No.741782

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズ・クリード~番外編 サイドアームズ

okakaさん

中編です。リアル事情で更新が遅くなってすみません。

2014-12-06 08:17:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:560   閲覧ユーザー数:463

番外編【サイドアームズ】1 ~獅子と聖剣~ 中編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――「確かにこれはKMFじゃないと危険だなぁ・・・」

 

 

要塞内部に単機で突入したディアは内部構造を確認してokakaの意図を理解した。

要塞内部通路は高さ、幅共に30m程しかなく、20m近いネクストやPT、バルキリーでは回避行動が著しく制限される。だがたとえ大型機であっても10mもないKMFならば、機動性を十二分に発揮できる。

更に言うならば、散弾などの【面制圧】に対して【ブレイズ・ルミナス】などの有効な防御手段を持つレオは正しくうってつけと言える機体だったのだ。

 

 

「えっと・・・中枢部分はっと・・・エネルギーと通信網が集中してるこの部分かな?」

 

 

ディアはレオに搭載された【ファクトスフィア】を展開。機体胸部の一部がせり上がり、露出した高感度センサーの集合体が要塞内部を素早く精査、その情報を元にディアは要塞の中枢部分を探り当てた。

 

 

「よし、それじゃあ・・・っ!!」

 

 

目的地を確認したディア。だが、突然の警報にとっさに左腕のブレイズ・ルミナスを展開、その瞬間に多数の小口径弾がレオに浴びせられた。

ブレイズ・ルミナスで一斉射をしのいだディアが前方モニターを確認すると、そこには人間大の人型兵器群と、それを運搬してきたと思われる大型装甲車両、そしてそれよりも少しだけ大型で丸みを帯びた上部、前屈脚と後方から伸びる補助輪がトカゲか龍を思わせる兵器が6機、こちらに向けて武装を構えていた。

 

 

「あれがバイオロイド・・・あとは装甲車両が2、その後方に・・・っ!あれは鋼髏(ガン・ルゥ)!?KMFまであるなんて!」

 

 

そのトカゲのようなKMF【鋼髏】が展開したキャノン砲を一斉にこちらに向けた。

 

 

「げっ!!」

 

 

とっさにディアが右腕のブレイズ・ルミナスを展開、そのままレオの両腕をクロスさせた瞬間、先程よりも濃密な弾幕が襲いかかってきた。

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉマズいマズい!これは流石に無理があるって!」

 

 

鋼髏の機銃とキャノン砲、装甲車の車載機銃、そしてバイオロイドの携行火器が一斉にレオに浴びせられ、ディアは身動きが取れなくなってしまった。小銃弾や拳銃弾などの小型火器はレオの装甲でも充分すぎるほど防御可能だ。

だが、車載機銃と鋼髏の機銃、そして何よりキャノン砲が厄介過ぎた。鋼髏は元々火力と数で敵を追い込むことを前提としたKMF、そのキャノン砲が一発でもクリーンヒットすれば、装甲車に毛が生えた程度の装甲のKMFでは一溜まりもない。そしてそれはランスロット・レオも例外ではない。

排莢された薬莢を見る限り、機銃も対人用とはいえ装甲車にも充分対応できる口径と火薬量、ブレイズ・ルミナスで防御しながら相手を観察して持久戦は危険だと判断したディアは一気に勝負をかけることにした。

 

 

「MEブースト・・・ランスロット・レオ 戦闘開始します!」

 

 

そう言い放つと操縦桿のトラックボールを親指で思いっきり弾き、高速で回転させ、一気に押し込んだ。それに呼応するようにレオが一気にトップスピードまで加速。同時に左腕のブレイズ・ルミナスで攻撃を防御しながらコクピットブロック横に据え付けられた日本刀型の【MVS】(Maser Vibration Sword)を抜き放った。

抜刀と同時に分割されていた刀身が合わさり、高周波振動の開始と同時に赤く発光し始める。

 

 

「バイオロイドは無視、装甲車を盾にして!・・・」

 

 

自身の戦術を確かめながらディアは言葉の通りに機体を操作し、装甲車に体当たりを仕掛た。そしてそのままブレイズ・ルミナスでシールドバッシュ、装甲車をその後方の鋼髏に叩き付けた。隊列が乱れたことで友軍への誤射を恐れた鋼髏が射撃を止める。その一瞬をディアは見逃さなかった。

 

 

「もらった!」

 

 

MVSを一閃、装甲車とぶつかった鋼髏をまとめて一気に切り裂いた。

そしてそのまま右腕のスラッシュハーケンを射出し、離れた鋼髏の一体に突き立てる。

 

 

「いぃぃぃよいしょぉぉぉぉっ!!」

 

 

ディアがレオを思い切り旋回させると、そのままハンマー投げの要領で鋼髏が吹き飛び散開していた別の鋼髏と衝突、そのまま二機とも爆発した。

 

