No.654669

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

策謀:楽園で暗躍せし者達

2014-01-14 18:56:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1192   閲覧ユーザー数:842

「やれやれ、どうしてくれましょうかね」

 

「いや、どうしてくれましょうかって言ってもな…」

 

デルタとawsが呆れた様子でチェーンバインドに目を向ける中、なのはとフェイトが二人に接近する。

 

「殺人罪で、あなた達を逮捕します」

 

「そして、ここで何をしていたのかも、洗いざらい説明して貰います」

 

「…はぁ」

 

デルタが溜め息をつく。

 

「…確かあなた達、高町なのはにフェイト・T・ハラオウン……でしたっけ? 実に嘆かわしいですね。相手との力量も、碌に見極める事すら出来ないなんて…」

 

「? …何を言っているのかは知りませんが、大人しく同行を願います」

 

「言っておきますが、そのバインドは簡単には解けません。抵抗は無駄な行為です」

 

「抵抗は無駄、ねぇ……つまり」

 

-バキィィィィンッ!!-

 

「「!?」」

 

「無駄じゃない抵抗なら、構わないという事ですね」

 

なのはとフェイトの前で、デルタは簡単にチェーンバインドを引き千切って見せた。その横ではawsもチェーンバインドを難なく引き千切っている。

 

「そんな、力ずくでバインドを…!?」

 

「この私でも簡単に解けるバインドとは……正直がっかりですね。管理局期待の新人が、この程度の実力しか無いなんて」

 

「ッ…抵抗すれば、余計に罪は重くなりますよ!!」

 

「重くなっても別に結構。私達は元から、罪の深過ぎる存在ですし」

 

「ならば、力ずくでもあなた達を拘束します!!」

 

なのはが離れた位置で複数の魔力弾を生成。それをデルタに向けて放とうとするが…

 

-シュピィィィィィン-

 

「ッ!?」

 

「すまないが、そうはさせない」

 

既になのはの後方に移動していたawsが一閃した事で、全ての魔力弾が掻き消される。

 

「ッ…あなたも抵抗するつもりですか!!」

 

「何を言っているんだ君は……答えなど既に、分かり切っているだろうに!!」

 

「く…!!」

 

なのはが防御魔法であるプロテクションを発動するも、awsが繰り出す居合いからの一閃であっという間に突破される。プロテクションが破られると同時にawsが素早くなのはに斬りかかり、なのはもレイジングハートで何とか攻撃を防ぐ。

 

「なのはっ!!」

 

「あなたの相手は私です」

 

「な、うぁっ!?」

 

なのはの下へ助太刀しようとするフェイトだったが、デルタの妨害を受けた事でそれは叶わない。

 

「この…邪魔をしないで下さい!!」

 

「邪魔だと思うなら、私を倒してみなさい。出来ればの話ですがね」

 

「戯言をっ!!!」

 

フェイトが周りに雷の魔力弾を生成するのを見て、デルタも手にしていた軍刀を鞘から抜き取るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OTAKU旅団アジト、楽園(エデン)

 

 

 

 

 

 

「んあ~良い風呂だった♪」

 

普段の疲れを取る為に風呂に入ったからか、こなたはサッパリした様子で通路を歩き、自分の部屋まで戻ろうとしていた。

 

その時…

 

「ん?」

 

何かに気付いたこなたは、通路の曲がり角に姿を隠す。そんなこなたの隠れている曲がり角の近くを、竜神丸が通り過ぎていく。

 

(竜神丸? 何だってこんな場所に…)

 

普段の竜神丸なら風呂場には行かず、研究室に設置してあるシャワーだけで済ませる筈。なので彼が風呂場のあるフロアを通る事は無い筈なのだが、何故かそのフロアに竜神丸がやって来ている。

 

(…ちょこっと様子だけでも見てみよっかな)

 

若干の興味を抱いたこなたは、尾行する事に決めたようだ。彼女は竜神丸に気付かれないよう、こっそりと後を追っていく事にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、デルタ達のいる次元世界…

 

 

 

 

 

「フォトンランサーッ!!」

 

「おっと」

 

フェイトが放つ複数の槍状の魔力弾を、デルタは軍刀と鞘の両方を使って上手く防いでいた。現在はフェイトがとにかく攻め続け、デルタがそれを防ぎながら一歩一歩下がっている戦況となっている。

 

「答えなさい!! あなた達は何者ですか!! 何が目的で殺人なんて…!!」

 

