No.442738

【勝手に】真・恋姫†妄想 もしもあの三人が義姉妹だったら?【続き】#3

一郎太さん

という訳で、ド短期連載3話目。
その割にはあんま進んでない……?
どぞ。

2012-06-28 00:25:09 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6538   閲覧ユーザー数:4669

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えばの三姉妹。 #3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街の長老に乞われて太守となり、しばしの時が経過した。雪蓮はその武もあり、街の若者から募った兵を鍛えている。たまにサボって華琳に説教されている事を覗けば、彼女の性格を考えても頑張っている方だと思う。

 

「あぁっ!もう、いい加減にしなさい!」

「だ、だってぇ……」

 

華琳はその智謀を存分に発揮し、城の悪習を徹底的に排除。それに乗じていた文官たちも処分し、残ったわずかな部下達と政務に勤しんでいる。

 

「私だってお姉ちゃん達のお手伝いしたいのにぃ……」

「武も智もない貴女に出来る事は、今はないの!大人しく街の子ども達と遊んできなさい!」

 

俺はといえば、これまでの記憶と経験を活かして華琳と共に政務をこなしている。元譲を考慮しつつこちらの大陸にはない政策を打ち出し、それを実行しては評価・検討し、改善を重ねている。今も、街の治安に関する報告書を読んだばかりだ。

 

「でもでも――――」

 

バダンッ!

 

けたたましい音と共に扉が開かれ、肩を怒らせた華琳とその後を泣きそうな顔で……いや、涙を流しながら桃香が入ってきた。

 

「……どうしたんだ?この部屋まで聞こえてたぞ」

「どうもこうもないわよ!」

 

華琳の手に竹簡の類が何も持たれていないところを見ると、どうやら要件はひとつらしい。その小さな肩にしがみついて引き摺られている末妹の事だろう。

 

「桃香も何か仕事をしたいって言ってるの。この娘にはまだ早いというのに、聞く耳を持とうとしないのだから困ったものだわ」

「だってぇ……」

「……」

 

華琳の性格を考えると単純に桃香の力不足について言っていると思っていたが、姉としての過保護も若干混ざっているらしい。

 

 

 

 

 

 

「貴方からも何か言ってちょうだい」

「華琳の言いたい事はわかるよ。でも、桃香の役に立ちたいと思う気持ちは大事にしてあげないか?」

 

蜀に降りた外史でも、最後の方では桃香だってそれなりの仕事を出来ていた。だが、ここにはそれを教える朱里や雛里といった先生もいない。今は何も出来ないのだ。

 

「なら貴方が大事にしてあげればいいじゃない」

「ご主人様ぁ……」

 

泣きながらも笑顔を浮かべる桃香。この笑顔に弱かったんだよなぁ。

 

「桃香だってみんなの力になりたいんだよな」

「うんっ!」

 

元祖桃園の三姉妹の中でも兄役をしていた俺としても、彼女の気持ちを尊重したい。

 

「でも何をすればいいのか分からないんだよな?」

「うん……」

 

しかしながら、上述の通り、今の桃香には何も出来ない。精々が癒しor萌え要因だ。

 

「じゃぁ、仕事をあげるよ」

「本当っ、ご主人様!」

 

という訳で。

 

「あぁ。そろそろ休憩をしようと思っていたんだ。桃香がお茶を淹れてくれないか?」

「うん、わかった!すぐ準備するから、待っててね!」

 

言うやいなや、とびきりの笑顔を見せて、彼女は部屋を出て行った。

 

「……」

「……ねぇ」

「何も言うな」

「貴方も面倒なのでしょう」

 

その通りだよ、コンチキショウ。

 

 

 

 

 

 

桃香の指導は元凡人(とはいえ、今でもまだまだだけれども)の俺が見る事となった。その話は一旦置いておくとして。

 

「朝廷から黄巾党討伐の令が出たわ」

 

使者からの文に目を通した華琳が俺達に告げる。ようやくか。

 

「首領は張角をはじめとする張三姉妹。あとの2人は張宝、張梁ね」

「ふーん。それで、奴らの場所とかはわかってるの?」

「いや、ただ『張三姉妹を討て』としか書かれていないわ。あぁ、こんなバカみたいな似顔絵もあるけれど」

「ぷっ!何よそれ!」

「うっわぁ……」

 

華琳が見せたのは、天和とは似ても似つかない怪物の絵。雪蓮は笑い、桃香はドン引きだ。可哀相に。

 

