No.620302

真・恋姫†無双~家族のために~#31王の邂逅

九条さん

1ヶ月も空いてしまい申し訳ありませんでした。
言い訳はあとがきにて・・・

匿名でのコメントを許可しておきました。それに対して返信するかはともかく、遠慮なくコメントを残していただければと思います~

2013-09-17 13:46:30 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2422   閲覧ユーザー数:2075

 諸葛亮が袁紹の陣営を脱出した日。同じく袁紹の陣営に囚われていた郭嘉が何者かの手引きにより脱出。同日、曹操の陣営へと帰還した。

 郭嘉の証言では、突如何かを被らされ持ち上げられたあと、気付いたら陣の外にいたと。

 傍には護身用の為なのか短剣が置いてあり、その下敷きに竹簡があった。ひとまず内容は確認せず懐に仕舞い、そのままの足で帰ってきたと。

 曹操が渡された竹簡に目を通すと、そこにはこんなことが書かれていた。

 

『曹操殿。貴殿の大切な仲間は助けておいた。これは貸しにしておく』

 

 最後に『黒』という印が押されていたことが、これが誰によって書かれたものなのか如実に表していた。

 曹操はその印を見て、何か可笑しかったのか腹を抱えて笑った。そしてますます思いを馳せることになる。

 

 彼が欲しい、と。

 

 翌日。

 朝から開かれた軍議では、金髪ドリルの二人が激しい口論を広げていた。

 自軍への被害や士気低下など毛頭考えていない袁紹は、このまま虎牢関を攻め立て華麗に進軍するべきだと、反董卓連合総大将としての権力を振りかざして進言していた。

 それに反抗したのは曹操。

 郭嘉を取り戻した彼女はこれ以上袁紹に気を使う必要はないと真っ向から対抗。出陣当初に想定していた被害を優に超えている現状を示唆し、このまま進軍しては(いたずら)に兵を消耗させるだけだと苦言を申した。

 それでいて虎牢関・汜水関を放棄したうえで、涼州の馬騰が洛陽に参上する際に使う西側からの進軍ルートを提示した。

 

 己の誇りと意地の為に進軍するか、兵と未来の為に撤退するか。

 ここにきて、今後を左右する二択を迫られた形になった連合軍であった。

 

 

「本当によろしいのですか? 桃香様」

 

 長く美しい黒髪を靡かせ、主君へと問いかける関羽。

 それに答えたのは、普段ののほほんとした雰囲気とは違いやや緊張しているように見える劉備だ。

 

「うん、いいの愛紗ちゃん。朱里ちゃん達も頑張ってるけど……」

 

「す、すみません」

 

 攻められたんだと勘違いした諸葛亮が俯きながら謝る。

 

「別に朱里ちゃんを攻めてるわけじゃないの。でも、星ちゃんがあんなに真剣に意見を言ってくれたことってあんまりないから。それに、私ももう一度ちゃんと見てみたいなって思ってたし……」

 

 上手く言葉をまとめられなくて、急にもじもじし始める劉備。その行動一つで先ほどまでの緊張した雰囲気は吹き飛ばされていた。

 

「愛紗、桃香もこう言ってるんだし……。いざとなったら愛紗が守ってくれるんだろ?」

 

 それまで成り行きを見守っていた一刀が劉備の意を汲んで続けた。こう言われてしまえば関羽が答えることは一つしかない。

 

「もちろんです。何があろうと、私が皆を守ります」

 

 そう答える関羽は凛々しく、武神というよりも戦乙女という言葉が似合うと、しばしの間見惚れていた一刀であった。

 

 彼らは人を待っている。趙雲が諭され、諸葛亮に進言され、劉備がまた会いたいと思い、未だ謎の多いその人を。緊張した雰囲気ではなく、彼ららしいアットホームなゆるい雰囲気を纏いながら。

 

 そして待ち人は来る。供を付けず一人、徒歩で現れた。

 

「こんにちは、劉備ちゃん」

 

 軽く手を上げ挨拶をする孫堅。その様子はまるで散歩に出たついでに来たといった感じだった。

 あまりの軽さに皆が反応できずにいる中、劉備だけは関係ないと即座に挨拶を返していた。

 

「こんにちは、孫堅さん。急にお呼びしてしまってすいません」

 

