No.477530 超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_0162012-08-30 17:37:02 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:823 閲覧ユーザー数:797 |
第2章 ニュー・フレンズ
C016:ホワイトハート
○ラステイション・ホームストリート・朝
見上げれば横一列に並んだアンテナ達、そしてその奥で今日も休みなく、無愛想に活動している工場。
壁一面に、ブラックハートが棒の先端に取り付けたマジェコンを、パンクロッカーや5pb.がギターを叩き下ろすようにして壊していたり、
自前の細剣で違法ディスクを割っていたり、足で偽セキュリティーソフトを模したキャラクターを踏みつけていたりする、
「違法を止めますか? それとも
四つ目の広告は白で塗られたかはたまた塗装だけを上手にはがされ消されたかである程度消えている。
道行く先々でリクルートバッグを手に、迷いなく歩みを進めるサラリーマン達。
サックコートの腕から数字を浮かび上がらせるように投影して時刻を確認する者、
正面を向いて歩きつつも、自分の顔の横に縦長のスクリーンを出して、通話をしている様子の者、
車等のものはほとんどないのに、平然とした表情の余所、右足をかかとをつけたまま足踏みをし、地面に音を立てる信号待ちの者。
そしてネプギアが威圧を感じて引くように避けるのも気に留めず、ただ真っ直ぐ歩いていくサラリーマン。
アイエフ、そのサラリーマンを目で追い、軽く睨んだ後、
ネプギア「相変わらず静かですね……今日は特に、空気が重いです……」
アイエフ「そろそろ嵐がくる頃かしらね?」
ネプギア「縁起でもないこと言わないでくださいよ」
アイエフ「……にしても、どうして急に思い出したのかしら?」
ネプギア「思い出した?」
アイエフ「そう。話したわよね、ずっと前ネプ子が毒盛られた話。その原因のこと。今まで散々喉まで出かかっては出なかったのに……」
ネプギア「……それが、ベールさんをかつて信仰してたってことですか?」
アイエフ「今となっては、何で忘れてたのかって感じよねー……こんな大事なこと」
ネプギア、表情を曇らせ、俯く。
アイエフ「ネプギア?」
ネプギア「え?」
下から少々顔を覗きこませるようにして。
アイエフ「大丈夫?」
ネプギア「ええ、平気です。ただ……わたしも、なにか大事なこと忘れてるのかもって思って……」
標識前にまで行くと、付近後方から声が聞こえて来る。
声「何故検問所を通らなかった?」
ネプギア「あれ?」
後ろを振り返るネプギアとアイエフ。
警備隊員2人が何者かに尋問をしている様子。
そこから聞き慣れた子供の声が聞こえてくる。
子供の声「けんもんじょって通るとこなの?」
警備隊員α「何故検問所を通らなかった?」
子供の声「ぎあちゃんとあいちゃん探しててそれで、こんなとこまで来ちゃって……」
警備隊員α「何故検問所を通らなかった?」
子供の声「うぅ……うぇ……」
警備隊員β「いかなる理由でも検問所のスルーは犯罪、そこら辺に書いてあったろう? 文字は読めるだろう? それなら分かるだろ?」
子供の声「うぃぅ……」
警備隊員α「もう一度だけ聞く、何故検問所を通らなかった? さあ答えろ。でなければムショ行きだ」
アイエフの声「重い空気の原因はアンタ達かしら?」
アイエフの声に警備隊員2人が振りかえる。
アイエフ、警備隊員2人の前に立ち、呆れたような目で見る。
ネプギア、アイエフの後からおずおずと。
ネプギア「その子、わたし達の連れなんです」
ネプギアに言われ、飛び跳ねて手を振るモコ。
モコ「あ、ぎあちゃん! あいちゃん!」
警備隊員2人、モコをちらっと見て、再度ネプギアとアイエフの方を向く。
警備隊員β「アンタらかよ。今日は何だ? 子守りか?」
