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『真・恋姫†無双 ~時の外史~』 第8話

七詩名さん

お久しぶりです、七詩名です。

そして長らくお待たせいたしました。第8話でございます。

中々時間がとれず、執筆することができませんでしたが、ようやく続きが書けました!

続きを表示

2014-09-28 23:07:45 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1537   閲覧ユーザー数:1481

 

 

 

衛兵「脱走だぁっ!」

 

クロノ「くっそ!また衛兵か!ったく、出口はどっちだぁ!?」

 

 

 牢屋を出て30分。戦闘すること10回。出口を探して走るクロノは完全に迷っていた。

 

 

クロノ「”かまいたち”!!」

 

衛兵「ぐああっ!」

 

クロノ「ええっと、こっちはさっき来た気がするな。じゃあまだ通ってないのは・・・おんなじような場所が多いからワケわかんねぇな。」

 

 

 そうぼやきながら、クロノは来た道を戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双 × クロノトリガー

 

『真・恋姫†無双 ~時の外史~』

 

 

 

 

 

第8話「脱出せよ!空中刑務所」

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノ「あれ?行き止まり?」

 

 

 迷子のクロノは、再び行き詰っていた。

 

 

クロノ「ホントめんどくさいなここは!暗いしジメジメしてるし暗いし似たような構造だし暗いし!」

 

 

 地団駄を踏みイライラを床にぶつけるものの、状況は変わらず。

 しかし横を見てみると。

 

 

クロノ「あ、部屋はあるのね。なんの部屋だろ?」

 

 

 脱獄した身であることをまったく気にしていないクロノは、牢屋とは違う作りの扉に近づく。

 すると中から・・・。

 

 

??「うぅ・・・死にたくない~助けて~。」

 

 

 中から今にも死にそうな(実際そう言ってるが)声が聞こえてきた。

 

 

クロノ「ん?げ、ギロチン・・・。」

 

 

 中に入り声の主を窺うと、ギロチン台に掛けられた青年が悲愴な面持ちで嘆いていた。

 

 

クロノ「大丈夫かお前・・・って、フリッツ兄ぃ(にぃ)!?」

 

フリッツ「ク、クロノ!?なんでお前こんなところに・・・!?」

 

 

 そこにいた青年は、トルースの町にあるグッズマーケットの一人息子フリッツだった。

 歳は3つ上(クロノは17歳)で、幼いころは兄弟のように遊んだこともあった。

 現在はグッズマーケットの跡取りとして、妻のエレインと共に店を手伝っている。

 

 

クロノ「フリッツ兄ぃこそ何してるんだよ。たしか少し前に仕入れの旅に出てたんじゃ・・・。」

 

フリッツ「ああ、親父を見返そうと思って出たんだけど・・・途中で盗賊団の捕り物に巻き込まれてさ。仲間だと誤解されたまま裁判で有罪になって、ギロチンの刑を言い渡されたんだ・・・。」

 

クロノ「誤解って、グッズマーケットのことも兄ぃのことも町の人たちは知ってるはずなのに。」

 

フリッツ「大臣のやつが、あることないこと言って無理やり俺を有罪にしやがったんだよ。くっそ、なんの恨みがあってこんな・・・。」

 

クロノ「とにかく早く逃げよう!いつ衛兵が来るかわからない!」

 

 

 クロノはギロチン台に近づき、フリッツの首を固定している留め金を外した。

 

 

フリッツ「すまない、恩に着るよ。」

 

クロノ「気にすんなって、俺と兄ぃの仲じゃないか。とにかく急ごう。」

 

フリッツ「ああ。」

 

 

 クロノはフリッツを連れて、再度来た道を戻る。

 

 

フリッツ「おいクロノ!どこ行くんだよ?」

 

クロノ「どこって出口に・・・。」

 

フリッツ「出口はこっちだよ。ったく相変わらず分かんないことには適当だな。」

 

クロノ「へへ、それほどでも。」

 

フリッツ「バカ、ほめてねぇよ。」

 

 

 二人は笑い合い、今度はフリッツの先導で出口へと向かった。

 

 

 

 

 

 

所長「ひえぇっ!お助け・・・!」

 

 

 ダダダダ・・・ツルン!

