No.861993

英雄伝説~菫の軌跡~

soranoさん

第111話

2016-08-06 00:41:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1044   閲覧ユーザー数:991

 

7月21日――――

 

~トールズ士官学院・グラウンド~

 

「さて、楽しい実技テストのお時間だけど……―――その前に、リィン。見学しなくていいのね?」

「いえ、3日経って体調も完全に戻りました。むしろ調子がいいくらいです。」

サラ教官に問いかけられたリィンは自分は問題ない事を伝えた。

「それは結構……なら、今日からは参加してもらうからね。まず先峰はレン。貴女が務めなさい。」

「はーい。」

サラ教官に呼ばれたレンは前に出た。

「対戦相手はラウラとフィー、君達二人が務めなさい。」

「承知……!」

「ん。」

そしてサラ教官の指示に一瞬驚いた二人はそれぞれ頷き

(うーん……ちょっと露骨すぎるような。)

(以前のユーシス達のような事にはならないと思うんだが……)

その様子を見守っていたエリオットとリィンは不安そうな表情をした。

(だが、これは好カードだな。)

(純粋な戦闘力やスピードならば彼女たちはズバ抜けているが……)

ユーシスの推測を聞いたガイウスはラウラとフィーの微妙な雰囲気を思い出し、真剣な表情で二人を見つめた。指名された二人はそれぞれ微妙な雰囲気を出しながらレンと対峙した。

 

「うふふ、”か弱い”レンがたった一人に対してⅦ組の中でも戦闘力がズバ抜けているあの二人を当てるなんて酷いわね、サラお姉さん♪」

笑顔を浮かべて呟いたレンの言葉を聞き、”か弱い”という言葉が絶対に似合わない強さのレンがその言葉を口にした事にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「あたし相手にタイマンで勝った事がある癖に、よく自分が”か弱い”だなんてふざけた事を口にできるわね………それよりもレン。あんたはアーツやアイテムは当然として、得物の使用も禁止よ。」

呆れた表情でレンに指摘したサラ教官は意外な事を指示した。

「ええっ!?そ、それって……!」

「パトリックさん達との時のように、体術のみであのお二人を相手するという事ですよね……?」

「確かにレンの体術は凄いけど、幾らなんでもあの二人相手を体術のみで相手するなんて厳しいんじゃないのか……?」

サラ教官の指示にエリオットは驚き、エマとマキアスは不安そうな表情でラウラとフィーを見つめた。

 

「―――――ちなみにラウラとフィーの勝利条件はレンを戦闘不能に陥らせるか、もしくは”得物を使わせる”事よ。あんた達に対する”ハンデ”だと思うかもしれないけど、甘くみていたらパトリック達の時のように痛い目に遭うわよ。」

「はい、それは理解しています……!」

「……ん。それにレンの体術は達人(マスター)クラス。最初から油断なんてしていない……!」

サラ教官の忠告にそれぞれ頷いた二人はレンを警戒の表情で見つめた。

「え~!ラウラお姉さんは別にいいとして、フィー相手に体術のみで戦えだなんて、幾らレンでも厳しいわよ~………」

その時レンは疲れた表情で声をあげた後不満げな表情でサラ教官を見つめて文句を言った。

「………レン、それはどういう意味だ……?」

一方レンの文句の内容が気になったラウラは真剣な表情でレンに問いかけ

「あら、わからないのかしら?”猟兵”だったフィーと、帝国で武の双璧を誇る”アルゼイド流”の伝承者である”光の剣匠”の娘とはいえ、実戦経験は”猟兵”だったフィーと比べると圧倒的に少ないラウラお姉さんを比べたら、”実戦”ではどっちが”強い”かは明白でしょう?」

「!………………」

意味ありげな笑みを浮かべて答えたレンの説明を聞くと目を見開き、厳しい表情でレンを睨んでいた。

(ちょっ!?今のは幾らなんでも煽り過ぎだろ!?)

(あのガキ……ただでさえ面倒な事になっているあの二人の火に油を注ぐつもりか?)

