No.562017

同居人達・一話

きなこさん

一話目です

2013-04-02 22:05:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:400   閲覧ユーザー数:380

 

 

それは精霊のちょっとしたお節介だった

悪いこととは分かっていた、でも

彼があまりにも自分の主と親しくなってしまったから・・・

彼がこれ以上悲しまないために

そして悲しんでいる彼を自分が見ないために・・・

 

精霊は彼の記憶を消した

 

 

 

 

同居人・達 第1話「薔薇水晶」

 

 

 

 

夢を見た

何の夢かって?

そんなもん憶えてるわけねぇだろ

最近よく見る夢なんだけど朝飯食ってる間に

綺麗さっぱり忘れるからよくわかんねぇ

だけど決まってその夢を見た朝は鬱になる

今度病院行って坑鬱剤でも貰ってくるかな・・・

 

いつものように朝食の準備をする

だが最近、なぜか無意識に『2人分』の皿とカップを用意しちまう

俺は何年も前から一人暮らしなのに何故こんなミスを?

 

その上、やばいことにいつの間にか

冷蔵庫にヤクルトが大量に買い置きされてるんだ

一体いつの間に買ったんだ?

それに新聞受けは微妙にゆがんでるし

家にあったピエロのぬいぐるみもいつの間にか消えてる

 

極めつけは、家のクローゼットの中に見知らぬ服が増えてるのだ

しかも大きさは幼児くらいで女性物

逆立ちしたって俺には着れない服だ(いろんな意味で)

 

まぁいいや、俺には関係ない

俺は食器を片付けるといつものように鞄を肩にかけて学校に向った

 

 

学校に着くといつものメンバーが挨拶してきた

岡田 「おっす」

岡田、なかなかの好青年。髪を短くしてるスポーツタイプ

女性にはもてるらしい

秀吉 「おはっ」

秀吉、エロ猿。終わり

秀吉 「今凄く失礼なこと考えなかったか?」

J 「被害妄想だろ」

としあき 「おはよー」

としあき、コスプレ好き、腕はハリウッド並みでモノマネ大好き野郎

ちなみに今日のコスはストⅡのサクラだ

そういえばこいつの本当の顔って見たことないな・・・

そんな感じの俺の友人、そして

巴 「おはよう」

いつも俺に夕飯と朝食を提供してくれる生命線

最近なんかよそよそしいのは気のせいか?

 

岡田 「どうした?また元気ないぞ」

J 「まぁな」

秀吉 「連休明けから元気ないよな」

としあき 「確かその次の日だっけ、ものすごい落ち込みで

      最後に泣き出したのって」

J 「そんなことあったっけ?」

すると全員合わせたかのようにうなずく

秀吉 「なんかうわ言のように『なんでいなくなったんだよ』って言ってたぞ」

mjk、全然記憶ねぇ

岡田 「まぁいいけどな、そんなことよりいい知らせだぞ」

J 「?」

岡田 「なんと保険室のおばさんが今日付けで実家に帰るんだって」

J 「そういえば仮でいたんだっけ?」

ほんの数ヶ月の契約でいたんだよな

秀吉 「つまりあの人が帰ってくるってことだ!!」

机から身を乗り出して詰め寄る猿

J 「やけに嬉しそうだな」

秀吉 「そりゃそうさ、あの人のファンは結構多いからな」

それを聞いて俺は頭痛を感じた

J 「そいつらの将来が楽しみだ」

近い未来、そいつらが新聞やニュースで見ないことを祈ろう

そのとき、としあきが顔を上げる

としあき 「あ、先生来ちゃった」

梅岡 「やぁみんな、おはよう」

世界一ウザイ先生、以上

 

 

そんなわけでいつもと変わらない一日を過ごして

さっさと帰宅しようと鞄に教科書などを詰め込んでいると、

秀吉 「お前今日掃除当番だろ」

ホウキを持った秀吉に捕まり、泣く泣く掃除をする羽目になった

そのせいで帰る時間がただでさえ遅くなってるのに

なぜか今日に限って変なことが連続して起きやがった

 

その1、ゴミ箱が急に倒れて清掃に倍時間がかかった

その2、途中で梅岡に捕まって生活態度を注意される

その3、靴が無くなって探すのにかなり時間がかかった(隣の下駄箱に入ってた)

その4、未確認飛行物体を見つける

 

そんなわけで俺は今、変な発光体の後を追いかけている

大きさは蛍くらいでふらふらとゆっくり飛んでる

まるでついて来いと言わんばかりだ

面白い、その誘い乗ってやるぜ

 

 

 

しばらくすると大きな病院の前にやってきた

発光体はそのまま敷地に入って行く

俺も数秒躊躇ったが、世紀の発見を逃さないために

病院の敷地に侵入した。

 

するとどこからか歌声が聞こえてきた

誰かが歌ってるのかな?