 

 

所長「あ・・・あああああああああっ!」

 

 

 ガガガガガガガガガツンッ!

 

 

クロノ「・・・・・・。」

 

フリッツ「・・・・・・。」

 

 

 フリッツの先導で出口まで来たクロノ。

 その二人を見るなり、刑務所所長は血相を変えて逃げ出し、駆け上がった目の前の階段で足を滑らせ、転げ落ちて気絶した。

 

 

クロノ「こんなんが所長で大丈夫なのかココは・・・ん?なんか落ちた。」

 

 

 クロノは、転げ落ちた拍子に所長のポケットから落ちた紙切れを拾う。

 

 

クロノ「なになに?『ガルディア王国刑務所所長殿へ ドラゴン戦車設計図』!?」

 

フリッツ「ドラゴン戦車って・・・いかにも強そうな名前だな。」

 

クロノ「『ドラゴン戦車の頭部には、本体が受けたダメージを回復させる機能が付いています。さらに電撃や炎などを防ぐシールドが装備されていますので、剣やピストルによる攻撃でしかダメージを与える事ができません。つまり、剣などの攻撃で頭を壊されない限りドラゴン戦車が倒される事はないと考えてよいでしょう。ガルディア王国開発部より』」

 

フリッツ「け、剣でダメージが与えられるって、鉄製じゃないのかなコレ。もしかしてやわらか戦s」

 

クロノ「まあとにかく頭を壊せばいいんだな。楽勝楽勝。」

 

フリッツ「ホント楽天的だなクロノは。お、こいつミドルポーション5つも持ってる!」

 

クロノ「いや盗るなよフリッツ兄ぃ。」

 

フリッツ「はは、どうも商人魂が。」

 

クロノ「商人が人の懐を漁るかよ・・・。」

 

フリッツ「まあまあ、どうせこの感じだとドラゴン戦車と戦うことになるんだろうし、あった方がいいだろ?」

 

クロノ「まあ、そりゃ、な。」

 

フリッツ「ほら行くぞ。早くしないと後ろから衛兵が来ちまう。」

 

クロノ「あ、待ってくれよ兄ぃ!」

 

 

 

 

 

 

 キュラキュラキュラキュラ・・・。

 

 

クロノ「ん?何の音だ?」

 

 

 刑務所からガルディア城内へ繋がる橋に出ると同時、何か音が聞こえてきた。

 

 

フリッツ「・・・まあ、予想はできる。」

 

 

 嫌な予感を感じつつ、先へ進むと。

 

 

 キュラキュラキュラキュラ・・・!

 

 

??「ギャオーーーンッ!!」

 

クロノ「げ。」

 

 

 反対側から現れたのは鋼鉄の塊。

 

 

フリッツ「これが・・・。」

 

大臣「ゆけぇ!ドラゴン戦車!君に決めた!テロリストを叩きのめせぇっ!」

 

 

 ふたつの車輪が付いた巨大なボディに長い首、竜を模した頭。先ほどの設計図にあった”ドラゴン戦車”が橋を塞ぐ形で二人の前に立ちはだかった。

 

 

フリッツ「さ、さすが戦車というだけあって・・・デカイ。」

 

クロノ「フリッツ兄ぃは下がってて!ここは俺が!」

 

フリッツ「バカいうな!こんなの相手にお前ひとりでどうにかなるかよ!」

 

クロノ「んなこと言ったって、兄ぃは商人だからこういうのはダメだろう!?」

 

フリッツ「それはそうだけど・・・!」

 

大臣「何をゴチャゴチャ喋っとるんだ!ドラゴン戦車!”火炎放射”じゃ!」

 

 

 ボボボボボォ・・・ッ!!

 

 

 戦闘力のないフリッツを守ろうと前へ出るクロノと、兄貴分として守られるわけにはいかんとするフリッツ。

 そのやりとりに痺れを切らした大臣が、ドラゴン戦車で二人に攻撃を仕掛けた。

 

 

クロノ「おわあっ!」

 

フリッツ「わわわわっ!」

 

 

 油断した二人は慌てて後方に下がり、攻撃をかわした。

 

 

クロノ「とにかくこのままじゃダメだ、兄ぃは下がって・・・そうだ!兄ぃはさっきのミドルポーション使って、俺が攻撃を喰らったら回復してくれ!」

 

フリッツ「わ、わかった。だけどあまり無茶するなよ?」

 

クロノ「わかってるって。」

 

大臣「まぁだ何か喋っとるのか。ドラゴン戦車!もう一度”火炎放射”じゃ!」

 

 

 ボボボボボォ・・・ッ!

