第10弾 予選開始
キリトSide
エレベータに乗り込んだ俺達は地下20階へと下りた。
地下に到着後、エレベータから出ると1階ホールと同じくらいの広さがある半球形のドームがあった。
そしてその周囲、壁際やテーブルには参加者であろうプレイヤー達が多くいる。
陽気な者はおらず、みな一様に押し黙ったり、低く囁きを交わす程度だ。
ゲームの中であるにも関わらず、みなが真剣な様子だ。
そんな空気のせいか、アスナは僅かに緊張しているようである。
まったく、【攻略の鬼】と呼ばれていた彼女もすっかり大人しくなったものだ。
アスナの手を握ると頬を僅かに染めて俺を見上げ、それに微笑で返すと緊張が軽くなったようである。
「まずは控え室に行くわよ。3人共、
「……分かった」
シノンの言葉にハジメが応え、俺とアスナも頷いて彼女の後に続いた。
控え室への移動途中、俺達に向けての大会参加者からの視線―特にシノンに向けて―が多いと感じた。
この容姿に加え、どうやらシノンはベテランプレイヤーの中でも名が知られていることが予想できる。
「ここが控え室。隣が空いているから男子はそっちに、アスナは私と一緒に」
「「「ああ(うん)」」」
アスナはシノンと共に前の控え室に入り、ロックが掛かったのを確認した俺達は隣の部屋に入った。
やや狭いロッカールームという感じのこの部屋、俺達もロックを掛けてからメニューを操作し、装備を戦闘服に変更した。
俺の戦闘服はミリタリージャケットに耐弾アーマー、革製の長ズボン、
アサルトブーツというシンプルかつ身軽な装備でほぼ黒一色だ。
ハジメの戦闘服も俺と同じ物でほぼ黒に近い紫一色である。
「それにしても、さっきの奴らはなんで武器を晒していたんだろうな…」
「……威嚇、自慢、格好つけ、それらのどれかだろう。武器を晒すなど、対策をしてくれと言っているようなものだ」
「だな」
俺の呟きにハジメは呆れながら言った、その呆れはさっきの奴らに対してなのだろう、俺も苦笑しながら応じる。
最後に自分のスタイルを確認し、小物類も装備したのを確認してから控え室をでた。
3分ほど待っていると、アスナとシノンが控え室から出てきた。
アスナは黒を基調としている白のラインが入ったミリタリージャケットと、
白を基調とした黒のラインが入った耐弾アーマー、灰色のショートパンツにコンバットブーツを装備している。
一方のシノンはデザートカラーのミリタリージャケットに同系色の耐弾アーマー、
短めのパンツにコンバットブーツ、マフラーという姿である。
「待たせちゃったかなぁ?」
「大丈夫、ついさっき出てきたところだから。それよりもアスナ、似合ってるよ」
「ふふ、ありがとう/// キリトくんもカッコイイよ///」
出てきたアスナにそう答えてからその姿を褒めると彼女もそう返してくれた、これで可愛いと言われた日には泣く。
「(ぼそっ)ねぇ、もしかして、あの2人って…」
「(ぼそっ)……ああ、リアルでも自他共に認めるバカップルだ…」
シノンとハジメのそんな会話が聞こえたが無視無視…が、シノンの溜め息を聞いたのでそこで区切る。
そこからシノンが近くのテーブル席に腰を下ろしたので彼女の隣にアスナ、
シノンの正面にハジメ、その隣にしてアスナの対面に俺が座る。
「それじゃあ、大会の説明をするわね」
シノンが大会のルールや必要事項の説明を始めた。
ドーム中央にあるホロパネル、そこに映っているカウントダウンが0になったら、
エントリー者全員が予選1回戦の相手と2人だけで戦うフィールドに転送されるという。
フィールドは1km四方の正方形、地形と天候と時間はランダム、最低500m離れたところからスタート、
決着して勝者はこの待機エリア、敗者は1階ホールに転送、負けても武装のドロップはなく、
勝った場合はその時点で次の対戦者が決まっていればすぐに2回戦、決まってなければ待機、
E,Fブロックは共に64人の参加者なので5回勝利した時点で決勝へ進出し、本大会への出場権が得られる。
「………以上がルールとかなんだけど、他に聞きたい事はある?」
「大丈夫だ、ありがとう」
「……私も問題無い」
「わたしも大丈夫だよ」
俺達の返答に満足そうなシノンは笑みを浮かべるとこう言った。
「折角だし、全員が本大会に残れる事を祈ってる。だけど、そこで私が倒してあげる」
「面白い…」
「……こちらも手は抜かない」
「あ、あははは…(わたし、生き残れるかな~?)」
彼女の言葉に対し、俺とハジメも笑みで応え、アスナは微妙に引き攣っていた。
そんな風に会話をしていると、1人の男性プレイヤーが寄ってきた。
「やぁ、シノン。随分と遅かったけど、間に合ったみたいだね」
「こんにちは、シュピーゲル。ちょっと、
どうやらシノンの知り合いらしい…って、おい、シノン! いま彼女達って言ったな!?
