韓浩「隊長。自重」
一刀「……は?」
入ってきた二人の女性を見ていたら韓浩になんだか諌められた。
…いきなり何?
韓浩「隊長。貴方様の二つ名、そして功績は伝説となっており、自分も尊敬しております。そして、その二つ名を持つ隊長が、綺麗な女性を見つけられたら反応するのも、仕方のないことだと思っております。しかし、今は……」
一刀「……ちょい待ち。あ、あのさぁ、な、何を言っているのかな?」
こいつ、まさか……。
韓浩「ですから。『魏の種馬』と呼ばれる貴方様の数々の武勇伝は聞き及んでおります。ですので、このお二人に隊長の触角が反応されたのですよね、分かります」
一刀「……………」
…触覚?
韓浩「しかし、今は天和殿たちを救出、並びに民の避難が最優先。ですから自重しt……痛い痛い痛いです、隊長。なんで耳を引っぱ…って、マジで痛いです!痛いですってば!」
一刀「これか?この耳か?その武勇伝とやらを聞いた耳は。ん!?この頭か?あん?勝手に勘違いした頭は?…んでもってこの口か?言いたい放題な口は?なぁ?」
韓浩の耳を引っ張って、次に頭を掴んで何度も前後左右に揺らし、最後に下唇を指で引き伸ばす。
韓浩「ひや、ほんほ勘弁してくらはい!ほんひでひたいです!(いや、ほんと勘弁してください!本気で痛いです!)」
…あ、泣いてる。もっと引っ張ろう。
一刀「じゃあ、訂正するか?なあ?する?しない?どうすんの?」
韓浩「ひまふ!ひまふ!ていへいひまふ!ひゅいまへんへひひゃ!(します!します!訂正します!すいませんでした!)」
一刀「…よーし、いいだろう。次言ったら、もっとひどいことしてあげるよ。」
そう言って、下唇から指を離す。
…なんだか、もっとやりたい気もするけど、まぁいっか。
韓浩「…唇伸びてますよぉ。…これ、戻るかなあ」
自分の唇も見ながら、呟く韓浩。
…もっかい、伸ばそうかな。
一刀「…いや、戻るだろう…。それよりもだ。あの2人を見てみろ」
そう言って、2人に目を向ける。
文醜「…………うわぁ」
顔良「…………文ちゃん」
視線の先には、ドン引きの文醜に、おびえ気味で文醜の服の裾を掴む顔良がいる。
そう、あの袁家の二枚看板。文醜に顔良だ。
馬鹿なのにカワイイ春蘭、「アホの子」と違い、お馬鹿の袁紹の下にいた、苦労人の文醜。
そして、文醜もちょっと「アホの子」なので、袁紹と文醜、2人の手綱を取って、大陸屈指の苦労人の顔良。
なぜか、この2人がここにいる。
なんで?
韓浩「………………引いてますね(これって今の隊長に引いてたのでは?)」
一刀「……?…だろ?反省してくれよ?」
なんとなく気になる表情だったけど、スルーの方向でいくか。
韓浩「…はい。申し訳ありません。それで、あの、反省してますから、手の準備をするのをやめてもらえませんか…」
ばれたか。
一刀「…ふぅ。まあいい。そこの2人も本気にしないでくれるか?まぁ、冗談みたいなものだからさ」
韓浩「(いえ、本気だったのですが…)」
一刀「…なんか言った?(ニコッ)」
韓浩「い、いえ!何も!」
文醜「…ホントに冗談だろうなぁ。アタイの斗詩に手ぇ出したらぶっ飛ばすかんな」
顔良「ち、ちょっと、文ちゃぁん。何してるの!」
文醜が俺を睨みながら顔良を自分の胸に抱き寄せる。
そしてその行為に、そこまで嫌悪感を出していない顔良。
一刀「……………………」
……この世界、百合多すぎないですか!?
