久しぶりにラウンジでコメントをしてみようと思いまして拝読させていただきました。この作品についてどのくらい自己分析されているのかわかりませんので的外れなお答えになるかもしれませんがどうぞご容赦ください。オリジナル・二次創作如何にかかわらず、物語を読んだあとの個人的な感想として聞き耳を立てて頂ければ幸いです。

　総合的に作品を見て寝起きから登校シーンのお話にしては描写が少なすぎで人物が多すぎです。セリフが一辺倒で端的なものばかり。それぞれ個性が薄く個々の人物説明もないのでどのキャラクターも姿がイメージできず同じに見えます。同じように主人公の感情が描かれてないので感情移入ができず親近感も湧きませんでした。主観か客観か視点が定まっておらず展開に緩急もなくオチがわかりません。この作品が仮に本編の冒頭部分だとしても、自分なら読み続けるのを躊躇うでしょう。

　沢山の登場人物が出演してかなり賑わっているようですが、果たして彼らにどんな効果を持たせて登場させたのでしょう？　彼らのセリフにはどんな意味があったのでしょう？　何の脈略もなく、書き手の都合で登場・発言しているようにしか感じられず、キャラクターの存在価値を疑いました。内輪だけで盛り上がる創作SSであっても、これでは作品としてはかなり残念な形としか言い様がありません。それぞれのキャラの役割をきちんと決めた上でお話の進行上必要だと思われる登場をさせなければ、彼らは村人A通行人Bより格下になってしまいます。また、キャッチボールのできないセリフは会話ではありません。会話はそのキャラの口調ではなくて、誰とどんな内容をどんな意図で話すのかが重要であって、ああ言えばこう切り返す、そんなやりとりがあって初めてそのキャラの個性が生きると思いませんか？　加えて、物語の進行上必要ない擬音や掛け声セリフは極力削除するべきだと思いますよ。
　場当たり的なシーン展開していますが、彼らはどんな場所でどのような素振りで何をしているのでしょう？　彼らの容姿や一挙一動はそれほど関心はいらない、どうでも良い、もしくは必要ないのでしょうか？　例えば、主人公が毎日目を覚ます場所はどこでどんな場所なのか、状況を書くことでイメージがだいぶ違うと思いませんか？　キャラクターについても、椎名京は薄着のナイスバディな幼馴染としかありません。背丈、髪の毛、肌色、声のトーンなど、加えるだけで全くイメージの違うキャラクターになります。せっかくの女性キャラなのに身嗜み仕草について記述もされていなければ関心すら寄せる価値がないキャラだと思われてしまうでしょう。わかっている、知っているから書かないではなく、わかっているからこそ何度でも書いて読み手にイメージしてもらうことが大切です。
　主人公は朝目覚めてみんなで登校するまでに何を見て何を感じて何を思い何をした結果どうなったのでしょう？　そして、この作品は何を言いたかったのでしょうか？　注目して欲しかったポイントはどこでしょうか？　朝起きて目の前に少女がいておかしな言動をしているのに、一行セリフで終わるほどの感情しか抱かないのですか？　その後のシーンでもいくつも端的な感情をたった一文一言で表せる程度しか感じなかったのでしょうか？　その思いに至った経緯が何も書かれてなくては人物の心情を読み取ることはできません。どのように感じたか、感じているか、主観でも客観でも、何かしら書かれていなければこのキャラで作品を書いた意味が無くなってしまいます。
　本文を要約すると、俺は朝起きて学校に登校した、だけで、登場するキャラも起きた出来事も殆ど重要ではないように感じます。朝の様子を書きたかったのでしょうか？　それともドタバタを書きたかったのでしょうか？　どちらも主人公が自ら能動的に行動していないので主軸にはなりません。物語の方向性を担うテーマや目的が見えない以上これらは単なる出来事の羅列に過ぎずそこには感慨も湧きません。登校する間にドラマを持たせたいのなら何かしら自発的なアクションがあるべきですよね。
　
　きっとバケネコさんの頭の中では本文ような内容でもっと楽しく面白おかしい情景が展開されていることだと思いますが、残念ながらそれを文章に表して頂かないと読み手には伝わりません。説明するのは面倒で大変ですが、何も書かれていなければそれはどうでもいいこと、関係ないこと、存在しなかったことや起きなかったことになってしまいます。一度書き上げたらそれで完成ではなく、時間を置いて何度も読み直して、本当にこれで楽しく読めるのか確認してみましょう。推敲することで今まで見えていなかった部分が発見できると思いますよ。
　今後、沢山のキャラを生き生きと描かれることを期待しています。頑張ってください。