「私が何者なのか、そんな事をいちいち教えると思いますか?」

 

飛んで来た魔力弾最後の一発を弾き、デルタはすかさず接近して来たフェイトの振るうバルディッシュを軍刀で受け止め、鍔迫り合いの状態になる。

 

「まぁ、あなた方は管理局から相当期待されている魔導師なようなので、特別にヒントだけでも差し上げましょうかね……烈火の将、シグナム」

 

「!?」

 

「彼女は少し前に、私達の仲間と遭遇しています」

 

「シグナムさんが…ッ!?」

 

デルタの言葉を聞いて、フェイトがハッと気付く。

 

「まさか……OTAKU旅団…!!」

 

「That's right♪ まぁ、今回は正解という事にしておきましょう」

 

そう言った直後、鍔迫り合い状態だったフェイトが素早く離れ、そして再びデルタに猛攻を加える。

 

「おや? 急に攻撃が荒々しくなりましたね」

 

「OTAKU旅団!! あなた達は私達、時空管理局が拘束します!!」

 

「ヤケに元気な事で」

 

デルタの軍刀とフェイトのバルディッシュが何度もぶつかり合い、火花が飛び散る。このままでは埒が明かないと判断したデルタは一旦後ろに下がって距離を取ろうとし、フェイトがそれを追いかける。

 

「OTAKU旅団!! あなた達が犯した罪の所為で、多くの命が失われてきた!! あなた達だけは絶対に逃す訳にはいかない!!」

 

「正義感が強いのは結構。しかしそれだけ正義感が強い割には…」

 

フェイトの振るったバルディッシュを、デルタは鞘を使って上手く受け流し…

 

「隙だらけです!!」

 

「な…ぐぁっ!?」

 

フェイトの左太股に、軍刀で一閃を加える。斬られた左太股からは血が噴き出し、その痛みでフェイトは動きが鈍る。その隙にデルタが彼女に強烈なキックを加え、倒れたところに軍刀で斬りかかる。

 

「ほらほら、どうしました? あなたの実力はその程度ですか?」

 

「痛ぅ…嘗めるな!! バルディッシュ!!」

 

≪Yes,sir≫

 

バルディッシュの形態が戦斧から大鎌へと瞬時に変化。それがデルタに振るわれるも、デルタは少し身体を逸らすだけで回避してみせる。

 

「遅いですね。所詮、速さもこの程度…」

 

「まだだ!!」

 

「な、チィ…!!」

 

フェイトが突き出した掌に魔法陣が出現し、そこから一発の魔力弾が至近距離でデルタに向けて放たれる。デルタは素早く鞘で防御する事でダメージは防げたものの、攻撃を受けた衝撃で後方へと吹っ飛ぶ。

 

「捕まえてみせる……絶対に!!」

 

≪Zanber Form≫

 

大鎌だったバルディッシュが更に大剣へと変化。フェイトは大剣となったバルディッシュを手に、宙に舞っているデルタに再び斬りかかる。

 

「ふむ、少しはやるようですね…!!」

 

「あなたに褒められたところで、何も嬉しくない!!」

 

「おや、それは失礼」

 

互いの武器のぶつかり合いが続く中、二人は一旦離れて距離を取る。フェイトは左太股から血を流した状態で息も若干切れ掛かっているが、デルタは未だ平然と軍刀を構えている。

 

「ハァ、ハァ…!!」

 

「その傷ついた足で、よく動くものです。そこまでして私達を捕まえたいですか」

 

「当たり前です!! あなた達OTAKU旅団のような卑劣な組織を、私達は絶対に許さない!!」

 

「許さない、ねぇ……本当にそれだけですか?」

 

「何…!?」

 

デルタはほんの少し構えを解いた状態で、フェイトに探りを入れる。

 

「先程から、意地でも私を倒そうと躍起になっている……しかしそれには民間人を守る為というより、何か別の意図もあるように思えます」

 

「何が言いたい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた、もしや旅団に知り合いがいるとか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!!!」

 

デルタが挑発気味に放った一言に、フェイトは思わず目を見開いた。

 

「…その反応、やはり的を射ていましたか」

 

「ッ……わ、私は…!!」

 

「余所見は禁物!!」

 

「ッ!?」

 

デルタの投擲した二本のナイフがフェイトに向かって飛んでいき、フェイトがプロテクションを張ると同時に大爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディバイン……シューターッ!!」

 

「む…!!」

 

一方で、なのはもawsとの戦闘では防戦一方となっていた。先程から繰り出している砲撃は悉く回避され、接近してきたところをバインドで封じようとしてもすぐに逃げられる。awsの多彩な戦法に、なのはも思わず歯軋りせざるを得ない状況だった。

 

「この……いい加減に当たって下さい!!」

 

「無茶を言わないで欲しいものだ……なっ!!!」

 

飛来する魔力弾を刀剣で打ち消し、awsは空中の所々に足場用の魔法陣を出現させながら、空中のあちこちをを駆け回っている。

 

(この人、さっきからこっちの戦法がまるで通用しない…!!)