韓浩「…なぜ、拝んでいるのですか?」
一刀「……はっ!」
いかん、いかん。眼福だったもんで、つい。
…とにかく、話を戻さないとな。
一刀「んんっ!…久しぶりだな。文醜、顔良」
まずは咳払いして、百合百合ってる2人に話しかける。
文醜「…?誰だ?兄ちゃん?」
顔良「…文ちゃん、今のって、軟派の決まり文句だよ」
文醜「なんだとぉ!あたいの斗詩に──」
一刀「…それはもういいから。…あのさぁ本気で覚えてないか?」
ていうか、俺は軟派野郎に見えるのか!?節操無しか!?リア充なのか!?
文醜「??????」
文醜め、本気で分かってないな。……そんなに存在感ないか?
顔良「……………あ。……もしかして、北郷さん?ですか?」
一刀「おおっ!覚えててくれたんだ!」
名前が疑問形なのが若干気になったが、まあいいだろう。
文醜「………………ああ!曹操んトコにいた北郷の兄ちゃんか!久しぶりじゃん!」
一刀「思い出してくれたのか!よかった…」
文醜「あはは、ゴメン、ゴメン。なんか大人っぽくなってるからさ」
一刀「……ああ」
そういや、反董卓連合から6年ぐらいか。ちょっと老けてしまったかな?
一刀「いや、これだけの年月が経ってれば少しは変わるさ。……けど、2人は変わらないな」
あんまり変わったとは思えないな。
文醜「お、そうか?なあ、斗詩。そうかな?」
顔良「んー、どうだろうね。自分たちじゃよく分からないよね?」
そんなもんかな?けど…
一刀「いや、変わってないよ。2人ともあの頃のままで可愛いと思う」
韓浩「……ですから、隊長、じty…なんでもありません!」
一刀「……なにか言ったかな?」
韓浩「い、いえ!なんでもありません!」
一刀「…ふぅ。まあ、いいけどさ…」
なんだ?
まぁ、いいか。そんなことより、まずは文醜達と話さないとな。
そして、一刀が韓浩から目を離した隙に、韓浩は他の将へ目で訴える。
韓浩「(今のは俺が間違ってたのか!?違うよな!?間違ってないよな!?)」
言葉は発していない。
将達「「「(コクコクコク)」」」
だが、将達には通じた。
────韓浩、君は泣いていい。
そして、そんな韓浩たちに気づかず一刀は話を続けようとしている。
文醜「………………」
顔良「………………」
2人に向き直ると、彼女たちの頬がほんのり紅く染まっている。
一刀「…なんで、ちょっと顔が赤いの?具合悪いのか?」
韓浩「(いやいやいやいや、隊長の言葉がド直球だからでしょうが!魏の種馬としての能力を遺憾無く発揮してるからでしょうが!なぁ!?)」
将達「「「(コクコクコク)」」」
……そして、なんだか韓浩たちはアイコンタクトしてるし……。
なに、この空気。
一刀「……みんな、どうした?」
韓浩「問題ありません!」
将達「同じく!」
文醜「あ、あたいらも、なぁ?」
顔良「う、うん……」
一刀「………まぁ、いいよ。………じゃあ改めて、久しぶりだな、文醜、顔良」
なんか、さっきから「まぁ、いい」を連発してる気がする………まぁ、いいけど。
顔良「はい、お久しぶりです」
文醜「おう」
今度は普通に返事をしてくれる。…やっぱ、こういうのがいいよな、うん。
まぁ、そんなことより続きだ、続き。
一刀「挨拶も済んだところで聞きたいんだけどさ………いいかな?」
顔良「なんですか?」
ちょっと小首を傾げながら聞き返す顔良。……………かわいいな。
一刀「えっと、なんで、ここにいるの?」
顔良「その、天和さんたちに雇われてるんですよ…」
一刀「雇われてる?」
顔良「はい。会場の設営とか、入場者の整理とか…」
文醜「天和たちの使い走りとかなぁー」
ふーん、天和たちのパシリか………………大丈夫なのか?
