オベロンとの話が済んで、謁見の間から帰る途中の樹の迷路でルリが提案しました。
「ねぇ、久しぶりにクレス先生に会いたくなっちゃったから会いに行っても良いかな?」
「クレスに会うって言っても帰るのに一ヶ月以上はかかるだろ?すぐ帰って来ても二ヶ月後だろうし、お前がいないと色々と困るんだが…」
「へぇ、ボクがいないと困るって思ってくれてたんだー!意外だなぁ」
「お前は回復魔法が使えるし、俺より頭が良いからな」
「ジンが褒めてくれるなんて…明日は空から何が降ってくるんだろうね?」
「イノンドだって寂しがるだろう?」
「イノンドさんもクレス先生に会いたがってたし、一緒に行こうよー」
「だから帰るのに二ヶ月もかかるのに、騎士団の遠征許可が降りなきゃ行けないっつーの!」
「そんなのすぐに帰れば問題ないでしょ?そこのゲートがクレス先生の診療所の裏と繋がってるし、一日でセルフィーユに帰ればいいだけじゃん?」
「ちょっと待て!今なんて言った?」
「ゲートが繋がってるから一日で帰れるって言ったんだけど?何度も言わせないでよ!」
「なぜそれをもっと早くに言わなかった?一日でセルフィーユに来られるなら、あんな苦しい旅をしなくて済んだのに…」
「えっ!だって旅をしながら観光したり、仲間を集めたりするのが勇者の醍醐味でしょ?だから言わなかったんだけど…」
「醍醐味とかどうでも良い!イノンドが仲間になったのは良かったが、その後すぐにセルフィーユに来れたら、薪割りのアルバイトとか、なんか色々と苦労しなくても良かったんだぞ?」
「薪割りで精神統一して修行してるのかな?って思ってたよー」
「ダメだ…。妖精と話してると頭がおかしくなりそうになる!」
「そう言うわけだからクレス先生に会いに行かない?」
「良いですね!私もクレス殿と一度お会いしてみたかったのですよ。会えるのが楽しみです」
…つづく
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処女作の復刻版、第55話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。