翌日、開票結果がアラヴェスタ城の前に張り出されました。アラヴェスタ・タイムスの臨時版が刷られて路上販売しています。
「号外、号外ーーー!!メサイアのアークが初出馬にして他の立候補者と大差を付けて当選!さあ、買った買ったー」
「アーク様の挿絵付きだわ!買いまーす」
大量に刷られた臨時版は飛ぶように売れています。アークはゲイザー邸で荷造りをしていました。
「ナタも荷物をまとめてくれ。今日中に引っ越すから」
「えっ、私も引っ越すの?そんな話、聞いてないよ…」
「君と僕は婚約してる。恋人が婚約者と一緒に住むのは当然の話だろう?」
「うーん、まだ結婚式は挙げてないから、アカデミーを卒業するまではここにいるよ?」
「それは僕が困る…。ゲイザーとは別の派閥に属してしまったから、もう僕はここには住めないんだ」
「そんなのアークが勝手に決めた事じゃない?私はまだおじさんから離れたくないし…」
「君は恋人の僕よりゲイザーを選ぶと言うのかい?そんなのおかしいだろう?」
「私、まだ奥さんになれる自信ないし、おじさんと会えなくなるのは嫌だよ…」
「くっ…!ゲイザーの奴、これも計算していたのか?それであの余裕だったのか…。相変わらず食えない男だ」
アークはマルヴェールのゲイザーの執務室に向かいました。
「アラヴェスタの議員当選おめでとう、アーク殿」
「あなたにお願いがあって参りました…」
「ん?何のお願いかな」
「僕を後二年間、家に置いて欲しいのです。家賃は払います。物置でも何でも良いので部屋を貸してください」
「それは無理な相談だな。私も敵に手の内を晒すほど愚かではないのでね。反対派の者を家に置くわけにはいかない」
「こうなる事は全て計算づくだったと言うわけか?ゲイザー!」
「私は計算などしていませんよ?あなたのような優秀な部下を失って、頭を痛めているところです。他の部下にあなたの代わりは務まらないのでね」
「テオドールとはもう契約を結んでしまったから、今更反対派から離脱する事は出来ない…」
「しかしテオドールが反対派の推薦をしていたとは…」
「あなたが親友だと思っているだけで、テオドールはあなたを親友だなんて思っていません。ミカエルと同じくらい腹黒い男だと思います」
「なるほどな…。これからあなたと私は敵同士です。次の議会のディベートで会いましょう」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第137話です。