どうも…長谷川勇紀です。
今日から中学3年生…二度目の中学校生活も残す所、後1年となりました。
フィー姉達の護衛を請け負ったあの事件から1年以上の月日が流れ、その間はちょっとした事件に俺、アリシア、誠悟が巻き込まれた事以外は特に地球で事件は起きませんでした。
代わりに管理局員として色んな部署を回り、時には偶然居合わせた事件現場で違法魔導師なんかと戦い、人事部署関係では脱税や横領をしてる上官を告発したりして、気付けば階級が『三等陸佐』……ゲンさんと同じ階級にまで上り詰めてました。
レジアス中将にもますます気に入られ、時々食事に誘われたりもしてます。その時に、地上の統制システム云々について意見を出し合ったり、ミッドの犯罪率を減らすための案について討論したり等。他には普通の上官程度では漏らせない様な機密も話してくれる程の信頼を得られてます。
実力に関しても1年前に比べ、かなり上がったと思います。亮太のおかげで覇気(見聞色、武装色、覇王色)と六式を完璧に習得出来ましたし。…覇王色まで出来るとは思えなかったが。
ま、管理局関係の話はひとまず置いといて今は学校での方に集中しよう。
まずは皆が気になるクラス発表。
長谷川家の面々で掲示板に向かう。
「……マジか?」
掲示板を見て呟いた。
今年のクラス割りは……
3年2組 長谷川勇紀
シュテル・長谷川
レヴィ・長谷川
ディアーチェ・長谷川
ユーリ・長谷川
高町なのは
フェイト・テスタロッサ
八神はやて
アリシア・テスタロッサ
アリサ・バニングス
月村すずか
アリサ・ローウェル
リンディ・ハラオウン
プレシア・テスタロッサ
杉村謙介
堀田直博
伊東誠悟
大槻亮太
滝島椿姫
西条貴志
吉満英伸
暁澪
……だった。
何つーか…付き合いの多い顔見知りがほぼ揃っているんだが…。
偶然にしても凄い確率だな。
「3年目にしてやっとユウキと同じクラスになれました♪」
ユーリ、メッチャ嬉しそうだな。
去年…2年の時はシュテル、ディアーチェ、謙介、亮太の4人が同じクラスだった。
「ただ…アイツもいるよ」
「塵芥の1人はもう我等に関わって来んし、澪の奴はちゃんと改心しておるしな」
「あの男は必要無いですよね」
喜んだのも束の間、一転して俺達は落胆する。
ディアーチェが『塵芥』、シュテルが『あの男』というのは勿論自称・オリ主である西条の事だ。
暁に関してはもう俺達全員が『澪』と下の名前で呼ぶぐらいに仲良くなってるし、吉満に関しては完全に『ある人物』以外に対して興味が無くなっている。
「鉄先輩が卒業したからアイツ、去年から活き活きしてたし」
鉄先輩は中学卒業後ミッドに引っ越し、地球やミッドの高校には通わず管理局員として頑張っている。
学校での西条に対する抑止力が無くなったのは手痛い。
特に同じ本局所属のなのは達は南無……だな。
「この1年…私、耐えきれる自信がありません」
「魔法さえ使わなきゃ物理的に潰してくれても良いぞ。海中はそういう学校だからな」
暗い雰囲気を出しているシュテルの頭をポンポンと軽く叩きながら言う。
掲示板を後にして、俺達は中学校生活最後の1年間を過ごすクラスの教室へと移動する。
教室に入った俺に最初に声を掛けて来たのは謙介。
「やあ勇紀、おはよう」
「ウッス」
「今年も同じクラスだね」
「これで9年連続……最早仕組まれてるとしか思えねぇ…」
「それについては同感だよ」
お互い『ハア~…』と溜め息を零す。
「…で、君の家族はあそこで何をしているんだい?」
謙介が教室の出入口を指差すと、室内を警戒しているのか立ったまま入ってこようとしないシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの姿があった。
「予想位つくだろ?」
「まあね。ちなみに彼はまだ来てないよ」
「だな。4人共、入って来ても大丈夫だぞ」
俺が廊下で佇んでいる4人に向かって声を掛けると、警戒心を解いたシュテル達が室内に入り、俺達の側までやってきた。
「おはようございます長谷川家の皆さん」
「「「「おはようございます(おっはー!)(おはよう)」」」」
「そういや、これ席順ってどうなってんだ?」
「例年通り最初は自由席だよ。始業式が終わってから席替えだろうね」
やっぱりか。
とりあえず謙介が座ってる席の真後ろを陣取る。場所は教室の後方にある席。
