No.585172

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第七十九話 今日から中学生。気になるのはクラス発表!

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-06-08 23:22:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:32259   閲覧ユーザー数:28936

 入学式も終わり、皆翠屋に集まって(馬鹿3人はちゃんと撒きました)早速元聖祥組に海中へ進学してきた理由を問い質した。

 まずなのは、フェイト、はやて、アリシアは

 

 『最近学力が落ちてきて聖祥の勉強についていけない』

 

 との事らしい。

 本人達は中学卒業後は原作通り、ミッドに移住するらしいので地球(コッチ)の勉強をあまり重要視していない感が否めないが俺は軽く注意しておくだけで留めておく。

 コイツ等の人生はコイツ等のモンだし自分達が後悔しなけりゃいいだろ。自己責任だね自己責任。

 まあ、中学は義務教育だし留年なんて事は無い。この学校のルールである『必ず部活又は委員会への所属と活動への積極的な参加』さえちゃんとしてれば宿題増えたり強制補習も無いし。

 次にアリサ。

 

 『聖祥にはアンタぐらい成績で張り合える相手がいないからつまらない』

 

 …良いのかそんな理由で?

 将来的にレベルの高い大学や大企業への就職、もしくはバニングス家の後を継ぐなら確実にエスカレーター式で聖祥の中等部に上がった方が絶対良いだろうに。

 そこのところは何度も聞いたけど本人は自分の選択に後悔していないみたいだ。

 で、すずか。

 

 『聖祥より部活動や委員会が多いから。私にとってやりがいのある事も見付かりそうだし』

 

 納得出来る理由だけどやっぱりアリサ同様学力の低い学校選んでまでは勿体無い気が…。

 まあ本人にとってやりがいのある事が見付かるならそれが一番なんだろうけどな。

 

 「あ、勇紀。私もTCG研究部に入るからね♪」

 

 「お前ならそう言うと思ってた」

 

 アリシアの言葉に頷きながら返答する。

 コイツもヴァ〇ガー〇してるからな。しかもシャ〇ウパ〇ディン。

 

 「ふっふっふ。TCG研究部最強のヴァ〇ガー〇ファイターになってみせるよ」

 

 「む?それは聞き捨てならんな」

 

 最強のヴァ〇ガー〇ファイターか…良い響きじゃないか。

 これはアリシアや誠悟には譲れんな。

 

 「ていうか帰宅部が無理っていうのは辛いなぁ…」

 

 「管理局の仕事と被ったらどうしよう?」

 

 「一日二日なら部活や委員会休んでも大丈夫…だよね?」

 

 はやて、フェイト、なのははそれぞれ部活動又は委員会の絶対入部にちょい不安がってる。

 休み過ぎる可能性あるんだろうな。

 

 「嫌なら聖祥に戻れば良いじゃないですか」

 

 「そーそー。聖祥なら部活とかしなくても良いんでしょ?」

 

 「学力なんぞ自分達で勉強して取り戻せばよかろう」

 

 「両方、中途半端になるのが一番いけませんよ?」

 

 我が家のお嬢様達は意見が手厳しい。てか4人の目が『さっさと聖祥に戻れ』と訴えてる様な気がする。

 珍しいな、ここまで敵視するのは。

 

 「だ、大丈夫だよ!!毎日サボるって訳じゃないんだし!!」

 

 「うんうん!管理局の仕事が毎日って訳じゃないもんね!」

 

 「勉強も仕事もちゃんと両立させるから心配せんでええよ!!」

 

 何故か必死に言い訳しながらもフェイト、なのは、はやての3人はチラチラ視線を向けてくるので首を傾げる。

 

 「「「「……………………」」」」

 

 ますます表情が険しくなっていくシュテル達。そこまで不機嫌にならなくてもよろしいのでは?

 

 「そういやシュテル達は何部に入るんだ?」

 

 もしくは何の委員会に入るのだろうか?

 

 「私は保健委員にでもなるつもりでいますね」

 

 「僕は運動系かな」

 

 「我は風紀委員にでもなるつもりだ」

 

 「私は料理部に」

 

 なんだ…もう大体決めてたのか。

 

 「じゃあ元聖祥組(お前等)は?」

 

 アリシア以外の5人はもう決めてるのかな?