「標的の居場所がわからないのだったら意味はないわね。しばらくは情報収集よ」

「でも、敵の首領を討てばそれなりの褒美が出るんじゃないのかなぁ」

「甘いわね、桃香。いまの朝廷にそんなものを出す力などありはしないわ。精々が太守よりも上の地位よ」

 

そりゃそうだ。もしそんな事が出来るなら、そもそも黄巾の乱が起きる事はなかった。

 

「ちなみに、いまの領内の黄巾党については?」

「報告書を読んでないの、一刀?」

「いや、全部目を通しているよ。確認さ」

「それならいいの。雪蓮姉様もこの程度でいいから一刀の勤勉さを見習って欲しいものだわ」

「あー、無理無理。私は実地を大事にする方だから」

 

華琳にひと睨みされ、雪蓮は笑いながら酒を呷る。相変わらずの呑兵衛。

 

「まぁ、姉様のそれは今に始まった事ではないから期待はしていないのだけれど……。うちの領内だけども、今では黄巾の活動はほとんどないわ。そこだけは姉様のおかげね」

「華琳に褒められた!これはもう1本空けるしかないわね!」

「駄目よ。お酒だってまだまだ高いんだから」

「ケチー」

 

そんなコントはいいとして。

 

 

 

 

 

 

「それで、私たちはどうするの、華琳お姉ちゃん?」

「さっきも言ったけれど、情報収集よ。奴らの居場所が絞れてきてから――――」

「冀州だ」

「――――動くしか……って、え?」

 

俺の発言に、華琳が目を丸くする。いつかの外史よりも性格が若干丸くなっているとはいえ、華琳のこんな表情は珍しい。

 

「もともとは青州の出の奴らが多いからな、黄巾党は。それが大陸に広まりはしたが、基本的にはその近辺が活動の範囲の多くを占めるだろう。陳留の曹嵩や長沙の孫権たちは火計で大きな被害を黄巾党に与えている。それを真似た軍も多い。集積地を潰された賊は、物資不足でより大きな集団に次々に合流して大所帯になるとはずだ」

「確かにその報告も入ってはいるけれど……」

「そして、集まった奴らだって学んでいる。物資は火計で燃やされる経験から平地に置かず、城壁に守られたところに置こうとするだろうな。報告を読む限りだと、軍の規模から考えて、先の2人に加え、袁紹、袁術、馬騰、公孫賛あたりなら動いてくれるだろうな。そうしてどこかの廃れた砦にでも追い詰められる。その場所が」

「冀州ってわけね」

「あっ!それ私が言おうとしてたのに!華琳ずるい!」

「早い者勝ちよ、姉様」

「え?え?」

 

雪蓮が頬を膨らませ、華琳は胸を張り、桃香はいまだ分からないと首を傾げる。

 

「それにしてもよくそこまで考えつくわね」

「まぁ、色々と考えたうちで確率が高いってだけなんだけどね」

 

ごめんなさい、知ってるだけです。でもそれを言うと華琳はたぶん嫌がるだろうから、言わないでおくけど。

 

 

 

 

 

 

「それで、私たちはどうするの、華琳お姉ちゃん?」

 

桃香、2回目の問い。

 

「一刀の言った内容をもう一度考え直してみたのだけれど、確かにその流れになると思うわ。先に黄巾党を討って風評の功労も私たちが独り占めしたいところだけれど、数には勝てないわね。よって、諸侯の動きを見て、それに合わせて私たちも軍を動かす事になるでしょうね」

「なんなら私1人でもいいわよ?」

「そんな訳ないだ――――」

 

無謀にも程がある発言に雪蓮を振り向けば、彼女の足下には大徳利がゴロゴロと。

 

「あぁ、酔っぱらってるだけか」

「酔っ払いの戯れ言ね」

「雪蓮お姉ちゃん、お酒くさい……」

「――――www――ww―――wwwww」

 

まぁ、素面ならあんな事は言わないだろ。

 

 

 

 

 

 

「そうそう、華琳。これは黄巾党とは別件なんだけど」

「何かしら?」

 

桃香が酔い潰れた長姉を部屋に引き摺っていく。その間、俺は華琳に声を掛けた。

 

「華琳が育ててる間者がいるだろ?」

「えぇ。まだ他所の城に侵入できるほどではないけれど、情報収集だけなら使えるわよ」

「そうか。頼みたい事があるんだが――――」

 

俺は俺で、色々と動く事としよう。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で#3。

 

出会い→太守就任→黄巾党前編(今ココ)

 

絶対に長引かせない。絶対にだ!

 

 

ではまた次回。

 

バイバイ。

 

 

 


 
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