拠点・瑠理
「司馬家の跡取りと姉の狭間で」
「これで賊達は終わり・・・」
「ああ、そのようだね、姉上。」
瑠理と一刀は現在黄巾党の残党を討伐していた。
やはりと言うべきか、賊達ではこの司馬姉弟には歯が立たず、一気に殲滅された。
司馬家の軍の被害はあまりにも少なすぎた、その要因として一刀が進んで前線に出ていたことがあるのは想像に
難しくは無いだろう。
(本当に心臓に悪い・・・)
瑠理は立場上、表情に出すわけにはいかなかったが内心では相当心配で堪らなかった。
ならばやめるように願い出ればいいのだが、そう簡単なことでは無かった。
最大の理由は、一刀の前線の参加を止められる理由も無かった。
なぜか、意味は大きく二つある。
一つは先ほどにもあったが被害が大幅に少なくできるということだ。
できるだけ軍の被害を少なくできるのならそうするのは軍師の、そして大将の仕事なのは言うまでもない。
もう一つは、一刀は確かに司馬家の一員ではあるが、現時点で家督を継ぐ立場では無いと言うことである。
家督を継ぐのは当然、姉である瑠理、司馬子元である。
時代がそうさせたのか、あるいは一刀の性格ゆえなのか、今の一刀は司馬家の跡取りという立場では無く瑠理を、
家を守るという守護者のような立場となってしまっている。
つまり、一個の武将と同等という立場なっているのだ。
この一刀の立ち位置は正統な跡取りである瑠理の身や名声に何か無ければ解消することは無いだろう。
当然、瑠理に己の身に害させたり、名声をわざと傷をつけるようなことをするわけにもいかない、
そして当然、一刀もそんなことをさせない。
そう、そんなことは瑠理も分かっている。
分かっているがしかし・・・
(どうにか・・・できないのかな?・・・)
司馬家の跡取りの立場以前に瑠理は一刀の姉、そして一刀は瑠理の大事な愛しい弟。
それが消えるわけでも無く、割り切れない。
そんな風に悩んでいても時は進んで行く、
しかしそれでも、
「姉上ー、どうかしたのー?」
一刀は変わらない、変わらず瑠理を、司馬家の者達を危険を冒しても守ろうとする。
「・・・はぁー・・・」
瑠理は思わずらしくないため息をついた。
(こんなに心配してるのに一刀は・・・)
そう思うとまたため息を吐きたくなった。
二人はこれから司馬家の屋敷に戻ろうとしていた。
しかし・・・
「えっと・・・これはどういうことなの?・・・姉上。」
一刀はそう質問するが・・・
「文句言わない・・・」
「いや、その・・・どうして・・・」
”どうして俺と馬に同乗してるのでしょうか?”
そう、今、瑠理は一刀の前に乗っていた。
「私はすごく疲れてる・・・身体も心も・・・」
「いや、そうかも知れないけど。」
「だからこれぐらいの役得はあって然るべき・・・」
そう言って後は聞く耳持たず、と言った感じになってしまった。
(こんなに心配ばっかりさせて・・・これぐらいは当然。)
こうして二人は屋敷に戻った。
ほとんどこのままの状態だったため、美華に目撃され、瑠理と美華の二人が大喧嘩をしたのは言うまでも無い。
それを見ていた江里香、闇那、澪羅の三人は、
「王元姫様と喧嘩できるってすごくないですか?」
「そ、そうですね、他の女性では・・・」
「喧嘩にすらならないしねぇ・・・」
ある意味で三人は瑠理を尊敬したという。
というわけである意味すごい姉上でした。
次回からは第二章本編になります。
第二章の結末はいかに・・・
そして管理者が驚愕した出来事とは・・・
Tweet |
|
|
53
|
2
|
追加するフォルダを選択
第一章の最後の拠点は一刀の姉君の瑠理です。
瑠理の苦悩とは・・・