 

 「「「「「実はまだ…」」」」」

 

 ま、この答えも当然か。

 

 「実際に部活や委員会の紹介でも見てから決めりゃいいんじゃね?」

 

 俺の言葉に5人は頷く。

 

 「あとは…クラス分けが気になるかな?」

 

 「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」

 

 アリシアの発言で皆の視線が俺に集まる。妙な威圧感があってちょっと怖い。

 今日の入学式ではクラス発表とか無かったから来週の月曜まで待たないと自分が何組なのか分からない。

 

 「まあ、私は何組でもいいですけどね(ユウキと一緒ならば…)//」

 

 「僕もそこまで気にしていないかなぁ(ユウと一緒だったら…)//」

 

 「気にするほどの事でも無いしな(ユ、ユウキと一緒であれば…)//」

 

 「顔見知りが1人でもいてくれればそれで…(その1人がユウキであれば…)//」

 

 「にゃはは。友達一杯作りたいな(勇紀君と同じクラスになれたら…)//」

 

 「うう…何だか不安だよ(勇紀と一緒のクラスになれたらな…)//」

 

 「流石に今年はわたし等も離れ離れになりそうな予感や(頼むで海中。空気読んでわたしと勇紀君を同じクラスにしてや…)//」

 

 「今まで同じクラスだったのが奇跡みたいなモンだしねー(皆と離れてもいいので勇紀とだけは同じクラスにして下さい)//」

 

 「勇紀以外に張り合える奴がいればいいけどね(どうか勇紀と同じクラスに)//」

 

 「聖祥から入学したのって私達だけだもんね(神様お願いします。勇紀君と一緒のクラスになれます様に…)//」

 

 …威圧感が無くなったのはいいんだけど皆の視線はコッチに向いたままだ。

 

 「勇紀はどうなの?」

 

 「ん?何がだ?」

 

 「誰か一緒のクラスになりたい子とかいないの?」

 

 「「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」」

 

 テレサの質問を聞いて俺は『うーん…』と考えてみる。

 一緒のクラスになりたい子……ねぇ。

 

 「「「「「「「「「「(ドキドキ…)」」」」」」」」」」

 

 「……俺としては椿姫(そこの馬鹿)と銀髪トリオが同じクラスじゃなければ充分だ」

 

 コイツ等が同じクラスにいると俺のストレスはマッハで上昇しちまうからな。

 

 「そんな!?私はこんなにも貴方と同じクラスになりたいと思っているのに」

 

 『ヨヨヨ…』とか言って泣き崩れたフリしてる椿姫を無視し、カルピスを飲む。

 来週のクラス発表……期待半分不安半分を抱いたまま俺達は静かに待つのだった………。

 

 

 

 「私はディエチっていうの。よろしくね」

 

 「長谷川勇紀です。こちらこそよろしく」

 

 入学式を終えた次の日…。

 スカリエッティのアジトに遊びにお邪魔していた。

 

 『また1人、娘が家族に加わったのだよ』

 

 そう言っていたので皆の様子を見るついでに紹介して貰おうと思い、今に至る。

 目の前にいる茶髪の少女…ディエチ。

 Stsの時の無口系じゃなくViVidの時みたいに結構明るい性格だ。

 

 「勇紀君、これからも仲良くしてやってくれたまえ」

 

 「ああ、うん。それはいいんだけどさ……その……スカリエッティ?」

 

 「何かね?」

 

 「その頭どうしたんだよ(・・・・・・・・・・)?」

 

 俺は本人に直接聞いてみる。

 

 「これかい?似合うだろう?」

 

 そうしてスカリエッティは髪の毛一本無い(・・・・・・・)自分の頭部を手で撫でる。

 …そう、ディエチの横に座っているスカリエッティはピッカピカの坊主頭(・・・・・・・・・)になっていた。

 最初に見た時は唖然としてしまったし。

 

 「似合うかどうか以前に何でそんな事になったんだ?」

 

 散髪か?それでも何らかの実験にでも失敗して髪の毛が抜け落ちたのか?

