No.207164

『偽・悲恋姫†異聞録』33

Nightさん

被災地の作者様方がup出来ない穴埋めに

2011-03-20 10:39:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3387   閲覧ユーザー数:3112

 アタシは・・・親切で忠告してやったんだ。

 

 だのに、誰も聞きゃーしない・・・汜水関のときもそうだ。

 

「だから、お前はアタシを舐め過ぎだってんだっ、三つ編みっ」

 

 幽の怒鳴り声は・・・

 

 左構えから右構えに変えた凪の・・・

 

 頭上ではなく・・・

 

 右側から聞こえた・・・

 

 同時に、鈍い衝撃が凪の右脇腹を穿ち抜き・・・

 遅れて真紅の液体が脇腹から・・・空間を染めるように派手に噴出す。

 ゴボリとくぐもった音を立て、口からあふれ出した鮮血が足元の地に流れ落ちると

 ・・・まるでそこを隠すように、ゆっくりと力の抜けた凪の膝が静かに地を打つ。

 それを見下ろすように立っていた幽が、ペッと吐き出したのは同じく真紅の液体。

 

 ・・・重いのを二発もらったが、まだ戦える。

 

これが、鈍器と鋭利な刃物の差だよ、三つ編み。

 

 戦場で一番恐いのは出血

 

 お前なら格闘でもできそうだけど・・・いつもは難しいだろ

 

 しゃがみ込み、地面に一本だけ打ち込んだ鉤爪を捻りながら抜き取る。

 全てが最後の一撃のためのに積み上げた罠。

 空中から斬りかかったのは、相手に空中では動けないと思わせる為の、先入観

 心理の盲点をつくための捨て身の罠・・・

 5本の鉤爪を凪に向かわせ、その影で一本地面に打ち込み、頭上から振るった一撃と右からの挟撃と見せかけ・・・

 凪の攻撃が来る寸前に、鎖を引いて凪の右へと移動する。

 

 攻撃が早すぎて、食らうのは計算外だったけどね・・・

 

「・・・一人目、次っ」

 座り込むような姿の凪に聞こえるようにそう告げると、すばやく四方に目線を配る。

 幽は油断しない・・・勝ったと思った瞬間が、もっとも危険だと、嫌に成程に一影に叩き込まれている

 故に・・・構えすら取れない凪にも、隙を見せない。

 凪を将と認めているから・・・決して舐めない

 

 

 

 『魔王の片腕』は一影の最初の命令を、決して忘れることは無い

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
26
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択