瀕死だった。

 

流琉「そう」

 

そう一言だけ告げて、彼女は部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋にいるのは一刀だけになった………

 

 

一刀「ふふ……ははは………」

 

突然、一刀は笑い始めた。

 

一刀「…………ははははは!……………あーはっはっはっはっはっはっはっはっは!」

 

壊れてしまった。

 

────現実に絶望した所為で。

 

一刀「あははははははははははははははははははははははは!」

 

 

 

この後の一刀がどうなったのか。

 

 

 

 

 

────まだ、わからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだだ!まだ、終わらんよ!………多分なぁ!

 

~あとがき~

 

どうも、消防車に轢かれて1年経ったつよしです。

 

 

説明的な部分が長すぎました。……ごめんなさい。

 

あと、宇宙人の話いりませんね。(けど、消しませんでした)

 

結構急いで書いたので、誤字や矛盾、怪しい所があると思います。

 

その時は報告願います。

 

 

 

 

 

ていうか、ここで終わってもいいですよね?

 

 

 

 

 

 

でわでわ~(……ぐぅ)


 
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