その様子を見守っていたマキアスは表情を引き攣らせ、ユーシスは呆れた表情でレンを見つめ

「レン!幾らなんでも今のはラウラに対して失礼すぎよ……!今すぐラウラに謝りなさい……!」

アリサは真剣な表情でレンを見つめて注意した。

 

「うふふ、これも”戦術”の一つだから、”今は”謝るつもりは全然ないわよ♪」

「へ………せ、”戦術”……?」

「一体どういう意味なんだ……?」

(……!まさかレンは……)

アリサの注意に対して小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたエリオットとガイウスが不思議そうな表情をしている中、レンの狙いを察したリィンは不安そうな表情でラウラとフィーを見つめ

「…………そういう事か。模擬戦でそんな小細工をするなんて、相変わらず性格が悪いね。」

リィンと同じようにレンの狙いを察したフィーはジト目でレンを見つめた。

 

「……フィー、何か知っているのか?」

フィーの答えが気になったラウラはフィーに訊ねたが

「……ん。でも、ラウラ自身が気づかないと意味がない。」

「………………」

明確な答えを口にしなかったフィーの答えを聞くと真剣な表情で黙り込んだ。

「ハア……………それでは双方、構え。」

そして呆れた表情で溜息を吐いたサラ教官は気を取り直して合図をし、サラ教官の合図を聞いたレン達はそれぞれの武器を構え

「―――始め!」

サラ教官の号令によって模擬戦を開始した!

 

「先手必勝。ぽいっと。――――あ。」

「ゆくぞ―――鉄砕刃!!」

戦闘開始早々フィーはレンの足元に閃光弾―――Fグレネードを転がしたが、その場から飛び上がってレン目がけて大剣を振り下ろすラウラに気づくと呆けた声を出した。

「うふふ♪」

それを見たレンが後ろに跳躍してラウラの剣技を回避した。するとラウラが剣技でレンがいた場所の目の前に着地するとフィーが転がした閃光弾が炸裂した。

「な―――グッ!?クッ……フィー、味方である私を攻撃するとは何を考えている……!?」

閃光弾の爆発や光を至近距離で受けた事によってダメージを受けると共に目が眩み、状態異常――――”暗闇”になったラウラはフィーに対して文句を口にした。

「クスクス、まず一人よ♪フゥゥゥゥ……ハッ!!」

「かはっ!?」

その時レンがラウラとの距離を一気に詰めてクラフト―――零頸を叩き込んでラウラに大ダメージを与えると共にふっ飛ばし

「ハァァァァ………!奥義―――――雷神掌!!」

続けてレンはグノーシスの力で自分の記憶の中の人物の技を使用する為に両手に溜め込んだ闘気を巨大な球体にしてふっ飛ばされたラウラ目がけて解き放った。解き放たれた球体はラウラに直撃し、大爆発を起こした!

「うあああっ!?くっ……」

レンが放った闘気が収束した球体が直撃したラウラは戦闘不能になり、地面に膝をついた。

 

「クスクス、お陰でラウラお姉さんを早めに無力化できたわ。ありがとう、フィー♪」

「……言っておくけど、わたしにはラウラに使ったような小細工は通じないよ。」

ラウラの戦闘不能を確認したレンはフィーを意味ありげな笑みを浮かべて見つめ、見つめられたフィーは一切動じず銃撃を連射して敵の足を止めさせるクラフト―――クリアランスをレンに放った。

「!魔神拳!!」

フィーの銃撃に対して側面に跳躍して回避したレンは拳を振るってフィー目がけて衝撃波を放ち

「!行くよ―――シュッ!!」

襲い掛かる衝撃波を素早く側面に跳躍して回避したフィーは神速の速さで襲い掛かり、敵の急所を狙うクラフト―――スカッドウィングでレンに襲い掛かった。

「っと!」

神速で襲い掛かるフィーの刃をレンは両手につけている籠手をうまく使って受け流し

「―――裂甲断。ヤアッ!!」

「!ぽいっと。」

「危ない、危ない♪」

反撃に拳を地面に叩き付けて地面から衝撃波を発生させ、地面から発生する衝撃波に気づいたフィーは側面に跳躍して回避すると同時にレン目がけて閃光弾を投擲し、フィーの反撃に気づいたレンは後ろに跳躍して閃光弾の攻撃範囲から逃れた。そして二人は凄まじい速さで一進一退の攻防を続けた。

