No.465424 超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_0152012-08-05 14:49:53 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:1080 閲覧ユーザー数:1042 |
第2章 ニュー・フレンズ
C015:マジェコンヌどもがログインしますた
○前回までのあらすじ
モコ「うぇ……ぜんかいまでの……ひくっ……あらすじを……」
ユニの声「うわぁ……」
ノワールの声「盛大に泣いてるわねあの子……」
日本一の声「うん……」
モコ「にゅーすで……おしらせしたいと……ぐすっ……おもいます……」
ユニの声「店燃やされたの相当ショックだったのね」
日本一の声「ぶっとばしてこようかそいつら?」
ノワールの声「やめなさい」
モコ「きのうみめい……」
ノワールの声「昨日だっけ?」
日本一の声「おとといじゃなかった?」
モコ「ぷらねてゅーぬのはずれ……もーどはうすがあぁ~~~っ……」
ユニの声「ホント大丈夫なのこの子っっっ?」
ノワールの声「笑ってんじゃないの。不謹慎よ」
モコ「われちゅーちゃんたちにほーかされましたぁ~~~……」
日本一の声「ワレチュー”ちゃん”なんだ」
モコ「われちゅーちゃんたちは……ぐすっ……どーしてこんな事を……したのかと……いいますと……すんっ……なにものかに……なんてよむのこれ……?」
ネプギア「きょうはく……」
モコ「きょーはくされて……きゃんぷふぁいやーに……して……ぼぉぼぉ燃やしたそうですぅ~~~……」
日本一の声「ぼぉぼぉ燃やしたってっっっ」
ノワールの声「こぉら。日本一」
日本一の声「はぁい」
モコ「ひとのいえを……きょーはくされて……ひんっ……ぼぉぼぉに燃やすとか……よくないとおもいます」
ユニの声「私情入ったっっっ盛大に私情入ったっっっ」
ノワールの声「もうこれニュースじゃないじゃない」
モコ「あそこにはともだちのやくそくがいっぱいあったのにぃぃ~~~~~~~っ……」
ネプギア「よしよし。辛かったね、辛かったね。また集めよう? 広げよう? 友達の輪広げよう?」
モコ「うへえぇぇぇぇぇ~~~~ん……」
ユニの声「……行っちゃったよ」
ノワールの声「終わりかよ」
日本一の声「もう無理に出さないで休ませてあげなよぉ……」
○???・昼
広大な崖がそびえたつ荒野。
その荒野の一角にぽつんとたたずむちゃぶ台。
山盛りの枝豆が乗せられた大皿が、そのちゃぶ台の中心を飾り、それを三角に囲むようにして三つの茶碗と箸が置かれ、そのすぐ後ろにはそれぞれ
三人共、大皿に乗せられ、現在進行形で崩れてきている枝豆の山をじっと見つめる。
崩れた枝豆はZHの元へと転がっていく。
その回転が遅くなっていっている。
次の瞬間、PHとPSが同時に箸を取り、ZHの目の前の枝豆を同時に箸でつかみかかる。
箸同士がまじりあって、両者にらみ合いが始まる。
それに面喰って交わった箸とPH、PSを三角形を描く様にかわるがわる見やるZH、既に一粒口に入れている様子。
お構いなしに交わった箸に挟まれた枝豆を弾き飛ばし宙に浮かせ、両者それを放っておいて大皿の枝豆の山に箸を切りこむ。
一心不乱に茶碗を左手に構えて右手の箸で枝豆を山から一つずつ取って自分の口に入れるPHとPS。
PHが枝豆の山の頂上を箸を使って器用に茶碗になだれ込ませようとすると、PSが箸でそれを妨害する。
そしてちゃぶ台から転げ落ちていく多数の枝豆達。
PHが箸であさっての方向を指し示すとPSはその方向へ釣られて向いてしまい、その隙をついて茶碗を使って一気に枝豆の山を削り取る。
またもちゃぶ台の上から転げ落ちていく多数の枝豆達。
PSが騙されたことに気付き、同じ手を使って枝豆を茶碗に移す。
茶碗にしがみつけずに吹っ飛ばされるように宙を舞っていく枝豆達。
ある程度茶碗に移し換えたら、今度はお互いの茶碗にある枝豆を取り合い始めた。