というか…
一刀「兵がいるじゃん?どういうこと?」
今度は韓浩に聞いてみる。
韓浩「は。先の大戦後、天和殿たちは、魏徴兵ならびに士気高揚といった魏国お抱えの旅芸人ということでしたが、今は『協力者』という身分になっております。普段の興行ならば文醜殿たちの様に雇われた者だけで済むのですが、今回の『大陸全制覇公演』は少々特別で、動員数が多すぎるのです。兵については、泰平記念と重なりまして、曹操様が兵を貸し出しているのです」
一刀「…ふーん。なるほどね」
そういや、大陸に平和が訪れたら、支援を打ち切るとか華琳が言ってたっけ?
……それで、天和たちが攫われてるんじゃ、意味ないな。
一刀「それで、ここにいる訳か…。あれ?袁紹は?」
3人で1セットのイメージがあるんだが……。
文醜「あー、最初は一緒にいたんだけど、麗羽さまはちょっと邪魔だから蜀にいるよ」
顔良「ちょ、ちょっと、文ちゃん!」
一刀「……じゃ、邪魔?」
文醜「おう、姫ってば働いてるとき、文句ばっかりで、行く先々で面倒事を起こすから劉備のおねーちゃんトコにいてもらってるんだよ」
文醜はちょっと苦笑い。
顔良「まぁ、邪魔は言いすぎですけど、麗羽さまは……えっと、仕事を増やすのが得意で、このままでは麗羽さまも倒れてしまうんじゃないかと思って、蜀で休んでいただこうかと…」
顔良も苦笑い。
……顔良よ、それは、邪魔と言ってるのと同じだぞ。
一刀「色々、苦労してるみたいだな。…でも、こちらとしては君らがいてくれて助かったよ」
文&顔「「…どういうこと(ですか)?」」
同時に首をかしげる2人。…………狙ってんのか!?可愛過ぎんぞ!?
一刀「あ、ああ。えっとな、実は────」
ここまでの経緯を2人話す。
文醜「…なるほどなー、でも、なんであたいらがいて助かるんだ?」
顔良「………たぶん、私たちに戦ってほしいということじゃないですか?」
一刀「…理解が早くて助かるよ。前線での指揮、及び士気高揚をやってもらいたい。…勝手なのは分かっているんだが、…ダメかな?」
正直2人がいないと考えた策は機能しない。…いや、するかもしれないが、成功率は低くなる。
他の策を思いつかない今、この2人に協力してもらわないのはキツい……
ちょっと間があったので正直ムリかと思っていたら……。
文醜「あたいはいいぜ」
顔良「私も構いません」
一刀「え…いいのか!?」
断れるかと思っていたんだけど…。結構あっさりだな。
文醜「一応、天和たちに恩があるし、最近暴れてないからな」
顔良「私は、暴れて、とかはないですけど、放っておけないですし…」
一刀「助かる!」
これで何とかなる……かも?
一刀「よし、早速だけど、伝令を!」
韓浩「は!内容はなんでしょう?」
一刀「─の──を────ように伝えてくれ」
韓浩「は?な、なぜですか?」
韓浩が驚く。他の皆も同様に。
まぁ、当然なんだが…
一刀「訳は今から話す。それよりも速く伝令を!」
韓浩「は、はい!誰かある!」
兵「は!」
韓浩が指示を伝令へ飛ばす。その兵も困惑しているようだが、気にせず地図を広げる。
まずはしっかりとこの場を理解しないとな…。
韓浩「伝えました。これでよろしいでしょうか」
一刀「ああ、助かる。皆、今から俺が考えた策を聞いてくれ」
そして、考えた策を地図を使いながら解説する。
話し終えると、まず文醜が口を開いた。
文醜「にいちゃん、結構えげつないな…」
一刀「う……まぁ、な。正直、このやり方は嫌いなんだがな……けど、そうも言ってられない…。一刻も早く、天和たちを救わなきゃならないし、もちろん民も…」
もっと時間があればいい策が出てくるかもしれない。
けど、もう時間がない。
一刀「この策は賭けだと思う。……それでも乗ってくれるか?」
文醜「いいねぇ、博打!戦はこうでないとな!」
顔良「もう、文ちゃんたらぁ。……でも、そんなに悪くない策だと思いますよ。」
韓浩「そうですね、現状では最良かと…」
将達「同じく」
おお、なんとかなるかも…
一刀「…皆、ありがとう。早速準備に入ってくれ!」
皆「「「は!(はい!)(おう!)」」」
そして一斉に天幕を出た。
天幕を出て、俺は韓浩と共に戦の準備に取り掛かっていた。
韓浩「隊長、武器はどうしましょう」
武器か…
一刀「普通の剣で構わない。俺は後方で指示を出さなきゃならなないしな……大太刀的なものがあればいいんだかな…」
今の時代にはないからな……って、え!?