アイエフ「今はそんなとこね」
警備隊員α「ならはぐれないようにしてもらわないと困るね。手ぇつないで仲良く一緒に通ってもらわないとな。まぁどうでもいい、職質中だから向こうで待ってろ。時間はかけないから」
モコ「う……?」
そう言って警備隊員α、二人を追い払おうと手で押して遠ざける。
アイエフ、勢いに押されながら。
アイエフ「いらないでしょそんなの。ここのセキュリティならその子が犯罪やったってすぐ抑えられるでしょうに」
警備隊員β「アンタらの常識でこの国を量るな。俺達はそういうのをさせないためにいるんだ。検問しなきゃどうぞ好き放題してくださいって言ってるようなもんだろ」
ネプギア、アイエフに詰め寄る警備隊員βに割り込み。
ネプギア「モコちゃんはそんなことしません! ちょっとやんちゃな所はありますけど、犯罪はしません!」
警備隊員β「それで無視OKなら警備隊はいらねぇよ。俺達は法律で動いてんだ。オタクらの口八丁じゃない法律だ。そこら辺で飛び交ってる商談と違って理念、正当性、妥当性がある。わかるか? 一応の平和のために不平等でもきっちりとルールがあるんだ。不平等でもな。もういいだろ。邪魔だからどけ」
モコ「うぇ……」
モコ、言い争いをしている四人から離れてじっと見つめる。
ヤジ達が遠くからこの言い争いに面倒くさそうに嫌悪の視線を送るなどして注目し始めた。
アイエフの声「だからなに? 小さな子に対して威圧オーラビンビン出して脅しまがいのことしていいわけ? 人的モラルってのを忘れたの!?」
警備隊員αの声「この国はそういうとこなんだよ。忘れたのか?」
モコ、次第に涙目になってくる。
モコ「うぃう……うぅ……」
アイエフの声「アンタ達何のためにいんのよ!?」
警備隊員βの声「2度も言わせるな。つーかいい加減どけよ。公務執行妨害でお前らもムショにぶち込まれたいか?」
アイエフの声「この状況の何が公務よ!」
警備隊員αの声「俺達がいなくなったら誰が不正プログラム取り締まる? 誰が未然に防ぐ? わかんねぇだろうなあそこの住人じゃ──」
モコ「けんかはやめてぇぇぇぇっ!!!!」
モコがひときわ大きく息を吸い込んで泣き叫ぶと、モコの右手首にある『友達の輪』から円盤のような光が回転しながら広がり、一同を包み込む。
10秒もしないうちに光は友達の輪に収まっていく。
ネプギア達も、警備隊員達も緊張した体勢と態度をほどき、それと同時にいくらか表情も和らぐ。
アイエフ、軽くため息をついて。
アイエフ「確かに……これは不毛よね」
警備隊員α、モコに向けて手のひらを差し出す。
警備隊員α「……お前、IDコードは?」
モコ「ん……」
モコ、多少ぐずりながらも警備隊員αの手のひらに自分の手のひらを重ねる。
重なった手元から光が流れる。
モコから警備隊員αへ。
5秒後、αの方から手を離す。
それからモコが着ているジャケットの縦書きの『mode house staff』の文字に目を向ける。
警備隊員α「さっきから気になってたんだが、スタッフってなんかやってんのか?」
モコ「うん……お店やってたの……でも……でも燃えちゃった……」
モコの弱弱しいうなずきを見るとα、片耳のイヤホンを軽く押さえるかのような動き。
かちっ、かちっと乾いた音が二回なったかと思うと、把握したのか苦笑いのように頬を緩ませる。
警備隊員α「ははは……あぁ、この前燃やされた店か。気の毒だったな、そんな日もあるさ」
モコの肩を励ますように2回叩くと踵を返し、βともども去っていく。
ネプギア「あれ……検問の方は……?」
警備隊員β「やることはやった。よいひと時を」
アイエフ「まったく……」
背中を向けたまま大雑把に手を振る警備隊員β。
モコ達はそれを黙って見送る。
モコ、これ以上触れたら崩れそうな表情で二人を見つめる。
黙ってモコの目を見る二人。
