No.770422

リリカルなのはZ 第十話 予想されていた希望

たかbさん

第十話 予想されていた希望

2015-04-11 22:50:52 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2409   閲覧ユーザー数:2279

 「なんなのあの機体は!」

 

 グランツ研究所で、最高責任者のグランツと共にNERVの最高司令官、碇ゲンドウと数名の重役と共に複数のモニターに向かってプレシアが叫ぶ。

 使徒をもう少しで仕留めきれると思ったところで乱入してきた黒い物体。

 一瞬、天敵である『知りたがる山羊』を持つアサキムが現れたかと思ったが、彼女が知るそれとは違うその格好にプレシアは声を上げる。

 その隣でしばらくガンレオンを強襲した黒い機体見ていたグランツがゲンドウの方を見て、質問を投げかける。

 

 「あれは、何ですか。碇指令。あの機体の肩にはNERVのマークが描かれていますが・・・」

 

 彼がそういうと、黒い機体の肩の部分を映し出すモニターが拡大される。

 そこには確かに羽をあしらったNERVのマークが描かれていた。

 

 「・・・さて、な。だが、あの武装は元々エヴァに搭載する武装だった。おおかた、どこぞの大国が我々の武装データを入手して模造した物なのではないか」

 

 高志に殴られた頬を押さえながら答えるゲンドウ。

 無理矢理にでもシンジをエヴァに乗せて出撃させろと言った彼に怒った高志は言動を殴り倒すとすぐさまアリシアのいる学校に転移していった。

 その光景を見たNERVの職員だったが、ガンレオンがシンジ達のいるところから出現したとの情報を受け取ったゲンドウはやはり、高志がガンレオンの操者だと確信した。

 

 「それに・・・。我々よりもそちらの兵器が転用されたのではないか」

 

 「…ガンレオンは兵器ではなく重機よ。それは何度も説明したはず」

 

 「使徒のATフィールドを殴り壊すだけの力を持つ。局所的な災害をもたらすことも可能。更にはあの黒い機体が手にしている武器はそちらのゲームに出てくるものではないか?」

 

 「「っ」」

 

 ゲンドウの言葉にプレシアとグランツは苦虫を噛んだような顔をする。

 武装どころではない。

 あの黒い機体。メディウス・ロクスの事も知っている。

 あれはガンレオン同様、『ブレイブデュエル』内での敵キャラクターとして登場させるはずだった物だ。

 よく見れば細部が違っている事が分かるが、ゲーム製作者のグランツやプレシアの二人でも目を凝らさないとその差もわからないくらいにそれは似ていた。

 何より気になるのは未だに登場させるかどうかのキャラの姿を知っているゲンドウ。いや、NERVの諜報力だ。

 まるで、このグランツ研究所が創立した時から見ていたかのようにこちらの情報を知り得ているかのようだ。

 そうプレシアが考えているとゲンドウは近くにいた護衛をしていたSPから彼女には聞こえないくらいの声量で何かを話す。

 するとゲンドウは興味が失せたのか踵を返して、幾つものモニターが映し出されている会議室を後にする。

 

 「話は以上だ。私は戻らせてもらう」

 

 「ま、待ちなさい。まだ、話は終わってない」

 

 「使徒がリリスの元にたどり着けば、全てが終わる。そして、それを阻止できるのはEVA。もしくはガンレオンでなければ、な」

 

 冷たく突き放すかのように言い放つゲンドウに待ったをかけるプレシアに視線だけを向け、すぐに会議室の外に目を向ける。

 そして、部屋を出る間際にこう言った。

 

 「・・・もしくはスフィアもどきを使えば話は別だがな」

 

 『スフィア』は研究所の人間でもごく限られた人物にしか知らせていない。

 膨大過ぎるエネルギーを生みだすそれは、高志やリニスといったスフィア・リアクターといったスフィアを扱う事が出来る人間。そして、プレシア。グランツ親子のみ。

 それなのに彼等の前で一度も『スフィア』の一言は喋っていないにもかかわらず、言動はそれを知っていた。

 スフィアもどきである『D・エクストラクター』でも一部の研究員にしか知られていないはずなのに、だ。

 

 「・・・碇、ゲンドウ。貴方は何者なの」

 

 プレシアの質問に答える事はなく、ゲンドウはグランツ研究所を後にした。

 

 

 一方、使徒の上陸許してしまった自衛隊。

 そんな彼等は今、空の上で怪物と戦っている五人の魔導師達を見守っていた。

 現代兵器の効果が見られない。ミサイルよりも威力がある物は核弾頭に似たN2地雷があるがそれを使うと辺りの街一体が吹き飛ぶ。

 自衛隊の所有するスーパーロボット。コクボウガーのウエポンアームのなかに唯一『威力だけならATフィールドを打ちぬける可能性がある』という武器があるがそれを使うには使徒と密着状態でなければならない。

