姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を溺愛している(?)。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:鄧 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第五話
「五胡撃退戦 姜維の知力」
「! あれは!」
中央の戦いの最中、瑠理は敵本陣の方面に煙が出ているのが見えた。
(火? ……一刀じゃない、敵!?)
彼女は瞬時に悟る。これは敵が自ら本陣に火を付けたのだと。何故なら一刀達が本陣に火計をする理由が無い
のだ。
今回の策はまず敵の意識を中央に向けさせる。そして大半の敵が中央に集結させた後に敵に気付かれないよう
に一刀達が本陣を落とす。最後に気付かれないまま中央に進軍。進軍した一刀達と此処で戦っている瑠理達で五
胡の兵達を挟み撃ちし撃退、殲滅させるというものである。
つまり火を付けたら敵に気付かれないまま中央で挟み撃ちが実現できないのである。現に五胡の兵達も自分達
の本陣の異変に気付いている。
一刀がそのことを分からない男ではない。だとすれば一刀の意思ではないという事。残る可能性は敵の意思し
かないのだ。
では何故敵が自分達の本陣に火を付けたか……理由はただ一つ、此方の策が見破られたのだ。恐らく一刀達が
本陣の拠点制圧作業の間に敵の火計を食らってしまったのだ。
(! ……一刀!)
瑠理は表情には出さなかったが焦りで冷静な判断が失われつつあった。
そこへ江里香が瑠理の正面に現れた。
「瑠理様! 私に一刀様達の所へ向かわせてください!」
それは無謀な提案だった。
この状況から急いで一刀達の所に向かうと言うことは敵が密集しているところを突破しなければならないのだ。
突破できる可能性は低い。さらに言えば突破できたとしてもかなりの兵数が減るだろう。
到底許可できることでは無い。しかし……
「分かった、お前の隊を一刀の救援に向かわせる」
「はっ!」
そう分かっていても瑠理は許可を出した。
「落ち着け! 隊を整えろ!」
一方、一刀は敵の策によって混乱した兵を必死に抑えていた。
(くそ! 自分達の本陣に火を付けるなんて何て大胆なことしやがる!)
一刀が内心でそう叫びたくなるのも無理は無い。これは最早本陣を放棄したのと同じである。
そして本陣を放棄するということは大将が負けたという意味を指す。つまりこの時点で敵は敗北したと認めたと
いうことになる。
だからこそ一刀は分からなかった。敵のこの火計の意味が……
負けると分かったからこその悪あがきにしてはあまりにも的確な動きの火計だったのだ。
悪あがきでは無いのなら明確な目的と意図があることになる。
(考えても分からない、この状況をどうにかしないと)
――少ししてようやくある程度混乱は収まった。
しかしこの時すでに周りは何処を見ても火や炎だった。消火作業はとても出来そうに無い。
「急いで火の勢いが弱いところを探せ! あったのならそこから突破するぞ!」
なりふり構っていられる状況ではなかった。最悪そのまま火に突っ込んでいかなければならない。
「司馬昭様! あちらの方が若干ながら弱いところがあります!」
「そうか! なら皆でそこから脱出するぞ!」
一刀を先頭に、馬騰親子が続く。そして彼らの後ろから兵達も続いた。
――一刀と馬騰親子は何とか脱出に成功した。
だが兵達の大半は本陣でそのまま燃え尽きてしまうか、脱出の最中に燃え尽きてしまっていた。
一刀が後ろにいる兵達を見る。
(随分とやられてしまったな……すまん)
散っていった兵達に内心謝罪したあと視線を前に戻す。
一刀は驚愕した。
(な!? 何だと!?)
そこには五胡の兵達が居た。兵達の中に他とは装備の違う男がいた。どうやらこの男こそ司令官のようだ。
「ふん、やはり貴様が居たか、中央に居なかったのはやはり本陣を強襲するための部隊に組み込むためだったか」
「な!?」
一刀はさらに驚愕させられた。自分が居ない、たったそれだけで此方の策を見破られたという事実に。
「何故、それだけで」
「いや、中央を制するつもりだったならばそれだけでは済まされない」
彼は静かに語る。
「貴様が前線に出たとき、明らかに兵の士気が上がっていた。そして貴様の力を考えるなら最初か序盤で貴様を起
用しない手は無い。それをしないのは何故か、貴様に何かがあったか、あるいは」
彼は自分の本陣を指し。
「もっと大事な場面で貴様を使うかしか無い」
一刀は呆然として彼の言葉を聞いていた。
その様子を見て指令官の男は若干呆れた。
「貴様は自分の価値が分かっていないというのか? 呆れる……だが!」
彼は一刀を睨み付ける。
「それでも貴様は危険だ。此処で討ち取らせて貰う」
この言葉で一刀は先ほどの敵の策の意味を理解した。
「まさか……さっきの火計は、勝つためとか悪あがきでは無く……」
「ああ、そうだ」
指令官の男は一刀を指差し言う。
「この侵略で勝つのは難しいようだ。ならば貴様という危険を殺し、次の侵略で勝てるようにするための……布石
のためだ!」
「……お前は……一体……」
一刀は思わず問う。目の前の指令官が何者なのか。
「俺は名は姜維、漢を憎み滅ぼす者だ!!」
姜維は五胡兵に命じる。あの男を討てと。
Tweet |
|
|
27
|
1
|
追加するフォルダを選択
前回、何故策が見破られたのかの解説。