『クロノトリガー』の世界へと飛ばされ、
さらにその世界の過去へと飛ばされ、
現代に戻った矢先にまたもや時を越えることとなった一刀たち。
穏やかな時間を過ごすことを許されぬまま、今度はどの時代へと流れ着くのか・・・。
真・恋姫†無双 × クロノトリガー
『真・恋姫†無双 ~時の外史~』
第9話「未知の時代!廃墟を越えて」
ギュイイイィ・・・ン!
ゲートが開き、空間に開いた穴から別の景色が見える。どうやらここが終点のようだ。
俺たちは慎重にゲートから外へと降り立つ。
マール「さすがに大臣もここまでは追って来られないよね。でも・・・。」
クロノ「なんだ・・・ここ?」
ルッカ「随分と文明は発達してるみたいだけど・・・。」
辿り着いた場所は、とても一言では説明のできないものだった。
建物の中だということはわかる。それも全てが”鉄”で出来た頑丈そうな。
そしてそのほとんどが錆びつき、腐敗し、あきらかに使われなくなって相当の年月が経過しているであろうことも。
明かりもなく、ゲートの歪みが発するわずかな光でなんとか見える程度だった。
一刀「まるでお化け屋敷だな・・・。」
愛紗「ご!ご主人様!?そそそそその発言は、しょしょ少々不謹慎んかかと思われますが!?」
桃香「そ、そうだよ!やめてよご主人さま~!」
一刀「え?あ・・・。」
忘れていた。桃香と愛紗は大の”お化け嫌い”だったな。
鈴々「愛紗もお姉ちゃんも怖いのか~?声が裏返ったのだ。」
桃香「べ、べつにそういううわけじゃぁ~・・・。」
愛紗「ばばば!馬鹿なことを言うな!わ私はこれまでにも妖の類を退治したことはあってだな・・・!」
ルッカ「・・・その割には少し震えているように見えるけど?」
愛紗「こ!これは~その・・・む、武者震いだ!こんな怪しいところ、きっと危険な輩が居るに違いないだろうからな!ご主人様を守ろうとはりきっていたところだ!」
桃香「そ、そうそう!私も義姉妹の長女として威厳を・・・!」
マール「!・・・後ろにお化け!」
愛紗「ひっ・・・。」
桃香「ぴっ・・・。」
クロノ「ひ?」
一刀「ぴ?」
愛紗「ひぃあああああああああああっ!!!」
桃香「ぴぃやああああああああああっ!!!」
ドドドドドドドドドドド・・・ッ!
あいしゃは にげだした!
とうか は にげだした!
鈴々「あー・・・行っちゃったのだ。」
マール「あ、あんなになるとは思わなかったわ。」
ルッカ「マールもなかなか悪戯好きね。」
マール「あはは・・・。」
クロノ「てか追っかけないとマズくないか?どこまで走ってくかわかんないぞ。」
一刀「そうだな。ここかどの時代か把握するためにも、とりあえず外に出てみよう。」
俺たちは飛び出していった愛紗を追って、外へと向かった。
クロノ「ほんとにどうなってんだここは?」
一刀「これは・・・なんというか。」
外に出てみると、さらに驚きの光景だった。
空は一面雲に覆われていて、大地に草は生えておらず、木も枯れ朽ちたものばかり。
さらに乾いた風が土や埃をさらっていく光景に、俺は有名な”某世紀末漫画”を思い出した。
マール「まるで別の星に来ちゃったみたいだね。」
ルッカ「・・・。」
鈴々「ふたりとも大丈夫か?」
桃香「あ~ビックリしたぁ・・・。」
愛紗「ああ、なんとか落ち着いた。」
一刀「さて、どうするか。ここに止まっていても何もなさそうだし。」
クロノ「・・・お?向こうに建物っぽいのがあるぞ、行ってみるか?」
マール「そうだね、もしかしたら誰か居るかもしれないし・・・ルッカ?」
ルッカ「・・・え?ええ、そうね。行ってみましょう。」
ルッカは何か考え事をしていたようだが、マールに呼ばれると居住まいを正し歩を進め出したので、俺たちもそれに続いた。
街のように見えた建物群に行ってみると、そこには崩れたり倒壊している朽ち果てたビルが並んでいた。
ルッカ「ひどい所ね・・・とても人が住んでいるようには見えないわ。」
マール「戦争、でもあったのかな・・・?」
桃香「すごく大きい建物だったみたいだね」
愛紗「ええ、このように大きな建物は見たことがないですね。しかも全てが石造り・・・どうすればここまで破壊できるのだ。」
一刀「俺の居た元の世界でも戦争はあったけど、実際には見たことがないからなぁ。こんな感じなんだろうか・・・?」
この光景を見て、それぞれが感傷に浸る。
鈴々「んにゃ?なんだこれ?」
桃香「ん?どれどれ?・・・なんだろこれ?」
鈴々と桃香が、地面に埋まっている鉄の円盤に興味を示す。
一刀「ああ、それは”マンホール”っていって、その下に”下水道”っていう住人が使って捨てた水が流れていってるんだ。」
鈴々「へー。」
桃香「へー。」
二人は理解してるようなしてないような感じでマンホールを眺めている。すると。
ヒュ~ドロドロドロドロ・・・!
