No.639205

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 八話

XXXさん

魔神編

それが私の…

2013-11-23 14:26:26 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2591   閲覧ユーザー数:2380

雨が降る日…蜀・成都。

そこにある城の一室で、劉備は溜まっている政務をしていた。

約一月前…彼女達は悪政をしていた劉璋を不満を持っていた民達と力を合わせ倒し、ここ…蜀を建国。

まだ纏まりきらない所で大忙しなのだ。

 

ちなみに何故劉備だけなのかと言うと、ほぼ全員が仕事―――約一名サボりがいるが―――をしているためであった。

目が疲れ、肩も凝った事もあり、劉備は背伸びをする。

 

 

「ん~~~~~!!…っはぁ……やっぱり一人じゃきついよね~…。と言っても私しかいないし…」

 

 

そうは呟いてみるものの、誰かが手伝ってくれると言う訳ではない。

これは自分の仕事……きちんとやり遂げなければならないのだ。

 

 

「さて続き…。でもちょっとは息抜きしたいなぁ…。でもこんな雨だしお散歩できないや」

 

 

不満を言いながら外を見る劉備。

今もなお、雨は降り続けている。

そのため、気分転換として外にいくことは出来ない。

城の中に居ようとも、あまり意味がないのだ。

 

 

「早く晴れないかな~……最近運動してないから…ちょっとお腹が…」

 

 

そう言って劉備は自分の下腹部を露出させ、周りを少し掴む。

正直そのくらいが丁度いい位なのだが、年頃の女の子は気にする。

魏延がもしここにいたら、そんなことはないと言うだろう。

もしくは下腹部を露出させたことにより、鼻血を出すか…。

 

「はぁ~…」

 

『――――……何をしている、劉備?』

 

「………ふぇ?」

 

 

ため息を吐き、少々落ち込んでいると…

何故か聞き慣れない声がする。

むしろ、かなり前に会ったままのような…。

そしてゆっくりと振り返る。

そこには……いつの間に窓を開けて入ってきたのか、ずぶ濡れの…魔神がいた。

 

「まっ…まじ…むぐっ!?」

 

『すまないな、ここで騒がれては困る』

 

 

想定外の人物が急に現れ、思わず大声をあげそうになる。

だがその前に魔神は劉備の近くに移動。

すぐに口を塞いだ。

 

 

「むっ…むぅ…!」

 

『あっ…ごめ…すまない、今放す』

 

 

モゴモゴと顔を赤くしながら、劉備は魔神に何かを伝えたそうな表情で見た。

魔神本人は息苦しいと思い、放してくれと言う意味で赤くなったと思っているが、実際にはそうではない。

先ほどまで、自分の下腹部を露出させながら腹を掴んでいたのだ。

いくら仮面を着けていても体格と声から男性と分かる人物に、異性に見せたことのない腹を見られた羞恥から赤くなったのだ。

 

 

「はぁ、はぁ…。えっとぉ~…魔神さん……ですよね?」

 

『ああ』

 

「いつの間に入ってきたんですか!?」

 

『…貴様が背伸びをした辺りからいた。…それよりも他に気にすることはないのか?』

 

「気にすること?…あっ、体濡れてるじゃないですか!何か拭くもの…」

 

『………いい、時間が経てば乾く』

 

 

マントで分からないが劉備に対し、魔神は肩を落とす。

普通なら、何の用で来たのか、と言いながら警戒するだろうが逆に心配された。

一国の城主とは正直思えない。

 

 

「それで…あの、今日はどうしてここに?」

 

『それを一番聞きたかったんだがな』

「す、すみません…」

 

『謝るな。貴様がそう言う性格なのは分かっている』

 

「はい…って、それどういう…」

 

『貴様の答えを聞かせてもらおう』

 

 

やっと魔神が聞きたかった事を言い、少し調子を取り戻す魔神。

劉備は謝るも、魔神はしょうがない気持ちを込めて止める。

その際、劉備が何か言いそうだったが魔神の質問がそれを遮った。

 

 

「答…え…?…あっ!」

 

『俺は貴様と会った日に言った。自分自身の理想を正しいと判断するのか、それとも間違いだと判断するのか。今ここで、答えを聞かせてもらう』

 

「………」

 

 

確かに、劉備は初めて魔神に会った時に自分の矛盾を指摘され、否定された。

その後に言われたのは、自らの正当性について。

自分の理想をどう決めるのかの質問だった。

その時は答えられなかったが……今は違う。

少し目を瞑って考え、再び目を開く。

 

 

「…私は魔神さんと別れた後、色んな事を経験しました。黄巾党の乱、反董卓連合、この蜀の建国…その他にも色々。黄巾党さん達の殆どは朝廷の重税に不満を持っていて、月ちゃん…董卓ちゃんは張譲さんに捕まっていて、本当は何も悪いことなんてしていなかったんです」

 

『………』

 

「私はただ皆に酷い事をする悪い人だと思って、魔神さんの言うように軍隊を率いて戦っていました。でも、私が悪い人だと思っていた人にとって私が悪い人だったんだって、気付いたんです」

 

『そうか…』

 

「この前も…曹操さんに怒られました。軽率だって…私を、私の理想を否定されました。確かに私は王様に向いてないと思うんです。でも、そんな私に着いてきてくれる愛紗ちゃんや鈴々ちゃん、朱里ちゃん、雛里ちゃん、星ちゃん。翠ちゃん、たんぽぽちゃん、紫苑さん、桔梗さん、焔耶ちゃん。月ちゃん、詠ちゃん、恋ちゃん、ねねちゃん。……あ、あと白蓮ちゃん」

 

