選手控え室にアークが入ると、小窓からナタとフラウとミケーラとリリムがゲイザーの応援席にいるのが見えました。
「なぜナタもリリムもゲイザーの応援席にいるんだ?」
アークは腹を立ててゲイザーの控え室に向かうとドアを荒々しくノックしました。ゲイザーがドアを開けます。
「僕の恋人と娘がなぜあなたの応援席にいるんだ?おかしいだろう!」
「そんな事、私は知りませんよ?誰の応援席に座るかは本人の自由ですから…」
ナタとリリムがゲイザーの控え室にやって来ました。リリムはゲイザーの腕に絡みつきます。
「アーク、そっちはおじさんの控え室だよ?」
「ゲイザーに話があって来た!」
「リリムさん、私から離れてください…」
「恥ずかしがらなくても良いのよ?マイダーリン」
「私はナターシャ様のものです。私に触らないでください」
ゲイザーはそう言うとリリムを振り払って、ナタに抱きつきました。
「な、何を言っている?ナタは僕の恋人だ!」
「なんでパパも勇者さまもそんな子が良いの?私の方がそんな子より綺麗なのに…」
「ああ、ナターシャ様…。今日も一段とお美しい…。まるで野に咲く一輪の花のようだ」
「まさか…ゲイザーに魅了の術をかけたのか?なぜだ!ナタ…」
「ううっ…私はやめた方が良いって言ったんだけど、おじさんがかけろって言うから…」
ゲイザーはナタに口づけをします。ナタは顔を真っ赤にしていました。
「貴様!僕を本気で怒らせたようだな?今ここで殺してやる…」
アークは背中に背負っていた槍を構えました。
「おじさん、魅了されてるからってやり過ぎだよ!アークを怒らせてどうするの?」
ゲイザーはアークの方を向くと腰の剣を引き抜いて構えました。騒ぎに気付いたフラウとミケーラも駆けつけます。審判をする予定だった議長もやって来ました。
「ルシファー君!こんなところで戦うなんて、反則で棄権になりますよ?」
「そんなもの知るか!人間のルールで正々堂々と戦ってやろうとしていたのに、この男は…」
アークは怒りに我を忘れているようです。
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第153話です。