第20弾 ALOからの客将
キリトSide
本選開始から15分が経過し、現在生き残っているプレイヤー達の所在地が明かされ、
アスナの居場所を確認し、彼女は砂漠エリアの川沿いを移動しており、俺はその動きに合わせて合流できるように、
都市廃墟エリアの外周部を沿いながら砂漠のある北部へ向け、全速で移動を開始した。
さらにそこから5分が経過した頃、草原エリアと砂漠エリアを隔てている川を見つけ、次いで彼女の姿を見つけた。
「アスナ!」
「あ、キリトくん!」
俺の声に気付いたアスナ、しかし川を潜って移動するのも難である。
「アスナ、このまま川を沿って都市廃墟エリアで合流しよう!」
「了解!」
俺達は互いに遅れないに川を沿って走り抜ける。
そしてまた幾ばくか走った時、廃墟に入り込む。
まだ川が続いているが、そこに小さな橋が掛かっているのを見つけ、
橋を渡ってアスナと合流することに成功した。
「キリトくんが無事で良かったよ」
「それはお互い様だろ?」
「ふふ、そうだね♪」
さて、無事に合流できたことを喜ぶのはいいが、確かこの都市廃墟には俺達以外に3人のプレイヤーがいたはずだ。
1人はシノンが言っていた『銃士X』、そいつがフィールドの西部にある田園エリアとの境目にいたと思う。
そして残りの2人は既に廃墟中央付近にいたはずだが……っ!?
「アスナっ!」
「きゃっ!?」
―――ダダダダダダァァァンッ!
俺は感覚に呼びかけるものがあり、それに従ってアスナを庇うように揃って地面に倒れ伏した。
俺達の立っていた場所を幾つもの弾丸が駆け抜け、直後にまた弾丸が駆け抜けていった。
「こ、攻撃なのっ?」
「いや、多分流れ弾だ…。俺達を狙ったとしたのなら、命中精度が悪すぎる」
おそらく、残りの2人が戦闘を行っているのだろう。ここは生き残る為に動くべきだな。
「戦いの様子を見に行こう。生き残った方と戦うことになるだろうからな」
「うん、分かった」
俺とアスナは立ち上がって戦闘地点へと移動しようとした……その時!
―――ドォンッ!
―――スチャッ!
「ちっ、着やがったか…」
「え、えっ?」
「「むっ!?」」
すぐそばで建物から着地した様子を見せた2人のプレイヤー。
厄介なことに俺とアスナを挟んだ状態であるため、俺は舌打ちし、彼女は驚いている。
しかし2人の方も俺達がいた事に驚いた様子を見せていることから、戦いに相当集中していたことが窺える。
ただ、俺としてはその2人が武器を下ろして戦いを中断したことの方に驚いた。
「ALOで名高き【漆黒の覇王】キリトさん、その奥様の【
「「っ!?」」
「その反応を見るに、やはり当たりですか」
短髪に丸レンズのサングラスを掛け、灰色の防弾ジャケットと迷彩色の防弾ロングコートに身を包んだ男が言った言葉に、
俺とアスナは武器を構え、もう1人の神父服を着ている白髪眼鏡の男までもそう言った。
「お前ら、何者だ…?」
「自分達もALOからコンバートを行った者です。自分は『リョウトウ』、以後お見知りおきください」
「私は『サイト』、同じくALOからコンバートした通りすがりの武装神父です」
俺の威圧の篭った問いかけに2人はそう答えた。
いやいや、通りすがりの神父は武装なんかしないって…。
「あの、どうして、わたし達のことを…?」
「偶然ですよ。GGOの大会に参加したくてコンバートしたら、どこかで聞いた名前があるじゃないですか。
キリト、アスナ、【黒火の剣帝】ハジメ…もしやと思って予選の様子を見たら、案の定あの剣捌き。
気付く者もいるでしょう…」
アスナの疑問にサイトと名乗った神父が答えた。
「それに自分達は『オベイロン討伐大戦』にも参加しましたからね…。お二人にお会いできて、光栄に思います」
「なるほどな、そういうことか…」
『オベイロン討伐大戦』とは、『ALO事件』において俺やアスナ、黒衣衆、一部の
ほぼ全てのALOプレイヤー達によって行われた、須郷伸之のアバター『オベイロン』の討伐戦のことだ。
アレに参加し、なおかつALOで俺達を見たことがあるのなら、剣捌きを覚えられていても不思議ではない。
「俺達のことを知っているのは分かった。しかし、アンタら知り合いなのか?」
「それはまぁ、因縁の仲というものですよ…」
「この武装神父を見つけたんで、
俺の言葉に2人は苦笑しつつも物々しい雰囲気をだし、再び武器を構えた。
なに、コイツら? 仲良いの? 悪いの? どっちだ?
