No.645024

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 875

soranoさん

第875話

2013-12-14 00:42:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2585   閲覧ユーザー数:2455

~碧の大樹ー神域ー~

 

「――――ラウラ・S・アルゼイド。父ヴィクターの娘であり、”アルゼイド流”の剣士の一人だ。まだまだ未熟な剣だが、足は引っ張らないように全力を持ってそなた達に協力する。よろしく頼む。」

「”光の剣匠”の……!」

「……さすがはアルゼイド子爵のご息女だけあって、佇まいが他の生徒の方達とは明らかに違いますね……」

ラウラが名乗るとリィンは驚き、エリゼは真剣な表情でラウラを見つめ

「フッ……そなた達こそ只者ではあるまい。リィンとエリゼと言ったか……見た所二人とも剣を帯剣しているが流派はどこなのだ?」

見つめられたラウラは静かな笑みを浮かべた後興味深そうな表情でリィンとエリゼを見つめて尋ねた。

「私の剣はエクリア様より教わりましたから、特に流派と言ったものではありませんね。私の剣術はあくまで護衛程度です。私は兄様と違って後衛で魔術による援護の方を得意としていますので。」

「魔術……!」

「す、凄いわね……その年で剣どころか異世界の魔法が扱えるなんて……」

「………さすがに皇族の護衛を兼ねているだけはあるな……」

「………………」

エリゼの説明を聞いたマキアスとアリサは驚き、ユーシスは目を細めてエリゼを見つめ、エマは複雑そうな表情で黙り込んだ。

「俺の剣は”八葉一刀流”だ。未熟な剣ながらも老師――――”剣仙”ユン・カーファイより”中伝”を預かっている。」

「ほう……”剣仙”殿から直々に剣の手ほどきを……」

「フフ、時間があれば是非お手合わせを願いたい。いつか”八葉”の剣士とも手合わせをしたいと思っていたしな。勿論妹君も時間があれば手合わせを願いたい。」

リィンの説明を聞いたヴィクターは感心し、ラウラは口元に笑みを浮かべてリィンとエリゼを見つめ

「ハハ……こちらこそ、”アルゼイド流”と戦えるなんて良い機会だよ。」

「フフ、私はどちらかというと魔術師に近いですから、剣士としてはそれ程誇れるものではないのですけどね。」

リィンとエリゼは苦笑しながら答えた。

 

「……勿論、もしよければでいいが貴女も私と手合わせして頂きたい。ファラ・サウリン卿。」

「あ、あたし!?何で??」

そしてラウラに視線を向けられたエステルは驚き

「私の父上のように貴女の父親は大陸中でその名を轟かせるかの”剣聖”の上、貴女自身も激戦を潜り抜けた実力者。貴女の情報を見て、同じ偉大なる父を持つ娘同士として手合わせを願いたいと思っていてな。」

「フフ、さすがに持ち上げすぎだ……」

ラウラの言葉を聞いたヴィクターは苦笑し

「アハハ……あの不良中年親父と比べたら、アルゼイド子爵の方が貫禄があって全然比べものにならないわよ~。」

エステルも苦笑しながら答えた。

「フム……?ファラ・サウリン卿はお父上の祖国での活躍を知らないのですか?」

エステルの言葉を聞いたラウラは不思議そうな表情で尋ね

「勿論、知っているわ。でも父さんったら、あたしにはその事については全く教えてくれなかったし、遊撃士だった時はボースのハイジャックの事件だって人に心配させるだけさせて、事件が解決した後にエレボニアにいるって連絡するぐらいのいい加減なぐうたら親父よ?しかもお母さんには逆らえないし。」

「あー、2年前の件ね…………そう言えばボースのハイジャックの事件の時と時期が被っていたわね~。」

エステルの説明を聞いたサラは苦笑し

「…………信じられん…………かの”剣聖”がそのような人物とは……」

ラウラは信じられない表情をし

(なるほど。家の中では”剣聖”ではなく”カシウス・ブライト”として見て欲しかったという事か。)

ヴィクターは静かな笑みを浮かべていた。

「エステル……さすがに言いすぎだと思うわよ?」

「おじいちゃんの威厳が台無しになっていくよ~?」

その時エオリアとミントは苦笑しながらエステルに視線を向け

「父さんに威厳??そんなの最初からないじゃない。軍を一度やめる時だってリシャール大佐やモルガン将軍達に丸投げするほどのいい加減な親父だし。そのせいで大佐がクーデターを起こすきっかけになったんだから。」

視線を向けられたエステルは目を丸くした後ジト目で答えた。

「あの……あくまでエステルとしての視点だから父さんの事を誤解しないでね。」

「……承知した。」

そして苦笑しながら言ったヨシュアの言葉にラウラは表情を引き攣らせながら頷いた。

 

「あ、それともう一つあるわ!サラさんは言わなくてもわかるけど、今後あたしの事は”エステル”って呼び捨てや気軽な態度で接してくれていいわよ?そのファラ・サウリン卿って呼ばれても正直、くすぐったいのよね~。」

「ええっ!?で、でもファラ・サウリン卿って”侯爵”だし……」

エステルの言葉を聞いたエリオットは驚き

「だ~か~ら~!そのファラ・サウリン卿ってのは止めてって言ってるでしょう!?元々あたしの名前はエステル・ブライトなんだから!貴族の爵位や家名なんてあたしにとったら後からついてきたオマケよ!」

「なっ!?」

「き、貴族の爵位や家名をオマケ扱い!?」

「貴族の爵位や家名をそんなぞんざいに扱う等……普通に考えてありえんぞ!?成り上がったとはいえ、今の貴様は曲がりなりにも貴族だろうが!?貴族としての自覚はないのか!?」