俺の両隣にシュテル、レヴィ、真後ろにディアーチェ、レヴィの隣にユーリが座る形となった。
その後は徐々に生徒が教室に入ってくる。
「勇紀、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、おはよう!!」
やがて顔見知りも教室に現れ始めた。
最初に挨拶してきたのはアリシアだ。相変わらず元気な奴。
「「「「「おはよう(おはようございます)(おっはー!)」」」」」
「今年1年よろしくね!」
「「「「「こちらこそ」」」」」
笑顔を浮かべながら挨拶するアリシアに俺達も言葉を返す。
「アリシア、フェイトとプレシアはいないのですか?」
「んー?2人ならもうすぐ来るよ」
「「おはようございます」」
「ほらね」
アリシアの言う通り、フェイトとプレシアさんはすぐに教室にやってきた。
で、当然の様にコチラへやって来る。
「姉さん、いきなり走って私達を置いていかないでよ」
「そうね。追い掛けるのに苦労したわよ」
「ごめんなさーい♪」
『テヘッ』と小さく舌を出して謝るアリシア。で、アリシア、フェイト、プレシアさんも俺達の周囲の席を陣取る。
「ここが私達のクラスの教室だよね?」
「そうね。既に何人か顔見知りも来てるし」
次に来たのはなのはとテレサ。
2人と視線が合う。
「「皆、おはよう」」
『おはよう』と声を返すとまたまた俺達の方に近付き、輪の中に入るなのはとテレサ。当然、皆の周囲の席を取るのは忘れない。
「男子の比率が少ないねぇ…」
「だな」
肩身が狭い。直博、誠悟、亮太……アイツ等早く来ないかなぁ。
「よぉなのは、フェイト、アリシア、プレシア、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、テレサ。今年は俺の嫁が全員同じクラスだな」
「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」
今まで和気藹々としていた女性陣の声が止む。
ああ……どうやらアイツ等にとっての地獄の様な辛い時間が始まるみたいだ。
教室に入って来たのと同時に声を上げたのはご存知自称・オリ主の西条貴志。
早速コチラに近付いてくるが皆の近くにいる俺と謙介を見るや否や急に表情を歪めて吼えだした。
「おいモブ共!!そこどけや!!なのは達が迷惑してるだろ!!!」
「「……………………」」
俺と謙介は無言でお互い視線を向けあうと
「「……………………」」(コクン)
頷き合って別の席に移動する。今度は教室の最前列の席だ。
「けっ!人に言われるまでコイツ等が迷惑がってるのに気付かないとは…ホント、モブはこれだから。なあ皆?」
「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」
しかし西条に向けられる視線は敵意を含むものばかり。
「(ふっ。なのは達から熱い視線が注がれてるぜ)」
それすらも心地よさそうに受け止めてる西条。絶対に勘違いしてそうだ。
「おはようさーん」
「「よう。勇紀、謙介」」
今度は教室の後方の扉からはやてが、前方の扉からは直博と誠悟が入って来た。
「「「「「「「「「はやて(子鴉か)(はやてちゃん)、おはようございます(おっはー)(おはよう)」」」」」」」」」
「「直博、誠悟。今年1年よろしく」」
後方の女性陣と前方の俺達が教室に入って来た顔馴染みに挨拶する。
「はやて、今年1年よろしくな」(ニコッ)
「……………………」
はやてはガン無視である。
「(ふっ、はやても挨拶するのが恥ずかしいみたいだな。ホント可愛いぜ。流石俺の嫁)」
ニヤついてる西条。また勘違いモード全開か。
はやてはそのまま俺、謙介、直博、誠悟の集まってる所までやってくる。
「勇紀君に皆もおはようや」
「「「「おはよう(おはようございます)」」」」
笑顔を浮かべて挨拶してくるはやてに挨拶し返す。俺以外の3人は丁寧な言葉で。
「ココ、空いとるかな?」
はやてが指したのは俺の隣の席。
「空いてると言えば空いてるんだが…」
「ほな座らせて貰うな」
『お前がここに座ると西条が…』って言葉を繋げる前にはやてが机にカバンを置き、着席する。
「オラモブゥ!!」
ほら来た。
「何はやてに付き纏って「邪魔よ」……へぶぁ!!?」