 

 

クロノ「とっ!」

 

 

 再び放ってきた火炎放射を、クロノは前方に飛び上がって避ける。

 

 

クロノ「たしか頭を先に壊せばいいんだったよな。」

 

 

 そのままドラゴン戦車に向かって落下していき。

 

 

クロノ「うりゃっ!」

 

 

 頭部めがけて剣を振り下ろした。

 

 

 ギィンッ!

 

 

大臣「い!?」

 

クロノ「ぐあ、かってぇ~。」

 

 

 しかし、鋼鉄で作られた頭部は硬く、壊すには至らなかった。

 

 

大臣「ふ、ふふふ・・・脅かしおって。一瞬壊されるかと思ったわい。しかーし!流石は無敵のドラゴン戦車!このまま一気に始末してくれるわい!ゆけぇ!ドラゴン戦車!”たいあたり”じゃ!!」

 

 

 ギャリギャリギャリギャリ・・・!

 

 

 車輪を激しく回転させながら、ドラゴン戦車の鋼鉄ボディがクロノとフリッツに向かって突撃してくる。

 

 

フリッツ「も、もうダメだ!」

 

クロノ「くっ・・・!」

 

 

 そのとき―――。

 

 

 シュッ!ポイ!ガンッ!

 

 

大臣「あだっ!」

 

??「いてっ!」

 

??「「せやああああっ!!」」

 

 

 ガガガガガガガ・・・ガシャ・・・ン!

 

 

 何者かが二人、クロノの前に飛び込み(他に一人、クロノの後ろに放り投げられたようだが)、突撃してくるドラゴン戦車を止めた。それは・・・。

 

 

クロノ「あ!おまえらっ!」

 

愛紗「なんとか間に合ったようだな。」

 

鈴々「ぎりぎりせーふってやつなのだ。」

 

一刀「いったたた・・・鈴々、何も投げるこたぁないじゃないか。」

 

鈴々「にゃはは、ごめんお兄ちゃん。でも急いでたからしかたないのだ。」

 

大臣「ああああのチビガキ、ワシを踏み台にしおって~!」

 

 

 ドラゴン戦車の前へ飛び込むため、鈴々に踏み台にされた大臣が頭を押さえながら地面に伏せって悶える。さらにそこへ―――。

 

 

ルッカ「はいはいジャマジャマ。」

 

大臣「ふべっ!」

 

桃香「わ。し、しつれいしま~す。」

 

大臣「おほうっ!」

 

 

 ルッカと桃香が、それぞれ頭と背中を踏んで通っていった。

 

 

クロノ「ルッカまで来たのか!?」

 

ルッカ「助けに来たわよ・・・っていっても、自力で逃げちゃったのよね。つまんないの。」

 

クロノ「おまえな・・・処刑されるのに大人しくしてられるかよ。」

 

ルッカ「まあいいわ、まだ見せ場は残ってるみたいだし。」

 

 

 と言ってルッカはドラゴン戦車に向き直る。

 

 

愛紗「な、なんなのだ。この鉄の蜥蜴は?」

 

鈴々「むー、食えそうにないのだ。」

 

一刀「いやなんでいつも食う前提なんだよ。」

 

桃香「私も・・・ちょっと蜥蜴は食べたくないな~。」

 

一刀「あの、桃香さん?」

 

ルッカ「ほらアンタたち、話はあとあと。とっとと”コレ”ぶっ壊して逃げるわよ!」

 

フリッツ「クロノ・・・この娘たちは?」

 

 

 突然の見知らぬ者たちの登場に、フリッツは茫然としながらクロノに尋ねる。

 

 

クロノ「ああ、最近知り合った旅の人たちだよ。かなり強い。」

 

フリッツ「そ、そうなんだ。」

 

ルッカ「さあて、どう料理してやろうかしら?」

 

