呉の城の執務室
「ねぇ思春?ここに置いておいた書類知らない?」
「亞莎のところへ書類の山と一緒に持っていきましたがいけませんでしたか?蓮華様」
「いや…あ…そういえばそうだったわね」
背もたれに体を預ける蓮華
その近くで立っている思春
「大事な案件でしたら取ってきますが」
「呉の娯楽施設案の草案だから別にいいわ」
「娯楽ですか?」
「魏ではアイドル蜀では競馬…何かそれに対抗できるものを作りたいと思って」
「なるほど…それでどんな案ですか?」
「飲食店よ」
「あの失礼ですが娯楽として珍しくは…」
「ただのお店じゃなくて一定の金額を払えば料理が選び放題食べ放題っていうお店で一刀の世界じゃ「ばいきんぐ」とか言ったわ」
「あの男の案ですか」
「わ…悪い!?最近余って腐るほど漁獲量が上がっているから魚料理中心でそういったお店ができないかなって思ったのよ‼女性も働けるし‼」
「確かに…他国にはそういった店はありませんが…飲食店…」
「…ちょうど仕事が一区切りついたからこの件について今から相談しにいくわ」
亞莎の部屋
「あぁ…最後まで読んでからお茶を飲めばよかった…」
お茶がかかり字がにじんで読めなくなった娯楽施設案の草案の書類を持つ亞莎
「どうしよう…娯楽施設案…女性雇用しか読めません…」
コンコン
「亞莎?いるかしら?」
「れ…蓮華様っ!?」
「亞莎?入ってもいいかしら?」
「すみません!ちょっと今立て込んでいまして‼後にしていただけると助かります‼」
「そう…亞莎のところに娯楽施設案の書類がいっているって聞いたからついでに相談しようと思ったのだけれど…」
「娯楽施設案!?」
「じゃあ冥琳に相談するから書類だけ渡してくれるかしら?」
「えぇ!?あの蓮華様‼今ご相談に乗れます‼」
「え?今忙しいんじゃなかったの?」
「大丈夫です大丈夫です‼どうぞどうぞ‼…どっかに隠さないと…」
部屋に入る蓮華
「本当に今いいのかしら?」
「大丈夫です!さぁ座ってください!」
「え…えぇもう書類には目を通しているかしら?」
「…え…あの~…」
「まだ読んでいないなら書類を見ながら話しましょう」
「いえ!読みました!読みました‼「女性雇用」が書いてある書類ですよね」
「そうよ、それじゃあ聞くけどあの内容いいと思う?」
「えっ…あの~…いいと…思います…」
「よかった~正直国営にするような店じゃあんまりないから不安だったのよ」
「え?国営にするような店じゃない?それに女性雇用…娯楽…まさか…」
「それで生を中心でいく?」
「生!?何がですか!?」
「お客さんに出す物の話よ!」
「…やっぱり」
「やっぱり何?」
「いえ!何でもありません!しかし生は少しまずいのでは…」
「そうね…病気とかになったら大変よね」
「そうですよ!」
「でもお湯を通せば大丈夫よね」
「それでも一緒ですよ‼」
「まぁこういう事は知識のある人が入って話を進めるしかないわよね」
「華佗先生ですか?」
「いや流琉を呼ぶつもりだけど」
「え!?流琉ちゃんですか!?」
「そうよ、武官をやる前はこういうお店で働いていたらしいから色々と詳しいと思うの」
「働いてたんですか!?」
「それに華琳に相談される程の腕前だしね」
「あの華琳さんが相談するんですか!?」
「新しいことをやる時はまず流琉と試すそうよ」
「…はぁ~…」
「それで今度は価格についてなんだけど」
「はい」
「選び放題食べ放題のお店だから」
「選び放題食べ放題!?」
「何驚いてるの?書いてあったでしょ?」
「あ…いえ…そうですね…そうしますと選び放題食べ放題ですから…兵士の給料十日分ぐらいでしょうか」
「それはぼったくりじゃない!?」
「そうでしょうか?では蓮華様はいくらぐらいを想定に?」
「大体ラーメン4、5杯分くらいかしら」
「はい!?いくらなんでも安すぎませんか!?」
「そ、そう?一刀の世界じゃこれぐらいらしいから…」
「一刀様の世界ではそんなに安いんですか!?」
「何でも友達とこういうお店に入った時はよく限界まで挑戦したらしいわよ」
「あ~…そうですか…だから…あぁ…」
「でも安すぎるという点では亞莎のいう事にも一理あるわね…この先獲れなくなる可能性もあるからね」
「取ってくるんですか!?」
「何を驚いているの?中心になる物を獲ってこないと店を開けれないでしょ?」
