出血を止めた足がうっすらを光を纏い始める。
それより驚いたのが、あそこまで視界が狭まっていたのに、一瞬で目を覚ましたような冷静な目を向けてくることだ。
「・・・貴様の言葉にもう惑わされない、私は自分を信じる覚悟を決めた」
・・・へぇちっとはましな面になった
なにやらやりたそうだったので、服の土埃を叩いて落としていたアタシは、軽く肩をまわしながら三つ編み娘を観察する。
此方の攻撃で太ももを半分はぶった切った、途中で硬い感触にはじかれたのは骨じゃなくて手甲だ。
骨は折れても動ける、しかし・・・筋を半分切り裂いた左足は動かない。
出血を止めるのに筋を締めているんだろうが、そんなガチガチに固めた足では、戦闘の動きにはついてこれない。
敵の機動力を奪えば先ず五割の勝機・・・
腰を落とし手から力を抜いている、左足を軸足にしているのは良い判断だ。
・・・そうでなければ、左足を斬り飛ばしてやった所だが。
顔色は悪い、すかさず止めたとはいえアレだけの出血だ、長期戦になれば体力が持たない
・・・そのうえ機動力を失い動けない。
三つ編みの狙いは単純、短期決戦の迎撃しか無い。
「・・・惜しかったな」
・・・せせら笑いが幽の表情から抜ける。
その身が、恐ろしいほどの殺気を身にまとっていく・・・
「お前を小娘ではなく、将と認めてやる。
最初から、アタシを舐めずにそうやっていれば良かったんだ。
お前の敗因は、アタシの強さを舐めたこと
・・・感情に流されても勝てると、冷静になれなかったことだ」
アタシはね、最初っからお前を欠片も舐めてない・・・
使える有効な手段、全部を使って倒しに行っているんだ
だから・・・お前はアタシに勝てないんだよ、三つ編み。
アホみたいに解りやすい狙いを、隠そうともしない・・・
お前は死ぬまで立ちはだかりたいんだろうが
もうお前の持ち時間は終了だ。
真正面からお前の誘いに乗って・・・その心をへし折ってやる。
幽が有り得ないほど、まるで地に張り付くほどに低く凪に向かって一気に間合いを詰める。
左手が振るわれ、鎖のついた五条の鉤爪が最も受けにくい凪の右側から、薙ぎ払うように襲い掛かり
それと同時に、地を蹴って幽の細い肢体が宙を舞い、頭上から方天画戟を振り下ろす。
終わりだ、三つ編み・・・自分を信じるなんて言葉を、後悔しながら血の池に沈めっ
・・・トドメをさしてやる。
Tweet |
|
|
29
|
2
|
追加するフォルダを選択
お正月なので、こっそり