No.620323

真・恋姫†無双 ~西から昇る太陽~ 序章終幕

佐中 祐さん

やっと序章終わった……

2013-09-17 16:15:01 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:892   閲覧ユーザー数:798

 

 

 「おい、翠たちはまだ戻らないのか?」

 

 「はっ。まだそういった報告はありません」

 

 「わかった。もういいいぞ」

 

 「はっ」

 

 

 そう言ってアタシが呼び止めた兵士は部屋を出ていく。

 

 

 「はあ……どこほっつき歩いてんだか」

 

 「……ふふ」

 

 「なんだぁ?白緑(びゃくろく)」

 

 「いえ、千歳様が小言を言う側になるとは」

 

 「……ふん。ちょっとした周辺の警戒くらいでこんなにかかってたまるか。二人して何 やってんだか」

 

 「翠たちのことです。賊と出くわしたところでまさかやられることはないでしょうし。 おおかたどこかで道草でもしているんでしょう。翠はとくに若いころの貴方にそっくりですから」

 

 「余計なとこまで似なくていいってんだ」

 

 

 ふん、と鼻を鳴らすと白緑はまた「ふふふ」と笑った。

 

 

 「とはいえ、最近は賊の数も増えてきていますし心配なら兵を出しましょうか」

 

 「いや、いい。あいつらだってもうそこまで子供じゃないんだ。待ってりゃそのうち帰ってくるだろ」

 

 

 たしかに、最近賊が出たという報告が後を絶たない。この天水周辺では、頻繁に兵を出して賊狩りを行っているため、まだ少ないほうだが、他州では賊の規模に恐れをなして逃げ出した役人までいるという。官軍が民を見捨ててなにをやってるんだという話だが、今の腐敗しきった役人たちでは賊にすら勝てないのは事実だ。

 

 陛下に現在の漢の現状を進言しようにも、まわりの宦官たちに邪魔をされてうまくいかないし……

 

 ……どうしたもんかねぇ。

 

 

 「も、申し上げます!!」

 

 考えに耽っていると先ほどの兵士が息を切らして駆け込んできた。

 

 「何事だ!」

 

 「賊が現れました!!」

 

 「なんだって!? 場所は?」

 

 「ここより西に六里ほどにある村を襲っている模様です!!」

 

 「ち、西か…… 翠たちは東だったな、あいつらはまだ戻らないのか!」

 

 各方面へ兵を出したせいで現在天水の城には動かせる兵がいない。最も帰還が早いはずの翠たちをそのまま向かわせるしかないが……

 

 

 「母様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「母様!」

 

 「翠か!!」

 

 「賊が出たのか!?」

 

 「ああ。西に六里の村だ。帰ってきてすぐのところ悪いが、すぐにむかってくれ」

 

 「わかった。蒲公英も連れてくぞ」

 

 近隣で賊が現れたらしく、馬超たちはすぐに出兵しなければならないようだ。

城に到着して兵士と話をした途端俺のことをひきづって走り出したので驚いたが、どうやらそういうことだったようだ。会話の内容から察するに、あの奥に座ってる馬超にそっくりな人が馬騰……

 

……どうみても馬超のお姉さんくらいにしか見えないんだが。

 

 そんなことを考えていると馬騰のすぐ隣にいた女性が俺に気づいたようだ。

 

 「翠、そちらの方は?」

 

 「あ、えぇと」

 

 「天の御遣いだよ!」

 

 遅れて追いついた馬岱がいきなりぶっこみやがった!!どう見ても不審なやつを見る目になっちゃってるじゃんか!!!