モコ、不安げに腕をぱたぱたさせながら沈黙を破る。
モコ「いっしょにつれてって」
アイエフ、呆れ気味だが笑顔で。
アイエフ「だと思った……」
ネプギア「一緒に、教会へ行く?」
モコ、一気に目の輝きを取り戻し、花咲くような笑顔で。
モコ「うん!!」
○同・ラステイション教会前
ネプギアの声「ここで、アイエフさんと一緒に待っていてね」
大聖堂サイズの教会。
上から見ると楕円形を十字に交差させているように見える。
黒レンガのように見える材質で楕円形にあえて近づけている以外はゴシック建築の特徴である塔の上昇志向、意図的に修復を示すための双塔の長さの違いなどが見られる。
アイエフの声「……そういえばアンタさ、家族“役”の人っているの?」
モコの声「うん。パパとママと、じっちゃんにばっちゃん」
アイエフの声「みんないるのね……そういえばさっきもだけど、アンタのそれ、友達の輪だっけ? よくああやって喧嘩とかを止めてるの?」
モコの声「よくわかんないけど、パパもママも、じっちゃんもばっちゃんも言ってたの」
教会の出入口前の階段に座り込んで、空を見上げながら話すモコとアイエフ。
モコ「貴様自身の心で、”友達の輪”の真実を会得するのじゃ。夢を追いかける己を、貴様がどこまでも信じ抜けるのならば、それは成し得よう。(半ばふざけているように聞こえてもよいので重低音を意識すること)って、みーんな同じセリフいうの……」
アイエフ「……どこから突っ込めばいいのかしら……モブキャラだからって個別に会話テキスト用意されてないのって単なる手抜きじゃない……」
モコ、アイエフの方を向く。
モコ「もぶ?」
アイエフもモコの方を向く。
アイエフ「あのね、私たちみたいな主要キャラじゃなくて……」
ネプギア「ひええぇ~……」
アイエフ「わあっ!?」
アイエフが目を右上に向けて言葉をひねり出そうとしている所に、ネプギアが走って出入口から出て来る。
慌ててどくアイエフ。
モコ「あ、ぎあちゃんおかえり~」
アイエフ「なにしてんのよ?」
ネプギア、話しづらそうに。
ネプギア「いやあの、告解室で
モコ「?」
モコ、目を丸くしてネプギアを見つめる。
アイエフ、立ち上がりながら。
アイエフ「赦しの秘跡をもらう場で話すことじゃないでしょ? っていうか、ちゃんと予定のこと言ったんでしょうね?」
ネプギア「それは言ってきましたよ。ただ、固い空気が我慢できなくて……」
アイエフ「またネプ子に似てきたかしらねぇ……」
ネプギア、小首をかしげる。
ネプギア「そうですか?」
するとどこからか、「キラーン」とマンガチックな音が鳴る。
ネプギア「ん? なんか今キラーンって空から何か来そうな音が……」
空を見上げて音の出所を探る一同。
○同・上空
風を切り、突き出した右足が教会の庭園に向かって進む。
次第に上空を見上げているネプギア、モコ、アイエフの姿が見え、モコがこちらを向く。
そのままモコの顔が急速に近付き……。
○同・ラステイション教会前
モコ「のぎゃああああああっ!!?」
ネプギア、アイエフ「わああああああっ!!?」
と、モコのあたまと何かが衝突、モコは遠くへ吹っ飛ばされると同時にネプギアとアイエフの前に粉じんが巻き起こる。
ネプギア、アイエフ、粉じんが顔にかかり咳払いをする。
アイエフ「けほっ! けほっ!」
ネプギア「けほっ! ?」
粉じんが次第に収まって行く中、何かを見つけるネプギア。
まだ舞い上がっている粉じんの中にたたずむ人影。
ゆっくりと立ち上がり、振りむいてこちらを見ている様子。
粉じんが完全に収まると、その姿が見えた。
太陽の下、前口上と共にきびきびと決めポーズを取っていく。
日本一「誇り高き戦士!」
最後に持ちあがった膝を右手で叩き、天に力を求めるかのように手を伸ばし、そして見得を切るようにこちらを向いてにらみを利かせる。
日本一「日本一! 参上!!」
様々な角度で日本一の登場をアピール。
