唯がクラッシュして数分後。
「じゃあ次は…今河雪歩!さっきも見たとおり3年生に10段は無理だから…」
と、教師が言いかけたところで雪歩が一言。
「待った!」
「え!?」
面食らう教師に、さらに大見得を切る雪歩。
「あ、待った待った待った待った…あ、待ってぇ~、おくんなせぇ~!!」
その様子を見て思わず赤面する和美。
「もう、何やってるのよ雪歩ったら…」
「和美ちゃん顔真っ赤www」
「10段跳びやろうとしてコケた子に言われたくないわよ」
「なーにーをーっ!」
「あ、あの、二人とも落ち着いて…」
言い争う唯と和美をどうにかなだめようとするステラ。
それをよそ目に、雪歩は教師にこんな事を言い出した。
「先生!オレ12段跳びます!!」
「ムチャだ!10段でもやっとだってのに12段なんて!」
「やるといったらやります!でなきゃ気が済まない!!」
「わかった!わかったけど…後悔したって知らんぞ?」
と、教師はしぶしぶ跳び箱を12段にセッティングしていく。
そして、雪歩のチャレンジが始まった!
「あーぁー雪歩ったら、これじゃあ唯ちゃんの二の舞を演じるだけじゃないの…」
「なに考えてんだ雪歩のやつ…」
「頭おかしいんじゃないの…?」
と、冷ややかな目線が突き刺さるのも気にせず、雪歩は身構える。
「いきます!!」
張り詰めた空気を切り裂くように一声。
雪歩は一気に助走をつけ、ロイター板に向かい走り出す。
(リズムとタイミングが肝心なんだ…雪歩、自分のリズムで行け!…今だッ!!)
雪歩は直前まで来たところで大きく脚を伸ばす!!
「ホップ…ステップ……」
ロイター板までの距離はどんどん縮んでゆく!雪歩は両足をそろえて、一段と強く踏み切った!!
「ジャーーーンプッ!!!」
雪歩の身体は、まるでバネのようにしなやかに、それでいて力強く、斜め前方に向かって跳び上がる!
目の前に立ちはだかる12段の跳び箱の最上段へ、加速をつけて跳んでいく雪歩。
その最前部のエッジを叩くように、雪歩の手のひらがしっかりと全体重を支える!
両脚は大きく広がり、美しいフォームが描かれていた…!
「よっ…と!」
前方のマットに両足をそろえての着地。そのポーズはYの字を描くように美しかった。
「…すげえ…跳びやがった雪歩のやつ!」
「3年生であそこまでやるとは!!」
「へへへ…正直不安だったけど、飛べてよかったぜw」
ざわつく生徒の歓声に、赤面する雪歩。
「ぐぬぬぬ…このまま黙って引き下がれるもんですか…あたしだってー!」
「え、ちょっと和美ちゃん!?」
和美は握り拳を作って立ち上がる!
「いい?唯ちゃん!そもそもあたしと雪歩は双子なんだから、雪歩にできることがあたしにできないはずはないのよ!」
と、和美は12段の跳び箱に挑む!
「助走はリズミカルに…ロイター板は両足を揃えて踏み切る!真上ではなく前方に飛び込む感覚d…」
次の瞬間、跳び箱が崩れ、和美は背中から大きく転落した!!
「和美!?おい和美ー!!」
「大変!和美ちゃんってば目を回して気絶してる!!」
「保健室!だれか和美ちゃんを保健室へー!!」
こうして、その日の体育の授業では和美が保健室送りになるという結果に終わったのだった。
幸い、大きな怪我はなかったみたいですけどね。
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いくら双子だからって身体能力まで同じとは限らない。
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ステラ:http://www.tinami.com/view/775552
唯:http://www.tinami.com/view/742179
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