 

 「いやぁ、実は少し前に椿姫君が来てね。彼女が言うにはコレが君達の住む地球ではこの『スキンヘッド』というのが流行っているらしいじゃないか//」

 

 「はい?」

 

 スキンヘッドが流行?そんなの聞いた事無いぞ?

 

 「それで私もその流行にのって彼女にアピールしようと思ってね。それに椿姫君も『スキンヘッドにしてる人は結構カッコイイかも』と言ってたし//」

 

 騙されてる!アンタ騙されてるよ!!

 そんな流行聞いた事無えし!

 だが目の前にいる本人は聞く耳持とうとせず、頬を染めているだけ。

 

 「それに私が管理世界に潜伏する際にも『『ジェイル・スキンヘッディ』と名乗れば良いんじゃないかしら?』と偽名を考えてくれたのでね。これならバレずに済むだろうし」

 

 助言じゃねぇ…絶対に遊ばれてる。

 

 「ドクター、本当に嬉しそうなのよ」

 

 「…みたいだね」

 

 隣のディエチはニコニコしたまま言い、俺も相槌を打つ。

 その事を後日、椿姫に尋ねたら奴は『エイプリルフールだったからつい♪』と答えやがった。

 アイツ……スカリエッティがスキンヘッドにした事について責任持つ気あるのかねぇ?

 目の前で浮かれ気味のスカリエッティを見て俺は軽い溜め息を吐くのだった………。

 

 

 

 そして週が明け、いよいよ二度目の中学校生活が始まる。俺達は海中へ向かい…

 

 「遅い!!」

 

 正門前で仁王立ちして待っていたアリサにいきなり怒られた。

 そのすぐ傍らにはなのは、フェイト、はやて、アリシア、すずかの5人。

 

 「いや、いきなりそんな事言われても…それにまだ8時過ぎだぞ?」

 

 「何言ってんのよ!クラス発表がされてる掲示板はもう人でごった返してるわよ!」

 

 確かに掲示板前は在校生、新入生問わず凄い人だかりが出来ている。

 アレは落ち着くまで時間掛かるだろうなぁ。

 

 「どないしよか?このまま待っとってもしゃーないし」

 

 「海小の時みたいに職員室にクラス発表のプリントがあれば良かったのにね」

 

 「レヴィの言う通りですね」

 

 「へー、海小の時は職員室に行ってもクラス分けが分かってたんだ?」

 

 「人混みを緩和するための処置だったのだがな」

 

 とりあえず会話をしながら俺達は掲示板の側まで近寄る。

 

 「む?勇紀、朝から随分良い思いをしてるじゃないか」

 

 お?

 丁度強行突破でもしようかと思っていたら人混みの群れから謙介が現れた。

 

 「ういーッス。クラス分け見てたんだろ?どうだった?」

 

 「ここにクラス分けを写したメモ帳があるけど見るかい?」

 

 「いいのか?」

 

 「構わないさ。向こうで誠悟と直博もいるからね。そこで見せてあげるよ」

 

 「すまんね」

 

 謙介に礼を言い、その後を追って行く。

 そこには謙介の言う通り、誠悟と直博が待っていて皆挨拶を済ませると早速メモ帳を覗きこんだ。

 そこには確かに俺達同学年のクラス分けが書かれていた。

 ていうかよく全員分の名前をあの人混みの中で書けたなコイツ。

 変態でエロくなければ本当に高スペックキャラだ。勿体無い。

 まあ、そんな事より今はクラス分けだクラス分け。

 俺達は謙介の背後から肩越しにメモ帳に書かれている自分の名前のある場所を探した。結果…

 

 

 

 1年1組 長谷川勇紀

      レヴィ・長谷川

      アリサ・ローウェル

      フェイト・テスタロッサ

      杉村謙介

 

 1年2組 シュテル・長谷川

      高町なのは

      八神はやて

      アリシア・テスタロッサ

      堀田直博

      大槻亮太

 

 1年3組 ディアーチェ・長谷川

      ユーリ・長谷川

      アリサ・バニングス

      月村すずか

      滝島椿姫

      伊東誠悟

 

 

 

 …という具合に人数がほぼ均等にバラけた。

 

 「よっしゃーーーーっっ!!!」(バッ!)

