は?
『的盧』?
今『的盧』っておっしゃいましたか、ゼウスさん?
「おっしゃたとも、高順」
『的盧』って、あの『的盧』ですか?
「そうじゃ。劉備玄徳の愛馬にして、『死』を呼ぶ凶馬として有名なあの『的盧』じゃ」
ゼウスさんは、肯定する。
なぜあの『的盧』が天水に?
「知らん」
いや、知らんって……。
「『的盧』がここにいる理由は分からぬが、一つだけ分かっとる事がある」
分かってること?
「奴はお前さんを、いや」
一拍おいて、ゼウスさんは僕に告げる。
「『人間』を、憎悪しておる」
と。
……。
「『人間』に尽くし、『人間』の為に駆け、『人間』によって迫害される。
それも、自身が自身であるというだけでじゃ」
……。
「自身の所為でなくとも、『的盧』であるというだけで、迫害されたのじゃ。
その心は、どす黒く染まっているであろうよ」
ゼウスさんは、憐れむように言う。
「どうじゃ、高順。誰かに似とりはせんか?」
それは、そうだろう。
『的盧』は似ているのだ。
昔の僕に。
自身が自身であるというだけで、迫害される。
異端であって当然だというように。
恐れられ、痛めつけられ、拒絶される。
気がつけば、心は『憎しみ』で、埋まっている。
僕は思い出す。
あれは確か、高校生の頃だったか。
僕を捨てた両親のようにはならないと心に決め。
『誰かの為に』という甘っちょろい戯言を。
本気で信じ志し、得たものは。
『人間』に対する『絶望』と。
そして、『失望』だった。
それだけだったのだ。
『的盧』は、僕にとっての『写真』だ。
思い出したくないことを、嫌でも思い出させる感覚は、まさに『写真』だ。
「ここまで聞いた上で、高順よ。どうする?」
どうするって……。
「説得できるかできないか、それだけですよ」
それに、約束したのだ。
あの少女と。
僕に、『人間不信』のこの僕に。
『死んで欲しくない』と言ってくれた少女に。
『努力はしてみる』と。
約束したのだ。
僕は嘘つきだが、約束は破らないのが矜持だ。
「ほほう、いい表情じゃ。変わったな、お前さん」
と、言われた。
変わったか?
いや、変わったのかもしれない。
まぁいい。
それはこの場を乗り切ってからだ。
「また何か進展があったら来ることにするわい」
「分かりました。『的盧』のこと、教えてくれてありがとうございます」
「構わんよ。ではな、高順。お前さんが、良い『生』と『死』を送れるよう祈ることにするわい」
嫌味かよ、まったく。
さて。
「じゃあ、行きますか」
覚悟を、決めて。
僕は足を、一歩。
『的盧』に向けて、踏み出した。
大!復!活!
どーーーーん!
すいません、いきなりなテンションで。
皆々様、帰ってまいりました!BLADEです!
一ヶ月半ほど、お待たせしてしまって、本当に申し訳ありません。
言い訳なんですが、パソコンがブッ壊れ使えず、修理に出していたので、遅くなってしまいました。
本当に申し訳ありません。謝るしかないです、本当に。
待っていただいた読者様。
これからは大丈夫です。
どんどん投稿して、いけたらなぁ~と思っています。
よろしくお付き合いください。
実はですね、第二十八話のやつも纏めて投稿するつもりだったのですが、
弟が勝手に投稿しやがったので、めちゃくちゃ少ないのです。
本当に申し訳ありません。
これからも、真・恋姫†無双~不信の御遣い~をよろしくお願いします!!!
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第二十九話です。