「頼みごと?」
「ええ。午前中だけでいいの」
リトは朝練の途中、紫宛に頼まれごとをされていた。
近くには粉々に砕けている大岩だと思われるものがあるが気にしてはいけない。
「今日は璃々の新しい服を買いに行く約束をしていたの。でも急な仕事が入っちゃって…」
「それでそれが終わるまで璃々ちゃんを預かって欲しいって?」
「午前中だけだから、お願いできるかしら?」
「いいよ。どうせなら昼食もすませとく?」
「ええ、引き受けてくれてありがとうございます。…お礼に…」
「あ、酒は飲まないんで」
「――大人の味を教えてあげるわ♪」
「予想以上の発言でした!」
上目使いで言われたら一般人男性が発狂するような言葉を言って紫宛は歩いて行った。
もう仕事があるようで急いでいるようにも見える。
ちなみに今璃々は鈴々と朝食を取りに行っているようだと聞かされ見に行くことにした。
「さてと、璃々ちゃんと鈴々はっと…」
「ハグハグハグハグハグハグハグハグハグハグハグハグ…!」
「わー!鈴々おねーちゃんすごーい!」
「…すぐ見つけられたな」
食堂に入って見渡す必要も無いくらい早く見つかった。
現在鈴々は焼売の山を一人で食べている。
正直胸焼けしそうなのだが…
璃々も隣で見ている。
「鈴々、璃々ちゃんおはよ」
「ムグムグ…おふぁよーなのら、ほにーひゃん」
「おにーちゃんおはよー」
とりあえず席につく。
―――ほんと大食いキャラってどこにこんな量が入るんだろうな…
少し苦笑いしながら思ってると、璃々がリトの膝の上に乗ってきた。
リトはあまり動じず、頭をなで出した。
「~~~~♪」
「璃々ちゃん、今日のお昼までお兄ちゃんと一緒にいるって璃々ちゃんのお母さんから聞いてた?」
「うん!あのね、おかーさんがおにーちゃんのお世話になりなさいって言ってたよ」
「そっか。じゃあどうするかな…鈴々、今日暇?」
「ムグムグ…ングッ…今日はお昼から警邏があるけどそれより前ならお暇なのだ!」
「じゃあさ、これから何かして遊ばないか?璃々ちゃんもできそうなので」
「やるやる!やるのだ!」
「うし。じゃあ俺が朝飯食い終わるまで待っててな」
そう言い、朝食を取りに行くリト。
鈴々と璃々はうきうきと言った雰囲気で待っていた。
その後、リトは二人をつれて中庭に行き遊んだ。
主に鬼ごっこやかけっこなどといった体を動かすもので。
そしてあっという間に昼…
リト達は街の飲食店に来ていた。
なんでも新しくできた店で中は子連れも多く大変賑やかだ。
「よーし、二人ともなに食べる?」
「鈴々、大盛炒飯五人前なのだ!」
「璃々もー!」
「いや璃々ちゃんはさすがに無理でしょ」
元気に挙手する鈴々と璃々。
璃々は鈴々の真似をして大盛炒飯を頼もうとしたがリトに阻止された。
それで結局はリトの頼んだ大盛炒飯の一部を食べることに。
理由としては…リトがあまり金を持っていなかったからだ。
「ガツガツ…!」
「いつ見てもいい食いっぷりだな。凄いを通り越して清々しいわ」
「はむ…モグモグ…」
「あ、璃々ちゃんこぼしてるよ」
どこにそんな量が入るのか…鈴々は勢いよく炒飯を口の中へ掻き込む。
それと対称的に璃々は少しずつだがちゃんと噛んでいた。
朝のシーンでもそうだったのだが、凄く和む。
そうやって昼食が終わる…かと思いきや、店の中に五人の盗賊と思わしき男達が入ってくる。
その内の一人が大型のテーブルに座っていた客に脅しをかけるかのように叫んだ。
それこそ、店中に響き渡るように。
「オラオラ席譲れや!」
「ここにいるのはあの魔神様だぜ!」
(あ?)