茶碗から大量の枝豆をこぼしながら、劇的に少なくなっていく互いの枝豆を取り合う。
PHが諦めて大皿の方の枝豆を取ろうとして、そのまま静止。
PSもPHに釣られて大皿を見る。
PSもそのまま静止した。
いつの間にか、大皿に乗っていた枝豆はたった一粒になっていた。
先ほどから一切手を出していないZHが気になり、両者ともZHの方を向く。
目の前には、大量の枝豆が茶碗に盛られ、それを黙々と食べているZH。
ZH、二人に見られているのに気付き手と口を止める。
PHとPS、ZHの茶碗の枝豆達を疑念を込めてじっと見つめる。
ZH、二人に見られていることに戸惑う。
次の瞬間、同時にZHの茶碗の枝豆に箸を突撃させ、枝豆の山を切り崩し奪いにかかる。
とっさに身を引くZH。
その揺れで茶碗からこぼれていく枝豆達。
PH、PS、箸を投げ捨てて手で枝豆をつかみにかかる。
ZHを押し倒すようにして。
押し倒されて腹を立てるZH、自分の茶碗の枝豆を全部口に放り込んで丸呑みする。
PH、PS、これに唖然。
唖然としている二人の隙をついてそれぞれの茶碗の枝豆も丸呑みにするZH。
PHとPSがこれに気付いた時には時すでに遅し、からになった茶碗を見つめる。
真っ赤になった顔で精一杯睨むZH。
PS、悔しそうにぽかぽかZHを弱めに叩き始める。
PH、怒り心頭に達し、ちゃぶ台に手をかける。
そしてそのまま力の限りちゃぶ台をひっくり返す。
世界は光に包まれて崩壊していく──。
○プラネテューヌ・教会・ネプ姉妹の部屋
勢いよく毛布をどかし、ベッドから上体を起こすネプテューヌ。
絶叫するように。
ネプテューヌ「なにこの夢ええぇぇぇぇーーーーーーーーっっ!!!?」
一度深呼吸をして心を落ち着かせる。
わたわたとベッドの上で夢の内容を整理する。
ネプテューヌ「予知夢とかなにかの啓示? だったらもっと直球投げてよぉ。豆取り合って世界オワタとかどんだけ変化球なの!? まぁ言わんとしてることはなんとなくわかるけどさぁ」
ネプテューヌ、現在いる二段目ベッドから斜め下を見下ろす。
見えるのはネプギアの寝姿、毛布をかけてソファでよく眠っている。
ネプテューヌ、緊張した表情をほころばせる。
一段目のベッドには同じくすやすやと眠っているモコ。
大の字になって寝ている。
ネプテューヌの声「まだ大声出していい時間じゃないよね……」
そう言って、再び毛布をつかんで、自分に被せて眠りにつこうとするが。
ネプギアの声「ノワールさんだめええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
ネプテューヌ「うわ!?」
ネプギアの絶叫するかのような声が聞こえてくる。
慌てて再び上体を起こすネプテューヌ。
ネプギアも同じように起きていた。
ネプギア「はぁ……はぁ……はぁ……」
ネプテューヌ「……どしたのネプギア?」
ネプテューヌと目を合わせる。
ネプギア「あ……お姉ちゃん……」
俯きながら話し始める。
ネプギア「なんか……夢で、ノワールさんが女神化して……」
○ネプギアの回想
真っ白なツインテールにグレーの装甲を着込んだ
興奮が止まらない様子で。
ネプギアの声「とか何とか言って、自分のツインテールの部分をブーメランにして延々投げ飛ばしてくるの!」
BH、自分のツインテールを念力か何かで操りブーメランにして飛ばす。
BH「とぉうっ!!」
ネプテューヌの声「あぁー……こっちのじゃなくてあっちのなんだかナチュラルハイになっちゃってる方のね……」
戻ってきたツインテールを双剣のようにして構える。
BH「っしゃッ!」
○プラネテューヌ・教会・ネプ姉妹部屋
モコの声「ぱぱぁ~……ままぁ~」
モコのうわごとで現実に引き戻される二人。
モコ、幸せそうな寝顔。
モコ「じいちゃ~ん……ばあちゃ~ん……」
ネプテューヌ、見えない下の段にいるモコを見るように下を向く。
