……前回の続きですね。
っていうかもう前回という言葉を全開に変えてもよろしいのでは? もちろん全開という意味はアリサちゃんが今まで閉じ込めていた物を全開させたという意味に対して。
とりあえずどこまで話したかというと、私がアリサちゃんに貞操が奪われそうな寸前です。
私はこの時本当に貞操が奪われるのではないかと思いました。
うん、過去形です。結論から言えば奪われまではしなかったのですけどね。する寸前で個人的にもっと嫌な事があったもので……
とりま、この時の私はアリサちゃんから逃げようと温泉から出て後ろに少しずつ後ずさりしていました。
「な、何をするつもりなの……」
「なにって……後ずさっている事はなのはもなんとなく分かっているんじゃないの?」
……この言葉で私が想像している通りなんでしょうと分かりました。
正直言えば逃げたかったです。だが逃げたところで待っている事は変わらないだろうし、逃げて服に着替えている間に捕まえられるので無理だと思いました。別にアリサちゃんには魔法がばれているので、魔法を使うという手段もあったのですが、もし他人に見られたらアウトですのでそれは避けるべきだと思いました。
なので絶対な安全策を考えてしまうと逃げようがないのです。そもそも逃げたところで何の解決にもなっていないですし、多分この三日間で回避するなんて無理でしょうからね……。
ってなわけで私が取った行動は一つです。
「あ、アリサちゃん少し考え直そう? 他の人も来るかもしれませんし……」
尚も後ろに少しずつ後ずさりながら私は言います。だって、この時のアリサちゃんかなり活き活きとしていて正直怖かったですもの。未だに微笑んでいますし。
「大丈夫よ。誰か来ればすぐになのはが結界とか貼ればいいのじゃない」
しかしアリサちゃんはそう言ってだんだんと私に近づいてきます。どうせ逃げても余り意味が無いと思った私は、本気で逃げるつもりもありませんでしたしすぐに捕まってしまう事は分かっていました。だけどアリサちゃんを見ていると怖かったんです!! しかもこの後何をされるのかと思いますとね……
ちなみにアリサちゃんは結界を使えば良いのではないかと言われましたが、正直使う気なんてありませんでした。もし誰かが来たらすぐに私がアリサちゃんから離れればいいだけでしたからね。
とまぁ、そんなこんなでこの後私はアリサちゃんに壁まで追い詰められます。
あれ、これ完全に詰んでません? アリサちゃんはもうかなり近くまで近づいていますし……
と、そんなことを思っていましたら、いつの間にか目の前に居たアリサちゃんに気づいておらず、突然右耳を舐められた刺激が感じるのでした。
「ひゃっ!?」
突然耳を舐められたことによって、私は足が竦んでその場に座り込んでしまいました。
アリサちゃんもそのまましゃがみ、壁に両手を付けました。
「一回猫じゃらしでなのはの耳を擽った時に、かなり笑っていたからもしかしたらと思ったけど、本当だったとは……」
……そんな事もありましたね。
あれは去年の話なんですが、この前みたいにすずかちゃんの家でお茶会している時に、アリサちゃんが猫じゃらしを持ってきたのです。
最初は猫で遊んでいたのですが、アリサちゃんは何を思ったのか私の耳に猫じゃらしで擽ってきたのです。
あの時かなり擽ったいと思って私はかなり笑い、アリサちゃんは何度も続けてきたのです。
私は耳が弱いとその時思ったのでしょうね。だから耳を舐めたらこうなる事をアリサちゃんはなんとなく察していたようです。
「それにしても、なのはの今の顔可愛い……」
「あ、アリサちゃん。や、やめて……」
少し赤面しながら私は言っていたでしょうね。鏡が近くに無かったので確認できませんでした。
そしてアリサちゃんは私がこうも言っているのに。尚も止めずに私の右耳を舐めてきます。
「ひゃ、あ……ひぅっ」
もはや抵抗する気にもならず、私はアリサちゃんになすがままにされていきます。途中反対側の耳を舐めたり、何度も私は喘ぎ声を出していきました。
それから突然アリサちゃんが私の腕を引っ張り、突然の事に驚きましたがすぐに床に軽く押し倒されます。多分強く押したら大変な事になると思ったからでしょうが、その後アリサちゃんが私の体の上に載ってきたのです。
「さて、そろそろ本番としようかな……」
「そ、それだけは止めて……」
「なによ。こういう時しかチャンスが無いのだから良いじゃない。最低でもファーストキスだけは貰うから」
そう言ってアリサちゃんは私の唇に自分の唇を近づけてきます。少しずつ近づいてきており、私は何とか逃げようとしますが、アリサちゅんが私の上に乗っている時点で不可能でありました。一応本気出したら何とかなりますが、アリサちゃんが怪我をする可能性もあったのでなかなか逃げ出せなかったのです。
そうこうしている内にアリサちゃんの唇は私の唇の目と鼻の先まで近づいてきておりました。
――何でもいいから、とりあえずこの状況から抜け出したいの!!