日本一「見せてやる! アタシのヒーロー──」
ネプギア「日本一さん! 後ろ見て!」
日本一「──スピッ……え?」
ポーズを解いて自分の後ろを確認する。
遠くの方で煙を残してぴくぴくしながら倒れているモコ。
日本一「あーーーーーッ!?」
モコの元へと走っていく三人。
辿りつくとネプギア、一定のポーズで震えながら固まっているモコの体勢をそっと楽な姿勢に戻していく。
日本一「え? なんで!?」
ネプギア「モコちゃん、どこかおかしくしてない!?」
楽な姿勢で寝かされるモコ、ボロボロ泣いている。
モコ「うふぇうぅ~……」
アイエフ「ダメージカンスト寸前じゃないこれ……?」
日本一「ホントもう……モーレツにすいません……今度からもうちょっと控え目に登場します」
日本一、そう言って90度頭を下げる。
アイエフ「ホント頼むわよ?」
ネプギア「……あの、日本一さん、どうしてここへ?」
下げた頭を勢いよく戻し。
日本一「はっ、そうだったわ! ユニから緊急の連絡よ。ルウィーとリーンボックスで同時にテロが起きたの!」
ネプギア「えぇっ!?」
日本一「リーンボックスはどうにかするから、暇そうな人と一緒にルウィーへ行ってって!」
切羽詰まっている状況なのは分かったが、どこかそれに見合わぬいい加減な事を言う。
アイエフ「う~ん暇じゃあないのよねぇ……」
ネプギア、立ち上がり。
ネプギア「……分かりました。わたしが同行します!」
アイエフ「え? ちょ、ネプギア?」
ネプギア「連絡もわたし達で済ませますから、モコちゃんを教会へ帰してあげてください!」
アイエフ、気圧されつつも一間置いて返事。
アイエフ「……うん。わかったわ……」
モコ「うえぇ~? まだついていきた~い~」
アイエフ「そんな状態で何言ってるの。帰るわよ」
そう言ってアイエフ、懐からNギアを取り出し、カーソルを台車に合わせたら画面と手のひらを重ね、音が鳴ると右手をかざし、かざした手のひらから台車が具現化する。
台車にモコを乗せつつ。
アイエフ「それじゃあ二人とも、気をつけてね」
モコの乗った台車を地面に転がす。
ガラガラと音を立てて少し揺れながら進んでいる。
日本一「急ぎましょう!」
ネプギア「はい!」
ネプギア、日本一、互いにうなずき合う。
地面を強く蹴って勢いよく走りだす……かと思いきや。
日本一「この間ね、アイテム・ザ・ワールドっていう通販サイトちらっと見たんだけどさ、商品の紹介文がこれでもかとふざけてて」
ネプギア「あ、見たことありますー、なんでしたっけあれ? アラサーで独身のあなたにお勧めって武器」
アイエフ、遠くに行った二人を眺め、また踵を返し台車を押す。
アイエフ「急ぎましょうっつったのに……まぁいつものことね」
モコ「ゆ~れ~るぅ~」
ガタガタと進むごとに音をたてて揺れる台車。
○ルウィー・キノコタウン・国道
真白く綿のようにやわらかな雪に覆われた風景。
大型トラック4台並べて十分な空きがある幅の国道。
それを挟み生えるようにして立ち並ぶ、なだらかで綺麗なフォルムをしたキノコハウス達の街並み。
国道には人だかりができていて騒がしい。
その人だかりに向かって歩いていくネプギアと日本一。
まだ談笑している。
ネプギア「魔王ってそんな人もいるんですか?」
日本一「そりゃあまぁ色々よ。シリーズを追うごとにだんだん扱いが悪くなっていく魔王や……」
ネプギア、日本一を手で制しておしゃべりを止める。
日本一「……どうかした?」
ネプギア「あれかもしれません……」
そう言って雪道で足が取られ重くなる中、人だかりに向かって軽く走っていく二人。
すると突如何かが高く飛び上がる。
ネプギア、日本一「!?」
上空を見上げると、そこにはピエロのような男がワイヤーにつり上げられたような不自然さで宙にとどまり、嘲るような態度を取る。
ピエロの男はあまり重力の影響を受けていないようにゆっくり落ちる。