ネプギア、ネプテューヌから目を外し、そのまま寝ているモコを見つめる。
モコの声「ともだち……いっぱいだよぉ~……」
しばしの沈黙の後、ネプテューヌ、ネプギア共に再度互いの顔を見て。
ネプギア「起こしちゃいけないね」
ネプテューヌ「そうだね」
そして再び毛布に手をかけ身体に被せる。
ネプテューヌ、ネプギア「おやすみなさい」
そのまま寝転んで二度寝を始める。
さっそく寝息を立てる二人。
間もなくして、ニワトリが朝を伝える鳴き声を放つ。
鳴き終える前に慌てて起き上がる二人。
ネプテューヌ、ネプギア「もう朝でしたか!」
ネプギア、一段目のベッドにいるモコの元へ行き、優しく体を揺らす。
ネプギア「モコちゃん、朝だよ」
モコ「んぃ……」
○同・祭壇エリア内・朝
主廊部からの光の減衰で何とか祭壇本体が見えている程度の暗いエリア。
ルピナスの声「きゅううぅッ!! きゅうきゅうきゅううううーーーーッ!!! まだっ!? 変身シーンはまーだーっ!!?」
アイエフの声「アンタ鼻息荒ぶりすぎ」
突如、祭壇本体、そして壁沿い、天井のヴォールトに青い光のラインが灯る。
その内の太いラインは、道程を作るように灯る。
スティングの声「お願いなんでルピ先輩静かにしてくれないすか」
メイトの声「彼女にそれは届かぬ願いだろう」
ネバランの声「楽しめ一番なのさぁー!」
スティングの声「ネバラン先輩も」
空中に「Good Morning Everyone.」という青い文字。
スティングの声「あれオトメ先輩どうしたんすか?」
ネバランの声「見いってる見いってるぅ~ぬははー!」
窓のシャッターが開いていき、だんだんと日(というより光源)が差し鮮やかな色を見せていく三枚のステンドグラス。
それらに見守られるなか、天井にも伸びている太い光のラインに沿ってエスカレーターに乗った3人が祭壇本体の前に降りてくる。
オトメの声「あぁいえ。こんなにもたくさんの妖精さんたちが行き場を失くしているのに、なにもできないわたくしがもどかしくて……」
アイエフの声「そこまで感情移入しちゃう?」
エリア内が明るくなると同時にエリアの内外を仕切る低い柵が折りたたまれて通路ができていく。
メイトの声「すばらしいよオトメ」
オトメの声「メイト……」
ルピナスの声「それにしてもここにはこんなカップルがいるのに、何故マイハニー達はだれもくっつかん!?」
エレベーターが揺れも音もなく、完全に床と接着する。
ネプテューヌ、ネプギア、モコと降りていく。
アイエフの声「言い回しがREDちゃんみたいよ?」
○同・主廊部
並べられた椅子の後ろの方で諜報部オールスターが各々空中にスクリーンを開いて何か話しこんでいる。
ネバランの声「ちぃがうちがう! 魔法少女はゆりんゆりんでナンボ、って意味なんだよねーナスにゃん♪」
オトメの声「それにしても……最近のこういった類の作品は、何故殿方が出てこないのでしょう……?」
メイトの声「ルピナス曰く、最近はなまじ男を出すと方向性が変わったり、ヲタク共に反感を買われたりするらしい。チキンな奴らだよ。冒険心がない」
コンパ、主廊部入口の付近から3人の方へと歩いてくる。
3人がコンパに気付く。
コンパ「おはようです」
ネプテューヌ「おはよーコンパー」
ネプギア「おはようございます」
モコ「おはよー」
ネバランの声「うおぅっ!? モーレツうッ!!」
3人、ネバランの声に反応し、正面から見て丁度扇形に三つの顔が出るように傾ける。
ネプテューヌ「おはよーみんな。何見てんの?」
その体制のままスライドするようにアイエフ達の元へと歩く。
コンパもその後を普通についていく。
アイエフ「おはよう。お寝坊さん達」
ネプテューヌ「あいちゃんたちはやーい」
途中、モコが用意してある座席に頭をぶつける。
モコ「のぎゃっ!?」
ネプギア「だいじょうぶ?」
モコがこけて、ネプギアが様子を見に行った時点で体制は崩れ、以降普通に歩く様に。
ネプテューヌ、並べられた6つのスクリーンの内、アイエフが今見ているスクリーンを、裏側から覗きこむ。