 

「どうした? まさか、これで終わりという訳でもないだろう?」

 

「く…当然です!!」

 

「!」

 

レイジングハートから放たれたバインドがawsの構えている刀剣に命中し、厳重に縛り付けられる。

 

「やった…!!」

 

「そうきたか。ならば」

 

「ッ!?」

 

awsはバインドで縛られた刀剣をあっさり手放し、素手のままで空中を移動してなのはに接近する。

 

「そんな…!!」

 

「天道突き……破ァッ!!!」

 

「くっ!!」

 

awsの繰り出した拳と、なのはが咄嗟に発動したプロテクションがぶつかり合う。しかしなのはのプロテクションの方が、少しずつひび割れていく。

 

「そ、そんな…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

結果、プロテクションは粉々に打ち砕かれ、なのはは岩山の壁まで吹っ飛ばされてしまった。

 

「ふぅぅぅぅぅ…!!」

 

awsは地面に着地してから、大きく息を吐く。そして岩山の壁には、吹っ飛ばされたなのはが大きく減り込んでしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、デルタとフェイトの戦闘も決着が着きそうな状況になっていた。

 

「が……かは、ぁ…!!」

 

「管理局から期待されていると言っても、所詮はこの程度ですか。期待外れですね」

 

デルタによって首を掴まれ、持ち上げられているフェイト。身に纏っていたバリアジャケットはデルタによって切り刻まれたのか、あちこちが肌が見えるほどボロボロになっている。

 

「イマイチ殺す気にもなれませんでしたし、もう良いでしょうかね…………寝ていなさい」

 

-ズドンッ!!-

 

「が…」

 

デルタの膝蹴りがフェイトの腹部に炸裂し、それがトドメとなってフェイトはその場に崩れ落ちた。

 

「こんなのが執務官を勤めているとは……管理局も相当、切羽詰まっているという訳ですか…」

 

デルタは倒れたフェイトに背を向け、その場から立ち去っていく。

 

「う、ぁ…」

 

デルタが立ち去っていく中、倒れたフェイトは少しずつ意識が薄れていこうとしていた。

 

「キリ、ヤ…」

 

フェイトの目にはデルタの後ろ姿が、自身の最愛の人物と重なって見えていた。フェイトは涙を流しながら震える手を伸ばそうとするも、途中で完全に意識がブラックアウトするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、終わったようだな」

 

「えぇ、問題なく。早く戻りましょう」

 

「あぁ。転生者の遺体も、こちらで既に処理は終えている」

 

合流したawsとデルタ。awsが通信で楽園(エデン)に迎えを寄越そうと連絡を入れる中、デルタは近くの岩に腰を下ろす。

 

「ん……ゴホ、ゴホッ!」

 

awsに見られない位置で咳をつくデルタ。掌を見ると、そこには僅かに血が付着していた。

 

(抑制剤を使っても、完全には抑えられないか…)

 

先程フェイトと戦闘を繰り広げていた際も、フェイトの繰り出した攻撃に目では追えても身体が上手く動かないという事態が何度かあった。やはりコジマに汚染された身体で戦闘を行うには、少々無理があったのかも知れない。

 

(ッ……それでも、私は倒れる訳にはいかない。今はまだ、倒れる訳には…)

 

「デルタさん、どうかしたのか?」

 

「いえ、大丈夫です。何でもありませんよ」

 

デルタは口元を手で拭い、awsには何事も無かったのように振舞って見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、こなたは…

 

 

 

 

 

 

「…書庫?」

 

竜神丸を尾行し続けていた結果、地下の古い書庫まで辿り着いた。ちなみにこの時点で竜神丸を見失ってしまっており、手当たり次第探って回っているところである。

 

楽園(エデン)の地下に、ここまで古い書庫なんてあったっけ~な…っと」

 

書庫の最深部にて、こなたは行き止まりに行き着いた。本棚には様々な古い本が整理されているが、その中で一冊だけ不自然に突き出てしまっている。

 