 その上、使えばその反動で武器どころかコクボウガーの運用にも支障が出る。

 戦車のように踏ん張りがきいて、戦艦のように反動に強いガンレオンの補助パーツを無理矢理転用した物だ。

 だが、それを今、使わずしていつ使う。

 空中戦を繰り広げているのは自分達の子どもと同じくらいの少女も戦っている。

 

 「隊長!コクボウガーに『ウエポンG』装備の許可を!」

 

 「だが、あれは対地戦用だぞ。接近できないと使えない。戦闘機による爆撃もATフィールドとやらのバリアで叩き落とすことも…」

 

 「…彼女達に頼みましょう。今も、空で戦っている彼女達の協力があれば、いけますっ」

 

 町一つ離れた駐屯所で彼等はコクボウガーをいつでも出撃できるようにスタンバイしていた。

 その機動部隊隊長とパイロット

 

 「・・・分かった。だが、彼女達との協力があったとしても使徒を撃破しなければ生きて帰るのは難しくなるぞ」

 

 「分かっています」

 

 数秒目と目で会話した二人を見守る隊員達。

 隊長はその隊員全員を生きて帰らせる義務がある。

 むざむざ死地に部下を送るのは指揮官として最低である。

 だが、自分達は自衛隊でもある。自分達がやらねばそこに住む市民が使徒や使徒から生み出されるケルビムに襲われる。そうさせないための自分達だ。

 

 「・・・今から、空で戦っている少女達にどんな手段でもいい。コンタクトを取り、使徒を地上に叩き落すように要請しろ!あと、使徒は撃破すると爆破炎上する恐れがある撃破後は可能な限り退避しろ!」

 

 「了解!」

 

 EVAに頼るということも考えたが、子どもを死地に送るなど許せるはずもない。

 対使徒ロボット。コクボウガーの瞳に光が宿った瞬間だった。

 

 

 「ギガント・シュラァアアアアックッ!!」

 

 守護騎士達の中で一番の攻撃力を持つ騎士。

 赤いゴシックドレスに似たバリアジャケットを身につけたヴィータの全力攻撃である魔法の力で巨大化させた十メートルはある鉄槌の一撃を使徒に放つがATフィールドがそれを阻み、僅かに使徒を後退させるだけに過ぎない。

 

 「フレーズベルクッ!最大出力!」

 

 「貫け!鋼の軛!」

 

 鉄槌を振り切ったところに着弾する白い光弾が着弾すると同時にヴィータはその場から急いで離れる。

ATフィールドに接触すると同時に轟音と光が使徒を包み込み、その光に向かって地面から生えた幾つもの刃が突き刺さっていく。

 

白と黒を基調にしたRPGの僧侶を思わせるようなバリアジャケットを展開したはやての攻撃は一定範囲内の爆撃。

一方方向だけにしか展開していないATフィールドを展開中に全方位からの攻撃には対応できないのではという期待を込めた攻撃と目くらまし。

 

 頭には獣の耳。腰には獣の尾。両手に手甲。屈強な格闘家を思わせるようなザフィーラの攻撃ははやての攻撃が通らなかった場合でも、ATフィールドが分散している分防御力が落ちて、自分が作り出した刃で貫けるのではないかという攻撃。

 

 だが・・・。

 爆撃の光の中にはATフィールドが何かを弾く音が鳴り響いており、爆撃の光の奥には使徒の影があった。

 

 「ちっ」

 

 「・・・駄目か!」

 

 ヴィータの攻撃はもとより、はやての撃ちだした爆撃もザフィーラの刃も使徒のATフィールドを撃ち貫くことは出来なかったことにヴィータは舌打ちをして、ザフィーラは悔しそうに顔を歪める。

 

 「でも、私達の攻撃は全部囮やっ。任せたでシャマル!シグナム!」

 

 ザフィーラ同様に悔しそうなな顔を見せたはやてだが、自分達の攻撃はすべて目くらまし。本命は使徒を挟んで反対側に回った騎士の二人。

 はやてとは違う型の緑色をしたバリアジャケットを身につけたシャマルが手を前にすると彼女の手の先から5メートル程離れた場所に、直径1メートル緑色の鏡のような物が作り出される。

 

 「旅の扉展開!」

 

 サポートに力を入れて戦うシャマルは自分のいる場所。そして、自分達と使徒とを阻むATフィールドの向こう側を繋ぐ二つ目の『扉』を作る。

 

 「駆けろ!隼!」

 

 シュツルム・ファルケン!