クロノ「あ、ルッカ!そいつの弱点は・・・!」

 

ルッカ「”頭”でしょ?わかってるわよそんなこと。」

 

クロノ「え?なんで!?」

 

ルッカ「ふん、天才的発明家たるアタシが、メカに関しての情報を知らないとでも?国がこんなのを密かに造ってたことなんて、とっくに入手済みよ!」

 

クロノ「・・・で羨ましくて悔しくてムカついたからこの絶好の機会に壊してやろうと?」

 

ルッカ「”アタシの”サイエンスの前に敵はないわっ!!」

 

クロノ「はあぁ~・・・ホント、発明が絡むと性格変わるなルッカは。」

 

 

 呆れ顔のクロノの横で、ルッカが高笑いを決め込んでいる。やっぱりあの高笑い(ry

 

 

一刀「で、具体的にどうするんだルッカ?」

 

ルッカ「全身が鉄でできている以上、正攻法ではダメね。ただこっちには馬鹿力が2.5人もいるわ。それが狙いどころよ!」

 

愛紗「わ、私のことかそれは!?」

 

鈴々「馬鹿じゃないのだ、ちょっと力持ちなだけなのだ。」

 

クロノ「たぶん0.5はオレだな・・・。」

 

ルッカ「いいからやるわよ!攻略法を言うから、ちゃんと聞いてなさい!」

 

 

 ルッカは攻撃に参加するクロノ、愛紗、鈴々を近くに寄せ、作戦を伝える。

 

 

大臣「こいつら、状況を理解しとらんのか・・・舐めとるな、絶対舐めとるだろ。ええい、ドラゴン戦車!”火炎放射”じゃ!彼奴等にこのワシの恐ろしさを思い知らせてやれぇっ!」

 

ドラゴン戦車「ギャオーーーンッ!!」

 

 

 ボボボボボォ・・・ッ!!

 

 

 ドラゴン戦車の火炎放射がクロノ達を襲う、が。

 

 

ルッカ「甘いっ!」

 

 

 ゴオオオオォ・・・ッ!!

 

 

 ルッカが、自身の持つ銃から同じように放った火炎放射で対抗した。

 

 

大臣「な、なにぃっ!?」

 

ルッカ「ふふん。火炎放射なんて、アタシが自分の武器を”銃”にすると決めた時点で付けるのは確定済みよ!!」

 

大臣「くっ・・・だがしかし!ドラゴン戦車を破壊できぬ以上、お前らに勝ち目など・・・!」

 

ルッカ「そうかしら?」

 

大臣「へ?」

 

 

 次の瞬間、ルッカの後ろから愛紗と鈴々、そしてクロノがドラゴン戦車に向かって飛び上がった。

 

 

大臣「な、なんじゃ?また頭への攻撃か?無駄無駄ァ!たしかに弱点ではあるが、傷ひとつ付けられんことはさっき証明済みじゃわい!」

 

ルッカ「・・・ただの攻撃じゃあね。」

 

大臣「は?」

 

ルッカ「圧倒的防御力が強みなのが”メカ”ではあるけれど、さすがに無敵ではないわ。どうしても避けられない”致命的弱点”があるのよっ!」

 

大臣「そ、それは・・・?」

 

ルッカ「それは・・・・・・”繋ぎ目”よっ!」

 

大臣「!?」

 

愛紗「はあああああああ・・・っ!」

 

 

 ズガァッ!!

 

 

 ドラゴン戦車の頭部を縦に走る繋ぎ目に向けて、愛紗の青竜偃月刀が振り下ろされた。

 しかし、わずかに傷が付いただけで破壊には至らない。

 

 

大臣「は・・・ぎゃははっ!やはり無駄ではないか!驚かせおっ・・・。」

ルッカ「まだよ。」

 

大臣「!」

 

鈴々「うりゃあああああ・・・っ!!」

 

 

 ガギイイィ・・・ッ!!

 

 

 今度は鈴々の丈八蛇矛が、ドラゴン戦車の頭部に残る愛紗の偃月刀の上に振り下ろされる。

 

 

 バキ・・・ィッ!!