「…典型的なパターンって奴かね」

 

その突き出ている本をこなたが手で押し込むと同時にカチッという音が鳴り、行き止まりだった筈の壁が少しずつ開かれていく。

 

「まぁやっぱりだ」

 

見事に隠し階段が発見され、こなたはその階段を少しずつ下りていく。

 

(しかし、こんな場所に一体何があるってんだい? 機密情報でも置いてあるのか、それとも…)

 

階段を下り続けていった結果、怪しい液体の入った巨大カプセルの並ぶ薄暗い通路に辿り着いた。

 

「…引き返せば良かったかな」

 

元々真っ暗な場所が苦手であるこなたは引き返そうとするが、元来た道は完全に閉まってロックされてしまう。

 

「うへぇ、勘弁してよぉ…」

 

こなたは若干涙目になりながらも、カプセルが並ぶ通路の先へと進んでいく。そして通路の曲がり角まで来た時である。

 

 

 

 

 

 

「やはり、そちらも苦労しているみたいですねぇ」

 

 

 

 

 

 

(…!)

 

竜神丸の声が聞こえてきた。こなたはすかさず曲がり角で立ち止まり、こっそりと覗き込む。

 

「困ったものですよねぇ。土の下の連中は、どうにもセキュリティーがなってないみたいで」

 

『おまけに、そこら中が瘴気だらけだからな。おかげでこっちは気分が悪い』

 

「そう言わないで下さい。今はあなたの協力も必要な状況ですから」

 

(…誰と話してるんだ?)

 

どうやら竜神丸は、通信で誰かと会話しているようだ。しかし会話の内容までは聞こえてこないのか、こなたは何とか聞き耳を立て続ける。

 

『わざわざ“アレ”なんかの為に動かなきゃならんとは、俺達もとんだ不幸者か?』

 

「本当です。今じゃ“アレ”の存在を認知しているのは団長の他に、私とあなたしかいませんし」

 

(“アレ”? 何の事だろう…?)

 

『だが、俺達三人だけではそろそろ手が足りん。誰か一人くらいは補助が欲しいところだな』

 

「それについてはご心配なく。それらしい候補は見つけて……っと、ちょっと待って下さい」

 

『ん、どうした?』

 

「すいません。どうやら現在…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネズミが一匹、ここへ迷い込んで来ているようで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(!! 気付かれたっぽい…!!)

 

こなたは急いでその場から逃げようとする。

 

「え…うわぁっ!?」

 

「…!!」

 

しかし既に真後ろまで回り込んでいたのか、イワンがすかさずこなたの頭を掴んだ。身長差があり過ぎる所為かこなたはイワンに持ち上げられ、そのまま竜神丸の下まで連行される。

 

「盗み聞きとは良い趣味をしてらっしゃいますねぇ、こなたさん?」

 

「ア、アハハハハハ…」

 

こなたは冷や汗をかきつつも、内心ではこっそり転移する算段をつけていた。

 

しかし…

 

(!? あれ、転移が出来ない…!?)

 

何故か、こなたの転移魔法は発動しなかった。想定外の状況に内心で焦るこなただったが、何度やっても転移魔法は発動しない。

 

「無駄ですよ。少なくともここでは、あなたの能力は役に立たない(・・・・・・・・・・・・・)

 

「!? どういう事―――」

 

こなたの顔が、竜神丸の左手に掴まれる。

 

消去(デリート)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――あれ?」

 

気付けば、こなたは自分の部屋のベッドに寝転がっていた。

 

隣のベッドではアキやアスナ、咲良や美空が気持ち良さそうに眠っている。

 

(私、さっきまで……あれ? 思い出せない…)

 

何故自分が既に部屋に着いているのか記憶を辿ろうとするも、何故か何も思い出せない。

 

「…まいっか♪ 寝~よっと」

 

もはや、途中で考えるのも面倒になったのだろう。こなたは枕に顔を突っ伏したまま、その状態で深い眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫なのか?』

 

「はい。ここで見聞きした事、全て忘れて貰いましたから」

 

『…そうか』

 

地下室では、竜神丸が通信で会話を続けていた。

 

『それで、さっき言っていた候補というのは…』

 

「えぇ……口が非常に堅く、実力もあるメンバーが一人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デルタさんにも、ご協力頂こうと思っているところでしてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不穏な空気は、楽園(エデン)でも起こり始めていた。

 


 
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