一刀「なんでそんな刀があるの!?」
韓浩「そんなって……ああ、青龍刀の事ですか?」
一刀「…青龍刀って関羽の?」
韓浩「あれは、『青龍偃月刀』です」
一刀「ああ、そっか、って違うよ!なんでこの時代にこれがある!」
実際は青龍偃月刀もだけどね!
韓浩「…この時代?よく分かりませんが、これは私の作ったものですよ?」
一刀「…作った?」
韓浩「はい、私、李典様が部長を務めている技術開発部で副部長をやっているものでして、そのついでと言いますか…」
そんなの出来たのか…。まぁ、真桜がいるんなら納得できるかも…。
一刀「てか、真桜についていけるのがすごいな…」
韓浩「いえ、元々町で廃物利用の店をやっておりましたので。なんとかなりました。」
一刀「へー、ジャンク屋ってことか」
韓浩「じゃんくや?」
一刀「ああ、俺がいた世界ではそういう風にいうんだよ」
韓浩「なるほど、いい名ですね。妹に言って店の名前を変えてみようかな……」
一刀「……まぁ、いいんじゃないかな?…それよりさ、それ貸して…あ、そっか君の武器か、悪い」
韓浩「あ、いえ。構いませんよ。まだ、武器はありますし」
一刀「え、ホント?いいのか?」
結構いい刀だし、無かったら苦労するんじゃないのか?
韓浩「いえ、大丈夫ですよ」
そう言って、分厚い鎧をつけて、武器を装着する韓浩。
まずは、槍…
次に、太刀…
大剣…
小刀…
籠手…
弩…
弓…
盾…
戟…
…って、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!
一刀「武器多すぎだろ!?」
まだ、もうちょっとあるよ!?
韓浩「そうですか?」
一刀「そうだよ!?」
自覚なしか!?
韓浩「確かに始めの頃はそう言われてましたが…最近は何も言われませんよ?」
慣れって怖いな!?
韓浩「それに、三国でも私の名は有名になってきてますし」
一刀「そりゃ、これだけつけてればねぇ…」
韓浩「はい、完全武装韓浩といえば、軍に在籍するならば知らぬ者はおらぬくらいですね!」
ちょっと胸を張る韓浩。
一刀「……フルアーマー?」
韓浩「ふる…?完全武装ですよ?」
一刀「…あ、ああ、そ、そうか、か、完全武装な…」
妹の名前が気になってきたな………性的な意味じゃないぞ!
韓浩「準備が整いました。隊長もどうぞ」
一刀「あ、ああ。ありがとう」
韓浩から青龍刀を受け取る。
……気にしても無駄だな。………………突っ込みも疲れたし…。
一刀「じゃあ、行こうか」
韓浩「は!」
────────戦が、始まる。
続く!
韓浩「頭に大砲つけてみたいんですよねー」
一刀「知らんわ!」
~あとがき~
どうも、つよしです。
とうとう、帰ってきましたよ。長かった、長かったです。
…それなのに、また戦に行かずという、これまたなんとも…。
次は戦ですけどね。
今回もギャグ少なめで。てか、ネタ切れ気味です。
……どうしよう。
ちなみに袁紹を書いていないのは、嫌いだからじゃない。
…書きにくいからです。
…すいません。
でわでわ~
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お久しぶりです。
帰ってきましたよ。
…覚えてるのかな?
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