No.729739

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズ・クリード~番外編 サイドアームズ

okakaさん

番外編になります。

このサイドアームズシリーズでは主に機体戦闘をメインにやっていこうと思います。

時系列は竜神丸さんの本編と同じですので、【話の合間の通常任務】の話という位置付けでいこうと思います。

2014-10-13 07:37:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:684   閲覧ユーザー数:508

番外編【サイドアームズ】1 ~獅子と聖剣~ 前編

 

~とある管理外世界にて~

 

曇天の空、今にも雨が降り出しそうな空を3機の可変戦闘機、通称【バルキリー】が駆け抜けてゆく。

YF-29【デュランダル】が1機、YF-27【ルシファー】2機からなる3機の混成部隊だ。その腹には、本来搭載されているガンポッドだけではなく、サイズの違う人型をした兵器が搭載されていた。

YF-29のパイロット【OTAKU旅団No.9 okaka】は、自分の機体に懸架されている小型の機体【ランスロット・レオ】のデヴァイサー【No.17ディアーリーズ】に通信を入れた。

 

 

『こちらokaka、気分はどうだディア?』

 

 

okakaの通信にディアは素直に返事を返した。

 

 

『こちらディア、死ぬほど怖いんですけど・・・僕帰ってい『ダメだ』ですよねー・・・機体での戦闘は苦手なのに・・・』

 

『仕方ないだろ』

 

 

言い切る前に遮られ、へこんだディアに追い打ちを掛けるように別の通信回線が開いた。

バルキリー隊の2番機【自動人形・桃花】の操縦する黒いVF-27γ【ルシファー・ハイエンドモデル】に武装ラックや風防と共に懸架されたPT(Personal,Trooper)【ゲシュペンスト・タイプSC2】のコックピットの中でその通信の主【OTAKU旅団NO,14 支配人】が腕組みをしながら、ディアを諭すように語りかける。

 

 

『今回は大規模施設の制圧、破壊が任務なんだ。生身じゃ広すぎるし、狭いところには俺達の機体じゃ入れない。恨むなら小型のKMF(Knight Mare Frame)に乗り慣れているお前と作戦を立案したokakaを恨むんだな』

 

『もうとっくに恨んでます』

 

 

間髪入れずに答えたディアに少しだけイラッときたokakaは少しだけ脅してやろうとディアに通信を送った。

 

 

『ほう?そんなに嫌なら今すぐ機体を超音速で急降下しながら投下してやってもいいんだぞ?』

 

『やめてください死んでしまいます』

 

 

あっさりと降伏すると、ディアは通信画面に向かって頭を下げた。

 

 

『今はやめとけディア、俺達の命運はokaka達が握ってるようなもんだ。急降下爆撃の爆弾代わりに使われちまうぜ?okakaも少しは勘弁してやれよ、ディアは歩兵戦闘以外の経験少ねぇんだからさ』

 

 

更に【自動人形・桜花】の駆る3番機、マットシルバーのVF-27β【ルシファー・指揮官モデル】に懸下された白黒のネクスト【日蓮】に乗る【OTAKU旅団No.6 ロキ】が二人の仲裁に入った。

その仲裁に毒気を抜かれたokakaは苦笑しながら軽くディアに謝った。

 

 

『む、すまんかったなディア、コクピットに乗ってから妙に落ち着きが無いもんでな。ちょいと緊張を解してやろうと思ったんだ』

 

『そりゃ緊張もしますよ。これからやることを考えると正気の沙汰とは思えません』

 

『ははっ、正気で殺しなんかできねぇよ』

 

 

ディアの反論にokakaは軽く笑うと、戦術画面を全員の機体にリンクさせた。

 

 

『そろそろ到着だ、もう一度状況を確認するぞ。今回の目的地はここ、【アヴァロンダム】放棄された貯水ダムを改造して作られた巨大要塞で、広域次元犯罪者【カレラ・セトメ】が占拠している。こいつは主にクローニングとバイオロイド、人体改造による人間の兵器システムへの転用を専門としたマッドサイエンティストだ』

 

『似たようなのがうちにも居るな・・・』

 

『『あー・・・確かに』』

 

支配人のボヤキに全員があの白衣のマッドサイエンティストを思い浮かべた。

だが、名前はあえて口には出さず、okakaは話を続ける。

 

 