日本一「なにあれ? 大道芸人?」
ネプギア「あの人……逮捕したはずなのに!」
ネプギア、そう言って人だかりへと全力で走る。
日本一「ネプギア!?」
日本一もネプギアの後を追う。
人ごみを切り分けて中へ中へと入ろうとするネプギア。
ネプギア「すみません! ッ!」
人ごみを抜けると、顔を白塗りにしたサーカス団のような集団が、脂汗で顔が光らせぐったりしていたり、ルウィーの気候の中で半ズボンを着用して壊れたカメラを泣きながら握りしめていたりするNPC達を縛りあげている。
NPCい「ううぅぅぅぅぅぅうぅぅうううぅぅぅっ……まもれながっだ……おれのごれぐしょんがああぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
先ほどのピエロの男はバンダナとメガネをしたそばかすだらけの肥満体の男の頭を踏みつけていた。
NPCろ「てんめぇ……足はなせよぉ!」
ヤジNPC1「すげぇ……あいつらをこうも簡単に……!」
ヤジNPC2「どこから来たんだ……!?」
ヤジNPC3「すげぇよ……あのピエロ達ヒーローだ」
ヤジNPC4「それに比べてここの女神ふざけんじゃねぇよ。こんなのいるなんて聞いてねぇよ」
ヤジNPC5「なんでこの国いるんだよ。こんな見た目性格根性何もかもキモい奴らが」
ヤジNPC6「ふざけすぎだし」
ネプギア「……ッ」
NPCろ「はなせっていってんだろぉ!」
ネプギア、ヤジのNPC達からささやかれる静かなるサーカス団への賞賛と、捕まっている人達と女神への批判を耳にして唖然とする。
ネプギアに遅れて日本一が人ごみを抜ける。
日本一「ぬわっ……と……」
その時、ピエロの男がヤジ達に向けて、明るく声をかける。
ピエロの男「もう大丈夫ですよみなさん。ホワイトハート様が手を焼いていたダサい信者達は捕らえました。後はホワイトハート様やルウィー教会の方で処理していただけるでしょう」
続いてカラフルなアフロのジャグラーが。
ジャグラー「悪かったな、騒ぎ起こしちまって」
ヤジNPC3「よかったぁっ、これであの変態達ともおさらばだ!」
ヤジNPC6「ギャルゲ―買おうとして、「お前にハルネたんを触る資格はねぇ!」とか、資格ねぇのテメェだろって話」
男の言葉を聞いたヤジのNPC達から、捕まっている人達への怒りと共に、安堵の声が次々と洩れ出す。
すると、ヤジの一人がサーカス団に向かって叫ぶ。
ヤジNPC1「なぁ!? どうしてアンタら俺達を助けてくれたんだ!?」
静まるヤジ達の声。
ピエロの男、柔らかな笑顔を声がした方向に向ける。
ピエロの男「私達にも分かりません。ただ、昔を思い出してしまって、助けずにはいられなかったのです。今の私達には、これがあるから……」
そう言ってピエロの男、カラフルアフロのジャグラーから3.5インチフロッピー程の大きさのSDカードのようなものをパスされ、受け取る。
そしてヤジ達にそれを見せる。
ピエロの男「新しいマジェコンが私達を、権力や暴力での抑圧から救ってくれた。マジェコンは、巨大で理不尽な力から、魂を守るためにあるのです」
日本一「マジェコン!?」
男の言葉を聞き終えた途端、前へと出るネプギアと日本一。
ネプギア「あなた達、マジェコンヌの資格ですね!? ひどいことを!」
日本一「こんな事のために善良な市民を襲って、許せないわ!」
ピエロの男、二人に対して慇懃に振る舞う。
ピエロの男「おや? 女神様と天使様。私達はただ迷惑をかけていた信者をこらしめた通りがかりのものです。襲っていたのはむしろ彼等の方ですよ?」
ネプギア「マジェコンはマーケットや権力構造のバランスを崩すツールです! それを使うことは犯罪なんですよ!?」
ヤジNPC6「うるせぇよ」
ネプギア、日本一「!?」
ヤジからの声に動揺する二人。
ヤジNPC5「じゃあお前ら市民の何もかも守れんのかよ?」