何か吼えてる西条が突如宙に舞った。
椿姫だ。アイツ、身体強化を施して一瞬で西条の懐に潜り込み、見事なアッパーを食らわせた。
「どこぞの作品でも言ってました!『飛んでる豚はクサレ豚!!』だと!!」
続いて椿姫と一緒にやってきたのであろう澪が回し蹴りで西条を蹴り飛ばす。当然ながら身体強化付きで。
てかそれを言うなら『飛ばねぇ豚はただの豚』だと思うんですけどね。
「「みんな(みなさん)おはよう(おはようございます)」」
「「「「「「「「「おはようございます(おっはー)(おはよう)椿姫(椿姫ちゃん)澪(澪ちゃん)。2人共ナイスコンボ」」」」」」」」」
女性陣から挨拶されると共に絶賛される椿姫と澪。確かに動きに無駄が無い見事な一撃だった。
「何やら教室が騒がしいわね」
「ですね」
続いてリンディさんと亮太。
「何?何かあったの?」
「皆、おはよう」
アリサ、すずかもやって来た。これで顔見知りが揃ったか。
こうして波乱の1年間を迎えるであろう最後の中学校生活が始まった………。
『下僕の皆ー!!!テンション上がってるー!!?』
『『『『『『『『『『イエーーーーイ!!!!』』』』』』』』』』
「いえーーーーい!!」
『それは良かったー!!ライブはこれからが本番なんだから途中でへばっちゃ駄目だよーーー!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『イエーーーーイ!!!!』』』』』』』』』』
「いえーーーーい!!」
『じゃあ次の曲いっくよーーー!!!!』
……夕食後のリビング。
テレビを食い入るように見つつ、1人テンションが上がっているのは我が家の元気な末っ子ルーテシア。
「今日はルーの奴、いつにも増してテンション高いな」
「ルーの好きなアイドルのライブらしいですから」
「何ていうアイドルだったっけ?」
「確か『チューア・チュラム』だった筈ですよ」
ディアーチェ、シュテル、レヴィ、ユーリの会話が耳に入りつつ俺はこう思っていた。
「(また吸血鬼……この世界吸血鬼多過ぎだろ)」
夜の一族である月村家、さくらさん、氷村。
次にブラド。
これらの面子に加えて今度はチューア・チュラム。
「(もうアレだな。『Chu×Chuアイドる』もこの世界に混じってるって認識で良いよな?)」
テレビを観ながら誰にも気付かれない様、小さく溜め息を吐く。
一回、裏の世界について詳しく調べてみるか?こんな調子じゃあ他にどんな作品が混じってるか分かったもんじゃない。
もし真祖の姫君とか出て来たらどうするよ?
「(どうか型月の世界観だけは混じってません様に…)」
俺は心中、必死に祈る。
「兄さん、お風呂上がったよー」
トテトテとパジャマに着替えたジーク。
「んー、じゃあ髪の毛乾かそうか」
『おいでおいで』と手招きすると素直に来る我が義妹。
ドライヤーを使って髪を梳きつつ、乾かしてあげる。
「そういえばジークも今日から3年生だよな。クラスの方はどうだった?」
「まぁ…知らん子もおれば去年同じクラスやった子達も何人かおるよー」
「そかそか。お前の親友達は?」
「にゅ?同じクラスやでー」
目を細め、気持ち良さそうな表情で俺の質問に答えてくれる。
数分経ってジークの髪も完全に乾く。
「勇紀君、次は私もお願いして良いかしら?」
声を掛けて来たのはメガーヌさん。ジークと一緒に一番風呂に入っていた。
「お願いって髪を乾かす事ですか?」
「ええ、ジークちゃんの気持ち良さそうな表情見てたら私もしてほしいなぁとか思っちゃって」
メガーヌさんがお願いしてくるなんて珍しい。
「良いですよー」
『じゃあ…』と言って俺の前に腰を下ろし、背を向けるメガーヌさん。
……何つーか…
「(湯上り直後のせいなのか、やけに色っぽく見えるんだが…)//」
特にうなじの部分とか…
「(…って、何考えてるんだ俺は?)」
軽く頭を振って雑念を振り払う。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
「(はっ!!?)」
突如俺に突き刺さる鋭い視線が4人分…
「「「「……………………」」」」
ルーテシアと一緒にテレビを観てた筈のシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリがコチラを睨んでるじゃないか!!