よく見るとアイエフ、コードレスのイヤホンをしている。
青色の半透明な
ネプテューヌ「んー? これはー?」
アイエフ「『魔法フェアリーりな』。ライプレで最近ダントツの再生数だって言うんで、みんな集めて研究してるの」
ネプギア「あの、前に撮った『ねぷイズム』はどうでしたか?」
アイエフ、自分のスクリーンの右上をタッチし開いて、新たに小さなスクリーンを開く。
小さなスクリーンを上に向けて軽くフリックした直後、タッチし、スクリーンを反転させ、滑らせるように空中を移動させる。
ネプテューヌ、小さなスクリーンが当たりそうになるのをよける。
ネプテューヌ「うぉう!?」
ネプギア、スクリーンをキャッチし、見やすい位置に持っていき、空中にとどめさせる。
『ねぷイズムしやがれ!』のストリーミング再生が開始され、再生数とコメント数、評価率が表示される。
コンパ、スクリーンを見るためネプギアの隣にまで来る。
ネプギア、コンパ、再生数を見て唖然とする。
ネプギア「再生数……たったの13……!?」
コンパ「ぶっちぎり不人気ですぅ……」
オトメ、アイエフ、『りな』の鑑賞にふけりながら悩ましく話す。
オトメの声「ええ。他の女神様方は見てくださっているようですが……」
アイエフ「教会で作ったプロパガンダ番組って引かれてるのか、ネガキャンされてるのか単純につまらないのか……なんにせよ異常な少なさよ」
動画の声「ふざけないでッ!!」
動画から突如叫び声がし、それに驚いて飛び上がって後退するモコ。
ネプテューヌもネプギアもコンパも、少なからず驚いている。
モコ「うわぁうっ!?」
動画の声「あなたとはもう違う!」
アイエフの声「あ、ごめん。イヤホン抜けちゃった」
そう言ってイヤホンをタッチし、スクリーンにその先ほどタッチした指をさし向ける。
ネプテューヌ、ネプギア、モコ、コンパ、アイエフ達が座っている座席の後ろでスクリーンを見に行き、イヤホンプログラムを起動し、ジャックをアイエフのスクリーンに、今アイエフがやったのと同じ動作でつなぐ。
○『魔法フェアリーりな』・総門中学校2階2-6教室・昼
りな「……知らない。会ったことない。そういうのいるのかどうかもわかんないし」
秋山「そうなの……」
そう言って秋山、足を投げ出すように教室を出ていく。
教室を出て秋山を追おうとするりな。
りな「あの……」
秋山「用は済んだから……」
秋山に言葉で制されて、足を止める。
かんな、出てきて秋山を追いかけようとする。
かんな「待ちなさい!」
りな「かんなちゃん!!」
しかし、りなに腕をつかまれる。
かんな「なによ!!」
りな、そっとかんなの腕を離す。
りな「かんなちゃん教えて……なにがあったの? 秋山さんに何かされたとか?」
かんな「そうじゃない!」
りな「でもいつものかんなちゃんじゃない!!」
かんな「……何が分かるのよ!! あなたに!!」
かんな、興奮状態がしばらく続き、りなを睨みながら肩で息を切る。
りな、かんなの気迫に目を俯けて反らしてしまう。
りな「……」
そのままかんなから2歩分ほど離れる。
りな「わたしがおかしいのかな……」
かんな、表情は和らげずに、心配しているような声調。
かんな「りな……」
りな「何も知らないわたしの方がおかしいのかな……? 妖精とか、能力者とか闇の力とか……」
りな、頭を抱える。
りな「みんなの言ってることが……全然わからない……」
次の瞬間、すぐそばにある窓ガラスが、りなに襲いかかるように突然割れる。
りな「きゃああっ!!」
かんな、りなの悲鳴を聞き、人の顔を思い浮かべながら怒りをこみあげる。
かんな「りな! アイツ……ッッ!!!」
そして突如ガラスの割れた窓から飛び降りる。
りな、夢中でかんなの姿を目で追う。
りな「かんなちゃん……!?」
かんな、回転しながら急降下する。
グラウンドに前転して受け身を取る頃にはいつの間にか魔法少女姿に変身していた。