 

「残り半分!」

 

 

そう叫ぶとディアは更に武装を選択、レオが左腕で腰部マウントから青い銃を1丁抜き放った。【スーパーヴァリス】可変弾薬反発衝撃砲VARIS(Variable Ammunition Repulsion Impact Spitfire)の最新世代型である。それを構えるとディアは威力をアンチマテリアル・レベル10にセット、モードをバーストに設定、体制を立て直しつつある鋼髏のうち比較的近い位置にいる二体の間に向けて発砲した。

 

――――――――――――ズドォォォォォォォォン――――――――――――

 

すさまじい轟音と共にスーパーヴァリスの砲弾が壁に着弾、その一部を崩落させた。――――――ちょうどKNFが通る事ができるくらいの大きさの穴ができるくらいに。

 

 

「よし、後は・・・逃げる!」

 

 

攻撃を受けた二機の鋼髏が衝撃で体制を崩した瞬間、レオがその間を駆け抜けた。そしてそのまま壁に空いた穴に飛び込み振り返りざまにもう一発、今度は威力を落として発砲、穴の上面が更に崩れ、瓦礫の山が運動性の低い鋼髏を通れなくしてしまった。

 

 

「何も全部やる必要なんて無い・・・ってね!」

 

 

そのままレオは逃走、要塞深部へと潜っていった。――――――――――――

 

 

 

――――――――――――「エルアインスとガーリオンあたりは高く売れるかな・・・よし!鹵獲すっぞ!」

 

『非常に面倒ですが了解しました、司令』

 

「いちいち一言多いなぁ!」

 

『『いや、実際面倒だろ』』

 

 

その頃地上組は出撃してきたAMとPTの大軍相手に奮闘していた。okakaが上空を飛ぶ高価な機体を品定めし、そのコクピットをピンポイントバリアを展開したアサルトナイフで一突き、コクピットを焼いて機体を確保していく。そうして落とした機体をレストア、もしくは分解して売却する腹積もりなのだろう。okakaの目には敵が札束に見えてるに違いない。その姿を見たロキと支配人は呆れながらも自身の獲物を撃破していく。

 

 

『そっちの砲撃機、ライフル弾を弾くたぁ随分硬ぇ機体みたいだが・・・』

 

 

砲列を組んだバレリオンの懐にロキの駆る日蓮が潜り込む。

 

 

『ウスノロなうえに懐ががら空きなんだよ!』

 

 

そう言いながら試作型月光を一閃、瞬間的に超高出力のレーザーが開放され、刀身が形作られる。そのエネルギーに堅牢な装甲を持つバレリオンも耐え切れず、触れた部分が融解し一気に切断された。

 

 

『一気に叩き斬ってやらぁ!』

 

 

そう叫ぶとロキは回避の間に合わない周囲のバレリオンを次々と切り裂いていった。―――――――――――

 

 

 

――――――――『周りをちょろちょろ飛び回りやがって・・・ハエかお前らは』

 

 

周囲を飛び回るリオンに牽制射撃をしながらそうぼやくと、支配人はゲシュペンスト・タイプSC2のモーションをインファイトに設定、そして残弾の少ないM950マシンガンを投げ捨てた。

 

 

『叩き落とさせてもらうぞ!』

 

 

そう叫ぶと両手に3本ずつ、両膝に1本ずつ装備された電磁杭【プラズマステーク】を起動、両拳を打ち合わせるように腕部のステークを打ち合わせると全てのステークに稲妻が走った。そして背部、両腕両足のスラスターを最大出力で蒸かし、飛び回るリオンの一体に飛び掛かった。

 

 

『モーションJP2、アレンジD!』

 

 

選択されたモーションの通りにSC2がタックルでリオンを突き飛ばし、両腕のステークで猛烈なラッシュを掛ける。そしてラッシュの最後に強烈な右ストレートで機体を地面に叩き付けた。

 

 

『貰ったぞ!』

 

 

着地と同時に左膝のステークで再びリオンを上空にかち上げ、更に右膝で追撃、そして再び両腕で猛ラッシュ、そして今度は回し蹴りで更に高く吹き飛ばした。吹き飛ばされたリオンは姿勢制御もままならないのかそのまま重力に従い、落ちてきた。それに合わせ着地したSC2が飛び上がりながら強烈な右アッパーを叩き込んだ。

 

 

『ジ『『ギャラクティカ』』・ファントム!!・・・っておい!お前ら技名変えんな!!』

 

 

【ジェット・ファントム】でリオンを一機撃墜するもokakaとロキのせいで何処か締まらないのを堪えながら新たなモーションを選択、飛び上がった自機よりも下にいるリオンに狙いを定めた。

 

 

『今度は絶対邪魔するなよ!』

 

 

そう言うと支配人は機体を高速回転させた。そしてスラスターを全開、同時にモニターに【SHOUT NOW!】の表示が点滅した。

 

