No.517340

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百五十九技 俺達の意志だから

本郷 刃さん

第百五十九話です。
今回は討伐戦前の、話しの一つになります。

どうぞ・・・。

2012-12-11 09:45:05 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:9316   閲覧ユーザー数:8562

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百五十九技 俺達の意志だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

会議の翌日、深夜十二時。厳密には二日が経過したとも言える。

 

俺達は67層の街に集まっている。

 

メンツは俺達『黒衣衆(アスナ含む)』、『血盟騎士団』、『聖竜連合』、『MTD』、『風林火山』、

それにエギルを含む熟練の攻略組とそのギルドという面々だ。

 

MTDに関しては実戦レベルで戦えるかは微妙なところだが、サポート面では有能だと思う。

 

人数にして約五十人というところか。

 

そして『月夜の黒猫団』を含む10代のプレイヤー達は俺達を除いて、みな待機となっている。

 

俺達は前回の『ラフコフ討伐戦』にも参加しており、戦力としても申し分ないということで参加が可能だが、

他の10代のプレイヤー達にはこの戦いは荷が重すぎるということだ。

 

集まったプレイヤー達には緊張しかないのだろう。

 

誰も口を開かず、俺の隣にいるアスナでさえ体を震わせているのだから。

 

しかし俺としては気になっているのは…、

 

「「……………」」

 

「お前ら、頬のそれはどうしたんだ?」

 

頬に紅葉を作っているハクヤとヴァルだ……って、何故に紅葉が出来ていて、しかもそれが残っているんだ?

 

普通、跡は残らないんじゃあ…。

 

「リズに、今夜討伐戦があることを教えなかったからビンタを喰らった…」

 

「右に同じです…」

 

そう答えたハクヤとヴァル。なるほど、嫁に(はた)かれたと…。

 

「……ぷっ、くくく…」

 

「……(ぷるぷる)」

 

「くく、バカがいる…」

 

「ダ、ダメっすよ、笑ったら……(クスッ)」

 

「「くっ…」」

 

小さな声で笑う俺、ハジメ、シャイン、ルナリオに対して、屈辱を噛み締めるであろう二人。

 

「もぅ、駄目だよ、二人とも。ちゃんとリズとシリカちゃんに話しておかないと」

 

「そうよ、二人とも不安に思ってるに違いないわ」

 

「帰ったら、しっかりと安心させてあげてくださいね」

 

「「はい…」」

 

アスナとティアさんとカノンさんに諫められて少しばかり落ち込んだ二人。

 

俺達の会話を聞いていてか、集まったプレイヤー達から少しだけ緊張が解れたようだ。

 

「ったく、おめぇらはいつも通りじゃねぇか」

 

「まぁ、その方がこいつららしいじゃないか」

 

そこに苦笑を浮かべたクラインとエギルが近づいてきた。

 

「いつも通りの方がいいだろ?」

 

「そうなんだけどよぉ、なんていうかぁ……」

 

俺が言うと妙に歯切れが悪く答えたクライン。ま、なんとなくわかるがな…。

 

「いつも通りすぎるってことだ、お前らの様子が…」

 

集まったプレイヤー達全員に聞こえる声で話すエギル。

 

俺としては、この先の言葉は発してほしくはないんだけどな……俺達に対する謝罪(・・・)だろうから…。

 

「正直に言うと、俺はお前達の参加は控えてもらいたいと思っている…。

 能力があるとはいえ、お前達は全員10代の子供だ。

 大人びているからそうは思えないが、俺はお前達がそうだと思っている。

 少なくとも、普段仲の良い奴等と一緒にいる時のお前達の表情は子供特有のものだ」

 

まったく、こういう面でのエギルの鋭さは良い意味で厄介だ。

 

「だからこそ、お前達の参加は納得がいかない……が、そうもいかないのが、今のこの状況だ。

 大人の俺に力が無いということが不甲斐ない。

 お前達にこういうことをさせないといけない自分に腹が立つ…!」

 

静かな怒りを発するエギル。

 

クラインや風林火山のメンバー、他のプレイヤー達もどこかやりきれないといった様子だ。

 

その気遣いが俺達にとっては嬉しかった。

 

「ありがとうございます、エギルさん、クラインさん、みなさん」

 

「その言葉だけで十分っすよ」

 

ヴァルとルナリオは子供らしい笑みを浮かべながら言った。

 

「私達は大丈夫ですから」

 

「そう思ってくれているだけで、幸せだと思えます」

 

ティアさんとカノンさんは優しげな笑みで言う。

 

「それに俺達は、力を持つ者としての責任も理解している」

 

「……人を傷つけてしまうかもしれないことも、自分が傷つくことも…」

 

「全て俺達自身が選んで決めたってことだ」

 

ハクヤ、ハジメ、シャインは自分達の確固たる意志を告げた。

 

「わたし達に後悔なんてありません…」

 

「気にするな、と言っても気にするのなら……俺達の戦いを見ていてくれ」

 

アスナと俺も、自身の覚悟を胸に秘めて言い放った。

 

俺達の言葉を聞いたエギルは、一言「そうか…」とだけ言った。

 

その表情はどこかすっきりしているようだ。そこに、三大ギルドのリーダー達が合流した。

 

「みんな、準備はいいかい?」

 

シンカーさんの問いかけに皆が首肯する。

 

「今なら引き返すこともできるが、それでもいいのか?」

 

ウェルガーが聞くが抜けようと思う者はいないのだろう。誰もその場を動かない。

 

「そうか……では、いこう」

 

ヒースクリフの言葉で俺達は圏外の奴らが集まっている場所へと向かった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

というわけで、出陣前のキリト達の様子でした。

 

次回までは戦闘は無しです・・・。

 

さらにその次で戦闘が開始しますが、あっさりと戦いが終わることをここに宣言します!(オイ!)

 

ではまた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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