鈴々「!」
桃香「わっ!?」
???「キィアーーーッ!」
???「キィアーーーッ!」
???「キィアーーーッ!」
マンホールの隙間から謎の液体生物(以下”シルエット”)が現れた!
一刀「なんだあいつは!?モンスター!?」
愛紗「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
一刀「うわビックリした!愛紗!?」
突然現れた敵(だろう)と、敵の発した奇声に驚いた愛紗が、再び暴走し敵に突っ込んでいった!
鈴々「姉者!?こいつ敵なのか?」
愛紗「敵だぁっ!私がいまそう決めたぁああああっ!」
クロノ「目が据わってるぞ・・・。」
愛紗「おおりゃああっ!」
ズバンッ!
愛紗の渾身の一太刀がシルエットを切り裂く!・・・が。
シルエット「キキキキ♪」
愛紗「なん・・・だと!」
液状の体を持つシルエットにダメージはなく、元の形に戻ってしまった。
愛紗「お、おのれぇ~。」
愛紗は攻撃が効かなかったことで冷静さを取り戻し、今度は逆に足がすくんでしまっていた。
マール「どうしよう。斬れないとなると私のボウガンも当てられないし・・・。」
いまさらだが、マールの武器は”ボウガン”である。(ボガーン
ルッカ「物理がダメなら、これでどう!?」
ジャキ!ゴォアアアアア・・・!!
ジュウウウ・・・!
シルエットたち「キィヤアアアァァァッ!」
シュバッ!シュババッ!
ルッカの放った火炎放射に当たるも、素早い動きで即座に回避されてしまった。
ルッカ「ああ、もう!すばしっこいったらありゃしない!」
一刀「でもダメージはあるみたいだな。よし、鈴々!」
鈴々「んにゃ?何、お兄ちゃん?」
一刀「あいつらに向かって、クロノが修道院でやった”かいてんぎり”をやってくれ。できるか?」
鈴々「いいけど、あいつら斬れないから意味ないよ?」
一刀「大丈夫だ、むしろ鈴々の丈八蛇矛が丁度いい!」
鈴々「わかった。お兄ちゃんが言うならやってみるのだ!」
そうして鈴々はシルエットに突撃していき、
鈴々「ううりゃあーっ!”かいてんぎり”なのだぁっ!!」
ジャイアントスイングよろしく、身の丈の倍はある丈八蛇矛を振り回した。
バシャア・・・ッ!
シルエットたち「キキ・・・!?」
一刀「よし!ルッカ、鈴々の槍に火炎放射を!」
ルッカ「そういうことね、わかったわ!ヒャッハー!汚物は消毒よーっ!」
ゴォアアアアア・・・!!
鈴々「お?おおーっ!」
シルエットたち「キキ!?キィヤアアァァァ・・・!」
一刀「鈴々!もっとめちゃくちゃに振り回せ!」
鈴々「にゃにゃにゃにゃーーーっ!!」
ジュワアアアァァ・・・。
鈴々のかいてんぎりによって細かく分散されたシルエットたちは、攻撃にさらに炎が加わったことにより蒸発、霧散した。
マール「やったぁ!」
クロノ「長いだけあって、すげぇ迫力だな・・・。」
鈴々「すっごい気持ちよかったのだ!火がバァッっとなってかっこよかったのだ!」
ルッカ「アタシより早く思いつくなんて、なかなかやるじゃない?」
一刀「あはは、いや、まあそれほどでも。」
愛紗「・・・申し訳ございませんご主人様、お見苦しい姿をお見せした上に、なんのお役にも立てず・・・。」
一刀「ああいや、気にしなくていいんだよ愛紗。むしろ物理攻撃が効かないのが最初にわかって助かったし。結果オーライだよ!」
愛紗「けっかおーらい・・・ですか?」
一刀「あー、終わり良ければ全て良しってことさ。」
愛紗「はい、わかりました。しかし次からはもう大丈夫ですのでご安心を!」
一刀「うん、期待してるよ。桃香も大丈夫?」
桃香「あはは、愛紗ちゃんの叫び声と二重にビックリして、腰が抜けちゃってたよ。」
一刀「立てそう?」
桃香「うん、もう平気だよ。」
ルッカ「もういいかしら?先に進ンデモ・・・?」
一刀「ああごめん!もう大丈夫です!」
桃香「どうぞどうぞ!」
愛紗「うううむ!何も問題はないぞ!」
マール「うふふ。」
クロノ「あはは・・・。」
鈴々「さー進むのだー!」
と、場所に似合わぬ雰囲気を醸し出しつつ、さらに先へ進もうとした矢先。
ズン・・・ッ!