そんなことを考えながら進むと、俺の視界に古ぼけた教会が姿を現した

なんか幽霊的な物が出てきそうな場所だな・・・けど、なんか不思議と嫌な予感はしないな

思わず見とれていると教会の中から物音が聞こえた

まさかさっきの発光体か?

用心のため俺はドアの隙間から中をうかがうことにした

 

 

中には少女が一人いた

ロングヘアーで紫色のドレスを着た子だ

一生懸命に何かを運んでる

見るとそれは女の子が持つには大きめのカバンだ

それを何とか引きづりながら移動させている

まさか死体とかじゃないよね・・・

一抹の不安を覚えながらしばらく様子を伺っていると

少女は目的の場所まで移動させたらしくカバンをその場に残すと

周りをキョロキョロ見だした

やべっ

あわてて俺は身を隠す

あっぶねぇ、見つかるとこだった・・・けどあの子、一瞬だけ顔を見たけど

左目に眼帯つけてたな。それに可愛かった

 

数秒経ってからもう一度中を覗くと

J 「あれ?」

そこには誰もいなかった

J 「おかしいな、ここ以外出入り口無いはずなのに・・・」

そう考えながら彼女の居た位置まで歩く

J 「ん?」

その時、さっき少女が引きずってたカバンが残されてることに気づく

もちろんここで芽生えるのが好奇心

開けてみようじゃあ~りませんか

鼻歌交じりにその場にしゃがみこみカバンを開けると

そこには『銀髪の少女』が入ってた

 

 

時が止まったかのような沈黙

そして徐々に体から流れる汗

脳内でグルグル回る今日の出来事

俺、今朝なに食べたっけ?

いや、そんなことどうでもいい

まさか・・・まさか本当に死体が入ってるなんて・・・

いや、落ち着け俺、まだ死体と決まったわけじゃない

J 「まずは冷静になって本当に死体なのか確認を・・・」

俺は銀髪少女の手首を掴んで脈を計る

J 「反応なし、次はえっと・・・人工呼吸?」

そうつぶやいてから俺は少女の顔に顔を近づける

J 「かわいいな、まるで人形のようだ・・・って、アホか俺はー!!!

  いつから俺はネクロフィリアになったんだ!?

  死体としたい?とかアホなボケかましてる場合じゃないー!!」

絶叫しながら俺は床に頭をぶつけまくった

 

数分後

 

J 「ぜぇぜぇぜぇ・・・。大丈夫、俺は正常だ。

  まともだ、クールだ」

何とか冷静になってようやく当初の目的を思い出す

J 「そうだ、まだ助かるかも・・・」

そう言って少女の入ったカバンに近づくと

J 「!!!??????」

その周りをフヨフヨ飛んでるさっきの発光体

あはは♪人魂はっけーん♪

あまりの出来事に、俺の意識が飛ぼうとしたその瞬間

 

---ゴメスッ----

 

発光体から重い一撃を喰らった

あれ、デジャブ?前にもこんなことがあったような・・・

そんなことを考えながら俺は後ろにぶっ飛んだ

 

いってー・・・いきなり何しやがるあの豆電球

その時、頭に何かが落ちてきた

J 「ん?何だこれ・・・」

見るとそれは『螺子』だった

それを見た途端俺は頭の中のドアが開くような感覚に襲われた

あれ?この螺子は・・・えっと・・・

とにかく巻かなきゃいけない気がする・・・

何故こんな感覚になるのか不思議だった、だが

その答えはすぐに出た

振り向くとそこにはなにやら恐ろしいオーラを出してる未確認飛行物体

俺の魂が叫んでる、『逆らうな殺されるぞ』、と・・・

 

仕方なく俺は彼女の『ゼンマイ』を巻くことにした

・・・?、俺なんでこの子の背中に螺子穴があるって知ってるんだ?

いや、それ以前に人形ってことなんで『理解』してるんだ?

---めきっ----

そんなこと考えていると後ろで発光体が長いすを砕く音がした

『これ以上躊躇ったら殺られる』

生命の危機を本気で感じてあわてて俺は少女の背中に螺子を差し込んだ

そしてゆっくり回すとそこから命が吹き込まれるかのように

少女の体がゆっくり動き出す

 

 

 

 

 

すべて巻いて床に置いてしばらくすると

少女の体がカタカタと動き出す。

そしておぼつかない足取りで立ち上がり

ふらつきながらも俺に近づいてくる

再びデジャブ、これは気のせいなのか?

そうしてる間に少女は、しゃがみ込んでる俺の足に手を置いた。そして

水銀燈 「うぅ・・・ん・・・ぁ・・・」

すべてを見透かすようなその瞳の色に俺は「どきっ」とした

だが、俺は一応この場ではっきりさせときたいことがあった

その時、少女も意識がはっきりしたのか俺の顔を眺めてる

そして二人同時に口を開いた

 

J 「お前だれ?」

水銀燈 「あなただれ?」

 

 

 


 
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