 そして軽く頭を下げる。普段の関羽であれば、王が軽々しく頭を下げないでくださいと苦言を申すところだったが呆気に取られていたため反応できなかった。

 劉備から数瞬遅れて反応した関羽は問いかける。

 

「なぜ……お供を付けなかったのですか? 危険だとは考えなかったのですか?」

 

 劉備と挨拶をしていた孫堅は、そんな関羽の疑問を聞き逃すことはなくにこやかに笑い答える。

 

「あなたは関羽……だったわね。そうね、劉備ちゃんがそんなことをする子に見えなかったから……かしら。それにあなた達も劉備ちゃんの顔に泥を塗る行為なんてしないでしょ?」

 

 そんなことは当たり前だと関羽は頷く。

 

「なら私が一人で来ても問題はないでしょう。呼ばれたのは私だけで、今さら腹の探りあいをしても無駄だからね」

 

 もう疲れたと言わんばかりにため息を吐く孫堅。それは軍議では見せなかった一面でもあった。

 なにより、この人もまた王なのだと、この短時間で強烈に印象付けられた。

 今は連合を組んでいるとはいえ将来敵になりえる陣地へ、単身で来る胆力。そして、そのことを不安にすら思っていない。

 関羽はこれ以上失態を重ねないよう、より強く気を引き締めた。

 

 その後すぐに呆然としていた諸葛亮が気を取り直し、劉備と共に先導して孫堅を天幕へと案内していった。

 

 

「それで、劉備ちゃん。私、まどろっこしい話は嫌いだから単刀直入に聞くけど、今回私を呼んだ用件ってなんなのかしら?」

 

 先ほどとは打って変わって、孫堅の雰囲気が鋭いものへと変化する。王の前で嘘を吐くなという圧力さえ感じるほどに。

 それを真っ向から受け止め、毅然とした面持ちで答える劉備。

 

「はい。お話というのは……」

 

 一瞬言いよどむ劉備。それを訝しんだ孫堅だったが先を促すように沈黙を保った。

 

「黒繞さんのことです」

 

 その名前が出た瞬間、やはりと思った。細作により劉備と曹操の人質が解放されたという情報は入っていた。そんなことを成し遂げられる人物は一人しか心当たりがない。その報告の後、すぐに話し合いたいという旨を伝えに劉備の使者がやって来た。なら、聞かれることは十中八九彼のことしかないだろう。孫堅に辿りついたということは、彼がなにかしら教えたということだし、彼が何を考えているのかは分からないが、話を聞いてみる価値はあった。

 

「……敵の話をなぜ私に聞こうと思ったのかしら?」

 

 聞きながらも目は逸らさない。睨んでいるわけではないが、見る者が見れば萎縮してしまうような眼で。

「それは私から話させていただきませぬか」

 

 そう言いながら天幕に入ってきたのは、淡い青い髪を靡かせ、その鋭い眼は知的な印象を与える少女だった。

 

「あなたは?」

 

 突然の乱入者に対しても平静を保ちながら対応する孫堅。

 

「失礼。申し遅れましたが、我が名は趙雲。以後お見知りおきを、孫堅殿」

 

「それで話とはなにかしら?」

 

 先ほどまで劉備に向けられいたその眼光が趙雲に向けられた。

 それに臆することなく趙雲は話し始める。

 

「……孫堅殿は、我が軍の者が袁紹に囚われの身となっていたことはご存知であるか?」

 

「ええ、知っているわよ」

 

 その一言で、すでに救出されたことも知っているということは通じたようだ。

 

「その救出に私は向かい、そこで一人の男に会いました」

 

 なるほど。彼とはそこで出会い何かしら話したのだろう。そして趙雲から話を聞いた劉備が私を呼んだのだと孫堅は判断した。

 

「私は即座に男に槍を向けたました。それでもなお平然とし、武器に手をかけようとすらしないのですから驚きましたな。男は自らを董卓軍の将だと言いながら、我が軍の者を助けようとしていました」

 

 孫権は黙ってその話を聞いている。一字一句聞き逃すまいとして。

 

「その男の名は黒繞。彼は最後に孫堅殿に会っておくといいと言い残していきました。何を考えてそう申したのかは分かりませぬが、私は彼の行動の不可解さから何かあるのだろうと思い、我が主にこの事を相談してみました。その後はご覧の通りかと」

 

「ふぅん」

 

