No.518002

IS x アギト 目覚める魂 06:専用機

i-pod男さん

秋斗の専用機デビューです。

2012-12-13 03:35:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3104   閲覧ユーザー数:2973

そして次の日、一年一組のクラスのホームルーム中連絡事項で、更なる波乱が訪れた。

 

「織斑、決闘の件だが、お前にも門牙と同様政府からの通達で専用機が用意される。データ収集の為だそうだ。」

 

「結局俺は只のモルモットって事か。損得勘定しか能の無い政府の日和見主義者共が・・・・」

 

一夏はブツブツと毒突いた。

 

「安心しましたわ、そちらの方は兎も角、貴方だけ専用機が無いのはフェアではありませんもの。」

 

「口を開くな、差別主義者。 男がいなければこの世界に存在すらしなかったくせに。それに、何億と言う人口の中でまだ同い年程度なのに『選ばれし者』を気取っても、虚しいだけだぞ?」

 

一夏がぴしゃりと言い放つ。相変わらず抑揚が無く、無気力そうな声だ。

 

「それに、もし仮にそれが間に合わなければ、俺のを貸してやれば良いだけだ。パーソナライズの機能を少し弄くれば使えるしな。」

 

秋斗も追い打ちとばかりに口を添える。右手のアーマーリングの指先同士をしきりにカチカチと叩き合わせていた。戦いたくてウズウズしているのだろうか。

 

「えー!?専用機?!それもこの時期に?!」

 

「いーなー、私も欲しいなあ。」

 

驚く者、羨ましがる者、皆思い思いのリアクションを取っている。一夏は最前列にいた為、ドアが開いた一瞬だけだが、水色の頭髪と青い花がその髪に止まっているのを見た。

 

(あれは・・・・まさか・・・・いや、気の所為、なのか?)

 

だが直ぐにその考えを振り払い、参考書に目を戻す。

 

(にしても、俺の専用機、か。しかし、一体どんな物を送られて来るのやら・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、解放された第四アリーナで、秋斗はまずネロを展開した。意外にコンパクトだ。背中には赤みがかったオレンジ色の鷲の様に展開する巨大な六枚三対のブースター付きのウィングバインダー、翼以外は全体的に暗い灰色で、四肢が血の様に赤い。口元にはマスク、目元にはバイザーらしき物が現れ、まともに見えるのは鼻と頭髪程度だ。近年見る事が稀なフルスキンとそう大差無い。

 

「ファーストシフトは終わってるのか・・・さてさて、武器はと・・・(展開のイメージはいつも通りで良いか。)」

 

まず最初に現れたのはバイクのクラッチレバ—の様なパーツを剣に付けた片刃の剣、『バスター・クリムゾン』。試しにクラッチレバーを一度握って離し、剣を振り下ろすと、刀身の峰から推進剤の様な物が炎となってエキゾーストから排出され、地面を綺麗に抉った。カシャコン、と言う音と共に薬莢らしき四角柱の物が柄付近の峰から排出された。空中投影されるスクリーンを見ると、

 

『近距離基本装備:バスター・クリムゾン

バスターソード型実体剣。クラッチレバーを操作する事で一振りの威力を上げる事が可能なイクシードシステムを搭載。なお、クラッチレバーの操作回数に比例して威力も上がる。使用回数減甲斐有り。』

 

「成る程。他には何か・・・・?」

 

武器の一覧を見ると、

 

インパクト・アーマー

ソウブラスター・ネオ

ガードディバイダー

トライランサー

近接用ダガーx4

 

が表示された。それぞれの説明を見て行くと、一つ一つ呼び出してテストを行い、暫くの間飛び回っていたが、やがて満足したのかISを収納した。

 

「次はコイツだな。」

 

左手首のG4-X ZEROに起動キーを差し込んだ。

 

『Initiate』

 

「変身。」

 

左手を伸ばし、そこを中心に装甲が広がり始めた。やがて、水色の複眼に三本の角、黒と青の装甲、オレンジ色のラインとG4-X0の文字。外見はシャープなロボットとしか形容出来ない様な姿に変わる。

 

「これが、G4-X ZEROか。」

 

左腰にはガードアクセラーを改良した伸縮、連結、分離が可能な電磁波を放つ棒型武器のガードスティック、両の二の腕にはコンバットナイフGK-06 ユニコーン、更に右足には延長マガジンを装備したフルオート連射が可能なGM-01 スコーピオンがマウントされていた。現在は対アンノウンのバトルモードの為、飛行は出来ないが、試しに地面を殴ってみると、軽くクレーターが出来た。パワー、防御力は相変わらず充分ある。

 

「この形態ではガードハンターに残りの武装が積んであるって事か。ISモードに変換。」

 

一度装着を解除し、起動キーを挿入したままバングルを百八十度回転させた。

 

『Conversion』

 

「フルスキンタイプ・・・・どちらかと言えば遠距離対応か。」

 

見た目は殆ど変わっていなかったが、相違点は背中にゴツい翼が現れた事位だろうか。

 

拡張領域に入っていた武装は以下の通り。

 

GM-00Z コブラ&ヴァイパー

GMagnum-01Z タウラス

GGrenade-02Z イフリート

GSaw-03Z エンド

GAssault-04Z アラクニス

GX-05Z ケルベロスII

GKnife-06Z ペガサス x2

GShotgun-07 ガルベルストン

GWarhead-08 タイタン&ギガント

ガードスティック

 

「随分と詰め込んだな、小沢さん。初使用が待ち遠しいよ。」

 

「楽しそうですね、門牙さん。」

 

「お前もその内ISが来るだろう?」

 

ピットで秋斗の様子を見ていた一夏がフレイムセイバーを引っ下げてやって来た。もう片方の手にはIS用の近接ブレードが握られており、それを肩に担いでいる。

 

「正直言うと、俺は欲しくありません。好き好んでこんな世界に来るのは、女に飢えてるか、只の馬鹿だとしか思えません。まあ、門牙さんがそのどちらでもないとは思いますけど。」

 

二刀流で素振りをしながらそれぞれの感触の違いを吟味する。

 

「いやいや、俺だって男だよ?その内女に靡くと思うけど?」

 

「靡くと言うよりは靡かせる方だと思いますね。」

 

「そっか。」

 

「それよりも・・・・」

 

「ああ。もう、今度こそ後戻りは出来ないな。死ぬなよ、一夏。」

 

一夏は黙って頷いた。だが、それだけでも分かる。意志の強さ、堅さが伝わって来る。やはりアギトの力を持つ者同士のある種の共鳴なのだろうか?

 


 
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