 

「す、すご……っ!」

「フィー相手に体術のみで互角に戦うなんて……!」

「二人とも動きが早すぎてどんな攻撃をしているのか、ほとんどわからないな……」

「ああ……それに二人ともまさに”風”のような凄まじく早い動きだな……」

二人に戦いの攻防を見守っていたエリオットとアリサは驚き、表情を引き攣らせているマキアスの言葉に頷いたガイウスは静かな表情で二人を見つめ

「………もしラウラさんがフィーちゃんに加勢していたら一体どうなっていたのでしょう………?―――!もしかしてレンちゃんがラウラさんを挑発したのは………」

先に戦闘不能になったラウラに視線を向けた後二人の戦いに視線を向けたエマはある事に気づいて複雑そうな表情をし

「委員長も気づいたか。」

「何?一体どういう事だ?」

エマの様子に気づいたリィンの答えを聞いたユーシスは眉を顰めてリィンに訊ねた。

「それは――――」

そしてユーシスの疑問にリィンが答えかけたその時

「双方、今すぐ模擬戦闘を終了しなさい!これ以上やっても無意味よ!」

サラ教官が銃を空に向けて何度も発砲して模擬戦終了を告げ、それを聞いた二人はそれぞれ動きを止めて模擬戦を止めた。

 

「うふふ、やっぱりフィー相手に体術のみだと、中々勝負が決まらなかったわね♪」

「……ま、短時間とはいえブランクがある状態でレン相手に一撃も受けなかっただけ上出来かな。」

笑顔を浮かべているレンに見つめられたフィーは静かな表情で自身の戦いを評価した。

「どこが上出来よ!?まずフィー。そのつもりがなかったとはいえ、味方への攻撃(フレンドリーファイア)で、ラウラが早々に無力化される原因を作ってしまった事に反省しなさい。味方への攻撃(フレンドリーファイア)は実戦では決してあってはならない事を”猟兵”だったあんたが一番よくわかっているわよね?」

一方サラ教官は疲れた表情でフィーに指摘した後真剣な表情でフィーに注意をして問いかけ

「………ん。ごめん、ラウラ。」

「いや……そなたと連携せずに、そなたの動きも気にせずに一人でレンに向かった私にも非があるのだから気にするな。」

サラ教官の注意に頷いたフィーに謝罪されたラウラは静かな表情で答えた。

 

「次にラウラ。フィーの味方への攻撃(フレンドリーファイア)を受けてしまった一番の原因はレンの挑発に乗ってしまった事なのはわかっているわよね?」

「…………………はい。」

「へ………ちょ、”挑発”ってどういう事なんですか?」

サラ教官の注意にラウラが重々しく頷いている中意味がわからないエリオットは訊ねた。

「………さっき、レンはラウラをフィーより弱いみたいな事を口にしてラウラを煽っただろう?あれはラウラに自分に対する怒りを抱かせて頭に血を昇らせる事で戦闘中の判断を鈍くする為とフィーへの対抗心を持たせる事でフィーとの連携をさせない為だ。」

「ええっ!?まさかレンはそのつもりでラウラにあんなことを言ったの!?」

サラ教官の代わりに説明をしたリィンの説明を聞いたアリサは驚きの表情でレンを見つめた。

「大正解♪そう言う訳でラウラお姉さんには心にもない事を言ってしまって、本当にごめんなさい。」

「……………」

アリサの言葉に笑顔で頷いたレンは申し訳なさそうな表情でラウラを見つめて頭を下げて謝罪し、レンの謝罪をラウラは黙って受け止め、その様子を見たリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

(フン、”挑発”ではなく”本音”のつもりで言ったのだと思うのだがな。)