『で、そのセトメなんだが・・・どうやらパトロンは時空管理局らしい。大型の人型兵器や軍事車両を無人で操作できればお手軽に【強大な悪の武装組織】が出来上がるからな。それを口実にした武装の拡充や管理領域の拡大、自方の非正規部隊の装備への転用など、抱え込んでもお釣りが来る程メリットがある』

 

『で、そいつを阻止してこいってのが団長の指示なんだな。okaka?』

 

『そういう事だロキ、そしてその要塞なんだが、周囲を断崖絶壁に囲まれているだけじゃなく、周囲40Kmに渡り非常に強固な防空システムで守られている。上空からではVOBを付けたネクストでも侵入前に撃墜される可能性が報告された。

そこで今回の作戦はスーパーパック装備のバルキリー2機とVF-25のスーパーパックを転用したM.VOB(Micro Vanguard Overd Booster)を装備したネクストでダムに続く唯一の抜け道である渓谷内に超音速かつ、低空で侵入。要塞到着と同時にKMF及びPTを投下、PTとネクストで地上を制圧、KMFで地下の要塞内部を攻略する。

その間俺と桃花は防空システム中枢を爆撃、その後上空を抑えてマクロス・クォーターの進行を可能にする。桜花はロキの投下後、母艦に帰還、状況を見てクォーターを進行させろ、いいな?』

 

『『『『了解(です、しました、だ)』』』』

 

 

全員の返答とほぼ同時にバルキリー隊は高度を一気に下げた。間もなく作戦空域、防空システムのエリア内だ。

 

 

『・・・見えた、【王の谷】だ』

 

 

今回の作戦開始予定地点である抜け道、通称【王の谷】をokakaが視認した。此処から先は渓谷内の防衛システムを躱しながら超音速で飛行する必要がある。okakaは一度だけ深呼吸すると、スロットルを一気に開いた。

 

 

『作戦開始!』

 

 

okakaの合図でYF-29 とVF-27γが一気に加速、VF-27βが【日蓮】を投下した。

 

 

『ロキ様、ご武運を』

 

『おう!じゃ行ってくるぜ!』

 

 

桜花の離脱開始と同時に日蓮の後部に取り付けられたM.VOBが点火、機体を一気に超音速まで加速させた。

 

 

『先頭は任せろ』

 

 

okakaはそう言うと更に機体を加速させる。YF-29に搭載された新星/P&W/RRステージII熱核反応タービン 【FF-3001/FC1】×2発、新星/L.A.I/RRステージII熱核反応タービン・ラムジェット 【FF-3003/FC1】×2発の合計4発のエンジンが唸りを上げ、機体をマッハ3.5まで加速させた。

 

 

『ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』

 

 

機体下部に吊るされてるディアのことなどお構いなしに。

元々が地上用兵器であるKMFは対G装備が少ないため、ヒッグスコントロールレベルを最大にしても体への負荷が激しい。そのためディアは今回戦闘機パイロットと同じ対Gスーツを着ているが、それでもokakaの操縦に失神せずにいるのがやっとの状態なのだ。魔力で身体を強化させれば多少はマシになるだろうが、元々の稼働時間の短い機体に更に高燃費な改造を施したレオでは簡単に魔力を浪費する訳にはいかない。非常動力が無くなってしまうからだ。

そのためディアは【高G負荷にほぼ魔力0で耐える】ことを余儀なくされていた。

 

 

『どうしたディア?こっちはまだ最高速度の半分も出しちゃいねぇんだ!まだまだお寝んねするにははえぇぞ!』

 

 

okakaの通信にまだ上があることを知ったディアはこれでも加減しているのかと驚いた。そして負けじと意地と根性で機体の操縦桿を握りしめ、前方を見据えた。

モニターに映るディアの顔を見て、感心したokakaは自身の前方、スクランブルのかかったであろう防衛兵器群を確認すると武装をアンロックした。

本来なら変形を織り交ぜた空戦機動とガンポッドで迎撃するのだが、ディアの機体を懸架した状態では変形できない。更にKMFの特徴である大きく後部に張り出したコックピットブロックがガンポッドの射界を塞いでしまっていた。

そのためokakaは別の兵装を選択した。TW2-MDE/M25 隠顕式連装MDEビーム砲、機体上面尾部が展開し、旋回可能なビーム砲が起動する。

標的は対空砲群、先ずはSAMに狙いを定める。しかし、機体上部に位置するビーム砲では射角が不十分だ。

 

「ちょっと荒っぽいぞ?『え?なんでsうぉわっ!』」

 