「な、何か御用でしょうか?」
恐る恐る尋ねてみる。
「「「「私も(僕も)(我も)風呂上りに髪を乾かしてくれますよね?(くれるよね?)(くれるよな?)(今、メガーヌに見惚れてましたよね(見惚れてたよね)(見惚れてたな))」」」」
「も、勿論ですとも」
拒否れる雰囲気じゃ無いッスよ。
メガーヌさんの髪を乾かしながら俺は4人に対し、戦々恐々としていたのだった………。
~~なのは視点~~
新しいクラスが発表されて1週間が経過した。
今年は聖祥の時から付き合いのある皆は勿論、シュテル達も同じクラスになれた。それに勇紀君とも…。
凄く嬉しい。………これで西条君さえクラスに……出来れば学校にいなかったらもっと良かったんだけど。
…愚痴ってても仕方ないよね。今は任務に集中しないと。
今日はフェイトちゃん、はやてちゃん、リインと共に別世界で発見されたロストロギアを受け取り、アースラ経由で本局まで護送する任務を言い渡された。
今はこの世界の観測基地に着いた所。
私達が基地に入ってすぐの所で2人の局員さんに敬礼して出迎えられた。
「遠路お疲れ様です。『本局管理補佐官』のグリフィス・ロウランです」
「『通信士』のシャリオ・フィニーノです」
「うん。出迎えありがとう」
フェイトちゃんが私達を代表して答える。
「ご休憩の準備をしてありますので、皆さんコチラへどうぞ」
「あ、平気だよ。全然疲れてないし、すぐに出るつもりだから」
ただ飛んできただけだからね。
「わたし等はこれぐらいの飛行ぐらいで疲れる程ヤワじゃないんよ。グリフィス君は知っとるやろ?」
「はい……存じ上げてはいるんですが……」
「「???」」
「あ、なのはちゃんとフェイトちゃんは初対面やったな。このグリフィス君はレティ提督の息子さんなんや」
「「あー!!」」
はやてちゃんに言われて納得する。確かにレティ提督に似てる。
「あ、フィニーノ通信士とは初めてだよね?」
「はい!でも皆さんの事はすっごーく知ってます!」
フェイトちゃんの質問に答えるフィニーノ通信士。何だか目がキラキラしてるよ。
「『本局次元航行部隊』のエリート魔導師、フェイト・テスタロッサ執務官!!いくつもの事件を解決に導いた『本局地上部隊』の切り札、八神はやて特別捜査官!!武装隊のトップ『航空戦技教導隊』所属で不屈のエース、高町なのは二等空尉!!」
私達の役職と名前を早口気味に言うフィニーノ通信士。
「『陸』『海』『空』のトップエースの皆さんとお会いできるなんて光栄ですーー!!!」
『ブンブン』と凄い勢いで頭を上げたり下げたりしてる。
「「「あ…あはは……」」」
そんなフィニーノ通信士を見て私達は乾いた笑い声を出す事しか出来なかった。
「リインフォースさんの事も聞いてますよ!とっても優秀なデバイスだって!」
「わー、ありがとうございますぅ」
テンション高いなー。
「シャーリー、失礼だろう」
「あ、いけない。つい舞い上がっちゃって…」
「『シャーリー』って呼んでるんだ?2人は仲良しさん?」
「す、すみません。子供の頃から家が近所なので…」
「わ、幼馴染みなんだ」
「いいね。私達3人も幼馴染みなんだよ。幼馴染みの友達って貴重なものだから大事にしてね」
「はい!!」
良い返事で答えるフィニーノ通信士。
「有名人に会うと騒がしくなるのはお前の悪いトコだぞ」
どうやらこういうフィニーノ通信士のテンションは良く見掛けるみたい。
「特に長谷川勇紀三等陸佐が新聞や雑誌に載った日なんか…」
「わーー!!わーー!!人の秘密言いふらさないでーー!!!!////」
顔を真っ赤にしながら大声で叫ぶフィニーノ通信士だけど今、勇紀君の名前が出たよね?
