No.446137

【勝手に】真・恋姫†妄想 もしもあの三人が義姉妹だったら?【続き】#9

一郎太さん

という訳で、#9。
反北郷連合・最終回。

どぞ。

2012-07-05 00:21:05 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:7081   閲覧ユーザー数:5268

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えばの三姉妹。#9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の胸で涙を流し続ける妹。そのつぶらな瞳は真っ赤になり、声も枯れかけている。幼い身体を抱き締めながら、俺は自問する。

 

 

 

誰が妹を泣かせた?

 

 

 

俺は自答する。

 

 

 

決っている、奴らだ。

 

 

 

愛する妹をここまで傷つけた奴らを、俺は許せるのか?

 

 

 

否。絶対に許すことなど出来ない。

 

 

 

俺は叫んだ。

 

 

 

「貴様ら……許さんぞぉぉおおおおおおおおっ!!」

 

俺の叫び声と共に、汜水関の扉が音を立てて開く。そこから飛び出すは、七つの影。

 

「許さないわよ、袁紹!」

 

桃色の髪を翻らせて、細身の剣を振り抜き。

 

「苦しまずに死なせてあげる」

 

陽光に黄金色の髪を煌めかせ、大鎌を振りおろし。

 

「我らが妹を泣かせる奴は、今ここで殺してやる!」

 

対照的に銀色の髪を鈍色に光らせ、巨斧を繰り出し。

 

「幼女を悲しませるものは万死に値する!」

 

細く縛った碧い髪を一筋棚引かせながら、直槍を突き出し。

 

「なんや、人のネタを馬鹿にする奴は許せんわ」

 

神速を以って、偃月刀で斬りかかり。

 

「えと、その…許せません!」

 

大きな袖を舞わせ、暗器を投げつけ。

 

「んと…恋の、出番をとった……」

 

物々しい戟を一閃させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

「「「「「「総大将、討ち取ったり!!!!!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦は、ここに幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

――――洛陽。

 

20万という大軍に勝利した俺達は、洛陽へと帰還した。捕虜となった袁紹に加え、曹嵩・馬騰や蓮華・美羽・白蓮なども、各軍の責任者という事でこの玉座の間に召集されている。

 

「――――それではこれより、大罪人・袁紹をはじめ、連合に参じた者たちの処罰を決定する」

 

厳かな空間に響くのは、俺の声。玉座の間には空が座り、彼女と向かい合うように、諸侯が一列に並び、膝をついている。

 

「ですが、その前に。各々、申し開きがあるかと思います。それが帝のおわす洛陽に剣を向けた理由足り得るのならば、処罰にいくらかの影響を与える事となるでしょう」

 

空を挟んで俺の反対側に立つ月も補足をする。

 

「それではまず、馬騰」

「あぁ」

 

俺はまず、年功序列として馬騰を指名した。返事を返したのは、栗色の髪を後頭部でひとつに縛った妙齢の女性。翠をさらに色っぽくした感じだった。というかやけにフランクだな。宮廷でそれはいいのか?

 

「どうもこうもないよ。袁紹から檄文が届いたと思ったら、その集合日はすぐだってんだから。アンタらも知ってる通り、西涼は大陸の端だ。事の真偽を確かめる時間もなかったんでね。それならばと、連合の眼を盗んで洛陽まで馬を飛ばそうと思ってたのさ」

「……だ、そうですが。如何いたしますか、劉協様」

「うむ、許す!」

「っし!」

 

馬騰、無罪。

 

 

 

 

 

 

「では次に、曹嵩」

 

次に声を掛けたのは、同じ理由により陳留の曹嵩。華琳と同じ髪質を持っているが、まっすぐに伸ばしたその髪はさらさらとしていて、手入れが行き届いている事がわかる。

 

「えぇ。私たちの領土は袁紹の治める冀州のすぐ近くにあります。そして戦力差は私たちが3万、袁紹が8万。従わなければ討ち滅ぼすとまで脅されては、民の命を預かる者としてどうしようもありませんでした。

 

理由としては微妙だな。というか麗羽がそんな脅しをやるようには思えないけどな。性格とかじゃなくて知能的な意味で。

 

「……だ、そうですが。如何いたしますか、劉協様」

「…………ひとつだけ、条件がある」

 

月に問われた空は、ゆっくりと口を開いた。

 

「なんでしょう?」

「うむ。そちの髪は艶やかで美しい。その手入れの方法を教えれば、許してやろう」

「あらあら。劉協様もやはり女の子なのですね。喜んでお教え致しましょう」

「うむ!」

 

曹嵩、条件付き無罪。

 