 

 「………(やった!)」(グッ!)

 

 レヴィは大声を出し、両手をグーにしたまま空に突き出す様に上げる。

 フェイトは小さくガッツポーズ。

 二人共心なしか凄く嬉しそうで満面の笑顔だ。

 

 「変態貴様!!写し間違えてるのではなかろうな!?」

 

 「ぐえ゛っ!!?」

 

 謙介の胸倉を掴み上げ、怒りの形相を露わにするディアーチェ。

 いや、写し間違えてるかはともかくいくら何でも怒り過ぎだろ。

 

 「こんな結果、我が認められるか!!」

 

 「そ、そうなの!!これは絶対書き写してる最中でミスってるの!!」

 

 「アンタ!もう一回ちゃんと見て来なさい!!」

 

 なのはとアリサも加わって謙介に詰め寄る。

 いや…シュテル、ユーリ、はやて、アリシア、すずかも目で『これは間違ってる!』と目で訴えてる。

 

 「皆、往生際が悪いよ?」

 

 「このクラス分けは間違ってないよ♪うん、間違ってない♪」

 

 やんわりと謙介を擁護するお二方は嬉しそうですねレヴィさん、フェイトさん。

 そういえば…。

 俺は再びメモ帳に視線を落とす。

 銀髪トリオは何処のクラスだ?

 椿姫とは離れた。後は奴等がいなけりゃ万々歳だ。

 そして順番に名前を探す。結果…

 

 

 

 1年2組 吉満英伸

      暁澪

 

 1年3組 西条貴志

 

 

 

 俺は思わずガッツポーズをする。

 だってストレスの種になりそうな連中が全員違うクラスなんだぜ?喜ばずにはいられないだろ?

 あ、ひょっとしてレヴィとフェイトが嬉しそうに、そんで他の皆が怒ってるのは銀髪トリオのせいか。

 納得納得。

 アイツ等に1年間絡まれるシュテル達、頑張れ。チョー頑張れ。

 俺のクラスは比較的平和な1年間を過ごせそうで良かったぜ。

 

 「1年間同じクラスだねユウ!!」

 

 「その…よろしくね//」

 

 「おう。二人共よろしく」

 

 今日から1年間教室で顔を見合わせる俺とレヴィとフェイト。レヴィは家も一緒だから余計に一緒に入る時間が長くなったな。小学校5年生の時以来か。

 

 「じゃあクラスも分かった事だし早く教室に行こうよ(えへへ…)//」

 

 レヴィが腕を絡めながら言う。

 

 「そ、そうだよ。ここにずっといても仕方ないし…(レヴィ、ズルいよ。私だって…)//」

 

 反対の腕にはフェイトが。

 

 「2人共!何してるんですか!?」

 

 ユーリが吼えた事によって皆の視線が一斉にコッチへ向く。

 ディアーチェ、そろそろ謙介離してやれよ。

 

 「何ってこれから教室に行こうと思ってたんだけど?」

 

 「それと腕組むのに何の関係があるんや!?」

 

 「それは……ま、迷子になったら困るからね」

 

 「学校で迷子になるなんて事無いでしょフェイト!」

 

 「2人共ユウキから離れなさい!ユウキが歩きにくいでしょう!?」

 

 「「歩きにくい?」」

 

 「いや、別にそんな事ないけど…」

 

 俺の返答に両サイドの2人は満足そうにしてるけど他の方々からの視線はキツくなった。

 俺にまでその視線向けるのはお願いですから止めて下さい。

 

 「…小学校の時以上に大変な事になりそうだなアイツ」

 

 「それが長谷川の宿命なんだろ」

 

 おーい…誠悟君、直博君。俺の事親友だと思うならこの現状なんとかしてー………。

 

 

 

 「ここが1年1組だね」

 

 教室の前でクラスのプレートをちゃんと確認する。

 

 「…お前等、自分の教室は通り過ぎてるぞ?」

 

 俺とレヴィ、フェイトの後ろをついてくる女子一同に声を掛ける。

 謙介は同じクラスだからついてきて当然だし、誠悟、直博はもう自分の教室に入って行った。

 

 「「「「「「「「むう~…」」」」」」」」

 