鈴々「んあ?」
マール「え?」
一刀「・・・へ?」
ルッカ「うそでしょ・・・?」
クロノ「なんだ、コイツ・・・。」
???「ギョオオオォォ・・・!」
またまた謎の敵・・?風船のように丸く大きく膨らんだような頭と体、それを支えるには余りにも細い脚。
まともな生物とは思えない、不気味でギョロっとした二つの目をした、赤い巨大な生物(以下”ミュータント”)が俺たちの目の前に立ちはだかった!
一刀「でかい・・・3mはあるか?」
チュー、チュー。
クロノ「ん?ネズミ・・・?」
ギュルンッ!ビシィッ!
ネズミ「キィッ!」
ズキュン・・・ズキュン・・・!
ルッカ「こいつ・・・!」
マール「血を、吸ってる・・・!?」
ミュータントは、茫然と立つクロノたちのわきを通ったネズミに反応し、マンガのタコのような窄まった口から触手を伸ばすと、捕らえたネズミを吸血しだした。
鈴々「うえ~。血なんかうまそうじゃないのだ~。」
一刀「そうだ!桃香と愛紗は!?」
一刀は、大丈夫と言われつつも不安に駆られ、桃香と愛紗の様子を見た。
桃香「わ、私はなんとか・・・。」
一刀「愛紗は?」
愛紗「・・・・・・。」
一刀「よかった。大丈夫みたいだ・・・。」
愛紗「・・・お。」
一刀「・・・お?」
桃香「・・・お?」
愛紗「おおおのれ妖ぃいいいいいいい・・・っ!」
一刀「ダメだったーーーーーっ!」
桃香「愛紗ちゃーんっ!」
鈴々「姉者ーーーっ!」
愛紗「おおおおおりやぁああああああああっ!」
・・・・・しばらくお待ちください・・・・・
一刀「はぁ、はぁ・・・やっと、止まった。」
ルッカ「まったく、はぁ・・・冗談じゃ、ないわよ・・・はぁ。」
クロノ「ぜぇ、ぜぇ・・・オレ、いま・・・人生で一番、速く走った気がする・・・ぜぇ、ぜぇ。」
桃香「も・・・もうダメ、走れないよ~。」
あのあとミュータントを完膚なきまでに叩き伏せた愛紗は、そのまま暴走し爆走し無双したまま、出口までのチキンレースを敢行したのだった。
鈴々「愛紗は大丈夫?お兄ちゃん。」
一刀「ああ、目を回して倒れたみたいだ・・・はぁ、はぁ。てか鈴々、疲れてないの?」
鈴々「かけっこは得意なのだ♪」
一刀「あ・・・そう。」
マール「ねぇ、あそこに最初に居た所とおんなじような建物かあるよ?」
クロノ「おまえもケロっとしてんのかい!」
一刀「おまえもケロっとしてんのかい!」
マール「かけっこは得意なの♪」
ルッカ「ホントだ、ドーム状の建物があるわね。」
一刀「今度は誰かいるかな・・・?」
ルッカ「ここまでの状況を考えると、望みは薄いわね。」
クロノ「このまま飲まず食わずってのが一番避けたいところだけどなぁ。」
鈴々「鈴々もたくさん動いたからお腹が空いてきたのだ。」
桃香「私も喉かわいちゃった。」
一刀「とにかく、なによりも今は愛紗をなんとかしないとだし、とりあえず行ってみよう。」
息切れの体を落ち着けるのも程々に、俺たちは廃墟を抜け、次のドームへと向かった。
...Continued to the next time⇒
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いらっしゃいませ、七詩名です。
お待たせいたしました、少々短めではありますが、第9話、みなさんお察しのとおり”未来”でございますw
これからどんどんカオスになることが予想され、私の執筆も一層gdgdしていくこと請け合いでございますgkbr
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