 最後まで聞き遂げた孫堅の反応はそれだけだった。

 内心ではぐるぐると色々なことを考えていたが、それが表に出ることはなかった。

 

 つまり、深は趙雲らを見定めた上で孫堅に対応を任せた、簡潔に言ってしまえばこういうことだろう。

 策を話すも話すまいも孫堅に一任する。だから『会っておくといい』などと言ったのだ。

 ここまで劉備達を観察してきた孫堅は話してもいいだろうと考えていた。

 だが、決定するにはもう一押し必要だった。

 

 それは、劉備達が何のためにこの戦いに挑んだのか。

 それぞれ思惑があっての参加だろう。

 もちろん、孫堅も初めは名声などを得るために参加したのだ。深に策を聞かされてからは違うことを考えているが。

 袁紹も、袁術も、曹操も、みなには話さない裏の事情がある。それは軍の動かし方からも分かる。

 

 なら、劉備はどうか。そう問われたとき、返答に困るのだ。

 彼女達は口では洛陽の人達を董卓の圧制から助けたいと言った。だがそんな事実はない。

 そもそもそんな馬鹿正直に袁紹の言ったことを信じられるはずがない。

 だが、劉備のひたむきとも思える行動と、目の前で話してみた自分の勘から、彼女はとんでもないお人よしなのではという考えにたどり着いた。

 

 だからこそ確認したいのだ。劉備が何を考え、何をするためにこの戦いに挑んだのかを。劉備のその口から全てを包み隠さずに。

 

「では劉備。一つだけ聞いてもいいかしら?」

 

 孫堅は劉備を呼び捨てにした。

 空気が張り詰める。動機が早くなる。

 関羽の隣にいた諸葛亮は関羽の手を痛いぐらいに握っている。

 本能が危険信号を送っていた。

 趙雲は無意識に武器の柄へと伸びようとする手を必死に押さえていた。

 動じなかった劉備が少したじろいだ。だがそれだけだ。

 劉備は即座に顔を上げ毅然とした態度で受け答えた。

 

「はい」

 

 たった一言。言葉にするだけで全身の力を使ったような気がした。

 どんな質問であろうと誠心誠意答えようと。そう決意を込めて。

 

 孫堅は劉備の様子が変わったことを肌で感じていた。だからといって質問の内容を変えるわけではない。

 たっぷりと時間をかけながら息を整え、孫堅は言葉を発した。

 

「劉備。……あなたはなぜ、この戦いに参加したの?」

 

【あとがき】

orz

 

お久しぶりになります。九条です。

 

前書きにもありますが、1ヶ月も間が空いてしまって申し訳ありませんでした!

 

言い訳①

→ 一行更新を見てる方がいれば知ってるとは思いますが、アルファポリス様にオリジナル小説を投稿してました。そっちの執筆ばかり進めていたので族ための執筆が遅れていました(やってませんでした)

 

言い訳②

→ 土曜日にUPする予定でしたが、台風がくるとのことで急遽実家の稲刈りやらの手伝いに……。なんとか直撃前に終わり、3連休はつぶれました。

 

言い訳は以上! 結論は忙しかったんです(すっとぼけ

まぁ本編の執筆に少し悩んでいる部分があったりもして、新しく書き直そうかなとかプロットだけでも作っておこうかなとか考えちゃったりもしてますけど。反董卓連合編までで終わらせて、以前の拠点を書いて次回作を書き始めようとか考えてますけども・・・

 

やはり今月はオリジナルの執筆にかまけちゃうので更新は遅々となりますね。

下手すれば今月はこれだけになるかも・・・(汗

書き直すかどうかは、やはり最初に考えた設定が甘かったというのが大きいところで、プロットができ次第本編も終わりになるように書き変えると思います。ほぼ確定事項となりますね。

ちょっとだけプロットの内容をバラすと・・・凪ちゃん仲間にしたいよね。だってかわいいもん!

※あくまで現時点でのプロットです。変更があっても責任なんて取れませんので。

 

また、ちょくちょく偽√をぶっこむ可能性大

楽しみの方はwktkして待っててね。見たことない人はハム√を見てくるんだ!(笑

目指せ恋姫キャラのコンプリート!?

 

 

ところかわって

お気に入りがそろそろ300になりそうで、本当にありがとうございます。

これからも応援よろしく頼みますよ!

 

 

それではまた次回、お会いしましょう~ノシノシ


 
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