 

 

 するとその瞬間、頭部の繋ぎ目に綻びが生まれた。

 

 

クロノ「うおおおおおお・・・っ!!」

 

 

 そこに追い打ちをかけんと、クロノの剣が二つの矛に振り下ろされる。

 

 

 ガ・・・ッ!

 

 

 そしてついに。

 

 

「「「”三重連全力斬り”」」」

 

 

 ズガアアアァ・・・・・・ッ!!!

 

 

 ドラゴン戦車の頭部はおろか、胴体もろとも両断された。

 

 

大臣「・・・・・・・・・!!!」

 

 

 大臣は目を見開き、口をあんぐりと開けて、目の前の光景が信じられず放心していた。

 

 

クロノ「やったぜ!」

 

鈴々「へへーん。どんなもんだい!」

 

愛紗「しかしこんな鉄の塊が動くとは・・・絡繰りというのは凄いものだな。」

 

大臣「ドドドドラゴン戦車がぁ・・・!は、早く直すんじゃ!」

 

兵士「はっ!」

 

 

 大臣は兵士を呼び、慌てて修理にかかる、が。

 

 

 ビキッ・・・ビキビキビキィ・・・!

 

 

大臣「へ?」

 

 

 ドゴォ・・・ン!

 

 

大臣「ぬわーーーーーっ!」

 

 

 先ほどのクロノ達の大技の衝撃によって橋は崩れ、ドラゴン戦車は落ちた。大臣と兵士も落ちそうになるが、間一髪で橋を掴む。

 しかし、その体勢は”猿の架け橋”状態であった。

 

 

ルッカ「・・・・・・よし、結果オーライ!」

 

クロノ「オーライかよ!」

 

ルッカ「さあ、とっとと逃げるわよー!」

 

 

 とルッカは躊躇なく大臣たちの橋を渡っていく。

 

 

大臣「ふぐっ!お、おのれ~~~!」

 

クロノ「だ、大丈夫かな・・・よっと。」

 

一刀「吊り橋とか苦手なんだよなぁ。う~こわ。」

 

大臣「うぐっ!ぐえ!」

 

鈴々「そ~れぇ!」

 

愛紗「こ、こら鈴々!そんなに勢いづけると橋が崩れるではないか!そー・・・。」

 

桃香「ご、ごめんなさい、失礼しま~す。」

 

大臣「おう!ぐ!あふぅ・・・!(な、なんじゃろうこの感覚は・・・。)いやいやいや!おぼえておれよ~~~っ!」

 

 

 あとに続くクロノ達にも踏まれ、最後の方は何かに目覚めそうになるも我に返った大臣の叫びが空しく響いた。

 

 

 

 

 

 

兵士「脱走だーーっ!!」

 

ルッカ「もたもたしてる時間はない、ここは強行突破しかないわね!」

 

 

 刑務所を抜け、城まで戻った俺たちを、ガルディア兵たちが待ち構えていた。

 

 

ルッカ「走るわよっ!」

 

 

 ルッカの合図と同時に駆け抜けていく俺たち、だが。

 

 

兵士「待てぇっ!」

 

クロノ「うわっ、前からも!」

 

兵士「逃がすなぁっ!」

 

桃香「横からも来るよ!?」

 

 

 兵士が続々と現れ、俺たちは囲まれていく。

 

 

鈴々「うぅ~、ぶっ飛ばしちゃダメなのか~?」

 

一刀「ダメだ、これ以上事態を悪化させたらどうなるかわからない、前の世界とは勝手が違うからやりにくいだろうが、ここは堪えるんだ。」

 

クロノ「っていっても、もう後がないぞ。」

 

ルッカ「く・・・ここまでかしらね。」

 

桃香「そんな~。」

 

 

 完全に囲まれ、ここまでかと思われた。そのとき。

 

 

???「おやめなさいっ!」

 

兵士「! マ、マールディア様!」

 

クロノ「え?」

 

 

 玉座の間の扉から、マールが姿を現した。

 

 

マール「その方々は私がお世話になった者たちよ、客人としてもてなしなさい!」

 

兵士「し、しかし・・・。」

 

マール「・・・私の言うことが聞けないの?」

 

 

 ゾクン・・・!