この時私は何でもいいからこの場を回避するなにかが起こって欲しいと思いました。
そしてその願いは何とかかなうのですが、よりにもよってもっと最悪な事になるのでした。
「まぁ、フェイトも温泉に浸かってのんびりと……」
「アルフ? どうしたの……」
……突然大浴場の出入り口からフェイトちゃんとアルフさんが入ってきて、こちらの姿に気づいたのです。
「な、なななななななななな……」
私は入ってきた人たちを顔を動かしてみましたが、フェイトちゃんとアルフさんだと知って動揺しました。
アリサちゃんも私が声を出したことによって誰かが来た事のかと気になり、つい顔を上げてその人たちの姿を見るためになのはの顔から一旦離れました。
だが私はアリサちゃんが私の唇が奪われなかった事に助かったとは思わず、それよりもよりによって最悪な状況を見られたことにかなり恥ずかしかったです。
「ど、どうしたのなのは? そんなに慌てて……」
アリサちゃんは私からフェイトちゃんの事は聞きましたけど容姿を聞いていませんし、アルフさんの事は知らないのでどうして慌てているのか不思議がっていました。
フェイトちゃんとアルフさんは先ほどのキスする寸前の所を見て、どうしていいのか全く分かっていなかったような感じでいました。そりゃ、女の子同士でキスしようとしていたら普通の人はそうなりますよね。
この空気に耐え切れなくなった私は、乗っかっているアリサちゃんを無理やりどかしてすぐに立ち上がり、そして――
「に゛ゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
私はアリサちゃんの事を全く気にせずに、大浴場から逃げるのでした。
「ちょ、ちょっと待ってよなのは!!」
アリサちゃんも私を追ってくるかのように後からついて来るのでした。
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ってなわけで今に至るわけです。
よりにもよってフェイトちゃんに見られるとは思いませんでした……
「本当にごめんってば。どんな姿なのか知らなかったのだし……」
アリサちゃんは未だに私に謝り続けていましたが、余り耳に入っていませんでした。
一応アリサちゃんには、さっき居た金髪の少女がフェイトちゃんだという事を教えてあり、それで私に酷い事してしまったとアリサちゃんは思ってしまったのである。
っていうかなんでフェイトちゃん来ているのですか? 前はアルフさんだけだったはずなのに……
「はぁ……」
もう溜め息も何度吐いたでしょうね。私でも分からないくらいです。
こんなに落ち込んだのは余りないでしょうね。あんな状態を見てフェイトちゃんはどう思ったのでしょうね……
「あの後何があったのか分からないけど、アリサちゃんも何度も謝っているのだからさ」
すずかちゃんは私にそう言ってきましたが、それすら軽く聞き流していました。
とりあえず一人になりたいです。アリサちゃんとすずかちゃんには悪いですけどね。
「……アリサちゃんとすずかちゃん、悪いのだけどちょっと一人にしてくれる?」
「なのはちゃん」
「なのは本当にごめん」
自分でもわかります、かなり重症だと。
アリサちゃんとすずかちゃんは多分このままアリサちゃんが謝ったり、すずかちゃんが説得しても意味が無いと思い、アリサちゃんとすずかちゃんは私を一人にするために部屋から出てくれました。こういう時は本当にありがたいですね。
それにしてもフェイトちゃんにあんな姿を見られたのが嫌になります。なんでよりによってフェイトちゃんまでいるのですか……
私は数時間一人になり、恥ずかしさとあんなのを見られてしまった事に落ち込んでいたのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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