「あ、どうも、はじめまして……シノンのお友達さん、ですか?」
シュピーゲルと呼ばれた彼、それなりの雰囲気を持ち、鋭い外見に似合わず、礼儀正しい性格のようだ。
しかしながら、俺とハジメが女であると勘違いしているらしい。
「…ぷっ、くっ…ふふっ…」
「え、え? どうかしたの?」
突然噴き出したシノンに彼は驚いている。
「そ、そっちの、2人は…男よ。私の隣にいる子が女の子…ぷっ」
「へ? え、そ、そうなんですか?」
「あ~、うん、まぁ…。これでも男だ…」
「……私達を話しのダシにしないでくれ…」
「まぁまぁ」
シノンは笑いながらも言葉をつづけ、シュピーゲルは未だに困惑しながら俺達に聞き、
俺は苦笑してハジメは呆れながらそう言い、アスナはハジメを宥めている。
「ま、案内とかしてもらっただけだから、安心してくれ(俺にはアスナがいるし)」
「あ、そうですか…」
「なんでホッとしているの…?」
俺の言葉にホッとした様子の彼、今度はシノンが呆れながら言った。
「でも、大会には出場しないって言ってたけど、どうしてここに?」
「迷惑かなぁって思ったけど、シノンの応援に来たんだ。試合も大画面で中継されるし」
どうやらフレンドか同じスコードロンに所属している中なんだろうな。その時…、
『大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、第3回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントを開始します。
エントリーされた皆様は、カウントダウン終了後に、予選第1回戦のフィールドに自動転送されます。幸運を祈ります』
大会開始のアナウンスが流れ、周囲から盛大な拍手と歓声が沸き起こった。
自動銃とレーザーの作動音と発射音も鳴り響き、天上が一種の花火のように彩られている。
「さて、さっきも言ったけど、決勝…それと本大会で会いましょ」
シノンの挑戦状とも言える言葉に俺達3人は笑みと共に頷いた。
「シノン、頑張って。あ、勿論、みなさんも…」
「「「「ありがとう(ございます)」」」」
そして俺達を青い光の柱が包み、バトルフィールドに転送した。
キリトSide Out
???Side
他にはどんなプレイヤーがいるのか、念の為にそれを確認する。
そこには、俺が良く知っている奴と同じ名前と綴りの奴がいた…。
「『Hazime』、奴、なのか…?」
これは
カタカナ、漢字、SAOでは表示できなかったそれらではない。
ならやはり、本物か…? だが本当に偶然ということもあり得る。
どのみち、これだけでは判断のしようもない。
「確かめて、みるか…」
偶然ならばただ倒すのみ。SAOの生還者で本物の奴を語る偽物、或いは本物だとすれば…、
「殺す…」
その方が―――も喜ぶだろう…。
???Side Out
To be continued……
後書きです。
今回は特に見所というべきところはありませんでしたね、最後のアイツだけでしょうかw?
それとシュピーゲルの反応が薄いと感じた方もいると思いますが、それはキリトが話しを弄っていなかったりするからです。
次回はキリト、アスナ、ハジメの予選第1回戦の様子になります。
それでは・・・。
さて、最新話を投稿したということでエントリーを締め切るぜ!
それと英数字に関して疑問に思った者も多いと思うが、簡単にいえば数字はフェイクだ!
本命はA・B・Cの3つ・・・これらが実は予選のブロックに当たるんだぜ!
残念ながらAとBを選択したみんなは敗北が決定しちまった、すまねぇな・・・。
その代わり、対戦相手は最高だぜw!
Aを選んだみんなはハジメとシノン、どちらかが相手になる!
Bを選んだみんなはキリトとアスナ、どちらかが相手さ!
Cを選んだみんなは本大会出場、本大会においてキリト達と戦ってもらうぜ!
AとBを選んだみんなは本当にすまない、名前だけの登場になるが・・・それでもキリト達が語ってくれるぜ!
さっきも言った通り、Cを選んだみんなは本大会にてキリト達が相手、台詞もあるぜ!
たくさんのエントリーありがとう!
それじゃあな!
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第10弾になります。
今回の話は予選開始までの流れです、原作未読の方の為に大会説明も書いています。
どうぞ・・・。