No.643033

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 十三話

XXXさん

仮面編

再生怪人は大して苦戦しない

2013-12-06 06:44:04 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2290   閲覧ユーザー数:2116

未だに残っている三人の王と将…関羽、楽進、孫策。

彼女達はただ試合に参加しなかっただけではないのだろう。

その目には怖じ気さと言うものが感じられない。

 

「まあね、魔神君が強いのは十分分かってるし~?この前の戦いの再戦もしたいし♪」

「私は純粋に平沢殿と手合わせをしたいからです」

「……私は、少し気になる事がありまして……」

「ふーん?楽進のはよう分かんないけど、俺とサシでやりたいんだな?」

 

ぶらぶらと刄金とその鞘を揺らすリトはかなり余裕そうだ。

この三人と呂布、さらには孫堅、馬騰、華雄抜きで来た将達を相手にしたとは思えない。

息も切れていなければ、汗も掻いていないのだ。

 

「んで、最初は誰からやるんだ?」

「じゃああたしが行く~~~!」

「雪蓮、本気は出さないんだよ。分かったかい?」

「え~!?何でよ、魔神君強いんだから本気出さないと…」

「いいからそうしな」

やる気を出している孫策に孫堅が忠告をする。

された本人はぶー、と頬を膨らませているが…

そんななか、孫権が孫堅に質問をしていた。

 

「お母様、何故姉様に本気を出すなと…あの者の実力は私でも分かります!それなのに…」

「相変わらず、お堅いねぇ…まあ見てな」

「――それじゃあ、いっくわよ~!!」

「もう一回、躾するかな…」

 

南海覇王を構え、突撃する孫策にリトは刄金を鞘に収め突撃。

孫策が剣を振るう瞬間、加速してその手首を掴むと彼女の後ろに回り関節を決める。

一瞬怯んだ孫策ではあったが足払いをしてリトのバランスを崩すと脱出、さらに体当り。

リトはそれを後ろに受け流しながら巴投げの要領で孫策を投げ、転がりながら体勢を立て直す。

一方の孫策はちっ、と舌打ちをしながら立ち直っていた。

 

「相変わらず攻撃してこないのね、そんなに殺す気が無いのかしら!」

「おいおい、これは試合だぜ?殺さねぇよ、あと俺は女の子は殴らない主義だ。当て身とかは別だけど」

「…随分と甘いのね?」

「ああ、俺はどっちかって言うと甘党なんだ」

 

ブチィ――

どこからかそんな音が聞こえてくる。

その音の主は孫策……彼女はさっきの言葉が気に食わなかったのか、それとも己の誇りを傷つけられたのか…怒りが頂点に達したのだろう。

蒼い目は鋭くなり、息使いと雰囲気がまるで変わっている。

まるで…虎のようだ。

その様子を、外野で見ていた孫堅はつまらなそうに呟く。

 

「あーあ、やっちまったねぇ…終わっちゃったじゃないか」

「確かに、今の姉様は魔神といえど苦戦すると…」

「そうじゃないよ、終わるのは雪蓮の方さ」

 

えっ、と孫権は孫堅の方に目を向けると…何故かうっとり、とした目でリトを見ていた。

隣にいる馬騰と華雄は何かを思い出したかのように、ああ…と言っている。

 

「雪蓮のあの状態は正直いってあたし譲りさ。本能剥き出しで戦うのはね」

「それが…どうかなされたのですか?」

「あたしがあいつに助けられた時に、まだ療養で動けなかったんだけど抜け出そうと思ってたのさ」

「そしてオレと華雄が来たときに脱出を計画してさ。やったのはいいんだけど、見つかって…」

「それで、戦ったのだが…勝てなくてな。その時、孫堅は今の孫策のようになったんだが…」

 

そう言った華雄の視線の先には―――

 

 

 

「ゥ…ウウウウ…!?」

「親子…だなぁ…」

 

地面にぺたりと座り込み、震える目でリトを見る孫策の姿があった。

 

「…あんな感じになっていたな」

「馬鹿言うんじゃないよ、あたしは立ってるのでやっとだったのさ」

「ビビってたのは否定しないんだな…」

 

唖然…周りで試合を見ていた表情はほとんどそうだった。

 

孫策はあの虎の状態になった瞬間、察してしまったのだ。

今目の前にいる男の…底知れない恐ろしさに。

汗が吹き出る、脈が早くなる、体の温度が下がりだす。

最終的に足に力が入らず…現在のようになっている。

「あ…あぁ…!」

「あー、大丈夫?」

「こ…し、抜けて…立てない…」

「そんじゃ退場ね……よいしょ」

 

いつもの状態に戻りかけていた孫策だが、腰が抜けて立てそうにない。

そんな孫策を見てリトは孫策を持ち上げる。

いわゆる…お姫様だっこで。

 

「ちょっ…何やって…!?」

「立てないんだろ?だから俺が孫権達の所に連れてく」

「だからってこんな格好で…!」

「いいじゃん、敗者は勝者の言うこと聞けよ。それに美人をだっこするのは役得だしな」

 