 唸っても意味無いからな。

 

 「じゃあ僕達は教室に入るから」

 

 「なのは、皆、また後でね」

 

 レヴィが教室の扉を空いている片手で開け、そのままフェイトと共に俺を連行する。

 背後から感じていた鋭い視線から解放された事に安堵し、いざ教室に足を踏み入れると

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

 教室の中にいた今日から同じクラスの生徒達からの視線が一斉に集まる。

 うーん…違う学校からの子は見掛けないな。ほとんどが海小で見た事ある顔ぶれだ。

 少し残念。入学式の時はぼちぼち見掛けたんだが。

 

 「僕達はどこに座ればいいんだろうね?」

 

 「まだ席は決まってそうに無いから好きな所に座ればいいんじゃないかな?」

 

 「うん。フェイトの言う通りだと俺も思う」

 

 俺達は適当な場所を探す。

 で、空いている座席に座る。俺の左隣にレヴィ、右隣にフェイトが陣取りこれで一息…

 

 「「「「「「「「「「は~せ~が~わ~…」」」」」」」」」」

 

 …つく事は出来ない様だ。

 教室にいる男子のほとんどが俺の方へゆっくりと近付いてくる。

 

 「ハア~…何か用か?」

 

 「「「「「「「「「「少し聞きたい事がある!こちらへ来て貰おうか!!」」」」」」」」」」

 

 聞きたい事…ねぇ。

 俺はチラリとフェイトの方を見る。

 

 「???」

 

 首を傾げるフェイト。

 多分コイツ等が聞きたいのはレヴィと瓜二つなフェイトの事だろう。

 

 「…メンドくさいなぁ。また今度にしてくれ」

 

 「「「「「「「「「「ヴァカめ!!貴様に拒否権など無いわ!!」」」」」」」」」」

 

 …コイツ等。

 

 「レヴィさん!!少し長谷川をお借りしても宜しいでしょうか!?」

 

 「すぐに返してよ?」

 

 「はっ!善処致します!!」

 

 敬礼してレヴィに許可を貰う男子生徒。

 てか本人の意思を無視するなレヴィ。

 

 「という訳で来い長谷川!!」

 

 「……手短にしてくれよ」

 

 そう言ってレヴィ、フェイトから離れ男子達のいる輪の中へ加わる。

 

 「で、聞きたい事って何だよ?」

 

 「言うまでも無いだろう!!あの髪形と髪の色だけ違うレヴィさんに瓜二つな方の事だ!!」

 

 やっぱりな。

 

 「お前等見た事無かったっけ?小6の運動会の時に応援に来てくれてたんだけど?」

 

 「「「「「「「「「「なっ、何いいいぃぃぃっっっっっ!?」」」」」」」」」」

 

 そんな大声上げて驚かんでも。

 

 「そ、そういえば貴様が障害物競争に出た時、何処かから声援がきてたな」

 

 「まさかあの声の主があの方だというのか!?」

 

 「ああ、ついでに言うとレヴィにそっくりなのはもう1人いるしシュテル、ディアーチェ、それからアリサに瓜二つな奴もこの学校に入学してるからな。特にアリサそっくりな奴は見た目だけじゃなく名前も同じ『アリサ』だから」

 

 「「「「「「「「「「マジかっ!!?」」」」」」」」」」

 

 コイツ等がここまで驚くという事は朝、正門前や掲示板の所で会う事は無かったって事か。

 

 「もう1人レヴィさんにそっくりな方に加え、シュテルさんにディアーチェさん…更にはアリサさんに瓜二つの方々…だと!?」

 

 「天使達が海小の時より増えているなんて…」

 

 「そ、そんな奇跡がこの学園に起きているというのか!!?」

 

 一々大袈裟過ぎだお前等。ワナワナと震えてまで言う事じゃないだろう。

 

 「おい!!長谷川!!」

 

 突然1人の男子生徒が俺の肩を力強く掴む。

 

 「あのお方の事を紹介しろ!!」

 

 「は?」

 

 「そうだ!!貴様1人だけ知り合いだなんて不公平だ!!」

 

 「ついでにもう1人のレヴィさん、シュテルさん、ディアーチェさん、アリサさんにそっくりだと言う方々も紹介しろ!!」

 

