第百六十技 開戦の時
キリトSide
PoH率いるラフコフ残党が潜伏していると思われる場所はサブ迷宮近くの安全エリアの広場らしい。
途中でティアさんをはじめとした偵察を何人か送った。
場所は間違いではなく、また偵察中に見つけた奴らの見張り役を三人捕らえて『黒鉄宮』の監獄に送り飛ばした。
そして奴らに見つからないように進むこと二十分、目的地の近くについた。
俺達は安全エリアを囲むように配置についている。
突撃のタイミングはヒースクリフがメッセージを全員に同時送信した瞬間と決まった。
「アスナ、大丈夫か?」
「うん、キリト君がいるから大丈夫だよ」
俺が聞くとアスナはしっかりとそう答えた。
彼女自身も前回の討伐戦に参加しているからか、空気に飲まれてはいないみたいだ。
「……今回の戦い…PoHはともかく、それ以外とは簡単に決着がつくかもな…」
「え? どうして?」
「嫌な予感、不安感がほとんどない……ただ、
「………」
俺の言葉を聞いてアスナは少々混乱したようだが、
「気に留めておく」と言ってから目的の場所へと視線を向けた。
俺も起こりうる
キリトSide Out
カノンSide
前回の討伐戦同様に、周囲には緊張感が立ち込めている。
そんな中でもあたしはただあの人が気がかりなだけ。
「カノン。クラインさんが心配ですか?」
「(コクッ)……ここは、命懸けの戦場になるから」
ティアが訊ねてきたので、あたしは素直に頷いておいた。
「この世界なら、どこでも命懸けと言えると思いますよ」
「それは、その通りだけど…」
今回の相手は人、モンスターじゃない。そう思うとやはり心配の文字が浮かんでくる。
もちろん仲間達に対しても心配はしているけど、信頼と信用もある。
けれど彼に対してだけは、どうしても心が揺らいでしまう。
やっぱりそれはあたしの想いのせい。
「ねぇ、ティア……あたしの、クラインさんへの感情は、持っていてもいいの?」
「もちろんですよ。それを伝えるかは、カノン次第ですけどね♪」
「そうね…」
伝えるかはあたし次第、ね………あたしの想い…。
そもそも、あたしがクラインさんに好意を寄せるようになったのは単純なこと。
命を助けられた、そういうもの。
でも打算があったわけじゃない、当然のように助けてくれた。
一緒にいるギルドの人達にも信頼されていて、絶対に仲間を見捨てない。
そういうところはキリト君にそっくり。
だからなのかもしれない、自然と惹かれていったのは…。
「うん……頑張ってみようかしら…」
「ふふ、その意気ですよ」
笑って答える親友、この子には一生敵わないかもしれない。
そんなことを考えながら、クラインさんも風林火山の皆も守ろうと思った。
カノンSide Out
キリトSide
五分ほどが経った頃にウェルガーから全員にメッセージが届いた。
内容はあと一分後、それだけ書かれていた。
そこで『エリュシデータ』を持つ俺の右手をアスナが握ってきた。
俺もそれを強く握り返す……そして、ヒースクリフからメッセージが届いた。
「「アスナ(キリトくん)は、必ず守る!」」
俺達は同時にそう言いながら手を離して駆け出す。
他のプレイヤー達も一斉に奴らのいる安全エリアに向けて駆け出した。
向かってくる俺達に気付いたのか、オレンジのプレイヤー達も一斉に反応した。
驚愕しているのか、混乱しているようだ。それでも武器を手に持っている。
さて、犠牲者は少ないといいけどな…。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
今回は短くなってしまいましたよ・・・。
ちなみにカノンの視点が出てきたのはある意味フラグです、キリトの予感も。
次回はついに戦闘開始です。
ネタバレになっちゃいますが、いきなりキリトVSジョニーになりますよ~。
今回の討伐戦はフラグの連立になりますよw
それでは・・・・・・。
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第百六十話です。
今回は討伐戦直前の様子になります。
どぞ・・・。