数日後、フォンとサラの結婚式が宮廷内で盛大に行われました。フォンの妃となったサラはメイド服ではなく、豪華で綺麗なドレスを着てフォンの隣の宝石が散りばめられた玉座に、腰掛けています。
「アークのおかげでサラがわしのプロポーズを受けてくれた。感謝しているぞ」
「いえ、私は何もしていませんよ?」
「もう一つ、お前に頼みがあるのだ。調べて欲しい女がいる…」
「サラ様以外にも気になる女性がおられるのですか?」
「いや、サラ以外の女に興味はないのだが、調べて欲しい女と言うのはテオドールの元恋人であるリズだ」
「ああレジスタンスのリーダーをしている女でしたね」
「わしはあの女が前から気に食わなくてな…。フラウの悪口を街頭演説しておって、処罰しようか迷っておったのだが、フラウが処罰するなと言っておるから、今まで大目に見て来たが、最近はますます酷くなって来ておる」
「私も街であの女の演説を見かけるたびに不快でした。フラウ様はなぜ処罰するなと言っておられるのやら…」
「それでだ、お前にあの女の本性を暴き出して欲しいのだよ?」
「わかりました。リズに探りを入れてみます」
アークはいつもリズが街頭演説をしている噴水広場に行きました。アークがいつもここで路上ライブをしていたので、通りすがりのファンたちが声をかけて来ます。
「アーク様!先日、引退ライブをされたのに、またここに現れるなんて…」
「今日は別の用でここに来たのです。路上ライブはもうやりませんよ」
「政治家になってしまわれたなんて…。もうアーク様の歌が聴けないのが残念です」
「ふふ、趣味でたまに歌いますので、僕の街頭演説の時は見に来てくださいね」
「演説なんて興味なかったけど、アーク様の演説は必ず見に行きますね!」
そこにリズが現れてヒステリックで不快な大声を張り上げました。街頭演説が始まったようです。
「皆さん!獣人たちの横暴を許してはなりません。彼らは我々を支配して、我が物顔でこの国を乗っ取っているのです。今こそ立ち上がり、獣人たちを滅ぼす手助けをしてください」
「あのおばさん、またやってるわー。近所迷惑だから演説はやめて欲しいのよね…」
「うーん、ちょっと僕はリズさんに話をして来ますね」
「えっ、アーク様はアラヴェスタの幹部でしたよね?」
「ええ、国王命令でリズさんと親しくするようにと言われまして、それでは失礼します」
「えーっ!アーク様と親しくするなんて、羨ましすぎる…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第49話。