 「「「「「「「「「「紹介しろ!!」」」」」」」」」」

 

 目をギラつかせ、俺にジリジリと迫ってくる男子生徒達。

 

 「他のクラスの連中はともかくこの後、各自の自己紹介とかあるだろうからその時になったら分かるだろ?」

 

 教室の時計を見ると8時15分を回った所。8時30分にHRが始まるとしたら後15分程だ。

 

 「「「「「「「「「「それまで待てるかあっ!!!」」」」」」」」」」

 

 だが男子達にはその15分が凄く長い時間に思える様で…。

 

 「…本人に迷惑掛けるなよ」

 

 「「「「「「「「「「当たり前だ!!そんな無礼な事出来るか!!」」」」」」」」」」

 

 ハア~…。

 フェイトには悪いが自己紹介先にしてもらうか。

 俺が席の方に戻ると後ろをゾロゾロとついてくる男子達。

 

 「あー…フェイト、少し良いか?」

 

 「うん。良いけどどうしたの?」

 

 「コイツ等がお前に挨拶したいって言うもんでな。HRまで待てないらしいから自己紹介してやってくれるか?」

 

 後ろをついてきた男子達に指を差す。

 

 「別にそれぐらいならお安い御用だよ」

 

 フェイトは俺から後ろにいる男子達に視線を移す。

 当の本人達は直立不動でフェイトから発せられる言葉を待っている。

 

 「えと…フェイト・テスタロッサです。小学校は聖祥に通ってました。1年間よろしくね」(ニコッ)

 

 「「「「「「「「「「ヒャッハーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「ふええっ!?」(ビクッ!)

 

 自己紹介した直後に奇声を上げる男子達。

 当然の事でフェイトはビクッと身を竦ませる。

 

 「キタよ!!キタキタキタよーーーー!!!!」

 

 「口調や雰囲気からは大人しく天然系だと思われる女の子が一緒のクラス!!」

 

 「レヴィさんとソックリでもまた違った魅力が感じられて素晴らし過ぎる!!」

 

 テンションがMAXになった男子達はそのままクラスの窓際まで向かい

 

 「「「「「「「「「「お母さん!俺を男に産んでくれてありがとーーーー!!!!!」」」」」」」」」」

 

 大声で外に向かって叫んでいた。近所迷惑も良い所だ。

 

 「勇紀…彼等、どうしたの?私、何か不手際があったかな?」

 

 「いや、あの自己紹介に不手際なんて微塵も無いだろ。アレはアイツ等の病気みたいなモンだから気にするな」

 

 「そうなの?」

 

 コクリと頷く。

 

 「フェイト、人気者だね」

 

 「本当に」

 

 レヴィの言葉に俺とフェイト以外の第三者の声が聞こえたので俺達は振り向く。

 そこにはテレサが教室に入って来た所だった。

 

 「おはよう勇紀、レヴィ、フェイト。今年1年よろしく」

 

 「「「おはようアリサ。こちらこそよろしく」」」

 

 「「「「「「「「「「アリサさん!!おはようございます!!」」」」」」」」」」

 

 「「「うおっ!?(ふにゃっ!?)(ふえっ!?)」」」(ビクッ!)

 

 俺達が挨拶してすぐに、先程まで叫んでいた男子達がコッチに戻ってきており、テレサに挨拶する。

 コイツ等いつの間に。

 

 「お、おはよう。…いつ近寄って来たの?」

 

 引き攣った笑みで男子達に挨拶するテレサ。

 

 「「「「「「「「「「今ですがそれが何か?」」」」」」」」」」

 

 「う、ううん。全然足音もしなかったし気付かなかったから」

 

 「「「「「「「「「「ふっ、今のご時世気配を悟られずに近付くなんて男としての常識ですよ」」」」」」」」」」

 

 そんな常識聞いた事無えよ。

 

 「えっ!?じゃあユウも出来るの!?」

 

 「勇紀、そんな常識があるって本当?」

 

 「出来ないしそんな常識無いから」

 

 即座に否定する。

 コイツ等、英霊になったら絶対にアサシンだろうな。気配遮断スキルが半端無えもん。

 