 

 烈火の将。シグナムの武器は元来剣。

 だが、彼女の相棒であるレヴァンティンにはもう一つの姿がある。

 それは弓矢。

 その攻撃力は一点突破にかけてならヴィータのギガントよりも上である。

 剣から弓に変形したレヴァンティンから放たれた矢は、最初にシャマルの作り出した『旅の扉』の中を通過すると、ATフィールドの向こう側にあったもう一つの『旅の扉』から吐き出され、ウナギの形をした使徒の中央にあった丸い肝のような物に直撃、貫通した。

 

 「っっっ!!?!??!」

 

 ガンレオンを除けば、自分の体を傷つける物は無いはずの体にダメージが奔った。

 しかもそれが致命傷となれば使徒の方もじっとはしていられるはずがない。

 矢継ぎ早に攻撃していたはやてが率いる守護騎士達の連続攻撃で防戦一方だった為、使わずじまいだった高熱を帯びた触手をビチビチとうねらせていたが、ずずんと地面に倒れ伏した。

 

 「おっしゃー!怪物を仕留めたでー!」

 

 「見事な作戦でした、主はやて」

 

 「やっぱりあのまん丸が弱点だったか…。わかりやすい奴で助かったなぁ」

 

 はやてが勝鬨を上げると共にシグナムがとっさに立てた作戦を褒める。

 最初は主のはやてを囮という危険な目に会わせるのは反対だったが、一点突破攻撃させるには使徒の注意を引くために目立つ攻撃。

 巨大かつ派手な技を持つはやてとヴィータ。足止めにザフィーラの三人は外せなかった。

 囮役という地味な役割を果たしたヴィータは倒れ伏した使徒を一息入れながら管理局にどう言い訳するかを考えていた。

 自分達は『闇の書』事件での刑期を終えていない。いわば仮釈放の状態だ。

 管理局側からはあまり勝手な事をするのは控えられている。

 更には管理外世界の地球でド派手に魔法を使ってしまった。

 いくら人命救助のためとはいえ、やり過ぎたと考えている時だった。

 

 『逃げろ!!』

 

 大音量で自分達に呼びかける声に真っ先に反応したのは守護獣を自・他ともに称されるザフィーラだった。

 野生の勘とも言うべきか素早くはやて達を守る為に展開する魔法障壁を展開。その瞬間に赤紫色に光る触手がはやて達を襲った。

 ザフィーラの障壁ごと、触手で薙ぎ払った一撃ではやて達は町から見える山のふもとまで吹き飛ばされた。

 

 「はやてちゃん?!」

 

 「っ!シャマル!ぼさっとするな!」

 

 はやてとヴィータ。ザフィーラが殴り飛ばされた光景にショックを受けたシャマルを抱えてシグナムは自分達がいた空域を離れる。

 その数瞬後、赤紫に光る触手の軌道が描かれる。

 シャマルがシグナムに抱きかかえられて初めて状況を理解した。

 仕留めたと思っていた使徒は瀕死ながらも息があり、驚異的な回復力を見せながらその巨体を起こしながら触手を振るっていた。

 

 「くっ!主はやて!ヴィータ!ザフィーラ!応答してくれ!」

 

 シグナムは触手の射程から逃れると同時に魔導師同士がテレパシーのように連絡が取ることが出来る念話を行う。

 すると返ってきたのはいつものヴィータからは聞くことが無い程弱々しい念話だった。

 

 『わ、るい。・・・どじった。はやてはザフィーラが守ってくれたからなんとか気絶で済んだけど、つっ、ザフィーラは重症だ。障壁が砕け散る寸前で何とか身を捻って攻撃を受け流すようにしたお蔭で死んではいないけど、…瀕死だ。シャマルをはやく寄こしてくれ』

 

 「わかった!すぐに?!」

 

 向かわせる。

 ヴィータにそう答えようとした瞬間、使徒の触手は一気に伸び、シグナムとシャマルがいる宙域にまで伸ばしてきた。

 その瞬間、シグナムは自分の消滅を覚悟した。

 バリアジャケットを纏っているとはいえ、守護獣のザフィーラを一撃で屠った一撃を耐えられるはずがない。

 走馬灯のように自分の思考以外の全てがゆっくり動いて見える。

 だからだろうか、自分達に迫ってくる触手もゆっくりと見える。

 

 

 

 そして・・・。

 

 自分達に向かってくる桜色の光の存在に気が付いた。

 一瞬、病院から退院したての高町なのはの砲撃かと思ったがそれは違う。

 この状況で彼女がどうして自分達を攻撃するかもわからない。そもそも彼女はまだ魔法が撃てる状態でもない。ならば、この光は何なのか?

 桜色の光が自分達を突っ込んできた衝撃でシグナムは意識を失った。

 意識を失う直前でその光に遅れてきた聞きなれない言葉を聞いた。

 

 

 

 

 

 TRANS-SAM。

 

 

 

 

 と叫ぶ少女の声を。

 

 

間を開けての更新、申し訳ございませんでした。

欠こう書こうとは思ってもなかなか時間が取れなくての更新。申し訳ございませんでした。

 

とりあえず、近況報告。

スパロボZ天獄編、時間がなかなか取れないので未だに未クリア。

ガンレオンをフル改造する→選択肢→ガンレオン、グッバーイ!

獅子神様行かないでぇーっ!!

プレイ画面の向こう側で叫びそうになった作者でした。

 


 
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