 

『究極ゥッ!ゲシュペンストォォッ!キィィィィィック!『奥義!パンスト流星脚!』『アルティメットキィィィィィック!』お前らぁぁぁぁぁぁっ!!!!』

 

 

リオンの撃墜を確認すると支配人は必殺の飛び蹴り【究極ゲシュペンストキック】の叫びに合わせ、適当に技名を叫んだokakaとロキに怒鳴った。

 

 

『さ、仕事仕事』

 

『こちらokaka、ディア、地下はどうなってる?』

 

『聞けよ!・・・ったく!この怒りは敵機にぶつけてやる!』

 

 

悲痛の叫びもあっさりスルーされた支配人は憂さ晴らしと言わんばかりにリオンに飛び掛かっていった。―――――――――――

 

 

―――――――――――「こちらディア、フォールド通信良好、現在深部へ向け進行中」

 

 

地下で通信を受けたディアは通常通信機とは別に増設された【フォールド通信】を操作し、okakaに応答した。

 

 

『こちらokaka、了解した。フォールド通信機の調子も良さそうだな』

 

「ええ、ジャミングや物理障害も問題無いです。それにしても不思議ですねぇ・・・確かこんなちっちゃな宝石一つでタイムラグ無しで恒星間通信まで出来るんですよね?」

 

 

そう言いながら通信機にはまりこんだ紫の宝石【フォールドクォーツ】を一瞥した。超時空物質とも言われ、銀河中に通信ネットワークをも創りだすことのできるほどの力を秘めた希少鉱石、その力の一端をディアは確かに感じていた。

 

 

『ああ、希少な高純度鉱石だ。無くすなよ?』

 

「了解です、絶対持って帰りますよ」

 

ディアがokakaの言葉に軽い調子で答えた時、異変は起こった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――タイ―――――――――――ワイヨ―――――――――――

 

 

 

 

 

 

「『!?』」

 

 

突然、フォールド通信に声が紛れ込んできた。それも幼い、子供の声が。

 

『おい、今・・・』

 

「はい、聞こえました。間違いなくこの先からです!」

 

『気を付けろ、罠かもしれん』

 

「はい、でもあの声・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――――痛いよ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――怖いよ――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度ははっきり聞こえた。誰かが苦しむ声、恐怖に怯える幼い声が。目的地、最深部から響く声にディアはいてもたってもいられず、目の前に見えてきた扉にスーパーヴァリスを撃ち込んだ。

 

 

「!・・・突入します!」

 

『おい!ディア!』

 

 

okakaの静止を振り切り突入、同時に無数の火線がレオを襲った。

 

 

「っ!?なんだ!?」

 

 

ブレイズ・ルミナスを展開し、防御しながら敵を探す。同時にコックピットに警報が鳴り響いた。

 

 

「背後!?くぅっ!」

 

 

とっさにジャンプして回避、それと同時に都市迷彩を施された何かがレオの足元を通り抜けた。ディアはそれを素早くファクトスフィアでスキャン、しかし、既存データに無い機種らしく、モニターにはNullと表示された。

 

 

「・・・こいつは・・・パワードアーマーの一種みたいだけど・・・」

 

 

それはKMFよりも小さく、MSに例えるならゾゴックにも似たシルエット、胸部から出た人間大の腕はおそらく装着者の腕が収まっているのだろう。不気味な赤い発光を繰り返す巨大な一つ目にも似た複眼を見つめながらディアはokakaに通信をつないだままだったことを思い出し、目の前の映像をokakaに送った。

 

 

「okakaさん、見たこと無いのがいるんですけど・・・画像送ります」

 

 

送られた画像を見たであろうokakaが息を呑むのが通信機越しに伝わった。

 

 

『マズいな・・・』

 

「確かに早いですが・・・そんなに強いんですか?」

 

『いや、それが問題なんじゃない・・・そいつは・・・』

 

 

okakaが答えようとした瞬間、また声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ―――――――――――痛いよ―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ―――――――――――怖いよ―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!さっきの声!まさかあの機体から!?でもなんで!?まさか子供が操縦して!?」

 

『そんな生ぬるいもんじゃない・・・』

 

 

ディアの疑問の声にokakaは否定で答えた。そして静かに、淡々と、真実を告げた―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――『そいつは【グラディエーター】・・・【生きた子供の脳と神経】を材料に作られたパワードスーツだ・・・フォールド通信に混ざった声は・・・素材にされた子供の心の叫びだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

やっとこさ書き上がりました・・・中編です。また長くなったよ畜生!ついでにまた後編が一番長くなりそうだよ!・・・すみませんがもう少しお待ちください。

あ、本編も書かなきゃ・・・・・orz

あと、支配人さん・・・ごめんなさい!ネタにしちゃいました!

次回は直接この続きからのスタートになります。

 


 
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