 「小学生の時よりもパワーアップしてるね。これが中学生になった者達の実力という事かな?」

 

 冷静に分析してる謙介。やけに静かだったから寝てるモンだと思ってたぜ。てか俺達の近くの席にいたんだ。場所は俺の左前方…レヴィの前の席だ。逆に右前方…フェイトの前にテレサが座る。

 それからはレヴィ、フェイト、テレサの周囲で多少騒いでいたが本人達が気分を害する様な事はせず、予鈴のチャイムが鳴る前には仮の席に戻っていった………。

 

 

 

 本鈴が鳴り、2人の男性が入って来た。多分このクラスの担任と副担任なんだろう。

 でもなあ…

 

 「皆さん初めまして。僕がこのクラスの担任を受け持つ事になりました冨竹(とみたけ)ジロウと言います。趣味はカメラで色んな風景を撮る事かな。今年1年よろしく」

 

 担任がまさかの富竹。そう…『時報』で有名なあの富竹だ。

 不吉だ。何か凄く不吉だ。せめてシュテルかなのはがこのクラスにいてくれれば…。

 それに富竹が先生…しかも担任という事は隣にいる…

 

 「俺はこのクラスの副担任阿部(あべ) 高和(たかかず)だ。お前達と同じで今年からこの学校の教師になった新人だ。また『性活指導』の担当もしている。これからよろしくな」

 

 「「「「「「「「「「(ウホッ、いい男♪)//」」」」」」」」」」

 

 ……何だろう?女子達じゃなく男子達が反応していた様な…。

 しかも『生活指導』って所で若干ニュアンスが違ってた様な気もしたんだけど、気のせいか?

 

 「お尻が…僕のお尻が…」(ブツブツ)

 

 謙介は突然顔を青褪め、自分の両手で何故か尻を守る様に押さえながらガクガクと震え出した。

 ボソボソと呟いている様だが、何て言ってるのかは聞き取れない。

 

 「ねえねえユウ。あのアベっていう先生、何処かで見た事無い?」(ボソボソ)

 

 「それ、俺達が海小の修学旅行で行った旅館の料理人さんの事じゃないか?」(ボソボソ)

 

 「あっ!そうそう、その人だよ。あれ?何でここにいるんだろ?」(ボソボソ)

 

 「さっき副担任って言ってたから先生になったって事だろ?何で料理人から先生に転職したのかは知らんが」(ボソボソ)

 

 そんな俺達の話題になっている人物である阿部さん…もとい阿部先生は教室中を見渡す様に顔と視線を動かしている。

 

 「(このクラスにあの銀髪の少年はいないのか……ん?)」

 

 …っと、途中で阿部先生の視線が1人の生徒に固定される。

 謙介だ。

 

 「(ほう…このクラスにはあの時の少年(アイツ)がいるのか。それに…)」

 

 今度は俺の方…というより俺、レヴィ、フェイト、テレサを見てる様な気がした。

 

 「(良い感じに育ってるみたいじゃないの。あの金髪の少女は初めて見る顔だな。水色の髪の少女と瓜二つだが双子か?何にせよ美味そうだ)」(ニヤリ)

 

 「「「「「っ!!?」」」」」(ゾクリ)

 

 何だ今の悪寒は!!?

 阿部先生の視線が鋭くなり、小さく笑みを浮かべたと思ったら凄まじい不安が全身を駆け巡ったぞ!!?

 それは俺だけじゃなくレヴィ、フェイト、テレサ、謙介も同じ様で…

 

 「食われる…また食われる…嫌だ…痛いのは嫌だ…」(ブツブツ)

 

 謙介に至っては雰囲気も更に変わった!?どうしたんだ一体!!?