りな、状況が分からず、混乱しつつ不安げな目で外にいるかんなを見つめる。
りな「……っ!?」
窓から離れ、助けを求めるようにそわそわと辺りを見回す。
次の瞬間、大きな音が鳴り響く。
りな「っ!? なに!?」
りなの真上、ピンポイントで天井が崩れ落ちてくる。
りな「ッ!!」
とっさに避けようと飛び込むりな。
しかし、瓦礫はりなの下半身に激突する。
りな「くぅッ……!!」
その後も容赦なくりなを天井の瓦礫が襲う。
りなはみるみるうちに瓦礫に埋もれていく。
りな「うっ!? ああああああっっ!!」
○プラネテューヌ・教会・主廊部
ネプテューヌ「これが魔法少女!?」
驚くネプテューヌ、ネプギア、モコ、コンパをしり目に口をはさむネバランとルピナスとアイエフ。
ネバラン「そーなんですよー! 色々変なんですよー!」
ルピナス「第1話で妖精と出会って魔法少女の力を手に入れたかと思いきやこの通りおぅっ! おぅぅっ!! 容疑を否認しているッ!!」
アイエフ「容疑者じゃないわよ」
ルピナス「とっとと詳細キボンヌ!!」
アイエフ、猫背に頬杖ついて悩ましげに。
アイエフ「やっぱテレビ制作のノウハウあると違うのかしらねぇ……」
○『魔法フェアリーりな』・総門中学校校庭
非常ベルが鳴り響き、生徒の悲鳴が木霊する中、校庭で変身したかんなと対峙する、同じく魔法少女姿の秋山。
秋山「こっちにいる妖精は半分くらい私のものになったけど、闇だの快楽だの、そんな話は聞いたことがないわ。あなたがそう思いたいだけじゃないの?」
かんな、今にも秋山に襲いかかりそうな殺気を放ちながら、己自身に確認するように語る。
かんな「……あの日私は誓ったんだ。もう二度と闇の快楽に溺れない。この眼は正しきを見極め、この手は守るためにある! 私は……あの子達の剣になる!」
かんなが走りだそうとすると、どこからかエコーのかかったような声が響き渡る。
???の声「妄想劇場ならもううんざりだぜ!」
かんながブレーキをかけて気にする間もなく、ひじを曲げ右手を上に向け、手首にあるアタッチメントに装着した特別な庭ぼうきを、
穂先を下にしてゆっくりと降りてくる少女マンガチックな魔女姿を今風にアレンジした全身ビビッドなピンクの少女。
顔はどこからどう見てもりな。
そんな少女、バカにしているでもなくただただ真剣なまなざしでかんなを見つめながら。
???「お前、これ以上俺の耳にタコ作る気か?」
かんな、少女を見て驚くも殺気のような視線を崩さない。
かんな「りな……!!」
少女を見て、かんなは確かにそう言った。
* * *
ネプギア「魔法少女にあるまじきセリフ……」
ルピナス「そこがまた萌え!!」
盛り上がっていると、突如として雷鳴が教会の中にまで轟き、響きわたる。
モコ「おぉぉうっ!?」
一同(モコ以外)「!?」
一同が音に気付くと、ステンドグラスに差し込む光が不自然なほどに赤くなる。
ネプギア、それを見て。
ネプギア「一体何が……!?」
全員がいぶかる間もなく、謎めいた声が聞こえてくる。
???の声「民衆共……神はいたか……?」
全員、イヤホンをデータ分解し、座っていた者は立ち上がり、辺りを見回し始める。
ネプテューヌ「この声……!!」
コンパ「間違いないですっ!」
???の声「救いはあったか……?」
アイエフ「ひとまず外に出ましょう!」
外へと飛び出す他の面々に戸惑い、遅れるモコ。
モコ「うあーん! 待って!!」
○同・教会前通り
空色の影響で、辺り一面が赤みがかっている。
全員、教会の敷地内から走ってきて、ネプテューヌ、モコ、ネプギアを先頭に何も通らない通りで止まる。
朱ではなく、紅に染まった空を見上げ、その表情を驚愕で固める。
一同「!!」
???の声「奥底の怒りに、憎しみに、悲しみに、悔しさに……真に理解を示すものは現れたか……?」
紅に染まった空には、今なら空の色に溶け込んでしまえるギョウカイ墓場を背景に、マジック・ザ・ハードがホログラム映像として映し出されている。