リトは炒飯を食べながらも横目で盗賊達を見る。
八人の内一人は下手すれば二メートルを越える黒い外套で被われた大男でしかも白い仮面をしていた。
ただその仮面はへんてこな形で、まるで麦わら帽子の海賊団の狙撃の王様を連想させる。
(何だあのそげキング見たいなお面)
「お、おい…魔神ってあの…」
「ああ、半年以上前に大陸中で暴れてたって言う…」
(暴れとらんわ、アホ)
「それだけじゃねぇ…反董卓連合の時に殺戮の限りをしたって言う話も…」
(してねぇっつの)
周りがざわざわと騒がしくなってきた。
そう、魔神と言う存在は噂混じりも含めて恐れられているのだ。
何千と言う盗賊を苦もなく倒し、しかも普通ではあり得ない所業もする。
そんな魔神を…リトを知らない世の中では恐れられているのだ。
だからこそ、大型のテーブルに座っていた客は怯え席を立つ。
「おい店主。この店で一番いい飯と酒だせ」
「不味かったらこの店にある金目の物全部だせ!」
「ひっ!は、はいぃ!」
「……はぁ、なんつーか、まるっきりチンピラじゃねぇか」
「むむ!お兄ちゃん、あいつらお店の人に悪いこと言ったのだ!成敗してやるのだ!」
「うん!せーばい!」
盗賊の悪態に鈴々と璃々が身を乗り出す。
正義感が強い彼女達がこの光景を見て黙っているはずがない。
鈴々は席を立とうとするが、リトはそれを引き留めた。
「まあ待て鈴々」
「お兄ちゃん!?でも!」
「近くの客が警邏してる奴等を呼びに行った。あと二分位で来るだろうから待ってなさい」
「う~~~…」
納得がいかない、と言った表情の鈴々。
正直言うとリトもあの手の輩は即刻犬神家ポーズで埋めたいのだが我慢している。
これは警備している兵がやるべきことであり、巡回の強化にも繋がるからだ。
炒飯を運んでいた蓮華がピシリとひび割れてるが気にしたら負け。
「ケッ!まじぃ酒だぜ。飯もゲロみてぇだ!」
「おい店主呼べ!不味い飯食わされて魔神様が暴れだす前になぁ!!」
「そ、そんな…困ります!まだお店を出したばかりで…」
「じゃあよぉ…ヒヒッ♪お姉ちゃんが俺らとイイコトしてくれたら許してやんよ」
「いいっすよね、魔神様ぁ!」
「へへへへ…確かになぁ。そこのお嬢ちゃんが相手してくれよ。光栄なんだぜ、何せこの魔神の相手をするんだからな」
「「「ぎゃははははは!!!!!」」」
(あと四十秒かな……ん?あれ、璃々ちゃんどこ行った?)
さっきまでここにいた筈なのに…とリトは席の周りを見渡す。
するといつのまにか、璃々は盗賊達の席に立っていた。
「お店のおねーちゃんにひどいことしちゃだめ!」
「あ゛?何だこのガキ」
「お料理はおいしいもん!だからあやまって!」
「るっせーガキだな。魔神様の怖さわかってねーんじゃねえの?」
「しっかしうるせーガキだな……黙らせるか…」
そう言って一人の盗賊が青椒肉絲を床に捨て、それが盛られていた皿を振りかざす。
…おそらく青椒肉絲を捨てた辺りだろうか…リトが兵を待たずして、璃々の前に移動したのは、
しかも――――仮面をつけて。
『おい』
「あ?今度は何…だ…」
リトの顔――正確には仮面――を見た璃々に暴行しようとした盗賊は目を見開く。
他の盗賊、ならびに客達も同じ反応をした。
それもそうだろう、目の前には先程から騒いでいる自称魔神と同じ特徴をした男がいるのだから…
騒ぎに駆けつけた兵もその仮面を見て硬直している。
盗賊達は驚きはしたが、次の瞬間には少し冷や汗を掻きながらも薄ら笑いを浮かべていた。
「へ、へへ…何だぁ?兄ちゃん、魔神気取りか…?」
「生憎とよぉ…こっちには本物の魔神様がががががががが!!?」
『璃々ちゃーん、席に戻って俺の炒飯鈴々と分けて食べてくんない?こいつら色々と成敗するから』
「あ…うん!がんばってね!」
話しかけてくる盗賊二人をアイアンクローしながら持ち上げ、璃々に席に戻るように言うリト。
璃々は正直リトのしていることが解っていないが成敗と聞いて頷いた。
うんうんと頷くリトは指に力を込め、ミシミシと音がなるほどの威力をかもし出す。
「て、テメェなにしてやがる!?」
「そいつらに手ぇ出したらこの魔神様が許さねぇぜ!」
『…俺の友達のおばあちゃんが言ってたんだけどさ』
「「「あ?」」」
『“男がやってはいけないことが二つある。女の子を泣かせることと食べ物を粗末にすることだ”ってな。つーまーりー…』
さらに指に力を込め、『氷を操る程度の能力』と『冷気を操る程度の能力』を使い盗賊二人の頭部を凍らす。
と言っても呼吸はできる程度までなので命に別状はない。
頭が凍った盗賊二人はあまりのことでそのまま気絶した。
『ちょっと頭…冷やそっか☆』
「ヒィッ!?こ…凍ってる!?」
「ななんだよ、お前ぇ!?」
『さあね?魔神気取りのイカれた奴かもよ?』
「か、構わねぇ!やっちまえ!」
自称魔神の一声で盗賊達は腰の剣を抜こうとする。
だがその前にリトは剣を抜こうとする手首とその逆の手首の関節を瞬時に外した。
おまけに一工夫して。
「「ぎゃああああああっっ!!?手首がぁああああああっっ!!?」」
『708つある経絡秘孔の一つ、龍頷を突いた。お前達の体の表面は今痛覚神経がむき出しに…』
「「ぎゃあああああああああああっっっ!!!!!」」
『話聞け』
盗賊二人におもいっきりビンタするリト。
現在の盗賊二人がそれを喰らって意識を保てるはずもなく、泡を吹いて気絶。
だが、非道にも…リトは意識を戻した…股間への蹴りで。
『カムバック!』
「「うげごっっっ!!!!?」」
『さーて、こっちの二人にもやっとくか』
「あ…あのー…教官?」
『ん?あ、来てたの?』
「何をやっていらっしゃるので…?」
『制裁』
頭が凍った盗賊二人にも龍頷を突き、兵の質問に答えるリト。
嬉々として答えるリトに兵も周りの客達も引いていた。
そして、リトの注意が兵に向いていたからか…自称魔神は仮面を捨て、店の反対側の扉に向かって走り出す。
――冗談じゃねぇっ!!