腕の中で抗議している孫策だが、その顔はほんのり赤い。

一方のリトはどこ吹く風と言う顔で軽くあしらう。

それを見ていた孫堅はにやにやしている。

 

「ほらね、こうなるのさ」

「まさか…堅殿…」

「なんだい?察しの通り、あたしゃあいつに惚れてんだよ」

 

一瞬…たぶんザ・ワールド的な感じで時が止まった。

主に呉勢が。

そうしている間にもリトは孫策を運び終えて再び闘技場に戻る。

 

「それで、次はだーれだ?」

「…では、私がお相手をします」

「凪…やれるのか?」

「はい、私で対抗できるか分かりませんが…」

 

次に名乗りを上げたのは楽進。

関羽はその後ろに下がりながら呼び掛けるが、一言大丈夫だと言っている。

そして楽進は構え、リトは刄金を鞘に収め拳をつきだした。

 

「楽進相手なら、刄金よりこっちがやり易いな」

「やはり、貴方も武術を」

「まあね。いろんな武術を取り入れた我流だけどさ」

「では、平沢殿…。先程言われていた女を殴らないと言う事を、私にやらないでいただきたい」

「何で?」

「同じ格闘を得意とする者同士で手加減をされたくありません。ですので、全力を」

「全力ねぇ…やってもいいけど、俺は一発しか技を出さないから。それしか全力を出さないよ?」

「構いません。お願いします」

 

楽進からでる緊迫した雰囲気………それを受け流すリト。

誰かが息を飲んだ瞬間、楽進は咆哮を上げながら走り出した。

対するリトはただ楽進を見ている。

そして、楽進の渾身の蹴りが繰り出されたが、リトは特殊な型…梅花の型で受け流された。

この一撃で決めるつもりだったのか、楽進に大きな隙ができる。

次の瞬間、リトは楽進の腹部に……小さく前ならえした。

 

「小さく前に~~、ならえ!」

「「「…え?」」」

「―――無拍子ッッッ!!!」

「かはっ!!」

リト以外の全員が呆然としている中、一瞬で突きを楽進の腹部に打ち込んだ。

刹那と言ってもいいほどの速さ、必殺と言ってもいいほどの威力。

楽進は数メートル先まで後ろに吹き飛ばされた。

「…う、ぐぅ…!」

「察して後ろに跳んだのはいいけど、それじゃあ続きはやれないだろ?」

「え…え。正直…言いますと…!」

「あばらは折れてないはずだから、今日は休みなさいな」

 

そう言って楽進に手を伸ばすリト。

楽進は少し戸惑うが、その手にゆっくりと手を掴もうとした。

だが―――リトの超直感が騒ぎだし、差し出した手を刄金に伸ばし、そのまま楽進を……いや、楽進の正面を斬る。

空間は裂け、楽進は吸い込まれて李典のすぐ隣にできた空間の裂け目から出てくる。

すると間髪入れずに、今まで楽進がいた地面が盛り上がり、人とは言いきれない腕がリトの首を掴んだ。

 

 

「「「なっ…!?」」」

「な、何よあれ!?」

 

周りにいた者達は初めて見る物に目を丸め、賈駆が叫ぶ。

さらにはその異形の腕以外にも、地面からまるで闇のように黒い渦ができるとそこからジャガーのような怪人とゴキブリのような怪人、そして同じような覆面の集団が湧いて出てくる。

 

「「「イーーーーーーッッ!!」」」

「グルルルゥ…!」

「キチキチ…」

「これが…まさか…!」

「怪人とか言うやつか!?」

 

目の前の怪人を見て、夏侯姉妹がまさかと思う。

その予測は当たっており、目の前にいるのは怪人、しかも三体。

現在リトとの試合によりほとんどの将が武器を失っている。

そんななかで戦えるのはごく一部……ジャガーの怪人が腕の鋭い刃物を構えながら将達の元へ駆け出すが、そこに緑色の物体がぶつかりジャガーの怪人は転がった。

その緑色の物体は怪人…飛んできた場所にはリトがいる。

 

「サラセニアンにハサミジャガー…それにゴキブリジンかよ。あとはショッカー、デストロン、ネオショッカーの混合戦闘員共…正直ゴキブリジンには帰ってもらいたいな」

「リトくん!」

「再生怪人は大して苦戦しないけどな……とりあえずちょうどいいかな」

 

リトはそう言うと腰に手を当て、ベルト…アークルを出現させる。

そのまま特殊なポーズをして三体の怪人の正面に立つと、後ろにいる桃香達にいい放った。

 

「いいかお前ら!改造人間に…怪人に対抗できる存在を教えてやる」

「何っ…?」

 

「変身…ッ!」

 

リトがさほど大きくないが力強い声を出すとゴキブリジンの顎目掛けてアッパーをし、隣のハサミジャガーの腹部を蹴る。

サラセニアンの放つ鞭をかわして顔面を殴る頃には、リトの姿は別の物に変わっていた。

赤い装甲、赤い複眼、クワガタを連想させるような『仮面』。

 