ネプテューヌ「マジック・ザ・ハード!!」
アイエフ「復活したの……!?」
ネプギア「てことは犯罪神も……!」
映像中のマジック、堂々と語り続ける。
マジック「女神共に偽りはないか……? 嘘を抱えていた時に頭を下げ誠意を見せたことがあったか……?」
ネプテューヌ、ネプギア、コンパ、アイエフ、空に映されたマジックを睨む。
マジックの声「それらに苦悩し、締めあげられ、無力と絶望を味わった末に、望まず闇に堕落してはないか……?」
マジック、悼むように両目を伏せる。
マジック「各々記憶をまさぐり苦痛を、傷を蘇らせるであろうが……それは己のせいではない。なぜならそれは、認められようと理性を磨き、愛されようと愛をささげる、ただ純粋に、よりよく生きようとしている証なのだから。それを弱肉強食と切り捨て踏みにじる魑魅魍魎どもはなんだ? 人が人足る
己が我らより上であるというのなら、己が人だと、人に作られし”算術せし小人”だということが
○ラステイション・某収監所・大広間
古代ギリシアの国家スパルタを思わせる服装の囚人達が監視員達を振り切り、200人ほどの塊を作る。
マジックの声「仮にそれが正しいのなら、何故公然と戦争をしない? 何故中途半端な規制を行う? それらは、自らが下品で醜い獣であることをただ認めたくないだけなのではないのか?」
アイエフの声「(マジックに怒りを向け)何を言ってるのよ。アイツ!」
監視員、囚人達の顔に向かってマスタードパイを投げ当てる。
マスタードパイが口と鼻と目に入り、しみる痛みと辛さに苦しむその囚人。
その囚人を取り押さえる監視員の頭に突如としてたらいが落ちてくる。
囚人の仲間がマスタードパイを持った監視員達ともみ合い、パイをぶつけられつつも自分達は監視員の口にものすごく苦いが体にいいわけではないお茶を流し込む。
無理やり飲まされた監視員、おえっと気分を悪くして膝をつく。
マジックの声「かつて、紫の女神候補生が言った。我等はこのゲイムギョウ界にいらない存在だと。確かに、貴様等にとって我等は不要な存在であろう。だが誰が生み出した? それは他でもない、不要物と我らを名付けた貴様等だ。まだ使えるかもしれぬ紙を手で丸め、躊躇せずにゴミ箱に入れた。それが貴様等だ」
ネプギアの声「(震えながら)そんな……そんなこと!!」
黒い聖書のようなものを持った囚人達の代表と思わしき人物が、高らかにスピーチをし始める。
さながら黒い街宣車に乗ってヒステリックに怒鳴り声をあげるだけあげて帰って行く人のよう。
囚人の代表がひざまずいて両手を天に掲げると、彼のスピーチを聞いている囚人たちもひざまずき、加護を求めるかのように両手を高く掲げる。
彼らの表情は必死そのもの。
マジックの声「この通り、今の女神共に真実はない。我等は、そんな奴らが生んだクズ。奴らが寄せ集めた異物。捨てられたもの。だが故に、奴らにとってのゴミとして、我等自身の幸福を得る権利がある。その為に考える権利がある。そして女神共、貴様等にこの権利をはく奪する資格などない」
コンパの声「(怒りを向けて)めちゃくちゃです!」
監視員達が増員され、囚人達に向けて一気にマスタードパイが投げられる。
代表の前で祈りをささげていた囚人達も、仲間の援護に向かい、監視員達の顔めがけ唐辛子パイを投げつけ、殴りつけるように顔に刷り込む。
辛さと目などの痛みで倒れ込む囚人と監視員。
その倒れた監視員に対し囚人数人がかりで鼻フックを仕掛け、パイまみれの醜い顔を晒す。
すると監視員にたらいを投げつけられ、囚人の一人の頭に直撃し宙を舞うと、奥にいる囚人に見事にかぶさり視界を塞ぐ。
その隙をついてゴムをしかけ、リレーのように監視員が交代で高速に引っ張り、遠く離れた所で離す。
ゴムは先ほどたらいを被った囚人に直撃、そのまま倒れ込む。
騒いでいる大広間の入り口付近で、ある囚人が別の囚人達4人組のグループを手引きし、脱獄させようとしている。