「フィニーノ通信士は勇紀…長谷川三等陸佐と知り合いなのかな?」
私が聞こうと思っていた事をいち早くフェイトちゃんが尋ねる。
「ししし知り合いだなんてそんな恐れ多いです!!……昔、助けて貰った事がありまして…それ以来憧れていると言いますか…何と言いますか…////」
やや俯き加減でモジモジしながら答えるフィニーノ通信士を見て確信する。
「「「(この子も勇紀君(勇紀)に惚れてる!!(惚れとる!!)」」」
そう思いながらも勇紀君との出会いについて詳しく話しを聞いた。
何でも勇紀君が初めての任務を行った時、彼に助けられたらしい。
「…そういや、カリムとシャッハの他にも人質になった子がおったってカリムが言うとった様な…」
「私も当時、事件に巻き込まれて人質にされてたんです。それを長谷川三等陸佐……当時は三等陸士だったあの方に助けていただいて…////」
うっとりしながら語る彼女はもう恋する乙女そのものだ。
「(むぅ…)」
私達の知らない間に他の子にまで好意を寄せられてたなんて。
「(ライバル多過ぎだよ)」
フェイトちゃんとはやてちゃんも険しい表情になっている。私と同じ事考えてるのかな?
「シャーリー。そう言う事は今は関係無いだろ。早く僕達のやるべきことをやるぞ」
グリフィス君がフィニーノ通信士を正気に戻して通信室に連れて行く。
それを見送りながら私達も基地を後にする。
「…とりあえず2人共」
「分かってるよはやて」
「うん。この任務が終わったら…」
「「「勇紀君(勇紀)本人から詳しく話を聞かないと」」」
言葉を揃えて言った後、私達は再びバリアジャケットを纏って目的地であるロストロギアの発掘地点に向かうのだった………。
~~なのは視点終了~~
~~フェイト視点~~
基地を発ってから目的地まで飛んでいる私、なのは、はやて。リインははやての肩に乗っている。
フィニーノ通信士……シャーリーとグリフィスのナビの元、目的地まで迷う事無く辿りつけたけど…。
「あれは…」
どうも発掘現場の様子が可笑しい。けどその理由は更に近付いた時に分かる事となった。
「現場確認。何だか未確認体が多数出てます」
「ん」
リインの言葉にはやてが小さく頷く。
アレ等が向かう先には発掘現場で働いていたと思われる2人の作業員の姿が。
「フェイトちゃん。救助には私が回るよ」
「うん、私は迎撃する。はやてとリインは上から指揮をお願い」
「「了解」」
「中継!こちら現場!発掘地点を襲う不審な機械を発見!強制停止を開始します!」
『中継了解!これより本部にも映像を回します』
「お願い」
シャーリーとの通信を終え、私達は散開する。なのはは発掘現場の人達の元へ。はやてはリインとユニゾンし、さらに高度を上げて現場を見渡せるように。私は不審な機械へ更に近付く。
機械が攻撃する中、作業員達の前に降り立ったなのはがプロテクションを展開し、攻撃から身を守る。
「プラズマランサー……ファイア!!」
ズドドドドッ!!
私は射撃魔法で機械兵器に攻撃する。
放ったプラズマランサー数発が不審な機械数体に命中し、爆発する。
「あれは…機械兵器?」
「該当するデータはありません」
私の呟きにバルディッシュが答える。管理局にとって未確認の兵器という事か。
それが何故こんな所で?
「(もしかして狙いはロストロギア?)」
『こちら中継。目標はやはり未確認機との事。危険認定により破壊停止許可が出ました!』
私が思案する中、中継のシャーリーから通信が届く。
「現場了解。発掘員の救護は私が引き受けるからなのはちゃん、フェイトちゃんは思いきりやってええよ!」
「「了解!」」
高度を下げたはやてが指示を出し、なのはと救護の役割を交代する。
ヴヴンッ!!
フィールドエフェクト?
