No.654869 九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~竜神丸さん 2014-01-15 16:32:10 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1973 閲覧ユーザー数:885 |
あなたは、仮面ライダーという戦士を知っているだろうか?
ある世界では、皆の笑顔を守る為に戦っていたり…
ある世界では、ライダー同士の戦いを止める為に奮闘していたり…
ある世界では、人間と異種族の共存を目指していたり…
ある世界では、街を泣かせる悪党を退治していたり…
ある世界では、絶望に陥った人々の希望になろうとしていたり…
様々な仮面ライダーが様々な理由を持って人々を守り、自分の戦うべき悪と戦い続けていた。
しかしその仮面ライダーが、ある世界では―――
風の吹き荒れし、広き荒野…
「―――ぅ、ん」
白いドレスを纏いし少女―――篝美空は眠りから目覚め、静かに瞼を開く。
「…? ここ、は…」
気付けば美空は、何も無い荒野で一人立っていた。風の吹く音以外に何も聞こえてこない事が、かえって不自然さを表している。
「私……何、で…ここ、に…?」
その時だ。
-ボゴォォォォォォォンッ!!-
「…ッ!?」
突如、美空から少し離れた先で謎の爆発が発生した。突然の爆発音に驚いた美空は、思わずその場にしゃがみ込んで頭を下げる。
「―――ぉぉぉぉぉぉ」
「…?」
「「「「「―――おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
爆発した後の煙の中から、謎の掛け声が聞こえてきた。それも一人ではなく、何十人も、何百人も、何千人もの人々の声だ。
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
煙の中からは、西洋の鎧を纏った兵士や和風の鎧を纏った兵士が大勢、姿を現した。馬に乗って走っている兵士もいれば、背中に紋章の記された旗を掲げている兵士、バイクに乗っている兵士、バズーカのような現代兵器を所持している兵士もいる。
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」
そして兵士達が向かって来ているのとは真逆の方向からは、複数のライオトルーパーが姿を現した。彼等も同じように走ったりバイクに乗ったり等して、兵士達を迎え撃つ形で進撃していた。
そして遂に兵士軍とライオトルーパー軍が相対し、それぞれが一斉に戦い始めた。ある兵士はライオトルーパーにバイクで跳ね倒され、あるライオトルーパーはバズーカによる砲撃を受けたりと、荒野は完全に戦場と化していた。
『ギャォォォォォォォォォォォンッ!!!』
「ッ…!?」
上空からは、黒い東洋の竜の姿をしたモンスターが姿を現した。黒き竜は口から青い炎の玉を連続で打ち放ち、地上にいるライオトルーパー達を攻撃し始める。
『Burst Mode』
更にその黒き龍を謎の銃弾エネルギーが攻撃し、強引に地上へ叩き落とした。その際、一部の兵士やライオトルーパー達が巻き添えを喰らう。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
「ぜやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
兵士軍からは漆黒の騎士―――リュウガ。
ライオトルーパー軍からは地の帝王―――オーガ。
両軍の大将とも言える仮面の戦士が姿を現し、美空の前で激しい戦いを繰り広げ始める。
「な……何、これ…」
誰も美空に対して目を向けず、ひたすら相手軍を蹂躙すべく戦い続ける戦士達。美空は頭を抑え、身を守るようにその場でしゃがみ込む。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
戦いに敗れ、倒れていく者達の断末魔。戦士の振るう武器が、敵兵の身体を斬り裂く音。
(いや…いや…)
どれだけ耳を塞いでも、それらの音が止む事は無い。むしろどんどん悪化し、戦いもより激化していく。
(いや…!!)
≪FINAL VENT≫
『Exceed Charge』
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」」
リュウガとオーガの二人が、互いに必殺技の構えに入る。リュウガは従えている黒き竜―――ドラグブラッカーと共に空中に浮かんでいき、オーガは手に構えた武器―――オーガストランザーから巨大な刀剣状のエネルギーを出現させる。
そして…
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」
二人の必殺技がぶつかり合った。
リュウガはドラグブラッカーの吹いた青い炎を纏ったキックを。オーガは高く伸びた刀剣状エネルギーを。
相手を打ち負かそうとするその強大過ぎるパワーは、その周りにいた兵士達を大きく吹っ飛ばした。
「ッ…きゃあっ!?」
もちろん美空も例外ではなく、彼女も同じように大きく吹き飛ばされ―――
「―――ッ!!!」
そして再び眠りから目覚める。
「はぁ、はぁ…」
急いで起き上がったその場所は、いつもの部屋だった。現在寝ているベッドも、自身がいつも見慣れているもの。身に纏っている服も寝巻きのままで、随分と汗だくになっている。
(夢、だったの…?)
あの光景は全て夢だったのか。そういった不安がイマイチ拭い切れないのか、美空の首筋を一滴の汗が流れ落ちる。
「あ、みっちゃんおはよう!」
「…!」
部屋のドアが開き、そこから咲良がひょこっと頭だけを出す。
「…うん、おはよう」
「? みっちゃんどうしたの…? 何だか、すごいつらそう…」
「大丈、夫……何とも、ない…から…」
心配そうに見つめる咲良の手を握り、美空は何も無かった事を示すべく笑顔を見せるのだった。
次元世界とはまた違う、一つの異世界…
「クククククク…」
「「「「「キシャァァァァァァァァ…!!」」」」」
とある洞窟の内部は、無数の異形によって埋め尽くされていた。その異形達が蠢く中で、一人の黒き戦士が長剣を構えた状態で玉座に座っている。
「無駄な足掻きをしてくれるなよ小娘……貴様が逃げたところで、我々の野望はもはや止まりはしないのだから」
黒き戦士は玉座から立ち上がり、長剣を右手に持ち替える。
「全ての騎神をこの手で倒し、
「「「「「ウォォォォォォォォッ!!」」」」」
「同志達よ、見せつけてやろうではないか!! この次元世界の全てに、終わりなき絶望というものを!! この私、騎神ディバイドが世界の頂点に立つその瞬間を!!!」
「「「「「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」」」」」
黒き戦士―――騎神ディバイドは剣を掲げ、高らかに宣言する。それは異形達の士気を高めるのには、充分過ぎる程の効果を発揮していた。
世界を巡る大きな戦いは、すぐそこまで迫ろうとしていた。
世界と世界が繋がりし時、全ての運命は交差する。
そこに残るものは果たして、希望か、絶望か。
答えを知る者は、一部を除き誰もいないだろう。
それでも戦士達は戦い続ける。
たとえ、進んだ先に何が待ち構えていようとも。
後戻りが出来てしまう程、運命は決して優しくないのだから。
Tweet |
|
|
2
|
0
|
追加するフォルダを選択
プロローグ