 

 「じゃあ、早速だけど廊下側の席に座ってる子から自己紹介に行こうか」

 

 富竹先生の言葉で廊下側の子が順に自己紹介をしていくが、俺はそれよりも先程の悪寒の正体が気になって仕方がなかったのだった………。

 

 

 

 「うう…初日から地獄です…」

 

 「何でこんな事に…」

 

 「聖祥から離れたら学園生活で会う事は無いと思ってたのに…」

 

 翠屋に着くや否やテーブルに突っ伏しているシュテル、ディアーチェ、ユーリ、なのは、はやて、アリシア、アリサ、すずか、椿姫の9人。全員が2組もしくは3組になった者達だ。

 コイツ等がここまで参っている理由は言うまでも無く…

 

 「私、自己紹介した後に『流石俺の嫁!』とか言われたんですけど…」

 

 「我もだ…」

 

 「私もです…」

 

 シュテル、ディアーチェ、ユーリが弱々しい声で喋る。

 

 「アレ、辛いよね?私達も小学生の時は毎年ああやって横槍や茶々入れられてたから…」

 

 「ていうか同じクラスっていう時点で欝なんだけど…」

 

 すずかが嫌そうに思い出しながらも当時の事を言い、椿姫がグッタリしながら言葉を続ける。

 コイツをここまで弱らせるアイツ等、マジパねえ。

 

 「僕、何もしてないのに睨まれたし」

 

 そりゃ、亮太は転生者だからだろ。アイツ等からしたら『俺、亮太=原作キャラに近付くモブ』って認定されてるし。

 

 「皆大変だねー」

 

 「えと…げ、元気出して」

 

 レヴィは他人事の様に、フェイトは疲労しまくりの皆を励ましている。

 

 「アレは確かにキツいわね。私もアリサと間違われて後をつけ回されたから…」

 

 そう…銀髪トリオがいない俺達のクラスであるテレサも疲労している1人だった。アリサと勘違いしてしつこく言い寄られていた。

 撒くのに苦労したわホンマ。

 

 「でもアンタ達3人は良いわよね。教室内で顔合わせずに済むし……勇紀と一緒だし」(ボソッ)

 

 「ん?アリサ?何か言ったか?」

 

 「べ、べべ別に何も言ってないわよ!!言ってないんだからね!!////」

 

 そんな必死に否定せんでも…。

 

 「ユウキ…」

 

 「どうしたシュテル?」

 

 「精神の疲労が半端無いです。だから私の頭を撫でて下さい//」

 

 「…撫でて回復するモンなのか?」

 

 「私は元気になれます。だからお願いします//」

 

 「…まあ、苦労したみたいだしな」

 

 ナデナデ

 

 「ん……////」

 

 隣で突っ伏しているシュテルの頭を撫でてやると、当の本人は目を細めて気持ち良さそうな表情を浮かべる。

 ホントに癒されてるみたいだ。別に治療魔法使ってる訳でもないんだけどな。

 

 「ズルい!!ズルいよシュテルちゃん!!」

 

 「シュテル!!我を差し置いてそんな事許されると思っているのか!!」

 

 「てか勇紀君も甘過ぎや!!ついでにわたしの頭も撫でてや!!//」

 

 「はやてもか?ならコッチ来い」

 

 シュテルに批難が飛ぶ中、ちゃっかりはやては『自分も撫でて』とアピールしてきた。

 で、俺の指示通りこっちに来たのでもう片方の空いている手で撫でてやる。

 

 「ユウ!!サービスし過ぎだよ!!」

 

 「はやても!!さりげなく言うなんて卑怯だよ!!」

 

 レヴィとフェイトが怒る。

 

 「勇紀、次は私にもお願いー♪//」

 

 「「アリシア!!(姉さん!!)」」

 

 「わ、私も撫でてほしいの//」

 

 「わ、私は別に良いんだけど勇紀が撫でたいって言うならな、撫でさせてあげてもいいわよ!////」

 

 「アリサ…正直に『撫でて』って言えばいいのに…」

 

 「テレサ!!別に私は撫でてほしいなんて…」

 

 …ギャーギャーと騒ぐ元気あるじゃねえかお前等。

 誰かを撫でれば俺に撫でられてる奴と俺自身が批難されるし、かと言って止めようとしたら瞳から光消すし。

 

 「私は頭だけじゃなく全身を撫でまわしてくれてもいいんだけど?」(ニヤニヤ)

 

 「ほざいてろ」

 

 俺、こんな調子でちゃんと中学校生活を送れるのかねぇ?

 この先の未来に一抹の不安を感じずにはいられなかった俺だった………。

 


 
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