「さて、戦いが中断していましたが、再開するとしましょうか」
「そうですね、決着をつけましょう」
神父服を着たサイトは右手に銃剣を持ち、左手に本(聖書か?)を持っている。
リョウトウはマグナムタイプの拳銃を2丁、それぞれの手に構えている。
ふむ、折角なので……。
「俺も参戦しよう。アスナ、下がってろ…」
「はい」
俺の言葉にアスナは笑みを浮かべてこの場から少し離れ、自身も防衛のためか光剣と『コルト・ガバメント』を手にしている。
そして俺は、ウインドウを操作して2本の光剣を構える。
「は、はは…まさか、覇王殿直々とは…お手柔らかに…」
「ふむ、手加減はしていただけるのかな?」
「ああ、勿論………無理」
「「ですよね~?」」
リョウトウもサイトも顔を引き攣らせながら対応し、俺は思いっきり良い笑みを浮かべる。
そして俺達は、同時に動き出した。
リョウトウが2丁の拳銃で放った弾丸、その内直撃コースのもののみ斬り落とす。
「ちくしょおっ、弾丸を斬り落としやがった!? GGOでもキリト殿は化物か!?」
「はあぁぁぁっ!」
「はぁっ!」
叫ぶ彼に次いで、サイトが2本の銃剣で斬り掛かってきたが、光剣2本で受け止める。
弾いて逸らし、サイトは後退した…そこに。
「2人まとめて蜂の巣だぁ!」
リョウトウが再び弾丸の嵐を放ってくるが、俺はそれに対抗して左手の白の光剣を回転させる。
SAOとALO直伝、武器防御スキルの《
不敵な笑みを向けると驚きを見せるリョウトウ、サイトに至っては呆れている。
サイトも銃剣で弾丸を放ってくるが、そちらも黒の光剣を回転させて無効化する。
どちらともなく弾丸が切れたのか、リョウトウは刃渡り40センチのマチェットを構え、片手には手榴弾。
「「「………っ!」」」
リョウトウが手榴弾を投げつけたのを機に、2人が俺に向かって突進。
サイトは銃剣を投げつけ、即座に新たな銃剣を出現させる。さて、対応しますか…。
「手榴弾を、蹴り飛ばした、だと…!」
「銃剣って、足で蹴り砕けるんですね…!」
そう、俺は跳んできた手榴弾を遥か彼方に蹴り飛ばし、銃剣は光剣で打ち合った時に耐久値を削ったことで、
蹴りによってシステム外スキル《
マチェットで斬り掛かるリョウトウ、銃剣で斬り掛かるサイト。
「神霆流闘技《
「「ぬおっ!?」」
左の剣を逆手持ちに変え、右の剣と並べて回転し、
さらに回転を行うことで2つの闘技を連続で発動し、2人の武器を破壊した。
「止めだ、神霆流闘技《
最後に、前方に放つ《鬼雫・双波》の改良技、左右に放つ《鬼雫・開双波》で2人の身体に光剣を突き刺した。
「さ、さすがです…」
「リョウトウとの決着はALOにしますか…」
そう言って2人は倒れ、[Dead]の文字が浮かび上がった。ふぅ、中々面白かったな。
戦いが終わり、アスナが俺の傍まで歩み寄ってきた。
「凄かったよ、キリトくん」
「それほどでも…。それじゃあ、ここを離れよう。本選開始から30分を経過している」
「あ、そうだね。いこうか」
俺とアスナは廃墟内に向けて移動を始めた。
キリトSide Out
ハジメSide
ようやく田園エリアを抜けて、森林エリアまでやって来れたか。
最初の『サテライト・スキャン』によれば、『ペイルライダー』が森林エリアにいることが分かっているし、
確かシノンが山岳エリアの南部の方にいたはず。
「……シノンに協力を仰ぐのも一手か?」
そうするにしても、まずはこの近くの川を越えなければならないし、
確か鉄橋があったと思うが、いい的になるだけだろうな。
「……川を渡ろう」
安全策ならばそれが第一と考え、全ての装備を外してアンダーウェア姿となる。
装備は全てストレージに戻るから問題無い。
戦闘も行っていないから、外部中継にこの姿が映ることもないだろう。
中継カメラも見当たらないし…。
「……いざ、水中へ…」
潜水移動、開始。
ハジメSide Out
To be continued……
後書きです。
やってしまいました・・・反省はしている、だが後悔はしていない!
キリトさんは無双だったお、結構本気を出したんだお、2人ともさすがに涙目だおw
そして本作ではアンダーウェアになったのはハジメの方でしたぁ~w
次回はついに、死銃がその実を表しますよ。
それでは・・・。
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第20弾になります。
キリト無双回、対戦相手2人、涙目w
どうぞ・・・。