アークはフォンにサインをもらった後、サラの本音を聞き出す為に誘い出しました。
「折り入ってお話って何でしょう?」
「サラさんは恋人がおられないようですが、サラさんほどの美しい女性なら、いくらでも相手はおられるでしょう?」
「国王のお慰め役をしているメイドなんて、娼婦と同じ目でしか見られませんよ?」
「そうでしょうか…。私ならサラさんと一夜を共に過ごしたいと思います」
「あなたは確か新婚ではなかったのですか?奥様を大切にできないような男性はこちらからお断りします」
「ははは、冗談ですよ?怒らないでください」
「あなたのような軽率な発言をする男性はあまり好みません。話がないのなら帰ります」
「気を悪くされたなら謝ります。実は話と言うのは、サラさんは人間ですが、ずっと王宮に支えておられますよね?」
「ええ、私は孤児なので他に行く宛がなくて、フォン様にお願いしたら、城に置いてもらえましたので…」
「人間の多くは獣人を恐れてアラヴェスタ城で働きたがらないのに、あなたはフォン様が怖くないのですか?」
「ゲイザー様の仇を討ってくださったフォン様には感謝の気持ちしかありませんよ」
「ゲイザー様の…と言われますと?」
「ゲイザー様は私の昔の恋人でした」
「そうだったんですか?それは存じ上げませんでした」
「今でも花を手向けに行くのです。三年前まで私が行くと必ず花があったのに、この三年は私だけが供えに行っている状態でした」
「フラウ様は三年前から花を供えに行かなくなったのですね…」
アークはサラに聞いた話をありのまま、フォンに報告しました。
「それでわしがゲイザーの自慢話をすると嬉しそうに聞いておったのか…」
「フォン様に対しては好感を持っておられるようでした。ゲイザー様の事は今でも愛しておられるようですね」
「惜しい男を亡くした…。あんな骨のある男はなかなかおらんからな」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第48話。