「様子見でワンショット。レイジングハート」
「アクセルシューター」
「シューーート!」
レイジングハートの先端から3発の魔力弾が放たれる。ソレ等は正確に
パシュッ!
今のって…無効化フィールド?
「ジャマーフィールドを検知しました」
バルディッシュが分析した結果を伝えてくれる。
「
私は表情を変えてはいないものの、内心は少し驚いていた。けどそれも一瞬の事。
「はわわっ!AMFって言ったら魔法が通用しないって事ですよ!?魔力結合が消されちゃったら攻撃が通らないです~!」
慌てた様子のリインの声が聞こえてくる。
「あはは……リインはやっぱりまだちっちゃいな」
「ふええっ!?」
はやてがそう言うけど仕方ないよ。リインはまだ経験も知識も少ないんだから。
「覚えとこうね。戦いの場で『これさえやっとけば絶対無敵』って定石はそうそう滅多にないんだよ」
なのはと私はほぼ同時に魔力を溜め始める。
「どんな強い相手にも、どんな強力な攻撃や防御の手段にも必ず穴はあって崩し方もある」
ゴッ!!
なのはは魔力を地面にぶつけて砕いた破片を宙に浮かせ
バチバチ!
私は魔力で雷雲を呼び寄せる。
「魔力が消されて通らんのやったら『発生した効果』の方をぶつければええ」
そういう事。
「スターダスト…」
「サンダー…」
「「フォーーール!!!!」」
ドゴゴゴゴゴンンンッッッッ!!!!
ズガガガガガアアンンンッッッ!!!!
なのはと私の魔法は
「ふえ~、凄いですぅ~」
「2人共一流のエースやからな」
「…あ!何機か逃走してるです!」
リインが言う様に先程の魔法の範囲外にいた
「追おうか?」
「平気や。こっちで捕獲するよ。リイン、頼んでええか?」
「はいです(発生効果で足止め捕獲というと……)」
逃走中の
「こんなカンジです!!『
魔法陣周辺の水分を瞬時に凍結させ、
「お見事」
「ありがとうございますです♪」
なのはに褒められたリインの声は嬉しそうに弾んでいる。
こうして私達は発掘されたロストロギア……『レリック』と呼ばれる宝石を無事に受け取る事が出来、護送しながら別場所にいるシグナム達と合流する事になった………。
~~フェイト視点終了~~
~~クロノ視点~~
僕は現在、エイミィと共に『次元航行艦アースラ』にて、シグナムとヴィータがなのは達から報告のあった謎の
「シグナムとヴィータはやっぱり凄いねぇ。
「……………………」
「合流地点までもうすぐだし、そろそろ
「……………………」
「???どしたのクロノ君?難しい顔して」
「…………ああ」
エイミィが僕の顔を見て尋ねて来たので、短く返事を返す。
「この後の事を考えてた」
「後?」
「今回の一件……あの
「大きな事件……」
エイミィが小さく声を漏らす。
あの
それにロストロギアを狙う理由……こちらの方がより大きな問題だな。
アレは生物では無く機械……人の手によって作られ、設定付けられている以上確かにいるんだ。
もしそれが犯罪者…それも技術者型の広域次元犯罪者となれば特に危険だ。
「もしそういった事件になると管理局でも対応出来る部隊はどれぐらいあるか。人材や機材が揃ったとして動き出せるまでどれぐらいかかるのか。そんな状況を想像すると苦い顔にもなるさ」
「…なるほど。指揮官の頭の痛いトコだね」
「はやても指揮官研修の最中だからな。一緒に頭を悩ませる事になる」
目の前のモニターにはシグナム、ヴィータと合流したなのは達の姿が映っていた。
「…まあ、今回の事件資料と残骸サンプルはそのテの準備の交渉材料でしょ?事件がどう転ぶか分かんないなんていつもの事だし」
「それはそうなんだがな…」
気楽に言ってくれるよエイミィは。
「大丈夫!なんとかなるよ。『P・T事件』も『闇の書事件』も『闇の欠片事件』も『砕け得ぬ闇事件』も皆、何とかしてきてるんだもの」
「…まあ、その通りだが……」
「だからホラ!いつまでも難しい顔してないで笑顔笑顔。今日はきっちり任務を済ませて予定通りに同窓会。笑顔で迎えてあげようよ」
エイミィはそう言ってなのは達の転送処理を行っていく。
「それにさ。さっき言った事件に関わったなのはちゃん達だけじゃなくて勇紀君達もいるんだよ。皆が協力し合えば解決できない事なんて無いよ!」
