翌朝、ゲッソリやつれた顔のゲイザーが虚ろな目でソファーに腰掛けていました。昨夜は一睡もしていないようです。
「おじさん、おはよー!早起きだね」
「寝てないんだ…。そんな事より…ナターシャにお願いがある」
「ん?私にお願いってなぁに?」
「私にあの魔法をかけてくれ…」
「えっ、あの魔法って…魅了の術の事?」
「ああ、もうそれしか私には手が残されていないんだ」
「本当に良いの?私、解き方知らないし、お師匠様も解けないって言ってたのに…」
「もう、なりふり構っていられないんだ…。アーク殿を倒すにはこの方法しかない」
「それで本当にアークが倒せるの?」
「アーク殿を倒せるかどうかはやってみないとわからない」
「でも昨日おばさまにラミアの尻尾をあげたから、おじさんとおばさまが仲良くしてくれないと私、困る」
「フラウにはこの策の事は全く話していない。話せばやめろと言われるだろう」
「私、おじさんに赤ちゃんが出来たら良いなぁと思ってラミアの尻尾をおばさまにあげたの。可愛い弟が欲しいんだよね」
「アーク殿はなぜ急に気が変わったんだ?交換条件を飲まなければ、ラミアの尻尾は絶対に渡さないと言っていたのに…」
「私にもわかんない。急に渡してくれたの。欲しければいくらでもくれるって言ってた」
「勝利を確信しているからなのか?」
「うん、ディベートでもおじさんに勝ったから次はトーナメントでも勝つって言ってた。八百長試合なんかする気ないっぽいよ?」
「今日が初戦になる。トーナメント表を確認したら、第一回戦がいきなり私とアーク殿だったよ」
「わお!いきなり決勝戦だねー。絶対に応援に行くよー?おじさんの応援席の方にね!」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第152話です。