敵兵に大損害と言えるほどの被害は出ていない・・・良い所が中破程度だろう
敵の左翼部隊は壊滅しなかった、それが全てだ。
動きの鈍った敵左翼部隊を睨み付けながら、幽は魔的な笑みを浮かべる。
新参者の麗にしちゃ、がんばった方だ・・・
三夏の一人、智勇の剛弓・夏侯妙才の部隊を中破・・・将同志は痛み分けといったところだろう、陽隊に追撃がかかっていないところを見ると、麗もくたばっては居ないようだ。
陽隊の先頭で血霧が巻き上がっているのを見て、笑みが深まる。
勝手にくたばっていたら、生き返らして殺してやるところだったが、ちょっとは『魔王』様の配下らしくなってきた、と言うところだろう。
本来であるならば、幽が夏侯淵、麗が三羽烏に当たるべきである、戦い方を見てもその組み合わせが正しい。
しかし、一影の下した命は真逆。
つまりは・・・
勝つのは当たり前、どんな相手にでも勝てるように、経験を積ませた
実戦練習をさせたのだ、兵と将の甘えと油断、常識という贅肉を落とすために。
それで敗れたり、死んだりするようならば・・・死んでしまえと。
死線を潜り抜けた先にしか、激的な成長などありはしない、楽に勝てる相手との戦闘など、ただの一方的な殺戮。
殺し合いをして来い、そういっているのだ、と幽は気がついている。
故に、今幽は機嫌が悪い・・・
なぜなら・・・三人と同時に戦うつもりが、三人居る将の内、自分に向かってきているのがたった一人であったのだから。
「ション便くさい二線級の小娘が、一人で『魔王の片腕』にケンカ売って・・・
残りの二人は、眼鏡が葬式の喪主で、デカ乳が愛しの隊長の夜伽係か。
かかってきな、みそっかす・・・一番いらないアンタから順に三人くびり殺してやる」
楽の旗を掲げた相手に向かい、大声で怒鳴りつけ。
まるで一影のように肩に方天画戟を乗せ、小ばかにしたように、手のひらを上にして伸ばした左手人差し指をクイクイと曲げてみせる。
挑発、と言う物は・・・
愚直なまでにまっすぐな相手には、まっすぐな分だけ効果がある。
幽は、相手の動きから凪の性格分析をすでに終えていた・・・
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GW特別企画、午後の便
どなたか一人でも面白いと思っていただけたら僥倖です
追伸、イラストレーターの方が幽のイラストを描いてくれましたー
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