 

 

兵士「い、いえ、滅相もありません!」

 

一刀(うわ、また”アレ”だ。)

 

 

 戸惑う兵士に、中世(王国歴600年の時代をそう呼ぶことになった)で見せた、愛紗に教わった気迫飛ばしを再び発したマール。

 それを受けた兵士はすかさず平伏する。しかしそこに・・・。

 

 

???「そこまでじゃ~~っ!」

 

 

 聞いたことのある声が響いた。

 

 

ルッカ「大臣!もうあそこから戻ってきたのね・・・。」

 

桃香「ふえぇ、しつこいよ~。」

 

大臣「えぇい頭が高いっ!ガルディア王33世様の、おなぁありぃぃっ!!」

 

ルッカ「!」

クロノ「!」

マール「!」

 

 

 さらにそこへ、大臣とこの時代の現国王がやってきた。

 

 

マール「父上・・・。」

 

王「いいかげんにしろマールディア。お前は一人の個人である前に、一国の王女なのだぞ?」

 

マール「違うもん!王女である前に、一人の女の子なの!」

 

王「城下になど出るから悪い影響を受けおって!」

 

マール「影響じゃない!私が決めた事だもん!」

 

王「マールッ!」

 

マール「もうこんなとこいたくない!私、城出するわっ!」

 

王「なっ!」

 

大臣「マ、マールディア様!」

 

 

 父親との口論に嫌気のさしたマールは、ドレスを脱ぎ捨て、クロノの手をとる。

 

 

マール「行こう!クロノ!みんなも!」

 

クロノ「お、おいマール!?」

 

ルッカ「ほら行くわよっ。」

 

一刀「俺たちも行くぞ。」

 

桃香「う、うん。」

 

愛紗「・・・。」

 

鈴々「・・・。」

 

大臣「何をしておる!追え!追えーいっ!」

 

 

 そして俺たちは、城を脱出した。

 

 

王「マールディア・・・。」

 

 

 

 

 

 

 【ガルディアの森】

 

 

マール「あれ!こっちってたしか行き止まりじゃ・・・!」

 

桃香「え?」

 

ルッカ「あっ!なんでこっちに来たのよ!?」

 

愛紗「すまん、鈴々が先頭だったばかりに。」

 

 

 城を出てすぐ、再び兵士たちが追ってきたため走っていたのだが、どうやら鈴々が先頭なのを気にしなかったせいで行き止まりの道へ入ってしまったようだ。

 

 

鈴々「とにかく逃げようと思って適当に走ってたのだ、にゃはは。」

 

一刀「まいったな・・・。」

 

クロノ「どうするんだ?もう向こうには戻れそうもないぞ?」

 

ルッカ「どうするったって、行き止まりじゃ・・・ん?あれは?」

 

 

 道の終わり、行き止まりに入ったところで、ルッカが何かを見つけた。

 

 

ルッカ「ゲート!?」

 

 

 そう、中世のトルース山から現代へ帰る際に見た時空の歪みが、そこにあったのだ。

 

 

兵士「いたぞーっ!」

 

クロノ「まずい!見つかったぞ!?」

 

マール「・・・行こう!」

 

ルッカ「行こうって!どの時代に出るか分からないのよ!?今度は帰って来れるかどうかも・・・!」

 

マール「それでもいい!私のためにクロノが捕まっちゃうこの世界よりは!」

 

大臣「マールディア様ーっ!」

 

クロノ「どうするんだ!?行くなら早くしないと!」

 

一刀「俺たちは構わない・・・星たちを置いていくことになっちゃうけど。」

 

愛紗「朱里と雛里も心配するでしょうね・・・。」

 

桃香「大丈夫だよ、星ちゃんもいるし。」

 

鈴々「うぅ~何でもいいから早くするのだ~。」

 

ルッカ「ええいっ!もうどうにでもなれだわ!」

 

 

 大臣と兵士たちが迫ってくるなか、ルッカはゲートホルダーを掲げ。

 

 

 ギュイイイィ・・・ン!

 

 

ルッカ「行くわよっ!」

 

 

 開いたゲートで、またもや時間を越えることとなった。

 

 

大臣「さあ今度こそ観念・・・。」

 

 

 ギュイイイィ・・・ン!

 

 

大臣「き、消えた・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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