監視員は増員しても数の差は圧倒的に囚人の方が多く、祈っていた囚人達はほぼ監視員に攻撃を加え出し、みるみるうちに監視員がパイまみれ苦い茶まみれになっていく。
おえっとなっていたり、喉を押さえて苦しんで倒れていく監視員達。
そして、犯罪神にささげるかのように、囚人達は勝利の雄叫びをあげ、各々身体全体で叫ぶ。
マジックの声「立ち上がれ。誇り高く、勇敢なるゴミ達よ。この破たんした世界を、真実で浄化するために。女神の暴政より、世界を守るために。もしも女神が我らを滅ぼさんとした時は、我らが神の加護の元、あえて、奴らと同じ思考レベルで、痛みと傷を与え、過ちであることを思い知らせてやろうぞ」
囚人達4人組グループ、外で包囲網を作っている警備隊の目をかいくぐり、地下ルートに逃げ込む。
地下ルートには、「よう」と手をあげる猿と一緒に男が待っていた。
○プラネテューヌ・教会前通り
ネプテューヌ、両手を腰に当てて。
ネプテューヌ「勝手なこと言わないでよ! なんか雰囲気ちょっと変わったみたいだけど、復活したなら何度だってやっつけてやるんだから!!」
???の声「ごちゃごちゃと何を騒いでいるううううぅぅぅっ!!」
一同、つんざく大声に耳をふさぐ。
ネプギア「間違いない……これ……」
上空に映し出された映像が4分割のワイプになり、それぞれマジック、ジャッジ、ブレイブ、トリックの顔が映し出されている。
アイエフ「やっぱり全員復活してたのね……!」
ジャッジ、顔を画面いっぱいに近づけて。
ジャッジ「さっきからすべて聞こえているぞおぉっっ!!」
ネプギア、怖気づく様子もなく堂々と。
ネプギア「ならなおさらです! 今すぐゲイムギョウ界から立ち去りなさい!」
トリック、尊大な態度で。
トリックの声「ふん! 貴様等女神の声など聞きたくはないわ!」
そして、長い舌をなめて揺らす。
それに沿って垂れる汚らしい唾液。
トリック「しかし……紫の女神達の隣にいるエンジェルはなにものだぁ~?」
モコ「?」
モコ、先ほどから全くことを理解していない様子で、両隣のネプテューヌ、ネプギアを見る。
トリック「お名前はなんていうでちゅかぁ~?」
ネプテューヌ「もー!! あなたの幼女の判断基準がよくわかんないよ!!」
トリック「年齢二ケタ以上はババア!!」
アイエフ「プログラムに年齢とか何言ってんのよ!」
コンパ「あんまり関係ないですよぉ!」
トリック、唖然として固まる。
トリック「え……!?」
ネプテューヌの声「いや『え!?』じゃないよ!!」
ネプテューヌ、何かひらめき、いたずらめいた表情で。
ネプテューヌ「あー、さては四天王のみなさん……復活したばっかりで、
ネバラン、ルピナス、メイト、囃したて始める。
ネバラン「やーいやーい! 時代遅れー!」
ルピナス「工作乙!」
メイト「どうせスピーチ原稿も下っ端かクランカとやらが作った台本を読まされているのだろう!」
マジック、そして他3名、メイトの発言に硬直する。
マジック「なっ……!!」
ジャッジ「ぐっ……!!」
トリック「ぬぅっ……!!」
アイエフの声「あ、図星ね?」
スティングの声「そのようっすねー」
ネプギアの声「そうなんだ……っ!!」
ネプギア、何故かかなりのショックを受けている様子。
ジャッジ、吹きこぼれるような怒りを吐き出す。
ジャッジ「えぇぇぇぇぇえええい黙れ黙れ黙れだまれえええええぇぇぇぇぇ!!! 貴様等今すぐ叩き潰してやるうううぅぅぅ!!!」
ブレイブ「落ち着け! 映像に向かって怒りをぶつけても意味はないぞ!」
ようやくブレイブが声をあげた。
クランカの声「感謝するでしゅ。ブレイブしゃま」
するとワイプの画面が切り替わり、クランカとリンダ(下っ端)が映し出される。
リンダ、いつもの下げパンスウェットではなく、ビキニニーソにガーターベルトとブーツと色気が増している。
しかし、本人は恥ずかしそうに顔を赤らめている。
そんな中、ジャッジの怒鳴り声が小さく聞こえてくる。
ジャッジの声「貴様なぜ止めるううううぅぅぅっ!!」