「ねぇ、華琳。曹嵩って貴女に似てるけど、親類か何か?」

「さぁ?私の母はとうに亡くなっているわ。偶然でしょ」

 

華琳たちの小声が聞こえてきた。それは俺も気になっていた事だが――――

 

「それよりも孫権と雪蓮姉様の方が似てるわよ?」

「そうかしら」

「えぇ。妹?」

「知らないわよ。それに孫家は親の代から江東を治めてるのよ。仮に私もその家系なら、向こうに居ないのはおかしいわ」

「あら、捨てられた訳ではないのね」

「何よ。孫権と私の方が姉妹っぽいからってヤキモチでも妬いてるの?」

「違うわよっ!」

 

――――そういう設定なのか。

 

 

 

 

 

 

「では次に、袁術」

 

さて、どうしようかな。

 

「その、妾は――――」

「同じ袁家として、従姉の袁紹を御しきれなかった罪は重い」

「ちょ――――」

 

言葉を挟ませないぜ?

 

「よって、お前には罰を与える」

「あんまりなのじゃ!」

 

袁術・有罪?

 

 

 

 

 

 

「次に、孫権」

「はっ」

 

この頃は髪は長いままなんだな。どっちも好きだけど。というか下乳に目が行ってが仕方がない。

 

「申し開きはあるか」

「はっ。我々孫家は代々江東の地を治めて参りました。しかしながら、我が母孫堅が没した際、袁術に領地を奪われ、いまは袁術の客将という扱いです。我らも土地の民を守る為、致し方なく連合に馳せ参じた次第にあります」

 

まぁ、そうくるよな。

 

「……だ、そうですが。如何いたしますか、劉協様」

「うむ。真面目で凛々しい姿がかっこいいから許すのじゃ」

 

蓮華、無罪。

 

 

 

 

 

 

「では最後に、公孫賛」

「はっ。我々は――――」

「くぁ……」

 

白蓮が喋ろうとしたところで、隣から可愛らしい欠伸の声が聞こえてきた。

 

「空、眠たいのか?」

「う、うむ……」

「仕方がないなぁ」

 

俺は公孫賛に向き直る。

 

「劉協陛下がお昼寝の時間なので、申し開きについては此処までとする」

「えっ――――」

「では、これより、ちょっぱやで各々処罰を言い渡す」

 

眠たい娘には勝てないのだ。

 

 

 

 

 

 

肘掛に上体を乗せた空が俺の腕にもたれ掛る。半分眼が閉じていた。急がないと。

 

「心して聞け。馬騰、無罪。曹嵩、陛下に髪の手入れの方法を教える事。袁術、有罪。領土を没収。しかしながら、袁紹に処罰を与えた場合、冀州を治める者がいなくなる。よって、冀州を新たな領土とし、さらに袁紹の面倒を見る事。孫権、無罪。だが、袁術に虐げられていたという過去を鑑み、南陽をはじめ、江東の地を治める事とする。公孫賛……えっと……あれだ、思いつかないから無罪!」

 

こんなもんでいいいか。

 

「ま、あたしは西涼の地だけで十分さ。領土がこれ以上広がったら面倒を見るのも大変だ」

「そうですね。私も馬鹿の袁紹よりは同じ馬鹿でも読みやすい袁術の方が相手をしやすいですし」

「麗羽姉様のところは寒いし蜂蜜がないから嫌なのじゃ……」

「母様…我らの土地を取り戻しました……」

「…………ま、無罪だからいっか」

 

みな、喜んでいるようだ。蓮華に関しては、こうしとけば冥琳と喧嘩する事もないだろ。

 

「最後に袁紹よ。貴様の罪は他の者と比ぶるべくもなく重い。よって、資産およびすべての地位を没収。しかしながら貴様のような愚か者を野に放つ事もまた、民の不安の種となる。ゆえに、これより袁術の小間使いとして生きるがよい」

「姉様が来るのかやっ!?嫌なのじゃぁ……」

 

まぁ、この2人が喧嘩してれば幽州や陳留に攻める暇もなくなるだろうし、七乃も変な考えを起こす事もないだろう。

 

こうして、1人の死者を出す事もなく、戦は終わったのだった。

 

「兄上、もう眠いのじゃ……」

「はいはい。空は頑張ったからな。部屋まで送ってあげるよ」

「一緒に寝るのじゃ…」

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、#9。

 

 

出会い→太守就任→黄巾党編→……えっ?→ねねたん頑張れ→帝一世一代のギャグ→連合戦・終了(今ココ)→最終回

 

 

絶対に長引かせない。絶対にだ!…………って、え?

 

 

 

 

 


 
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