 

 「天の御遣いだぁ?……詳しく聞きたいところだが時間がない。話は後でいいからさっさと行って片づけてこい!!」

 

 「おう!」「りょーかい!!」

 

 そういって二人は出て行ってしまった。

 

 ……俺を残して。

 

 

 「さて天の御遣いとやら、あいつらが帰ってくるまで時間がある。詳しく話を聞こうじ ゃないか」

 

 「そうですね。天の御遣いなどと……事と次第によっては」

 

 そう言って、意地の悪い笑みを浮かべる馬騰たちに、俺は腹をくくるしかなさそうだった。

 

 

 

 

 

 「ほう。お前の言うことはだいたいわかった。白緑はどう思う?」

 

 「……にわかには信じがたい話です。ですが」

 

 「たしかに見たことない生地の服だよな」

 

 「ええ。それに真名を知らなかったり、翠の字を知っていたというのも気になります」

 

 「字くらいならどこぞの間諜なら調べられそうなもんだが……そんなやつがいきなり真 名を呼ぶなんてヘマしないだろうしな」

 

 

 結局洗いざらい知ってることを吐かされることになったが、いきなり全否定されて捕まることは避けれたようだ。とはいえ、簡単にこっちの言ったことを信じてもらえるはずもなく。……どうしたもんか。

 

 

 「おい北郷とか言ったか。未来から来たとか言ってたな」

 

 「たぶん」

 

 「なにか証明できないか?」

 

 証明……どうする? 未来から来たといっても歴史にそこまで詳しいわけじゃないし。

だけど、この世界が本当に三国志の世界だとすれば、有名な出来事くらいならわかるかもしれない。なら今はどのくらいの時期なのか。

 

 「黄巾党の乱ってもう起きてますか?」

 

 「黄巾党ぅ? なんだそりゃ」

 

 「待ってください、千歳様」

 

 「ん?」

 

 「最近になって頻繁に現れるようになった賊が皆腕に黄色い布を巻いているという報告があります。もしかしたら」

 

 「たぶんそいつらのことだと思う。俺たちの時代では黄巾党って呼ばれてる」

 

 「ほう。で、そいつらがどうした?」

 

 

 口調こそ変わっていないが、賊の情報にはかなり興味があるらしく目つきが変わった。

 

 「黄巾党がどんなだとか、首謀者が誰かくらいならわかるかもしれない」

 

 「本当ですか!?」

 

 「たぶん。ただ、確実とは言い切れないけど」

 

 「……千歳様、どう思います?」

 

 「……北郷、お前は天の御遣いか?」

 

 なんて答えたらいいんだろう。自分はこの世界の住人ではない。でも天の御遣いだなんて御大層なもんだなんてとても……

 

悩んだ末に結局俺は……

 

 「わからない」

 

 「わからない?」

 

 「俺はこの時代の人間じゃない。それは確かだと思う。でも、天の御遣いだなんて言い 切れる自信もどこにもない。結局自分がなんでここにいるのかすら知らないんだ」

 

 「……面白い。乗ってやろうじゃないか、お前の未来からの情報とやらに」

 

 馬騰の目は笑っていた。心底面白いおもちゃを見つけたように。

 

 「……はぁ。そうおっしゃると思ってました。どうするおつもりですか?」

 

 「天の御遣いだとか言い切ったら、たぶん信じなかったんだがな」

 

 どうやら未来うんぬんは信じてもらえたようだ。

 

 「おい北郷。お前いくあてもないんだろう。ここにおいてやる」

 

 「いいの?」

 

 「ただし、お前さんの知識をアタシらにかしてもらう」

 

 「それはいいけど……全部合ってる自信はないよ?」

 

 「役にたつならそれでよし。たたないならそれまでさ。で、どうする?」

 

 

 自信は正直ない。でも、いくあてもないしやるしかないんだろう。

 元の世界に帰れるのか、なんでここにいるのか、答えが出るくらいまでは頑張ろう。だから――

 

 

 「よろしくお願いします。それであの……」

 

 「ん?どうした?」

 

――ぐう

 

 「おなかすいちゃって」

 

 馬超のことを馬鹿に出来ないみたいだ。

 

 

 

 

あとがき

 

 

 ようやく序章終わった……

 

 次から黄巾編なんですがたぶん黄巾の間に拠点放り込んでいく形にして、黄巾の乱自体はあんまり書かない気が……  特に書けるエピソードが見当たんなくて。

 

次回はたぶんまだ出せてないオリキャラのあの二人を出して挨拶して終わりくらいの短い話かな?

 

それで拠点やりたいですね。

 

 

 

最後に、皆さんが下さるコメントがすごく力になってます!!

 

下手くそな文章ですが次からもよろしくお願いします!!


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
10
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択