第19弾 本選開始
キリトSide
準備を行う為の暗闇の空間、六角形のパネルの上で装備を整える。
主武装に『フォトンソード・カゲミツG4』のマットブラック塗装を、
副武装に『FN・ファイブセブン』をセット、両腕には手甲を装備して準備を終える。
[準備時間:25秒 フィールド:ISLラグナロク]とホロウインドウには表示されている。
俺とアスナは本選が開始したら、まずは合流することを目的としている。
俺とアスナは
間もなく始まるBoB本選、果たして『
そしてカウントは、0を迎える…。
俺が降り立ったエリアは、フィールド西部に位置する草原エリアか。
いまから15分毎に俺達の居場所が他のプレイヤーに知らされる。
俺とアスナは1回目のそれを利用して合流するつもりだが、
もう1つ決めているのが都市廃墟エリアでの合流だ。
お互い何処に転送されたか分からないからな。
「取り敢えず、行くしかないな」
俺は都市廃墟のある東に向けて駆け出した。
駆け出して3分ほどが経過した時、俺は攻撃の気配を察して、その場から飛び退いた。
するとそこに幾つもの弾丸が流れていった。
弾丸が流れた方を見てみると、草の陰に人がいるのに気が付いた。
俺はそのままそちらに向けて直進、陰に隠れていたと思われる黒人のグラサンをつけたおっさんが姿を現した。
「おいおい、普通は当たるもんじゃねぇのか!?」
「お生憎と、勘はかなり良いんでね!」
放たれる弾丸を全て回避しながら進み、近距離に入ると手榴弾を投げてきた。
それを爆発する前にファイブセブンで弾く。
「う、嘘だろぉっ!?」
「大いにマジだ」
そのまま接近すればナイフを持ち出してきたが、俺は光剣の刃を出現させてナイフを砕き、同時に銃も破壊した。
「名は?」
「の、『のりしおポテチ』だ…」
「……ぷっ、す、すまない…くくっ」
聞いたのが悪かった、名前が名前だけに笑いが止まらない。
相手は仕方がなさそうにしてから溜め息を吐いた。
「はぁ~…ノリで付けるんじゃなかったぜ。姿とミスマッチだからな…。とりあえず、早くきめてくれや」
「くっくく…ああ、これで終わりだ」
諦めた様子の彼の言葉に促されて、光剣で斬り裂いて止めをさし、
『のりしおポテチ』は[Dead]の文字が浮かびながら倒れた。
名前と容姿とのギャップにインパクトがあったお陰で、一時の間は忘れることは無さそうだな。
俺は改めて、都市廃墟に向けて走り出した。
キリトSide Out
アスナSide
わたしは予定通りに都市廃墟に向かっている。
わたしの出現地点はフィールド北部に位置する砂漠エリア、そこの北西部地点にある川沿いだった。
この付近は砂も多いけれど、岩も点在しているので、周囲を警戒しながら進むのには丁度いい。
既に8分は経過しており、慎重に警戒しながら歩みを進めていた。その時、1つの影をみつけた。
わたしの200mほど先を警戒しながら移動している女の子(もしかしたらM9000番系)だった。
黒髪のストレートロングなので、一瞬キリトくんかな?と思ったけれど、狙撃銃を持っているから違うプレイヤーだ。
少なくとも死銃ではなさそうなので、このまま倒そう。
主武装の『フォトンソード・カゲミツG4』のライトホワイト塗装を右手に構え、
副武装の『ベレッタM92FS・フルオート』を左手に持ち、一気に駆け抜ける。
そこで相手はこちらに気付き、狙撃銃を構えて撃ってきたけど、弾倉予測線によって回避する。
「くっ、なんで、あたらないのっ! それに、速いっ!」
「ふっ、はぁっ!」
―――ガキィンッ!
「な、なによ、それっ!? ありなのっ!?」
1発の弾丸がわたしの目前に迫ったけれど、ハジメ君の戦いを見て学んだわたしはその弾丸を光剣で斬り裂いた。
相手の子はあまりの光景に驚いた様子を見せたけど、すぐに狙撃銃を投げ捨てて、
わたしのベレッタと同じような銃を持ち出して反撃してきた。
可能な限り回避して、当たるものは光剣で斬り、一応距離があるのでベレッタで銃撃する。
そして縮まった距離、相手の子が取り出したサバイバルナイフとベレッタを光剣で砕いて、喉元に剣を突きつける。
「お名前、教えてもらえるかな?」
「あか、『紅羽』…」
「うん、ありがとう。それと、ごめんね」
名前を聞き出してから光剣で斬って止めをさす。
ふぅ、大変だったけど、こっちが先に見つけることができて良かったわ…。
「さて、キリトくんと合流しないと…」
本選開始から13分が経過、もう少ししたら衛星が居場所を送信してくるけど、出来るだけ廃墟に近づかないとね。
アスナSide Out
ハジメSide
私が転送させられたエリアはフィールド東部の田園エリアのようだ。
キリトとアスナは合流を目的として都市廃墟へと向かうのだったな。
現在地を確認し、田園エリアの西側に位置していることを理解した。
なら私はこのまま南部の森林エリアへ向かうとしよう……そう思った、その時!