――何だあいつ…まさか本物か!?
今更ながら、自称魔神は恐怖した。
目の前で仲間の頭部を凍らされ、さらに手首の関節をあっさりはずし、さらには激痛が追加される何かをされた。
自称魔神は外に出て逃げようとする……だが、一瞬で先回りしたリトに後ろから肩を掴まれる。
『ヘーイ、どこ行くのさ魔神さん?』
「ひっ!?」
『お仲間置いて行くなんてひどい人だねー。まあ、店の人に迷惑かけたことと料理台無しにしたことと店員さんに酷いことしようとしたことも含めてO☆HA☆NA☆SIしよっか?』
と言って自称魔神にも龍頷を突き、おもいっきり腹パンする。
『メゴパァ!』とおかしい音がした所を見ると、肋骨が何本か逝ったようだ。
目やら鼻やら口やら色々と垂れ流している自称魔神を逆さに持ち上げ体を固定すると、リトは牛丼大好きな超人の必殺技を繰り出した。
『――――キン肉バスターァアアアアアッッッ!!!!!』
「 」
「きょ…教官…やりすぎです!?」
『やるんだったら徹底に。これ、俺の制裁の決まりごとね』
「そうですか……で、何を飲ませてるんです…?」
『聞きたい?』
「あ…やっぱりいいです」
気絶した自称魔神の口の中に色々な怪しい薬を投入していく。
実はこの薬、『あらゆる薬を作る程度の能力』で作られた物で作った本人も効力は知らない。
まあ、例を挙げれば“食べ物を見ると口からナメクジが出てくる”とか“脇毛がチクチクして気になる”とか“一生唇が乾いたまま”とか“深爪の状態から治らない”とかだ。
地味なものからけっこう生活に影響が出るもの様々。
リトは仮面を外し、自称魔神と店に残っていた四人の盗賊を兵に連行させた。
ちなみに外した時の顔は無表情だったそうな。
「はぐはぐ…お兄ちゃん遅いのだ」
「きっとわるい人たちをせーばいしてるんだよ!」
「そーなのか!?ならいいのだ」
XXX「ヒィィイ!!!」←必死で作業中
一刀「何やってんだ?」
リト「月曜締切の仕事中」
XXX「終わらねぇ!!終わらねぇよ!!」
一刀「だったら何で小説書いたし」
XXX「しょーがないじゃん、自然とだよ!」
リト「このくそ作者…で、俺らで後書きか?」
一刀「リト…紫宛のことでなんかごめん」
リト「いやいい。いじられるのは慣れてるからな…」
一刀「いじるのとはちょっと違うような…で、今回は鈴々結構食ったよな」
リト「ああ。マジで大食いキャラの胃袋謎だわ」
一刀「ブラックホール級だよな」
リト「て言うか今回制裁ほとんどで鈴々と璃々そんなに目立ってないぞ」
一刀「そこは作者に言え。それに出るとは思ってたよ偽魔神」
リト「やっぱチンピラだよな、やる奴らって」
一刀「それより北斗の技できるの!?」
リト「龍頷だけな。拷問にちょうどいいと思って」
一刀「よく客の前でやろうと…」
リト「そこまで冷静じゃないんだよ。ちなみに人がいなければ…龍頷突いてからの針千本?」
一刀「怖い…!最後に飲ませた薬ってあれだけか?」
リト「いや?あれの他にも色々。全身から納豆菌が出る薬とか陸地酔いになる薬とか股間が爆発する薬とか」
一刀「おい最後ぉぉぉぉ!?」
リト「じゃあ次回予告するか」
一刀「ああ。次回、真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神三十九話は!」
リト「仮面編 “蕩けそう”。…なあ、次回どうなってんの?」
一刀「はい、シナリオ」←手渡し
リト「ああ、うん。………何これ誤解生む!?」
…^^;再見
リト「終わるなあああ!?」
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