「えっ…!」

「変わっ…た!?」

「――これが怪人に対抗できる戦士… 名を仮面ライダー」

 

「俺は仮面ライダー…クウガだ!」

 

叫び、クウガはハサミジャガーに回し蹴りをする。

左右からサラセニアンとゴキブリジンの鞭と拳が飛んでくるが、それは地面に倒れる形で回避…そのまま足払いをして二体の怪人を転倒させ完全に地面につく前にローキックで吹き飛ばした。

三体の怪人に隙ができたのを狙ってこんどは混合戦闘員の元へ行く。

一体一体の耐久率が高くないのでクウガのパンチとキック一、二発で消滅した。

 

「そいやっさぁぁ!!」

「「「イーーーーーー!?」」」

「すごっ…」

「…はっ!?何をしている、我等も侵入者を撃退するのだ!」

「あ、じゃあ戦闘員よろしくね?」

 

クウガに変身したリトに驚き、思考が停止した関羽だったが我に帰り周りの兵に指示を出す。

一方のクウガはゴキブリジンの腹部にラッシュしながら軽く言う。

いつの間にやっていたのか…三体の怪人達はボロボロになっている。

 

「そんじゃあ、そろそろ終わらせるか」

「キ…チチ…」

「去らば、台所の魔物とその他……オリャァァァァァァァァ!!!」

 

クウガは三体が一直線上に並んだ瞬間、空中に高く跳び一回転して蹴りを入れた。

【マイティキック】は最初のゴキブリジンを貫通し、サラセニアンとハサミジャガーを貫く。

その貫かれた風穴の中ではばちばちとコードの火花が散っている。

そして、三体の怪人は爆発していた。

 

 

「こっちは終わりっと…そっちも…もう終わりそうだな」

「―――っふ!!」

「「「おおおおおおおおおおお!!!」」」

 

変身を解除して戦闘員達がいる場所を見るリト。

試合に参加していなかった呂布を筆頭に兵達が戦闘員を殲滅していた。

ただ兵達は無傷と言うほどではなく、あちこちに切り傷を負っている。

 

「あらら、やっぱ怪我したか…」

「平沢殿…先程の姿は一体…」

「ん?仮面ライダーだよ。名前はクウガ」

「そう言うことでは…!」

「そんなことより華陀呼んできて。重傷なのは見せてもらって、そうじゃないのは薬か包帯巻いといてさ」

 

関羽が少し戸惑いながら聞くが、リトは欲しい答えを答えない。

さらに探求しようとするが、その前にリトは華陀を呼ぶように言った。

確かに今は負傷者の手当てをした方がいいだろう。

酷い人物では腹部から血が出ている者がいた。

そして数分後、華陀がよばれ兵全員の手当てが完了。

同盟記念の会場は無事だが活気が無くなる。

目の前に出てきた異形…その実力。

そして仮面ライダー…それらの整理も含めて静まりかえっている。

 

「…それで、さっきみたいな怪人がまたやってくるのね?」

「まあな。全部の組織の複製が作られてるのだとすれば、怪人は三桁位になりそうだな」

「そんなに…!?」

「戦闘員を含めなければな。含めれば…まあ四桁にはなるな」

 

言葉の通り桁違い…各将、軍師、王の考えている事が一致している。

そんな様子を見かねたリトはうっし、と言って席を立った。

そして、張角の元へ行くと頼み事をした。

 

「張角、マイク…声を大きくする道具、貸してくんね?」

「いいけど、どうするの?」

「使う。暗い雰囲気やだし、ストレス発散のためにやる」

「すと…?じゃあ…はい。壊さないでね」

 

ありがと、とマイクを受けとったリト。

ステージに上がると、ケータロスを取りだし起動。

すると陽気な音楽が流れ出した。

 

「と言う訳で、平沢梨斗歌いまーす」

「「「…はぁ?」」」

「曲名は…『おジャ魔女カーニバル』☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」」

 

一刀「…とうとうやりやがったな、仮面ライダー要素」

XXX「宣言したからにはやるんだよ」

一刀「てか雪蓮、あの反応って…」

XXX「フラグ立たせた。まあ孫堅の反応見るからに…ねぇ?」

一刀「凪…大丈夫かな」

XXX「手加減はしたんだよ。威力すごいけど」

一刀「それより何故に昭和シリーズの怪人にしたんだ?」

XXX「平成シリーズにするとチート掛かってる奴いるし、デカイ敵とか多いだろ?」

一刀「デカイって……それ専用のライダーに変身すればいいんじゃないのか?」

XXX「この小説では平成主人公のライダーが全員出てくるとはかぎらないよ?むしろサブとかラスボス級とかがある」

一刀「ラスボス……はリトか」

XXX「イェアス!」

 

一刀「では、次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神 十四話は!」

XXX「仮面編 “凄く生き生きしてる”。最後まで言わなかったけど次回はカラオケ回です。リトの十八番はまあ、うん」

一刀「アニソン中心なのは変わらないんだなそうなんだな」

 

再見Ο∀Οノシ


 
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