―――ダアァンッ!
「っ、ちぃっ!?」
1発の発射音を聞き取り、瞬時に前方に飛び、小屋の影に隠れた。
狙撃、しかも私がいたところの地面が吹き飛んでいる様子を見るに、
相手はアンチマテリアルライフルの使い手と窺える。
さらに厄介な事に丘にポジションを取っているのか、面倒だな…。
相手はこちらの位置を掴んでいるはずだからすぐに動かねばならないが……よし。
私はウインドウを操作してあるアイテムを2つ取り出した。
小屋の影から出てそれを狙撃手の方向に向けて1つを投げつけ、私は目を閉じ、耳を塞いだ。
―――ドガァァァンッ!
その爆音と共に強烈な閃光が溢れ、轟音と閃光で相手を無力化する手榴弾『スタングレネード』である。
それらが止むとすぐに小道を駆け出し、丘へと駆けのぼる。
狙撃手の姿を見つけるともう1つの手榴弾、ハンドグレネードを相手目掛けて投げつける。
―――ドッガァァァンッ!
「ぐあぁっ!?」
その爆発で狙撃手と狙撃銃が吹き飛ぶが、プレイヤーの方は無事のようだ。
接近する速度を緩めず、右手の銃剣『バヨネット・ソードモデル』、左手の『デザートイーグル』を構えながら突撃。
それぞれで相手に銃撃を浴びせるが、ハンドガンの『マカロフ』と大型リボルバーの『コルトアナコンダ』で応戦してきた。
「喰らえぇ!」
「しっ! はっ! ふっ!」
―――ガキンッ!ガンッ!ガガンッ!
「っんなぁ!? 弾丸に、弾丸をぶつけたぁっ!?」
相手の弾丸を銃剣で斬り裂くか、デザートイーグルで放った弾丸をぶつけるという技術を用いて無効化する。
そのまま最速で突き進んで相手のマカロフとコルトアナコンダを弾き飛ばし、銃剣を突きつける。
「……名を聞こう」
「クレ、ナ…『クレナ』だよ…」
「……そうか、面白い戦いだった。礼を言おう、クレナ」
そして銃剣で斬り裂き、クレナと名乗った茶髪に金の瞳のプレイヤーは倒れ伏し、
アバターに[Dead]の文字が浮かびあがった。
「……さすがに立ち止まって考えるのは不味かったか…。次からは安全そうな場所で考えるようにしよう」
慎重に森林エリアに向かうとしよう。
ハジメSide Out
シノンSide
私が降り立ったエリアはフィールド南部にある山岳エリアみたいね。
狙撃手にとって、山岳エリアはメリットとデメリットが大きい。
高い場所からの狙撃は有効だけど、一撃で仕留められないと見つかり易いというものだ。
まずはここからエリアの東部まで向かうことにしよう。
本選開始から10分が経過した頃、崖に身を隠しながら移動していた時だった。
―――ドゴォォォンッ!
「きゃあぁっ!?」
すぐそばの茂みが大きな爆音と共に吹き飛び、私も軽いダメージを負った。
いまのは、ロケットランチャー!?
それが飛んできた方向を見てみれば、崖の間から1人の影が見えた。
すぐさま付近にあった岩陰に隠れてヘカートを用意し、様子を窺う。
するとまたもや弾頭が発射され、私の前方5mほどで爆発が起きた。
このままじゃあ、他のプレイヤーが集まってくるのは時間の問題ね……それなら!
私はヘカートを構えて、一気に前へと躍り出た。
「はあぁぁぁっ!」
ヘカートから弾丸を放ち、小岩を吹き飛ばす。
相手もロケットランチャーで応戦してくるけれど、所詮は程度の知れる速度。
回避して突き進み、300mほどまで近づいた時に、相手はアサルトライフルの『AK47』を取り出してきた。
それよりもはやく、私はAK47をヘカートで撃ち抜き、破壊した。
「ぐぅっ!? し、しまったっ!?」
黒髪短髪の中年とみえる男、彼の名前なら知っている…。
「終わりよ、『アサシン』」
彼の名前を呟きつつ、ヘカートで吹き飛ばし、[Dead]の文字が浮かんだまま倒れている。
「こっちの姿を見られたのが不味かったわね。
それに、いまの戦闘音を聞きつけたプレイヤーと遭う前に、ここから離れないと…」
崖と岩の合間を移動していく。
そこで丁度15分が経過し、プレイヤー達の位置が知らされた。
シノンSide Out
漆黒を纏う覇王、覇王に付き従う妃、魔弾を放つ剣の射手、凍てつく氷の狙撃手、4人の思いが1つに重なる。
―――戦いは、始まったばかり
To be continued……
後書きです。
はい、本選出場者の
次回は残りの2人の方にキリトと戦ってもらいますよ~w
それでは・・・。
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第19弾です。
ついに本選の開始です、今回は参加者のうちの4人の戦いになります。
どうぞ・・・。