『……(公孫賛最後にされたな…)』

 

「それに兵の皆も、蜀に住む皆も。私に期待してくれるし、協力してくれる。だから私はその期待に応えたい。もう私は、自分の理想を押し付けない。でも、理想は諦めたくない。皆に理解されるように、夢だと笑われないようにしていきます」

 

『…それで、答えは?』

 

 

黙って聞いていた魔神は仮面の奥でゆっくりと口を開く。

何かに期待しているような、そんな声で。

 

 

「私の理想は、誰かから見れば正しくも、間違っても見えます。だから答えは『両方』。それか『どちらでもない』。私の理想が間違っても、皆が正してくれると信じてます。たとえ、辛い現実が私を否定しても、それに立ち向かいます」

 

『そうか…それが貴様の…』

 

「はい。それが私の…――――」

 

 

そう言って魔神を見る劉備の目には…

 

 

「――覚悟です!」

 

 

迷いのない、強い意思が込められていた。

 

 

 

『……その言葉を、聞きたかった』

 

「えっ…?」

 

 

あの時のように、魔神は優しい声で呟くと近くの窓を開ける。

既に雨は上がっており、雲の間から光が差し込んだ。

 

 

『善と悪はまさに人間。十人十色、十人居れば十通りの考えが生まれる。そう…悪もな』

 

「魔神さ…!」

 

『お前は間違うなよ…』

 

 

それと同時に、窓から飛び降りる魔神。

今劉備がいた部屋は一階や二階で済まされる階ではない。

それに気付き、劉備は飛び降りた場所を見るが……既にそこには誰もいない。

ぼけぇ、としていると、扉から諸葛亮がやって来る。

その両手には、大量の書類が。

 

 

「んしょ、んしょ…桃香様、今度はこれを…何をしているんですか?」

 

「あ、ううん!何でもないよ、朱里ちゃん」

 

「そうですか、じゃあこれも整理して下さいね」

 

「はーい。あ、朱里ちゃん」

 

「何ですか?」

 

「えへへ…これからも、よろしくね?」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――………時は、進む。

 

長江の上流付近、赤壁……水面上で、魏の船団が燃えていた。

理由は簡単……魏側に寝返ったと思っていた黄蓋が裏切った。

ただそれだけ。

それだけで、この状況ができたのだ。

ただ、黄蓋の捨て身だったことは、蜀と呉にとって痛手にしかららなかった。

母の代からの将を、親代わりを、師を、家族を失った悲しみ。

犠牲の上での勝利だ。

 

 

そして――――

どこかの屋敷のどこかの部屋。

ここに居るのは四人の男女。

男……魔神とまだ背の低い、幼さを残す少年の二人と、美女二人。

 

 

「……それで、その戦いでは勝者を出してはいけないって?ふざけた話だねぇ…」

 

「右に同じく、だ。それに、オレ達を生かしたのは何のためだ?って言うか、そもそも何でこんなことをするのか聞いていないしな」

 

『それについては、計画が終わってから話そう。全てを…な』

 

「……それで、僕が…僕の存在が必要だと?」

 

『それぐらいじゃないと、アイツ等は釣れないからな、やるしかない。貴様達にも分かってもらいたい』

 

「へいへい、まあ恩もあるしそれに…」

 

「あくまでも、このお方が了承しているからねぇ。あたし等がとやかく言う権利はないよ」

 

『では向かおう……場所は、成都だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

曹操軍は成都へと進行をしていた。

数々の戦いを終え、今まさに舌戦を終えた所。

各軍はそれぞれ戦闘体勢に入り、戦う……筈だった。

だが、それぞれの軍が開けた大地に、空から何かが降ってくる。

それは土煙で分からないが人……しかも二人だ。

 

 

「…あれは……」

 

「えっ…?えっ?あの人って…」

 

「……まさか…」

 

 

劉備、孫策、曹操はその人影の一つに見覚えがある。

それは魔神。

行く手を阻んだ存在でもある彼が何故…?

そうしていくともう一人の人物を隠していた土煙が風によって吹き飛ばされる。

その瞬間、孫策と曹操は目を疑うこととなった。

 

 

「なっ…!?」

 

「嘘でしょ、何で……あの方が…」

 

「そ、孫策さん…?」

 

『聞けぇ!!!三国の王達よ!!』

 

 

この戦場には似つかわしくない上質な着物の上に、縄に縛られた少年。

嫌な顔をせず、ただ下を向いている少年の名は……

 

 

『漢王朝第十四代目皇帝、劉協は預かった!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」」

 

一刀「でさ、一つ聞きたいんだけど…」

XXX「なーに?」

魔神「………」←体育座り

 

一刀「何でアイツいんの!?」

XXX「次回で顔面解禁だから」

一刀「そっか。それで前半で魔神ボロ出したんだけど」

XXX「彼基本シリアスじゃなきゃ気が緩むんだよねー、ギャグ体質ってやつ?」

一刀「それで今回桃香色々言ってたんだけど」

XXX「正直いって俺の自己解釈!」

一刀「それと……部屋にいたの誰?」

XXX「とりあえず借りキャラとオリキャラ。一人称オレが借りキャラでその他オリキャラ」

一刀「そのなかに序章の人いなかった?」

XXX「いたよ?イメージ的に…極道の妻みたいな人が…」

一刀「なにそれ恐っ!?」

 

一刀「まあ取り合えず、次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神九話は!」

XXX「魔神編 “ビビったりすんなよ”。次回できたらオリ主設定一般にしますんで」

 

魔神(公孫賛が残念だったことにはツッコまないのか、そうですか)

 

再見Ο△Οノシ


 
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