掲載誌は「モーニング新マグナム増刊」(講談社)だったが、単行本は白泉社からの刊行となった。待望の単行本化である。殺し屋にして雨男でもある雨太と、身体を売る商売をしていた女性の麻代。二人が迫り来る追手を避けながら逃避行を続ける道中が描かれる。追手の正体についてはバラしちゃうと面白さを損なう恐れがあるのでここでは伏せておくけれども、伸びやかで艶があり、芯の強さを感じさせる作画はとても見事で、ストーリー展開も堂に入っている。男はシブく、女は色っぽく美しい。実にシッカリとした作風で、演出がバシッと決まっていてたいへんに面白い。画面の使い方が大胆で、作者の高い力量を感じさせる単行本となった。完成度の高い、鮮やかな1冊。正木秀尚は雑誌の項で触れた「イブニング」でも「ガンダルヴァ」という作品を執筆しており、こちらも併せてチェックしておいてほしい。