エステルの答えを聞いたマキアスとアリサは信じられない表情で、ユーシスは驚きの表情で声を上げた後エステルを睨んだ。

「そんな事言われても、あたしはあくまで遊撃士だもん。それに貴族としての仕事をしている訳でもないし。」

「その割にはその貴族としての身分を存分に使って、エレボニア帝国では暴れ回っていたよね?確か君達を無力化しようとした領邦軍の兵士達をみんな返り討ちにした挙句、貴族達が脅してきた時もその時は”英雄王”達に相談してメンフィルに介入させるって言って逆に脅していたし、君達の態度に業を煮やした貴族が命じた兵士達ごとその貴族を気絶させたりしていたよね?クレアちゃんなんか、下手に手を出したらメンフィルどころか、”英雄王”が直々に出てくる可能性も十分あるから、放置するしかないとんでもなく厄介な存在だってボヤいて対処法を必死に考える為に頭を抱えていたし、エレボニア帝国内で落ちた遊撃士協会の権威を復活させるために君達が来たんじゃないかって警戒していたぐらいだよ?」

「へえ?さすがにメンフィルの後ろ盾があるその娘達には対処できなかったようね♪」

エステルの説明を聞いたミリアムは不思議そうな表情で尋ね、ミリアムの言葉を聞いたサラは口元をニヤリとさせ

「あれは向こうが悪いのよ!『平民風情が出しゃばるな』って言って、あたし達の仕事の邪魔をしようとしたんだから!身分には身分をって奴よ!」

尋ねられたエステルは怒りの表情で答え

「いや、そんな諺絶対にないから。」

「……自らの欲望の為に民達を蔑ろにする愚か者達には当然の裁きですわ。殺さなかっただけありがたいと思って欲しいぐらいです。」

ヨシュアは呆れた表情で指摘し、フェミリンスは静かな表情で呟いた。

「特に”四大名門”の当主さん達だっけ?ホント、あたし達が出会った”四大名門”の当主さん達は最低な人達ばっかりだったわ!」

「ええっ!?」

「し、”四大名門”の当主にまで会っているなんて……」

頬を膨らませて話したエステルの説明を聞いたエリオットは驚き、アリサは表情を引き攣らせ

「確かミント達はえ~と……アルバレア公爵さんとカイエン公爵さんに会った事があるんだ。」

「何だと!?」

「よ、よりにもよって”四大名門”の中でも強弁派の……」

「よく無事でいられましたね………」

ミントの説明を聞いたユーシスは声を上げ、マキアスとエマは信じられない表情をし

「領邦軍の兵とか差し向けられなかったの?」

フィーは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「勿論、差し向けられたわよ。まあ、その時はパズモ達と一緒に大暴れして、兵士さん達はみんな無力化して公爵さん達にお仕置き代わりにあたしの棒で一発キツイのを入れてブッ飛ばしてあげたけどね♪」

「……戦車を差し向けられた時もありましたが完膚なきまでに破壊してあげましたわ。」

「あの時の兵士さん達や公爵さんの顔が面白いように強張っていたよね~。」

「なあっ!?」

「な、生身で戦車を破壊するって…………」

「凄いな……まるで教官達みたいじゃないか……」

「エ、エステルさん!?貴族の……それも”四大名門”の当主にそんな事をしたらどうなるかわかっているんですか……!?」

そして笑顔で答えたエステルと静かな表情で答えたフェミリンス、苦笑しながら言ったミントの言葉を聞いたユーシスは口を大きく開けて声を上げ、エリオットは表情を引き攣らせ、ガイウスは目を丸くし、エリィは信じられない表情で尋ねた。

「ん?あんまりしつこくあたし達の事を狙ってきたら今度はリウイ達に相談するって言ったら顔を青褪めさせて『この成り上がり化物共が!』って捨て台詞を吐いて逃げていったけど?いや~、あの時はスッキリしたわ!周りの人達も『よくやってくれた』とか『ありがとう』って言って褒めてくれたりお礼を言ってくれたし!」

「それとミントが”竜化”したら、みんな背中を向けて逃げて行ったよ♪」

「…………………………」

「め、滅茶苦茶だ…………」

「幾ら何でも好き勝手に暴れすぎよ……」

「エステルちゃん達、エレボニアでは大暴れしていたようだな……」

「さすがはエステルさん達ですね……」

「メンフィルを出されてはさすがの”四大名門”も下がるしかありませんものね……」

「あ、相変わらずとんでもないな、エステルちゃん…………」

「でも、そう言う所がみんなに好かれているのだから……そこがエステルの良い所よ。」

「フフ、民達をおろそかにする彼らにとってはちょうどいい裁きになっただろうな……」

エステルとミントの答えを聞いたユーシスは絶句し、ロイドとエオリアは疲れた表情で呟き、ランディとティオ、リースは苦笑し、ケビンは表情を引き攣らせ、サティアは微笑み、ヴィクターは口元に笑みを浮かべ

(フッ、さすがはお前の子孫だけはあるな。)

(もう……一体それはどういう意味ですか、ツァイト?)

ツァイトの念話を聞いたエイドスは呆れた表情をし

「アハハ……ちなみにミントも普通の貴族さん達みたいに威張るつもりはないから、ルーハンス卿って呼ぶのは止めて欲しいし、ママみたいに気楽な態度で接してね!」

ミントは苦笑した後微笑んだ。

「なんていうか…………想像していたイメージとは全然違いますね……」

「まるで太陽のような人達だな…………」

その様子を見ていたエマは苦笑し、ガイウスは口元に笑みを浮かべ

「フフ、だから言ったでしょう?貴族としての身分は何とも思っていないって。」

サラは口元に笑みを浮かべて答えた…………

 

 

 

 


 
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