「ど…どうやって取るんですか!?」
「どうやってって…密集しているところを投網でとかじゃない?」
「密集してるところに投網って色々と問題になりませんか!?」
「こういった事は思春に聞くといいんじゃない?賊だった頃よくこういう事をやっていたと言っていたから」
「…賊のやり方ですか…」
「でも安定を図るなら養殖よね」
「養殖!?」
「一か所に集めて餌をあげていれば2,3年もしたら安定するかしら?」
「それは絶対無理ですよ‼最低でも十数年はかかりますよ‼」
「そうね…専門的な知識もないのに甘い事を言ってしまったわね…」
「あの…落ち込まないでください…」
「確かに失敗してたくさん死んじゃうかもしれないものね」
「サラッと怖いことを言わないでください!」
「そうかしら?」
「はい!そうです!今蓮華様が雪蓮様に見えました!」
「とりあえず今はそんなに難しく考えるのはやめましょう」
「わかりました」
「次はお店を建てる場所なんだけど街の中心部でどうかしら」
「建物が密集していて建てられる場所はありませんが…」
「そういえばそうね…う~ん…」
「あの…お店を建てるお話の前にお聞きしたいのですが…」
「何かしら?」
「こういったお店にはならず者がたくさん現れます…その対処法はありますか?」
「それを考えるのが軍師の仕事じゃないかしら?」
「し、失礼しました‼」
「まぁ最悪…雪蓮姉様に店の物食べながらでいいから用心棒してって頼むわ」
「食べながらってその時丸腰じゃないですか!?」
「姉様は強いから素手でも大丈夫でしょう」
「それは…確かに」
「姉様が無理ならそうね…私たちが日替わりで行って用心棒ついでに働いてくるっていうのはどう?」
「私たちが行くんですか!?」
「私やシャオはまだ練習しないとだめだけど祭と亞莎ならすぐにお店に立てると思うの」
「何で私も入っているんですか!?」
「店で出せるだけの物が一つあるじゃない?」
「あったとしても嫌です!」
「そう…亞莎は兵士達にも人気があるから出てくれると嬉しいんだけど…」
「そう言われましても…」
「きっと亞莎のところの前には行列が出来て取り合いになるんでしょうね…フフフ」
「…絶対行きたくないです‼」
「じゃあ私が頑張ってやってみようかしら」
「それは絶対にだめです‼王がそのような事をしてはだめです‼」
「せっかく民達と触れ合ういい機会だと思ったのだけれど…」
「触れ合い過ぎです‼」
「話は戻すけどどこに建てようかしら?」
「なるべく治安などを考慮した場所を考えておきます…」
「後は恋や季衣などの各国の脅威をどうするかよね…」
「え?その辺の人達はこういうのに興味ないと思いますけど…」
「軍師の目からはそう見えるの!?」
「はい…もし心配でしたら名指しでお断りの立札を立てればいいのではないでしょうか?」
「そうね…いざとなったらそうしましょう」
「では以上の事をまとめて提出させていただきます」
「じゃあお願いね」
翌日
呉の城の執務室
「蓮華様…亞莎から預かった娯楽施設案の書類です」
「ありがとう」
書類に判子を押している蓮華の机に娯楽施設案の書類を置く思春
「あの…蓮華様この娯楽施設案を本当に実行されるおつもりですか?」
「まだ決めてはいないけど皆が良いって言ってくれたらやろうと思っているわ」
「そうですか…」
「それより持ってくる途中で書類読んだわね」
「すみません‼興味がありましたのでつい見てしまいました‼」
「謝らなくてもいいわ…~♪」
娯楽施設案の書類に目を通す蓮華
「……え?これはどういう事…?なんで飲食店のはずが風俗店に…?」
「わ、私は蓮華様の意見に従いますよ!?」
「こ、これはち、違うのよ思春!?」
「私が飲食店など珍しくないと言ったせいでこういった路線に変えられたのでしたら大変申し訳ございません‼」
土下座をする思春
「頭を上げて思春‼これは何かの間違いよ‼」
「お願いします‼今一度お考え直しください‼」
「だからこんな事しないわよ‼もう…亞莎~‼」
その頃
亞莎の部屋
「はぁ~蓮華様が草案の中身を全部話していただいたおかげで助かりました~今度からはお茶に気を付けないと」
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