ヤジNPC7「なんでこんなキモ男たちが何年も世にはびこったまんまなのよ」
ヤジNPC2「つまりは何もできてないってことだろ? 役立たず」
日本一「みんな目を覚まして!! こいつ等に騙されてるのよ!!」
日本一が叫んでも、ヤジ達は耳を貸さない。
それどころか、ヤジの一人が手を叩き始めた。
ヤジNPC1「かーえーれ。かーえーれ。かーえーれ」
それが伝染し、ヤジ達の間で帰れコールが瞬く間に広がっていく。
ヤジNPC6「かーえーれ」
ヤジNPC7「かーえーれ」
ヤジNPC5「かーえーれ」
ヤジNPC4「かーえーれ」
ヤジNPC3「かーえーれ」
ヤジNPC2「かーえーれ」
ヤジ達が次第に興奮していき、楽しそうに帰れコールで手を叩くようになっていく。
日本一「こんのぉッ!」
日本一、ピエロの男に向かって殴りかかろうとする。
しかし横からたらいが思いきりぶつかってくる。
日本一「横っ!?」
不意打ちに吹っ飛ばされる日本一。
付近のヤジ達にやりたい放題足蹴にされる。
ヤジ全員「かーえーれ! かーえーれ!」
日本一「いたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」
ネプギア「日本一さん!」
ネプギア、日本一を助けようとするも、ためらって踏みとどまってしまう。
そして味方を周囲から探すように、その視線を慌ただしく移しかえる。
焦りが吐息と共にネプギアを惑わしていく。
ネプギア「……ッ!!」
???の声「冗談じゃないわ」
ネプギア「!?」
ヤジNPC1「なんだ?」
拡声器を通しての声がどこから聞こえて来る。
ヤジ達も帰れコールを止め、どよめきの声を代わりにあげていく。
???の声「マジェコンでここまで国民たぶらかされて……黙ってる女神なんているかよ……ッ!」
静かだが怒りを湧きあがらせて、それが近づいている。
ネプギア「……」
日本一「この声……」
ネプギア達、声の主に気付く。
ヤジ達、声のした方向に身体を向ける。
そこに見えるのは、身体を大きく見せようと腕を開き気味に、拡声器を構えてどっしりと、ゆっくり歩みを進める小さな女神。
ネプギア「ブランさん!!」
それほど高くはないが、ヤジ達を飛び越えるには十分な高さでジャンプし。
ヤジ全員「うおぉっ!?」
着地と共にヤジ達が驚き、バランスを崩し尻もちをつく程の揺れと、半径2.5メートルほどのくぼみを発生させる。
姿勢を戻し、サーカス団を睨みつける。
ジャグラー「おっせぇな女神ぃ」
ピエロの男「ホワイトハート様。丁度あなたに彼等を牢屋へ入れてほしかった所です」
カメラを壊されて泣いていたNPC、WHに向かって精一杯声を絞り。
NPCい「ホワイトハートさまぁっ!! 罪は必ず償います! だからお慈悲をおっ!!」
WH、多くのヤジ達ににらまれ、ネプギア達に見守られながらバトルアックスを構える。
WH「今その縄から解放してやる……後でお前らにも罰をやるけど、牢屋にぶち込むべきはこいつらだ!!」
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最近、これで調子こき過ぎていないかが不安です。キャラの性別や性格を全部抜きにしてのセリフ回しが皆同じになっている、萎(な)える、冷める、読みにくい、作者は読者にどう反応してほしいのか分からないなども懸念していますが、何よりも私のエゴがにじみ出過ぎて、ネプテューヌと言う作品に、ゲームという世界全体に無礼になってしまっているのではないかとふと思いました。
話は変わりますが、日本一の登場台詞は私の地元のローカルヒーローが元ネタです。
ミヤウエに言われてカットした部分、ノワールが出る部分が一番力注いだところなのでへこんでいます。 byロージュ
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