ディアの返答を待たずにokakaは機体を180°ロールさせ、上下を入れ替えた。射角がクリアになる。

 

「交戦(エンゲージ)」

 

okakaはそう呟くとトリガーを引いた。2門の砲からMDE(Micro,Dimension,Eater)ビームが発射、SAMに命中すると同時に車両の被弾部分を空間ごとねじ切った。そしてそのまま次の標的に照準、発砲、対空機関砲を破壊した。

 

 

「よし、どんどん行くぞ?」

 

 

okakaはそう言うと、胴体エンジン横に装備された25mm機関砲、更にその上部に試作戦闘機CFA-44【ノスフェラトゥ】から転用、増設されたELM(ElectroMagnetic,Launcher)を展開させた。

そしてアクティブステルスを利用し、敵が照準を付ける前にELMで狙撃、直接照準してきた敵の攻撃を機体を激しく上下左右、時にはバレルロールを含めたマニューバで回避、機関砲とMDEビームで的確に破壊していく。

 

 

『ちょまっ!・・・okaっ!・・・ひぃっ!?今斜面に掠るとこでしたよ!?もう少しかげっ・・・いっそ殺してぇぇぇぇぇぇ!』

 

 

当然ディアの悲痛な叫びはガン無視された事は言うまでもない。

 

 

「・・・・・・アイツに運んでもらわなくて正解だったな・・・」

 

 

支配人はそう言いながら目の前で繰り広げられる光景、【超音速ブルライド岩肌超接近コース~機銃とミサイルの弾幕付き~】を見ながらパイロットスーツの下で冷や汗をかいていた。

 

 

『お望みならばこちらも同じ様な事をしましょうか?』

 

「しなくていい、むしろするな。頼むから」

 

『ブルライドのサービスは無しですね?了解いたしました』

 

「そもそも、そんなことをしたらこの機体が持たないだろう」

 

『無駄にやたらと重たい荷物の事でしたら問題ありません。私自身の重力制御でどうとでもなりますから』

 

「・・・その荷物がそう言ってるんだよ」

 

『それよりさぁ』

 

 

桃花の毒舌に支配人がため息をついていると、ロキが通信に割り込んできた。

 

 

『あれ、援護しなくていいのか?かなり集中砲火喰らってるっぽいけど』

 

『大丈夫でしょう。むしろこの場合下手に撃たないほうがよろしいかと』

 

『なんでさ?』

 

『現に一発も被弾せずに敵の対空装備を全て破壊できてますから。それにこちらは機体バランス、ロキ様は機体制御に問題がありますから、誤射する危険もありますので』

 

『まぁ、確かにそうだなっ!』

 

 

そう言いながらロキは超音速で壁に突っ込む日蓮をM.VOBの推力変更ノズルを操作、同時に姿勢制御バーニアを蒸かし、無理やりコースを変更した。

直進しかできない従来のVOBでは曲がりくねった渓谷を飛行できないため、急遽作成されたM.VOBは急造品ながらも機体の飛行コースを曲げることに成功していた。しかし、所詮は急造品。速度は超音速を保っているものの従来品よりも遅く、更に非常に劣悪な操縦性のため、AMSによる制御でも完全な制御はできなかった。まさにロキは【暴れ馬で超音速のジェットコースターに乗っている】状態だった。

そんな状況では満足に射撃もできるわけがなく、こうして機体制御に必至になっているのだ。

 

 

『ったくふざけんな!なにが【アブ・マーシュの発明品の中では比較的大人しい部類】だよ!飛んだじゃじゃ馬じゃねぇか!』

 

 

あまりのじゃじゃ馬っぷりにさすがのロキも不平不満が止まらない。

 

 

『ですが、事実アブ・マーシュ様の手掛けた装備の中では比較的大人しい部類に入ります。目の前のブルライドよりもマシかと』

 

『・・・・・・まぁ、確かに』

 

 

桃花の一言と眼前で暴れ回るokakaに事実を痛感したロキは、道連れにされているディアに黙祷を捧げた。

 

 

(ディア・・・強く生きろ・・・)

 

 

『たぁぁぁぁぁぁすけてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!』

 

 

その後もディアの悲鳴はしばらく収まらなかった。――――――――――

 

 

 

 

――――――――――『見えたぞ、ゴールだ』

 

 

先頭を行くokakaの目の前に巨大なダムが見えてきた。今回の標的が潜伏している【アヴァロンダム】だ。

 

『降下準備だ、おいディア!起きろ!』

 

