ミカエルはゲイザーに最後のお願いをします。
「ユリアーノに私をビーストカードに封じさせて、あなたを私の主人にします」
「えっ、私が…ミカエル様の…主人に…なぜ?」
「私はこれまで自分の手を汚さずに全て他人任せにして来ました。最後にルシファーにトドメを刺すのは私の仕事です。だからルシファーを追い詰めたら私を召喚してください」
「なるほど、人間の私にはルシファーは絶対に倒せないと思っていましたが、ミカエル様のカードがあれば、切り札として使えますね」
「もし困った事があれば旅のお手伝いも出来ます。気軽に呼び出してください。これからユリアーノのところへ行って、占い師の姿に変装しておきます。後で私の封印されたカードを受け取りに行ってください」
「ミカエル様のお力を貸していただけるなら、こんなに心強い事はありません」
ゲイザーが一階に降りると、リビングの前にフラウとピーターがいて、ドアの隙間から中を覗いていました。アークはまだナタと抱き合っているようでした。
「こんなところで二人して一体、何をしているのですか?」
「ゲ、ゲイザー様…。ナターシャちゃんが…その…アークと…」
「静かにしろって?ほれ、アークの奴がこっちに気付いちまったじゃねぇか…」
ゲイザーは隙間から中を見ないで躊躇わずドアを開けてリビングに入りました。
「お、おじさんが来ちゃった!アーク、もう離れて?」
ゲイザーと目が合って、焦るナタとは対照的にアークは別段、気まずそうな顔もせずナタから離れると、ゲイザーの方に向き合って立ちました。
「僕はナタとの交際をあなたから許可されています。何か問題でも?」
「ここは家族共用スペースだよ?そう言う事は各自の部屋でやってもらいたいものだな」
「選挙の結果が出次第、出て行きますよ?こんな家…」
「明日が開票日だったな…。当選発表を楽しみにしているよ?」
「まさか僕が落選するとでも思っておられるんですかね?」
「いや、開票結果は蓋を開けてみるまではわからないよ?」
「僕のバックにはテオドールがスポンサーに付いてるんだ」
「テオドールがアーク殿のスポンサーだったとは…。どうやって口説き落とした?」
「簡単な事ですよ?僕が当選した暁には、テオドールの部下になると言ったら、二つ返事で了承してくれたよ?前から僕のような部下が欲しいと思っていたと言ってね」
「ふむ、裏で引き抜き話があったのか…。アーク殿ほどの優秀な部下ならば、欲しがる者はいくらでもいるからな…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第136話です。