(あはは………)

ジト目でレンを見つめるユーシスの小声を聞いたエマは苦笑していた。

 

「その事についてあたしも聞きたいわ。レン、何でラウラを挑発したのかしら?」

「え?そんなの勿論、楽に勝つ為に決まっているじゃない。」

真剣な表情のサラ教官の質問に対して悪びれもない様子で答え、レンの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「ら、楽に勝つ為って………」

「そんな卑怯な方法を取ってまで勝ちたいとは普通は思わないぞ……」

我に返ったアリサはジト目でレンを見つめ、マキアスは疲れた表情で指摘した。

「こんなの初歩的な”戦術”よ。それに”実戦”で相手が正々堂々な正面からのぶつかり合いの勝負に応じてくれる考えなんておバカな考えよ。」

「…………その点については反論しないわ。”実戦”は武術の腕やチームワークだけで決まる訳じゃない。訓練や試合と違って、”実戦”に”ルール”なんて存在しないもの。パワーにスピード、スタミナと頭の回転の速さ。そして、それらを活かすための経験と技術。何より勝敗を決めるのは勝利を求める意志の強さ。だから”実戦”ではさっきのレンのやり方―――相手を挑発して判断力を鈍くして、味方との連携をさせないようにするのも立派な”戦術”よ。」

呆れた表情で答えたレンの説明にサラ教官は静かな表情で頷いてリィン達に説明をした。

「……教官。ならば”実戦”では騎士としての―――いえ、人としての”誇り”を捨てろと仰るのですか……?」

「ラウラさん………」

説明を聞いたラウラはサラ教官に質問し、その様子を見守っていたエマは心配そうな表情をした。

「そうは言わないわ。だけど”実戦”ではいかなる卑劣な方法も勝利し、生き残る為の立派な”戦術”。今は”実戦”では”敵”は正々堂々のガチンコ対決に応じずにそう言うやり方で戦いを仕掛ける事を覚えて、その方法に自分はどう対処するかを考えておきなさい。」

「………………」

「まあ、”誇り”なんて持っていても”実戦”では命取りになると思うけどね。」

サラ教官の説明を聞いたラウラは黙って拳を握りしめ、サラ教官の後に呟いたレンの言葉を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「君は”小剣聖”と言う称号を持っている程剣の腕が凄いのに、リィンやラウラみたいに剣士としてのプライドとかはないのか……?」

「フン、あったら銃等他の武器を使わんだろう。」

疲れた表情で指摘したマキアスの言葉を聞いたユーシスは鼻を鳴らして呆れた表情でレンを見つめていた。

 

「………もしかして”八葉一刀流”の皆伝者でありながら、他の武器を扱っているのも”戦術”の一つなのか?」

その時ある事に気づいたリィンはレンに訊ねたが

「あら、中々鋭いわね。これで、恋愛方面でも鋭かったらエリゼお姉さんも苦労しなかったのでしょうねぇ。」

「……それに関しては同感ね。」

「うぐっ……!というか何でそこでアリサまで同意するんだよ………」

小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの指摘とレンの指摘にジト目で同意したアリサの答えを聞くと唸り声を上げて疲れた表情で肩を落とした。

「阿呆が………」

「あはは………」

アリサがレンの指摘に同意した事の意味がわかっていないリィンの様子を見たユーシスは呆れ、エリオットは苦笑していた。

 

「え、えっと……それでレンちゃん。話を戻しますけど”小剣聖”という称号を持っている程剣の腕が凄いのに、他の武器を扱っているのも”戦術”の一つと言いましたよね?あれはどういう意味なのでしょうか?」

「クスクス、それは勿論実力を隠す為よ。」

「へ………」

「実力を隠す為とはどういう事なのだろうか?」

エマの質問に答えたレンの答えを聞いたマキアスは呆け、ガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。

