蜀の城門近辺
「最後の一冊が買えてよかったね、雛里ちゃん」
「徹夜で仕事して午前中空けた甲斐があったね、朱里ちゃん」
本が入った黒い袋を大事そうに抱えながら城に向かって歩く朱里
その後ろをついていく雛里
「ちょっと待って!」
角を曲がれば城門というところで朱里が足を止める
「どうしたの急に!?」
「あの城門の兵士さんたちなんだけど…」
朱里が指差した先には城門の兵士二人と愛紗がいた
城門の兵士達は城に入ろうとしている愛紗の荷物を調べていた
「あわわ…持ち物検査してる…」
「はわわ…愛紗さんが持ち物検査されるなんて…今日何かそんな重要なことあったっけ…?」
「…午後から三国会議」
「はわわ!そうでした‼今日は蜀で行われるんでした‼雛里ちゃん…何で言ってくれなかったの~…」
「私も今気づいて…」
「どうしよう…どうしよう…この本の中身兵士さん達に見られちゃうよぅ…」
本の内容は男同士であれをアレしたアレなことが描かれている
「朱里ちゃん!頑張って!恥ずかしいのは一瞬だよ!ほら本屋さんでこの本を買う時のことを思い出して!」
「うん!私頑張る‼…って何で一人で行かせようとするの!雛里ちゃん‼」
「だって朱里ちゃんが本を持ってるから…」
「…じゃあ…はい」
袋を雛里に渡そうとする朱里
「ちょっと待って…朱里ちゃんは本屋さんから出た時なんて言ってたっけ?「本は私が持っていくね」って言ってたよね?」
「うん…言った…でもその時はこんな事になるとは思わなかったから…」
「じゃあ私は朱里ちゃんと時間をずらしてお城に入るね」
「ちょっと待って‼雛里ちゃん‼もしここで逃げたらこの本の中身見しぇないひょ!?」
「あわわ!?」
「そ…そもそも昨日の夜この本が明日発売するから徹夜して仕事を片付けて買いに行こうって言ったの雛里ちゃんだったよね!?」
「そもそもその本の発売日を教えてくれたのは朱里ちゃんだったよね?」
「……」
「……」
「…役職」
「はい?」
「役職って私と雛里ちゃんどっちが上だったっけ?」
「一緒だったような?」
「…能力的なことは…」
「この間の大会で朱里ちゃんに勝ったよね?」
「じゃあ…一旦この話は置いておいてジャンケンしようよ!雛里ちゃん!」
「もしかして負けた方が本を持って城門を通るの?」
「そう‼」
地面に袋を置く朱里
「「最初はグー…」」
「「ジャンケン…」」
「あわわ?!ご主人様!?」
「はわわ!?」
朱里の後ろを覗きながら驚く雛里
振り返る朱里
「ポン‼私がパーで朱里ちゃんがグーだね」
「はわわ!?ずるいよ!雛里ちゃん‼ご主人様なんていないじゃない!」
「じゃあ私は朱里ちゃんと時間をずらしてお城に入るね」
「…雛里ちゃんに頼まれた」
「あわわ!?」
「本を持ってる理由聞かれたら雛里ちゃんに頼まれたって言おう…」
「朱里ちゃん‼やっぱり私が持っちぇいくよ!?」
「無理しなくていいよ!ジャンケンで負けたんだから私が持っていくよ!」
「行きたくなかったんじゃなかったの!?」
「今はすごく行きたい!」
「そう言うのはいいけどその笑顔がすごく不安だよ!心配だよ!」
「大丈夫!今の私に不安はない!」
「あわわ~…どうして持ち物検査をするなんてことになったのかな…これさえなかったら今頃お城の中なのに…」
「…そうだよね…もとはと言えば持ち物検査のせいでこんな話になっちゃったんだから…」
「確か雛里ちゃんが三国が集まる時は警備をいつも以上に厳重にしようと発言して」
「朱里ちゃんが具体案を発言してたよね」
「これが俗にいう孔明の罠なんだね…はぁ~」
「朱里ちゃんがそれを言うの?…はぁ~」
「…一緒に行こう…」
「うん」
「じゃあこの袋には国家機密の書類が入ってるってことにして兵士さん達に中を覗かせないようにしよう‼」
「そうだね…軍師である私たち二人が言えば信じてくれる…よね…」
「よし!行こう‼雛里ちゃん‼」
「うん!」
城門へ駆け出す二人
「おや?朱里と雛里ではないか」
「はわわ!?星さん!?」
「あわわ!?」
城門に立っていたのは兵士ではなく星だった
「あの…城門の兵士さんたちは?」
「厠だ、その間だけ私が代わりをしているのだ」
「そうですか…それでは私たちはこれで…」
「ちょっと待たれい!」
「はわわ!?」
「あわわ!?」
「その黒い袋の中身は何ですかな?」
「こ…国家機密の書類です!み…見せれましぇん!」
「…ん…ん」
「ほほぅ?国家機密ですか」
「うぅ~…」
「~~っ…」
「分かりました。お通りください」
「「ほっ」」
「では後ほど主に国家機密情報を軍師殿が黒い袋に入れて持っていると伝えておきましょう」
「…朱里ちゃん…孔明の罠って強力なんだね…」
「そうだね…今月お金持つかな…」
「急に酒とメンマが欲しくなったなー」
「「はぁ~」」
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はわわわわ
あわわわわ