『ハッ!僕は一体・・・』

 

『3カウントで投下するぞ!』

 

『え、ちょっと『3.2.1 投下』待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』

 

 

気絶していたディアを叩き起こすと同時に巨大な壁の上空を通過したokakaはランスロット・レオを投下した。

接続用のケージが炸裂ボルトで弾け飛び、レオが投下される。

 

 

『ああ、もう!』

 

 

文句を言いながらもディアはレオのエナジーウィングを一瞬だけ展開、体制を立て直すと対空車両の射撃をすり抜けながら着地し、ランドスピナーを展開、底面に設けられた要塞地下へと通じる通路へ入っていった。

 

 

『しかし、流石にでかいなぁ・・・』

 

『ま、元々は大型の貯水ダムだったらしいし、こんなもんじゃねぇの?』

 

『支配人様、こちらも投下致します』

 

『了解した。やってくれ』

 

『了解、パージします』

 

 

桃花の合図とともに支配人の機体がパージ、大型のタワーシールドを流用して作られたキャノピーごと投下されたゲシュペンスト・タイプSC2が武装を両手に立ち上がった。そして、キャノピーをそのまま下面のシールドにして、まるでサーフィンでもするかのように空中を滑空しながら両手のM950マシンガンを構え、地面の対空車両群に向け発砲。そのまま撃破した残骸の上に滑り込んだ。

 

 

『ランディング成功、次のフェイズに移行する』

 

 

そう言うと支配人は地上の施設に向け、左肩のビームキャノンを発砲した――――――――

 

 

 

 

――――――――『M.VOBパージ!ヒャッハァァァァッ!!派手にいくぜぇ!』

 

 

続いてロキがM.VOBをパージ、その速度のまま管制タワーを左手に装備した試作型月光で叩き切った。そして着地と同時に航空機の発着点と思われる区画に右手のライフルと両肩のミサイルを叩き込んだ――――――――

 

 

 

 

――――――――『対空監視網の中枢を確認、爆撃を開始する』

 

 

そう言うとokakaはスロットルレバーを引き起こす。その操作に連動してデュランダルが変形を始めた。メインエンジン2機が前方に投げ出され【脚部】になり、機体を急速に減速させる、同時にコクピットを含めたノーズ部分が内部に収納され【胴体】に、胴体下部が分割、展開し【腕部】に、エアブレーキが【シールド】へ、そしてノーズの付け根部分を中心に機体が折りたたまれ、【頭部】がせり出すと同時にMDEビーム砲が【背部】に展開した。

人型の【バトロイド形態】に変形したデュランダルが目標、対空システムの中枢である大型レーダー施設に向けて、ハワード/L.A.I HPB-01A 重量子ビームガンポッドの連射を叩き込んだ。

同時に桃花のルシファーも変形、バトロイドになるとガンポッドを展開。銃身が開き、対艦用ハイパーグレネードモードに移行、そしてわずかなチャージの後発砲した。

 

 

『対空システムの無力化を確認。いいぞ、クォーターを前進させろ』

 

 

okakaがマクロス・クォーターに通信を入れた直後、全員のレーダーに新たな反応が現れた。

どうやら主力のおでましらしい。山の斜面に擬装された格納庫と思われるハッチが複数展開、中から大量のAM(Armored Module)【リオン】とその指揮官機と思われる上位機種【ガーリオン】、砲撃支援機【バレリオン】そして、PT【エルアインス】が一斉に飛び出して来たのだ。

 

 

『うげ、やっぱり出てきやがったか』

 

『おうおう、ざっと40機はいるんじゃねぇか?しかもまだ出てくるし・・・』

 

『エルアインスまでいるのか・・・厄介な・・・』

 

 

okaka、ロキ、そして支配人が三者三様に愚痴る中、いきなり桃花が発砲した。

 

 

『先に格納庫を叩きます』

 

 

そう言うと桃花はガンポッドを連射、そして主翼付け根のマイクロミサイルランチャーからミサイルを発射、擬装ハッチの内部を破壊し、敵の出撃ポイントを塞いでしまった。

 

 

『これでいいでしょう、さぁ残りを掃討いたしますよ?仕事をしてください、御三方』

 

『『『あ、はい』』』

 

 

突然の行動にあっけにとられた三人は気持ちを切り替えると敵の大群に攻撃を開始した―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

長すぎるので一旦切ります。次回は地下に下りたディア視点からのスタートになる予定です。

 

 

 

 

 

 


 
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