「確かに勇紀達が加わるのは心強いな。……よく考えれば
「あそこの部隊って、どこの事?」
「地上本部首都防衛隊だ」
「……ああ~、納得」
僕の発言にエイミィも頷く。
「なのは達に引けを取らない魔導師であるシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ」
「亮太君と椿姫ちゃんは勇紀君に負けず劣らずの強力なレアスキルを持っているしね」
「それに来年……遂に勇紀と澪が首都防衛隊に加わるみたいだしな」
「…首都防衛隊、もう敵無しじゃん」
エイミィがそう言うのも分かる。
管理局内で最多のレアスキル保持者と、一時期はレアスキルと魔力を何故か西条に奪われ、Eランクにまで落ちたものの、今ではAAランクにまで実力を取り戻した魔導師。
この2人、救助隊でコンビを組んで以来、ずっと同じ部署を転々と回っていたからな。もう地上本部のほとんどを把握しているらしいし。
地上本部のレジアス・ゲイズ中将のお気に入りだという噂もチラホラと聞く。
「クロノ、エイミィ。迎えに来たよー」
「入室許可を貰う前からいきなり部屋に入るのはどうかと思うぞアリシア」
そんな僕達の元へやって来たのはアリシアとリンスだ。
この2人は今回の任務には同行せず、アースラのレクリエーションルームで母さん…リンディ統括官、アルフと共に料理に精を出していた。
「構わないよリンス。それで、もう始めるのか?」
「そうだよ。だから2人も急いで来てよ」
「…だ、そうだよクロノ君。とりあえず今は同窓会を楽しもうよ」
「そうだな。僕は一応騎士カリムに連絡を入れておくから先に行っててくれ」
『りょうかーい』と返事をして部屋を出て行くエイミィとアリシア、その2人の背を追う様についていくリンスを見送ってから僕は騎士カリムに連絡を入れ、今回の件を口頭で報告するのだった………。
~~クロノ視点終了~~
~~キャラクターステータス~~
NO.0001
長谷川 勇紀
LV 84/ 999
HP 8000/8000
MP 680/ 680
移動力 8 空 A
運動性 145 陸 A
装甲 1600 海 B
照準値 150 宇 -
移動タイプ 空・陸
格闘 202 命中 211 技量 200
射撃 204 回避 208 防御 202
特殊スキル 指揮官L3
援護攻撃L2
援護防御L3
気力+(命中)
アタッカー
~~あとがき~~
『リリカルなのは』の原作イベント関連を久々に書いた気がします。
今回はコミック版の内容……で、次回はいよいよスバルが魔導師を目指すきっかけになるあの事件です。
DVD見直してしっかり復習しないと。
それから暇潰しに勇紀のステータスをスパロボ風に掲載してみたんですけど、こんな感じですかね?
スパロボとの違いとして『EN』が『MP』になっています。
MP=キャラクターの魔力量です。大体
F ランク=1~50
E ランク=51~100
D ランク=101~150
C ランク=151~200
B ランク=201~250
A-ランク=251~300
A ランク=301~350
A+ランク=351~400
AA-ランク=401~450
AA ランク=451~500
AA+ランク=501~550
AAA-ランク=551~600
AAA ランク=601~650
AAA+ランク=651~700
S-ランク=701~750
S ランク=751~800
S+ランク=801~850
SS-ランク=851~900
SS ランク=901~950
SS+ランク=951~1000
SSS-ランク=1001~1050
SSS ランク=1051~1100
SSS+ランク=1101~1150
M ランク=1151以上
といった感じです。
今後も他のキャラ達を載せるかは未定です。今回はお試し感覚でやっただけなので。
あと、『超・番外編 別作品とのコラボ(その3)』でのアンケートの現状です。
①シュテル 17票
②レヴィ 3票
③ディアーチェ 10票
④ユーリ 5票
このままシュテルが逃げ切るのか他の3人が追い付くのか、2週間後の結果が楽しみです。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。