「”力”なんてあればある程、戦う相手を警戒させてしまうものよ。そして警戒が強い相手は油断をしないし、隙も中々見せないわ。だからレンは剣術ばかりだけでなく色んな武器を使った戦闘スタイルを切り換えながら戦うの。色んな武器を使っていたら、レンが”小剣聖”だなんてわかり辛いし、レンがどの武器での戦闘スタイルが一番得意なのか、わかり辛いでしょう?」

「そ、そこまで考えて、あんな色んな戦い方をしているの!?」

レンの答えを聞いたアリサは驚き

「うふふ、戦いは始まる前から既に”情報収集”という名の戦いが始まっているのよ♪」

「……ま、レンの場合は”小剣聖”以外の二つ名でも有名だから、剣術以外でもレンが強いのはわりと知られているけどね。」

「”小剣聖”以外の二つ名………?一体どういう意味なんですか?」

レンの後に答えたフィーの話を聞いたエマは不思議そうな表情で訊ねたが

「それはヒ・ミ・ツよ♪」

レンは笑顔で答えを誤魔化し、レンの答えを聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「それともう一つ。”小剣聖”という二つ名を持っている事からレンが”八葉一刀流”の剣士――――つまり剣術で戦うと相手は勝手に想像するでしょう?そこに銃とか他の武器を使ったら、”不意打ち”がやりやすくて戦闘を一気に有利に進められるもの♪」

そして更なるレンの答えを聞いたリィン達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「……………」

「フン、お前の性格を考えると前の理由が建前で、後の理由が本音だと思うがな。」

「前々から思っていたけど、レンって他の人達からは”腹黒”って言われているでしょ。」

ラウラが真剣な表情で黙ってレンを見つめている中その様子に気づいていないユーシスは呆れた表情でレンを見つめ、アリサはジト目でレンを見つめて指摘し

「やん♪レンのお腹が真っ黒だなんてアリサお姉さんったら、酷いわ♪レンはみんなから”天使”って言われている程、とっても可愛いのに♪」

笑顔を浮かべて答えたレンの話を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「よくそこまで自分の事を”可愛い”って断言できるわね……」

「それに君の場合どう考えても”天使”じゃなくて”堕天使”か”小悪魔”の方が似合うぞ……」

「あはは………」

我に返ったアリサはジト目で、マキアスは疲れた表情でそれぞれレンに指摘し、エマは苦笑し

「ハア………レン、”実戦”では”戦術”が大事な事はあたしも理解しているけど、授業や生徒同士の模擬戦の時は不意打ちはまだいいとしても、生徒達の情操教育に悪いからさっきの挑発行為みたいな傍からみたら卑怯な”戦術”で戦うのは止めなさい。」

「はーい。」

サラ教官は溜息を吐いた後真剣な表情でレンに注意し、注意されたレンは反論することなく同意し

「それとフィー。あんたもレンの挑発の意図がわかっていたんなら、味方に説明ぐらいはしときなさい。」

「…………ん。次からは気を付ける。」

「ラウラも相手の口車に乗らないように常に冷静になって戦うように心がけなさい。”実戦”ではレンがさっきやったみたいな挑発行為なんてザラにあるし、戦いの最中に熱くなるのは決して悪い事ではないけど、熱くなりすぎたら、さっきみたいに足元をすくわれて、本来の力を出すことすらできずにあっさりやられるわよ。」

「……………はい。」

レンに続いてサラ教官にそれぞれ注意されたフィーとラウラもそれぞれ同意した。

「それじゃあ、次行くわよ。次の模擬戦闘の組み合わせは―――――」

そしてサラ教官の指示によって次の模擬戦をする者達が用意している中、エリオットはリィンに話しかけた。

 

「…………あの三人もそろそろ、何とかしてあげたいよね。」

「ああ、どうやらそれぞれ嫌っているわけじゃなさそうだ。きっかけさえあればと思うんだが…………」

「うーん…………そうだね。……それにしても体調はすっかり良いみたいだね?」

「ああ、完全に本調子だ。あんまり引き摺ったら妹が気に病みそうだしな。」

エリオットに尋ねられたリィンは数日前の出来事を思い出した―――――


 
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