No.776130

【サイバ】続々・女王【交流】

古淵工機さん

2015-05-08 23:02:33 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:614   閲覧ユーザー数:591

雪天小学校・校庭…。

「では今日の体育は走り幅跳びを行う。まずは先生が手本を見せる。よく見ておくように!」

 

助走をつけ、ライン手前で脚をそろえて一気に前方へと飛んでいく体育教師。

「すごーい!」

「先生やっるぅ!」

「踏み切るときに両足をそろえて、跳ぶときに腕をふって加速をつけるんだ。真上に跳ぶのではなく、前方へ跳ぶ感じだぞ」

その説明を受けたあと、ステラが手を上げた。

「どうしたレオーネ?何か質問でも?」

「…あの…わたし、やってみていいですか…?」

「よし、じゃあ一番はレオーネ、やってみなさい」

 

ステラは勢いよく助走をつけ、ラインまで駆け抜けていく!

「両足をそろえて一気に踏み切って…腕を振って前に跳ぶ!!」

 

ステラの身体が宙を舞い、飛距離を伸ばしていく!

 

「すごいぞレオーネ!ここまで飛べた奴は先生見たことないぞ!」

「えへへへ…」

ちょっぴり頬を染めるステラ。だが、それを見ていた三人に闘志の火がついた!!

「よし!じゃあ次はオレな!」

まず飛び出したのは雪歩だった。

「お、二番手は今河雪歩か。じゃあ雪歩!」

「雪歩ちゃんだいじょうぶかしら…」

「大丈夫だって、前回12段の跳び箱を跳んだんだ!」

「ま、せいぜい恥かかないことね~w」

「なんかつっかかるな和美…まあ見てろって!!」

 

そう言うと、リズミカルなステップで駆け出す雪歩。

「今だッ!とうっ!!」

ライン直前で勢いよく踏み切る!そのフォームはまさに、獲物に向かい飛び掛るオオカミそのものだ!!

 

「よっと!」

「レオーネの記録を数ミリ上回ったか…あいかわらず超人級だな」

「ざっとこんなもんよ!」

「…すごいわ、雪歩ちゃん…///」

雪歩の姿を見て、目を潤ませ憧れのまなざしを送るステラ。

「「ぐぬぬぬぬぬ~…」」

そして、対抗心を燃やす唯と和美。

「なぁによっ!あたしだってやってやるわよ!和美いきます!!」

「お、やはり双子だなあ。じゃあ和美。跳んでみろ」

和美も勢いよく助走をつけてラインへと進む!

 

(あたしにだって、あたしにだってアイツと同じ血が流れてるんだから!雪歩、強がってられるのも今のうちよ!!)

だが、その対抗心が注意力を散らしてしまっていることに、和美自身は気がつかなかった。

 

「わるいけど今回はあなたの負けよ雪…わひゃぁっ!?」

なんとバランスを崩して踏み切りに失敗、前のめりに転んでそのまま滑走。

 

「あははははははは!」

「何やってんだよ和美のやつ~!」

「だ、大丈夫和美ちゃん…」

「く、くやし~~~…」

 

「はっはっは、対抗意識を燃やすのは結構だが今のは恥ずかしいぞw和美、戻ってよろしい」

「せ、先生にまで笑われた~!悔しい…。うわ~ん、唯ちゃぁ~~~んっ!!」

「和美ちゃん…仇はきっととるわ…」

唯は、泣きついてきた和美の頭をふた撫ですると、気合を込めて立ち上がり、声も高らかに宣言した!!

「北城唯!いきます!!」

「お、じゃあ北城、やってみなさい」

「はい!」

緊迫した空気が走る…。

 

(落ち着いて…落ち着くのよ唯…!ステラちゃんと雪歩ちゃんには悪いけど、和美ちゃんのためにも、トップはあたしが狙う…!)

「では、始め!!」

教師の合図で、勢いよく助走をつける唯。いつも以上に真剣なまなざし。

加速していく足にも力が入る!

 

(いける…これならいける!落ち着け、落ち着くのよ唯!ラインは両足そろえて踏み切って、腕を振りながら前に跳ぶのよ!!)

ぐっと奥歯を噛みしめ、ラインをしっかりと踏み切る。

唯の身体は大きく前へと飛び出していった!!

「ウソだろ!?唯のやつあんなに飛べるのかよ!?」

自分の記録をあっさり更新され、ショックを受ける雪歩。

「…唯ちゃん…」

心配そうに見守るステラ。

「いけー唯ちゃん!新記録ー!!」

思わず応援してしまう和美。

 

「いける!伸びてる!これならいけるわ!やっぱり体育女王はこのあたし、北城…」

だが、そう簡単に幸運が訪れるはずもなく…。

「「「あ…」」」

 

次の瞬間、和美が、雪歩が、ステラが、いやクラス全員が言葉を失った!

なんと、唯の胸が教師の顔にクリーンヒットしていたのだ!

「きゃぁ!せ、先生大丈夫ですか!?」

「やられた…破壊力抜群すぎる…オレとしたことがこんな女子生徒に…不覚っ…!」

よく見ると教師は鼻血を出している。衝突の衝撃か、はたまた女子小学生の胸が直撃したことに対する興奮からか…。

おそらく出血の量から見て後者だろう…。

 

「あー、だ、男子諸君…これが男の弱点というものだ…よく覚えて…おくように…ガクッ」

「せ、先生ーーーーーー!?ワケわかんないこといいながら気絶しないでーーーー!!!」

唯の悲鳴がこだました。

「ちくしょう!うらやましいぜ先生!」

「くそーっ!今のがオレだったら!!」

と、悔しさのあまり地団太を踏む男子生徒。

そして、あまりの衝撃的な出来事に、和美とステラは言葉も出ず、ただ赤面して立ち尽くすだけであった。

そんな中。

(先生……その生き様、間違いなく男だったぜ…アンタ最高だッ!!)

と、涙ながらに一人の男性教師の戦いざまを賞讃する雪歩であった。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択