ブレイブの声「冷静に考えろジャッジ」
一方のクランカ、相変わらず張り付いたような無表情で。
クランカ「とにかく、これより我等犯罪組織改め、犯罪教団マジェコンヌは、現行女神と天使、そしてその信者を制圧することを宣言するでしゅ」
リンダ「これやけにスースーするよー……」
クランカ「マジックしゃまが先ほどおっしゃられたこと、よ~~~く考えることでしゅね」
クランカの警告を余所に、好き勝手に喋り出す。
ブレイブの声「そもそも、ざっと見渡したところ、ゲイムギョウ界の約3分の2は話聞かないで普通に日常を過ごしているぞ」
マジックの声「なん……だと……っ!?」
ネプギアの声「そんなに聞いてない人いるんだ……」
トリックの声「おい! あの赤いぴょこぴょこしたカワイ子ちゃんは何者だ!?」
モコの声「わたしのこと?」
アイエフの声「答えない方がいいわよ。ひどい目にあうから」
モコの声「んー??」
リンダ、締めの言葉。
リンダ「と、とにかく! 覚悟しとけアホ共!! ばーかばーか!!」
そしてだんだんと赤みが抜けていく空、フェードアウトしていく映像、響きながらも遠くなっていく声。
リンダ「ばーか……」
完全に元の朝焼け空に戻ってなおしばらく、その空を見続けた。
一同「……」
教会からイストワールがふわふわと浮いて
イストワール「やはり復活していたのですね……マジェコンヌ」
ネプテューヌ「いーすん!」
ネプテューヌ、モコ、ネプギア、コンパ、アイエフ、イストワールが見える位置にまで駆けて来る。
イストワール「いよいよ、新しい試練の時が来たのかもしれません。乗り越えなければならない、試練の時が」
ネプテューヌ、自信満々に宣言する。
ネプテューヌ「大丈夫だよ! いつどんな敵が来ようとも、みんなで力を合わせて飛び越えてやるんだから!」
イストワール、ネプテューヌ達の自信に満ちた表情を見て、自分も信頼を寄せる。
イストワール「ええ。飛び越えていきましょう。その勢いで」
少しの間の後。
イストワール「……あ」
コンパ「どうしたですか?」
イストワール「うっかりしていました。ネプギアさん、突然で申し訳ないですが、今日”エフ”の打ち合わせの連絡を皆さんにしてくれませんか?」
ネプギア「はい。わかりました……ただ、通信だと向こうの教祖さんに傍受されかねないので、今から直接行ってきます」
イストワール「念のため、アイエフさんも同行を願えますか? ただし、ネプギアさんが連絡している最中の話は聞かないでほしいのです」
アイエフ「了解しました。まぁその話はよく知らないんで適当に流しときます」
イストワール「ありがとうございます」
ネプギア、アイエフ、他のメンバーを背にその場を去る。
ネプギア「それじゃあ!」
アイエフ「まずはラステイションに向かいましょう」
ネプギア「はい」
取り残されたネプテューヌ達。
コンパの声「さて、あ……うっかりしてたです。ネプビタンを切らしていたです……」
スティングの声「あ、あたし買ってきますよ」
コンパの声「ありがとうです。スティングちゃん」
ネプテューヌ、わくわくしながらイストワールに尋ねる。
ネプテューヌ「ねぇねぇいーすん、わたしは何をやればいいのかな♪」
イストワール「ネプテューヌさんは教会で書類の整理です」
ネプテューヌ「えぇーー!? そんなぁー!」
ぶーたれるネプテューヌを余所に、ネプギアとアイエフの背中をじっと見つめているモコ。
モコ「じーっ……」
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未だに四天王のキャラ付けが上手くいかんとです。
それに小ネタにかなりの尺を割いて時間かかりまクリスティー。
暴力表現をどのようにするかに足を取られ更に悩みまクリスティ―。
読者様は皆役者です!
よし、今度はきちんと構成考えるぞ!
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